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Three Roses

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第二話 幼きよき日々その一

                 第二話  幼きよき日々
 三人の着飾った貴族のドレスを着た少女達がだった、王宮の中庭でそれぞれの侍女達に囲まれながら楽しく話をしていた。
 赤いドレスの少女は赤薔薇を観ていた、茶色の髪を長く伸ばし青い瞳は何処までも澄んでいる。細面で痩せた顔をしていて睫毛と鼻は高い。
 その少女がだ、自分と共にいる二人の少女に言っていた。
「薔薇はね」
「赤だというのね、貴女は」
 白いドレスの少女は微笑んで赤いドレスの少女に言った。
 栗色の波がかった髪は豊かで緑の瞳は森の様である。きめ細かな肌に優しい顔立ちは聖少女を思わせる。まだ幼いが見事な身体でもある。
「いつも通り」
「ええ、そうよ」
 赤いドレスの少女は微笑んで白いドレスの少女に答えた。
「実際にそう思っているから」
「赤薔薇もいいけれど」
 白いドレスの少女はこう言葉を返した。
「白薔薇も同じだけね」
「奇麗っていうのね」
「ええ」
 その通りという返事だった。
「そうでしょ、そしてね」
「黄色い薔薇もっていうのね」
「そう」
 白いドレスの少女は今度は黄色い薔薇も見た、そのうえでの言葉だった。
「この薔薇もね」
「その薔薇は」
 黄色いドレスの少女もいる、金色の髪にブラウンの瞳、それにだった。
 楚々とした雰囲気でおっとりとした感じの目と眉の形、大きい唇、ふっくらとした頬が福々しい。三人共ドレスにはカラーがある。
 その黄色いドレスの少女がだ、こう言ったのだ。
「私がよくですね」
「ええ、陛下から頂いているわね」
「はい」
 黄色いドレスの少女は白いドレスの少女の言葉に答えた。
「いつも」
「私は白薔薇でね」
「そうですね、マリア様は」
「そしてマリーは」
 マリアと呼ばれた白いドレスの少女は赤いドレスの少女を観て言った。
「赤薔薇でね」
「そうよ」
 その少女マリーは自信のある笑みでマリアに答えた。
「いつもね」
「そしてセーラは」
 マリアは黄色い薔薇の少女にまた声をかけた、彼女の名を呼んで。
「黄色い薔薇ね」
「そうしてもらっています」
「三人共」
 マリアはまた言った。
「そうしてもらっているわね」
「赤は優しさで」
 マリーが言う。
「白が清純、そして黄色は」
「幸運ですね」
 セーラが応えた。
「そう言われていますね」
「そして父上はね」
「私達にですね」
「その三つをね」
「それぞれ与えて下さっているのですね」
「そうなるわ、そして」
 マリーはセーラに応えてさらに言った。
「お姉様の黒は」
「知性ですね」
「そして太子殿下には」
 自分達の弟である彼はというと。
「次の王となられる方だから」
「高貴のですね」
「そう、紫よ」
 その色だというのだ。
「そうなっているわ」
「そうですね」
「そう、だからね」
「私達の薔薇はですね」
「私達自身でもあるのね」
「そうなりますね」
「私はね」
 まだ幼いながらもしっかりとした声でだ、マリーは言った。
「優しさを忘れないわ」
「絶対にですね」
「ええ、お父様に贈られたものだから」
「そうされるのですね」
「貴女達もよね」
 ここでだ、マリーはセーラそしてマリアに問うた。 
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