先輩
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第七章
階段を駆け降りていく、その彼の前に。
覆面の拳銃を持った男が階段の下から来た、男は潤に昇順を合わせたがそれより前にだった。
潤は彼に突っ込み当身を浴びせた、そこに。
宗男も来てだ、動けなくなった男の拳銃を持っている手を蹴って銃を遠くに弾き飛ばしてから潤に言った。
「手錠をかけろ」
「はい、すぐにですね」
「足にもだ」
手だけでなくというのだ。
「それでこいつは動けない」
「まずは一人ですね」
「これで全然違う」
「ですね、ただ」
「ただ、何だ」
「フォロー有り難うございます」
当身を浴びせたその後のというのだ。
「助かりました」
「いいさ、これもな」
「先輩だからですか」
「ああ、言ったままだよ」
突入前のそれのことだった。
「だから気にするな」
「そうですか」
「それよりもだ」
「はい、ホシですね」
「あと二人だ」
情報によればというのだ。
「ここで二人か一人かでな」
「全然違いますね」
「そうだ、一人になったらな」
銀行に立て篭るその犯人がだ。
「違うからな」
「そうですね、じゃあ」
「行くぞ」
「はい、二人で」
潤は宗男の言葉に頷いた、そしてだった。
二人でだった、さらに下に進んだ。一階に来たところで。
二人は物陰に隠れつつ先に進んだ、そうして。
銀行のその受付の、メインの部屋の裏手まで来た。その扉の前にまで来たところで宗男はまた潤に言った。
「この奥にな」
「はい、そこにですね」
「人質の人達がいてな」
「ホシもですね」
「残る二人がいる」
宗男は潤にこれ以上はないまでに緊張した面持ちで言った。
「ショットガンを持った奴もな」
「そうですね」
「俺達が突入してな」
「ホシの注意を引き付けて」
「その間にだ」
まさにその隙にというのだ。
「機動隊が突入するからな」
「それでホシを拘束してですね」
「人質の人達も解放してな」
「終わりですね」
「そうなる、しかしな」
「はい、くれぐれもですね」
「突っ込んでもだ」
それでもというのだ。
「一瞬で終わらせろ、そしてだ」
「そのうえで、ですね」
「死ぬな、いいな」
「突っ込んでもですね」
「何度も言うがここでも言うぞ」
「背中は、ですね」
「俺がいるからな」
安心しろと言うのだった、そして任せろとだ。こう潤に言ってだった。
二人は一気に扉を開いた、そのうえでそれぞれ拳銃を構えながら言った。
「動くな、警察だ!」
「人質を解放しろ!」
「くっ!」
犯人は二人いた、やはり覆面をしている。ざっと見回したところ人質は倒れている者はおらず乱暴された跡もない。
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