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先輩

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第四章

「あの二人にも連絡をするか」
「横溝と城戸にも」
「二人にもですね」
「俺から連絡をする、現場に向かいながらな」
「はい、じゃあ銀行にですね」
「行きましょう」
 部下の刑事達も応えてだ、そしてだった。
 警部達は現場である銀行に行った、駅前の銀行は機動隊と警官達に完全に囲まれていた。野次馬達もいたがだ。
 彼等は警官達に遠くにやられていてただの物見だった。警部はその銀行のところに来て陣頭指揮を執る署長に尋ねた。
「状況は」
「話した通りだ、犯人は三人でだ」
「銃を持ってますね」
「本物だ」
 警官の制服を着ている署長は緊張している顔で答えた。
「正真正銘のな」
「そうですか」
「一人はライフル、二人はピストルだ」
「そうですか」
「他には散弾銃もあるな」
「それが一番厄介ですね」
 散弾銃と聞いてだ、警部の顔が強張った。
「人質の人達も心配ですし」
「幸いまだだ」
「犠牲者はいませんか」
「まだな」
 そうだとだ、署長は答えた。
「出ていないがだ」
「銀行の中にはですか」
「銀行員の人達にお客さんを含めて五十人だ」
「五十人ですか」
「人質に取られている」
 署長は警部にこの状況も話した。
「全部言った通りだ」
「ですか、状況は変わっていませんか」
「厄介なことにな」
「ここはどうしますか?」
「屋上から行く」
「上からですか」
「隣のビルから飛び移ってな」
 そのうえでというのだ。
「最上階の窓を破ってな」
「そのうえでの潜入ですか」
「それでいくことにした、しかしな」
「かなり動ける奴じゃないとですね」
「無理だ」 
 屋上から最上階の窓を蹴破っての潜入はというのだ。
「だから人を選ぶが」
「うちの署でそれが出来るとなると」
「刑事課のだ」
「あいつ等だけですね」
 警部は考える顔のまま言った。
「それこそ」
「今はいないみたいだね」
「呼びました」
 警部は署長にすぐに答えた。
「すぐに来ます」
「そうか、それじゃあ」
「はい、ただ」
「城戸巡査はか」
「あいつの性格は」
 どうにもとだ、彼は言うのだった。
「悪い奴ではないですが」
「それでもなんだね」
「とにかく無鉄砲を注意は聞いても」
「私も彼にはいつも注意してるがね」
 署長もなのだ、このことは。
「しかしだね」
「そうです、ですから一人ではこうした時はです」
 かなりの危険、命のそれが伴う場面ではというのだ。 
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