転生とらぶる
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。
ページ下へ移動
機動戦艦ナデシコ
1347話
ファブニールの説明が終わり、取りあえず量産するように担当の量産型Wへと指示を出すと、俺はレモンと一緒に魔法球の外へと出て、交流区画にある喫茶店でお茶を飲んでいた。
「ファブニール、性能は高いけどシャドウと比べて更にコストが掛かるようになったな」
「そうね。でも、シャドウミラーの場合、それは影響しない。そうでしょう?」
お茶請けとして出されたクッキーへと手を伸ばしながら言ってくるレモンの言葉に、頷きを返す。
確かにその言葉は事実であり、キブツがある以上は全く何の問題もなくファブニールを量産出来るのだから。
「けど、キブツありきの組織運営ってのも色々と不味いのは事実だろ。確かにキブツはこれ以上ない程の性能を有していて、シャドウミラーにとっては最重要な代物の1つだ。だが、だからこそキブツが故障した時の事を今から考えておく必要がある」
「あら、アクセルにしては珍しい意見ね」
小さく笑みを浮かべつつ告げてくるレモン。
いや、自分でもそう思うけどな。それでも俺は一応シャドウミラーの代表という立場にいる訳で、このくらいの事は考えておく必要があるのも事実だ。
「何にだって寿命というのはある。キブツだって、今はとにかく、100年、200年と時間が経てばどこかに不具合が出て来てもおかしくはないだろ」
まぁ、ホワイトスターの存在理由を考えると、実は100年どころか500年とか耐久保証がついていたとしてもおかしくはないんだが。
「そう? 私達に寿命はないと思うから、何にでもって訳じゃないと思うけど」
「そう言われればそうだな。……じゃなくて、俺達は色々な意味で例外だろ。物理的な法則じゃなくて、魔法的な存在なんだから」
俺自身混沌精霊という魔法生物な訳で、レモン達が俺の恋人の証として左手の薬指に付けている時の指輪は魔法に属する道具だ。
「キブツの性能なんかも、普通に考えれば魔法に関係していると思ってもおかしくないと思うのだけど」
「それは否定出来ない事実だけど、一応あれも科学の産物だろ?」
何にせよ粗大ゴミとかそういうのをぶち込むと、基本的な代物には何にでも変えてくれるという、夢の機械だ。
もしキブツがホワイトスターのどこにあるのかというのが知れ渡れば、それを狙って妙な動きを起こさない奴が出てこないとも限らない。
一応ホワイトスターに来る事が出来るのは、その世界の保証を受けた人物だけだ。
つまり、その人物がホワイトスターで問題を起こした場合、その罰則は罪の大きさにもよるが、個人だけではなく出身世界にも与えられることになる。
最悪の場合、シャドウミラーが全戦力を上げてその世界を崩壊させる……という手段もある以上、シャドウミラーの戦力がどの程度のものかを知っている世界の人物は迂闊な真似をする訳がない。
ない……と思いたいんだが、どこの世界にも自分だけは特別だとか、自分が失敗したらどうなるかとか、そんな事を考える頭を持たない奴もいる。
そういう人物を選別するために、シャドウミラーに転移出来る人物はその世界で審査している奴な訳だけど。
「とにかく、キブツもそうだが、シャドウミラーの本拠であるホワイトスターにしても、永遠の存在ではない訳だ。である以上、何かあった時にはそれを修理出来るように……そして最悪の場合は、同じ物を新しく作れるようにしておく必要がある」
「……つまり、キブツの調査を?」
「ああ。正直、技術班には色々と仕事を任せ過ぎだと思うんだけどな。頼れるのが技術班しかいないのも事実だ」
まさか、キブツを他の世界の科学者や技術者といった面子に見せる訳にもいかないだろう。
「そうね。でも、技術班の子達は、その忙しさを楽しめる面子が揃っているのよ。だからこそ、シャドウミラーの技術班が務まっているとも言えるけど。それに魔法球や時の指輪の効果で実質的には不老になって、時間も気にせず自分の研究に集中出来るという現状は、嬉しさこそあれ、辛いと思ってる子達はいないんじゃないかしら。……まぁ、それもさっきアクセルが言ったように100年、200年と時間が経てば分からないけど」
レモンの言葉に頷き、紅茶を口へと運ぶ。
実際、技術班のテンションの高さを思えば、あのやり取りを100年、200年続けるとなると色々な意味で……あ、でもなんだか技術班のメンバーを考えると、普通に500年後とかもハッチャケて、エキドナに追われているような未来が思い浮かぶな。
「とにかく、これからも色々と頼むと思うけど、キブツの方の調査も進めてくれ。勿論すぐに技術班の全力を使って……って訳じゃない。余裕がある時に出来る範囲でいい」
「でしょうね。全力でやれって言われても、今のままだとちょっと難しいしね。技術班の人数を増やしても……そこまで余裕がある訳じゃないし、そもそもうちの子達は他の世界に行けば最高峰の科学者として活躍出来る人ばかりだもの。そう簡単に誰かを入れても……ああ、そう言えば」
「うん?」
レモンが言葉の途中で、ふと何かに気が付いたかのように言葉を止める。
そして意味ありげな笑みを浮かべて、口を開く。
「実はエルフの中で何人かが技術班に興味を持っているのよ」
「……エルフ達が? また、随分と畑違いな……」
俺の知ってる限りでは、エルフというのは基本的にそれ程戦いを好む訳ではなく、戦うにしても出身が門世界という事もあって生身での魔法や弓を使った戦いが主だった。
まぁ、最近では俺に影響されたのか、精霊の卵としてMSに乗って傭兵団をやっているが……
「そう? まぁ、アクセルならそう思っても仕方がないでしょうね。けど、エルフの中にも精霊の卵に参加していない者はかなり多いわ」
「だろうな」
精霊の卵というのは、シャドウミラーの実働班入りを希望したエルフ達の修行の場でもある。
つまり、エルフの中でも戦闘を得意とする者達……その中でも更に高い能力を持った者達の集まりだ。
当然精霊の卵に所属したくても能力不足でそれが無理な者もいるし、元より戦いを好まない者も多い。
エルフ、ハイエルフ、ダークエルフ。シャドウミラーに所属するエルフ族は全部で3種族いるが、その3種族の中でも精霊の卵に所属しているのは1割……良くて2割といったところだ。
「そんなエルフの中には、戦いではなく技術でシャドウミラーを……もっと言えばアクセルを支えようとしている人もいるのよ」
「それは分かる。けど……大丈夫なのか? いや、より正確には技術者として大成するのか?」
エルフ族というのは、基本的に門世界の出身だ。
つまり、科学技術というものに対して殆ど触れた事がなかった。
ホワイトスターに来てからはその科学技術を積極的に採り入れてるし、何より精霊の卵というMSを使う傭兵団も存在している。
だが……逆に言えば、エルフ族というのは機械を使う事は出来ても作ることは決して得意な訳ではない。
別にこれはエルフを侮っている訳ではなく、元々の適性に近い。
門世界の中で生きてきたエルフ……それも人間よりも遙かに長い間を生きるエルフだけに、その中には門世界の常識が根付いている。
科学技術の類を使うのであればともかく、作る側に回れるのかという疑問がある。
何より、シャドウミラーの技術班というのは先程レモンが口にした通り、非常に高い技術を持つ者達の集団だ。……高い技術を持つ分、変人度合いも色々と物凄いが。
俺がナデシコに特に違和感もなく溶け込めたのは、その辺の理由も大きいだろう。
「そうね。最初は確かにエルフの人達も色々と苦労するでしょうけど……どのみち、私の技術班に入ってすぐにやっていけるだけの能力を持つ人ってのは少ないのよ。マリューとロイド辺りが入ってすぐに技術班としてやっていけたけど、それは特別よ。セシルもギアス世界だと決して能力が低いって訳じゃなかったけど、シャドウミラーだと技術班の中でも一番能力が低い状態だったしね」
こうやって改めて聞くと、シャドウミラーの技術班って何なんだろうな。
レモンが一番能力が低いと言っているセシルは、決して無能って訳じゃない。
それどころか、ギアス世界で始めてエナジーウィングを開発した、腕の立つ技術者だ。
KMFで空を飛ぶフロートユニットは、そのエネルギー源であるエナジーフィラーを大量に消費するうえに、その部分は殆ど無防備に敵の前に晒されてしまう。
それに比べると、エナジーウィングはブレイズ・ルミナスというバリアを生み出す事も出来るし、燃費の面もフロートユニットより向上している。そして何より、刃状のエネルギーを飛ばす事によって非常に高い攻撃手段ともなる。
エナジーウィングがどれだけ有益なシステムなのかというのは、それこそニーズヘッグに搭載されてデータ取りが済んだ後でもそのまま使い続けており、シャドウミラーで使用している機体のほぼ全てに導入されている事からも理解出来るだろう。
更に、今回技術班が開発したファブニールでもエナジーウィングは採用されている。
「特にマードックや葉加瀬なんかは、技術班に付いてこれるようになるまで相当の年数が掛かったもの」
「つまり?」
そんな俺の言葉に、レモンは紅茶のカップをテーブルに戻してから口を開く。
「つまり、スタートの位置が0であっても1であっても、100の位置にいる私達に取ってはそう大して違わないという事よ。それこそ、1が10であってもね。いえ、寧ろいらない先入観とかがないぶん、英才教育的な面で見れば寧ろ0からの方が技術班としては教え甲斐があるわ」
「……なるほど。それでエルフか」
科学技術を使うだけならまだしも、技術班に入るとなると0どころか-1だったりしそうな気がするが、その辺はレモンにとっては許容範囲内なんだろう。
「そう。勿論それ以外にもエルフを技術班に迎える理由は幾つかあるわ。まず最大の理由としては、エルフ達はアクセルを崇拝している以上、余程の事がない限り裏切らないでしょうし」
それは事実だ。
俺自身崇められているというのは好まないんだが、それでもエルフ達が混沌精霊である俺を崇めるというのを禁止はしていない。
人前で恭しくせず、内心で思っているだけであれば問題ないという判断だからだ。
確かにレモンの言う通り、エルフ達が俺を裏切るというような真似は余程の事がない限りはしないだろう。
「シャドウミラーの技術班として、それは大きいわ。マリュー、ロイド、セシル、葉加瀬、マードックのように今のところ外部から来た人はシャドウミラーを裏切るような人はいない。皆がシャドウミラーに骨を埋めるつもりになっているし。……まぁ、不老なんだから基本的に死ぬことはないんだけど。とにかく、これから先も技術班に入る人がそうだとは限らない」
「うん? マードックはいつかオーブに戻るとか前に何かで聞いたような覚えがあるんだが、違うのか?」
「最初はそのつもりだったみたいだけど、長年シャドウミラーにいて、完全に技術班に感化されてるみたいよ。まぁ、未だにあのノリに付いていけない時とかはあるようだけど」
その言葉に少し驚くが、確かにシャドウミラーの技術班というのは研究者や技術者としてはこれ以上ない程に最高の環境なのだ。
一度上の生活を知ったら、それ以下の生活水準に戻せないという話は良く聞くが、研究者にとっても永遠に若いままで、外の1時間が48時間になるという魔法球、更にはキブツの存在と無償の労働力である量産型Wが無数に存在する事もあり、技術班が必要だと思えば大抵の機器を作る事が出来る。
魔法球の中の食事に関しても、茶々丸が作る美味い料理を食べられ……更にこちらは特典と言える訳ではないだろうが、エキドナ、茶々丸といった面子から逃げる事により運動不足が解消される。……まぁ、エヴァ辺りが結構な頻度で訓練を半ば強引にしているんだが。
更にシャドウミラーの技術班は才能のある者が集まっている事もあり、天才故の孤独といったものとは無縁だ。
「技術班の待遇を考えれば、一度体験した奴が出て行きたくなくなっても当然だろうな」
「そうね。……ま、それ以外にも技術班とエルフの女の人で恋人同士になるかもしれないという思いはあるんだけど」
「あー……うん、なるほど」
そちらもまた、納得せざるを得ない理由だった。
そもそも、シャドウミラーの中で人数的にはエルフが一番多い。
当然その中には女も多く、男所帯の技術班――トップはレモンとマリューだが――としては、出会いを求めるという意味もあるのだろう。
セシルや葉加瀬、エヴァ、茶々丸、エキドナと、女もいるけど色々と個性が強いのが多いしな。
一夫多妻制が暗黙の了解として存在し、法的にもきちんと成立しつつあるシャドウミラーでは、技術班の中にも恋愛を求める者が多くなった……ってところか。
その辺は俺がどうこう言う問題じゃないから、技術班とエルフの間で幸福な時間を築く事が出来ればそれでいい。
後書き
アクセル・アルマー
LV:43
PP:405
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1415
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
努力 消費SP8
集中 消費SP16
直撃 消費SP30
覚醒 消費SP32
愛 消費SP48
スキル:EXPアップ
SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
念動力 LV.10
アタッカー
ガンファイト LV.9
インファイト LV.9
気力限界突破
魔法(炎)
魔法(影)
魔法(召喚)
闇の魔法
混沌精霊
鬼眼
気配遮断A+
撃墜数:1188
ページ上へ戻る