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英雄伝説~運命が改変された少年の行く道~(閃Ⅱ篇)

作者:sorano
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第238話

~真・煌魔城~



「お待たせしました、セリカさん!」

「フフ、エステル達とはクロスベルで共闘して以来ね。それにアンゼリカも久しぶりね。」

「ハハ、随分と懐かしい面子が揃っているな。」

エオリアはセリカに視線を向け、キリカは大柄な東方風の男性と共に懐かしそうな表情でエステル達に視線を向けた。

「あ~、エオリアさんです~♪」

「ジンさん!それにキリカさんも!」

「フフ、まさかこんな所で師匠と再会する事になるとは思いませんでした。」

エオリア達の登場にサリアとエステルが表情を明るくしている中、アンゼリカは口元に笑みを浮かべてキリカを見つめた。



「エステル先輩、ヨシュア先輩、ミント先輩!お久しぶりです!」

「あ……っ!」

「クロエちゃん!それにナハト君も!」

「……どうも。」

黒髪の女剣士の遊撃士の娘に話しかけられたエステルとミントは明るい表情をして黒髪の女剣士―――クロエ・バーネットとクロエの隣にいる導力銃が仕込まれた特殊な斧槍(ハルバード)を得物にしている銀髪の少年――――ナハト・ヴァイスを見つめ、ナハトはエステル達に軽く会釈をした。

「ハハ、今度は俺達の同僚達が来てくれたみたいだな……!」

「そのようね……まあ、一部遊撃士じゃない連中も混じっているみたいだけど……」

「キリカさんはまだわかりますけど、何故彼女が……」

「スカーレット!?何でお前が遊撃士達の精鋭部隊にいるんだ!?」

トヴァルの言葉に頷いたサラ教官は苦笑しながらキリカとスカーレットを見つめ、プリネと共に信じられない表情でスカーレットに視線を向けたクロウはスカーレットに訊ねた。



「フフッ、それはテロリストの幹部を信じて司法取引をしたそこの変わり者のエレボニアの皇族達に聞いて。」

「エ、エレボニアの皇族達って……!」

「まさか……殿下達が奴の手を借りるために何らかの司法取引をしたのですか!?」

スカーレットの説明を聞いたアリサは驚き、ユーシスは信じられない表情でオリヴァルト皇子達に訊ねた。

「フッ、その通り。彼女の腕前は文句なしだし、しかも”魔神”であるベルフェゴール君の”使徒”になった事で更にパワーアップをしているそうなのだから、彼女やクロウ君を含めた”帝国解放戦線”のメンバーの減刑を条件に彼女にも手を貸してもらう事にしたのさ♪」

「ちなみにスカーレットさんにも力を貸してもらうきっかけになったのはリィンさんがクロウさん達にも手を貸してもらう事にした事ですわ♪」

「ハハ、そうだったのか……でも何故遊撃士協会の精鋭部隊に彼女が?」

オリヴァルト皇子とアルフィンの説明を聞いたリィンは苦笑した後不思議そうな表情で訊ねた。



「……かつてエレボニア全土でテロを引き起こし、我が軍に甚大な被害を与えたテロリストの幹部と我が軍が連携する等普通に考えれば無理だからな。よって、奴との因縁等なく、過去の経歴が多少後ろ暗くてもあまり気にしない遊撃士協会に白羽の矢がたち、奴を遊撃士協会の”協力員”として加勢させたのだ。」

「フッ、実際遊撃士協会は奴等にとって敵対関係である結社の”執行者”であったヨシュアや元猟兵であった”紫電(エクレール)”をも受け入れたのだから、元テロリストの幹部を”協力員”にしても違和感はないな。」

「ハハ……」

「レーヴェ……何もそこで二人を例えに出さなくてもいいじゃない……」

「ああん!?”リベールの異変”を引き起こした”結社”のメンバーだった癖にメンフィル皇女の親衛隊の副長になれたあんたにだけは言われる筋合いはないわよ!?」

ミュラー少佐の話を聞いて静かな笑みを浮かべるレーヴェの言葉を聞いたヨシュアは苦笑し、プリネは疲れた表情で指摘し、サラ教官は顔に青筋を立ててレーヴェを睨み、その様子を見たリィン達は冷や汗をかいて脱力した。



「アハハ……そう言えばどうしてキリカさんまで遊撃士協会の”協力員”として精鋭部隊にいるの?」

「貴女達も知っての通りカルバードが滅亡してしまったから、私が所属していた”ロックスミス機関”もクロスベルに吸収される事になってしまってね。これからどうするべきか決めかねていたのだけど、とりあえず今後を考えるのは今回の件を解決してからだと判断して遊撃士協会の精鋭部隊に加入させてもらったのよ。」

「そうだったんだ……」

「キリカさん……」

エステルの疑問に答えたキリカの説明を聞いたミントは呆け、ツーヤは複雑そうな表情をしていた。

「……ククッ……。アーッハッハッハッ!まさかお前達まで現れるとはな!面白くなってきたじゃねぇか!」

するとその時ヴァルターが狂気の笑みを浮かべて笑い始め

「ヴァルター……」

「………………」

ジンはヴァルターを複雑そうな表情で見つめ、キリカは静かな表情で見つめていた。



「ウフフ、お客さんも増えた事だしこちらも増やさないとねぇ?」

そして口元に笑みを浮かべたカンパネルラが指を鳴らすと猟兵達の亡霊が現れた!

「猟兵の亡霊………!」

「え……あ、あの鎧の猟兵達は確か……!」

「”北の猟兵”……!どうしてあんた達までオズボーン元宰相に力を貸しているんだ!?」

猟兵達の亡霊の登場にガイウスは真剣な表情で声を上げ、猟兵達の鎧に見覚えがあったエリスは驚き、リィンは厳しい表情をして猟兵達に問いかけた。



アツイ……クルシイ……メンフィル……ニクイ………タスケテ………ニクイ……タスケテ……



コキョウ……仕送リシナケレバ……家族……シヌ……家族ノ為……シニタクナイ……シニタクナイ……



「も、もしかして彼らは……」

「……ケルディックの焼き討ちや公開処刑の時に私達メンフィルに殺されたアルバレア公に雇われた”北の猟兵”達でしょうね。」

「……恐らく故郷や家族への思い、そして故郷や家族に仕送りができなくなった原因であるメンフィルへの憎しみによる怨念で亡霊と化し、メンフィルに復讐する為に”鉄血宰相”に力を貸しているのでしょうね。」

「哀れな人達ね……」

「…………」

猟兵達の怨念を聞いてあることを察したセレーネは不安そうな表情をし、プリネは静かな表情で答え、ルフィナの推測を聞いたゲルドは悲しそうな表情で猟兵達を見つめ、ロカは重々しい様子を纏って目を伏せて黙り込み

「…………っ!」

「サラ……」

「…………」

唇を噛みしめて辛そうな表情で猟兵達を見つめるサラ教官をフィーは心配そうな表情で見つめ、ユーシスは複雑そうな表情で黙り込んでいた。



「……エレボニアの内戦に加担した貴方達”北の猟兵”がどのような末路を迎えたのかも聞いています。幾らメンフィル帝国領を焼き討ちし、多くの人々を傷つけたとはいえ、その代償として自分達の死を払い、更には故郷であるノーザンブリアがメンフィルに占領されてしまったという惨い結果になってしまったことには私も貴方達に同情しています。――――ですが”支える篭手”の紋章に賭けて私達は貴方達に勝ちます!私達”遊撃士”が守るべき人々が平和な生活を続けていく為にも!」

「クロエ……確かにそうだね。僕達はその為にもここまで来たんだったね。」

するとその時クロエは決意の表情で剣をカンパネルラ達に向け、その様子を呆けた表情で見つめたナハトは我に返ると武器を構え

「ハハ、なんだかエステルとヨシュアがもう一組いるみたいに見えるな。」

「フフ、そうね。」

二人の様子をジンとキリカは微笑ましそうに見守った後他の遊撃士達と共に武器を構えた。



「―――セリカさん!ここは私達に任せて、セリカさん達は屋上を目指してください!」

「”本隊”の先輩方はどうか頂上を目指す事を優先してください!」

「―――わかった。ここは任せる。」

「みんな、気を付けてね!」

エオリアとクロエの言葉にセリカは頷き、エステルはエオリア達に応援の言葉を送り

「スカーレット!無茶するんじゃねぇぞ!?」

「フフ、それはこっちのセリフよ。坊や―――いえ、リィンも私を助けた時のような無茶をしたら許さないわよ?あたしの”全て”を奪った責任……絶対に取ってもらうわよ。」

「ああ……!全部解決したら幾らでも責任を取るから、そちらもどうか気を付けて……!」

クロウの言葉に答えたスカーレットに視線を向けられたリィンは頷いた。



「クカカ……それじゃあ始めようぜ、ゾクゾクする”死合”をよ!」

「あんたが例え”影の国”のように俺達の記憶から再現された存在でも師匠(せんせい)より受け継ぎし”活人拳”であんたの邪拳を何度でも打ち砕く!」

「貴方と手合わせするのはこれで最後になるでしょうね。互いに悔いが残らないように最初から本気で行くから、覚悟しなさい。」

「ウフフ……それじゃあボク達も本当のリターンマッチといこうか、遊撃士のお姉さんたち♪」

「望む所よ……!」

「湿地帯であの騎士達から受けた”借り”も纏めて全部あんたに返させてもらうよ!」

「俺達クロスベルの遊撃士の底力、見せてやる!ヴェンツェル、行くぞ!」

「ああ、任せろ!」

「………………」

「……かつての仲間として……そして元七耀協会の騎士としてあたしの手で貴方をV(ヴァルカン)の元へと送ってあげるわ―――G(ギデオン)!」

ヴァルターとはジンとキリカが、カンパネルラとはエオリアを含めたクロスベル所属の遊撃士達が、ギデオンとはスカーレットが対峙してそれぞれ戦闘を開始し

「さあ、行きますよ、ナハト!先輩方に少しでも早く追いつくために私達の手で一人でも多くの猟兵達を倒しますよ!」

「ちょ、ちょっと、クロエ?幾ら亡霊や悪魔に効果的な武器を持っているとはいえ相手は仮にも百戦錬磨の”猟兵”なんだから、そんな魔獣を倒す感覚で挑まないで……って、ちょっとは僕の話を聞いてよ!?」

ナハトは猟兵達に突撃するクロエを追って行き、他の遊撃士達と猟兵達との戦闘を開始した。



そしてリィン達はエオリア達がカンパネルラ達と戦闘をしている間に駆け抜けて昇降機に乗って上へと上がり、次の階層に到着すると探索を再開した。




 
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