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アインクラッド篇
movement Ⅲ 迫り来る狂気の行進曲
発端
前書き
今回より新章!
まずはシリカ篇
「いらっしゃいませー!ご注文は?」
「エール二つ。それと海鮮パスタ。」
「あ、後イカ大根下さい!」
「かしこまりましたー!二名様ご案内でーす!」
唐突だが今、俺は接客業の真っ最中だ。何でって?あのバケモノお姉さんのせいだ。
「アマギ君!これ二番テーブルにお願い!」
「ハイハイ!……ったくなんでこんなことに…………。」
「文句言わない!さあ、働くのだ!」
今の最前線は56層。あの死闘から既に一月半経っている。終わった直後こそ、剣聖スキルや裏ソードスキルについて質問責めにされたが、最近は落ち着いている。ようやく諦めてくれたのだろう。《鼠》の奴にも口止め料払っておいた。百万コルも積んでおけばまず話すまい。
「アマギ君、次は七番テーブルだ。」
「はーい。」
「なんだい、元気ないじゃないか?」
「イエイエ、セイシンセイイツトメサセテイタダイテイマス。」
「随分な棒読みだねぇ。」
俺がやっているのは星月夜亭のウェイター。店員NPCが足りないから手伝って、とのシエラさんからの命令だ。何故俺だけ………………。
そんな事を考えていると、突然店のドアが勢い良く開いた。
「いらっしゃい……あれ?」
入ってきた男の顔は知っていた。確か………中層のギルド《シルバーフラグス》のリーダーだ。よく仲間と来ている常連客だ。だが、今回は仲間はいない。よく見ると顔も憔悴しきっている。ただならぬものを感じ、声をかける。
「どうかしたのか?」
「あ、アマギさん…………。」
すると男は、突然俺のズボンにすがり付いて泣き出した。
「おわっ!?な、何だいきなり!?」
「お願いがあるんです!!」
突然の懇願をはじめた男、どうにか落ち着かせると、男は事の経緯を話し始めた。
つい先日、ギルドに興味がある。仮入団させてくれないか、と尋ねてきた女性プレイヤーがいた。ロザリアという名前の十字槍使いで、気のいい彼と、その仲間達は快く了解した。
そして今日の朝、丁度この層で探索していたところ、オレンジプレイヤーの集団の強襲を受けた、包囲され逃げ場を無くしたとき、突如ロザリアが、哄笑を上げながらオレンジプレイヤー達に混ざった。彼女は高笑いを続けながら、自分がそのオレンジギルド《タイタンズハンド》のリーダーだと話した。その後、ギルドメンバーは彼を逃がすために、全員が彼の目の前で殺されたと言う。しかし、そのメンバー達の犠牲のお陰で、包囲に穴があき、必死にここまで逃げてきたのだと………。
「そうか………。」
全てを聞いた俺は、そう呟くしかなかった。気遣いも何もあったものではないが、逆にどう声をかけろと言うのだろう。代わりにこう尋ねた。
「で?頼みっていうのは?」
「………アマギさん、仲間の……仇をとってくれませんか?」
「それは、タイタンズハンドを殺してくれってことか?それなら……」
「いえ、監獄に送って下さい。………お願いします!」
「…………わかった。引き受けるさ。」
「ほ、本当ですか!?」
「ああ、放っとく訳にもいかないし………これ以上被害をだす訳にもいかないからな。」
「な、なら……これを!!」
そう言って差し出されたのは、回廊結晶だった。
「いいのか?こんな高価なもの。」
「ええ、使ってください。」
仕方がないので受けとる。出口は既に、監獄に設定されている。
「お願いします、『十字の剣聖』。」
「………その呼び方はヤメロ。」
十字の剣聖
俺に新しくついた二つ名だ。今までのものと、新しいものを組み合わせた捻りのない名前。最も、二つ名自体好きではないが。
「さてと、てな訳でシエラさん?」
「行っておいで。流石にそこまで鬼じゃない。」
鬼って自覚あったのかよ………。そんな事を思いつつ、店を出る。
「まずは情報だな。一人じゃ大変だし………、」
暫し考えた末、フレンドリストから一番暇してるであろうとある人物にメールを出した。
後書き
導入部分です。どう絡ませようか迷ったんですが、星月夜亭が三十一層という中層階にあったのを思いだし、こんな感じになりました。(つまり行き当たりばったり)
次回から本格的に入っていきます。呼ばれた暇であろう人物とは………!?(想像はつきますね)
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