英雄伝説~運命が改変された少年の行く道~(閃Ⅱ篇)
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第230話
~トリスタ・郊外~
「な――――――」
「ん?あの見覚えのある姿はもしかして……」
上空にいる竜を見たラウラが絶句し、オリヴァルト皇子が不思議そうな表情で呟いたその時竜はリィン達の近くに着地した!
「なああああああああっ!?」
「りゅ、”竜”……!?」
「これが”竜”……初めてみたわ。」
竜を見たマキアスは驚きのあまり声をあげ、アルフィンは信じられない表情をし、ゲルドは興味ありげな様子で竜を見つめ
「あら、あの竜は確か”福音計画”の時の……」
「はわわわわわっ!?ど、どうしてエレボニアに……!?」
「報告にあったリベールの異変時に現れた”空の女神”の”眷属”である”古代竜”――――”レグナート”です!」
竜を見て何かに気付いたクロチルダは目を丸くし、ティータは慌て、クレア大尉は驚きの表情で声を上げた。
「何ですって!?」
「という事はその竜が話にあったリベールの”古代竜”か……」
クレア大尉の話を聞いたサラ教官は信じられない表情をし、トヴァルは目を丸くして竜を見つめていた。
「フッ、まさかまた邂逅する時が来るとはな。」
「そう言えばレーヴェも”リベールの異変”の時にレグナートと会っていたわよね……」
「確かその竜を操っていたんだっけ?」
「エ、エヴリーヌさん!」
静かな笑みを浮かべているレーヴェをプリネは苦笑しながら見つめ、エヴリーヌの言葉を聞いたツーヤは慌てた。
(フフッ……そんな事もあったな……)
「!また声が……!」
「もしかして貴方の念話なのでしょうか?」
竜の念話を受け取ったエリスは驚き、エリゼは目を丸くして尋ねた。
(うむ。我が名は”レグナート”。”輝く環”の行方を見守りし女神の”眷属”だ。私は、おぬしらのような発声器官を持っていない。故に『念話』という形で語らせてもらっている。おぬしらはそのまま声に出して語りかけるがいい。)
「ハ、ハア……」
「”神狼”の方は普通にしゃべっていたのに、何で竜の方はしゃべらないのかしら……?」
竜―――レグナートの念話を聞いたリィンは戸惑い、サラ教官は不思議そうな表情をし
「フフッ、まさか私達が”空の女神”の”眷属”と邂逅する時が来るとはね。」
「ア、アハハ……”空の女神”であるエイドスさんと邂逅しているから、今更よ、姉さん……」
「というかアンタ、よくそんな呑気にしていられるわね?確か”リベールの異変”の時”結社”が”古代竜”を操っていたんでしょう?」
クロチルダとエマはそれぞれ苦笑し、セリーヌは呆れた表情でクロチルダを見つめた。
「私は”福音計画”に関わっていないわよ。あの計画は”教授”主体のもので、確か”古代竜”を操ったのはレオンでしょう?」
「え、えっと…………」
クロチルダの答えを聞いたエリオットは冷や汗をかいて仲間達と共にレーヴェを見つめた。
(ふむ……誤解を解いておくが。漆黒の機を私に付けて操ったのは、その銀の剣士ではない。『教授』と呼ばれていた得体の知れぬ力を持つ男であり、その銀の剣士は私が暴走してからは、被害が大きくなりすぎぬよう様々な手を尽くしたのだ。彼が暴走を押さえなければ私は街や村を破壊し尽くすまで止まらなかったに違いない。)
「まあ……そうだったのですか。」
「…………………」
レグナートの答えを聞いたシャロンは目を丸くして黙っているレーヴェを見つめ、リィン達はそれぞれ安堵の表情をしていた。
「フム……それで君は何故この場に現れたのだい?確か君はエステル君達を救った後自分の”使命”は終わったと言ってどこかへと飛び去ったが……」
その時オリヴァルト皇子が不思議そうな表情でレグナートに尋ねた。
(……私もそのつもりだったのだがな。女神自身に呼ばれて女神の翼となり、この場に現れたのだ。)
「へっ……」
「め、”女神”という事は……!」
「もしかして女神様もこの場にいらっしゃっているのですか!?」
レグナートの話を聞いたマキアスは呆け、エリオットは信じられない表情をし、アルフィンが驚きの表情で声を上げたその時
「はい♪―――よっと。事情を聞いた時”在庫処分”ができる絶好の機会だと思い、こうして昔の仲間にちょっとだけ”お願い”して飛んで来ました♪」
(全く……そんな事の為だけに私を呼びつけるとは。”星杯”の騎士達に命令して彼らが持つ”天の車”を使えばいいものを。何故わざわざ私を呼びつけるのだ……)
「あら……貴方がまだ雛だった頃から育てて来た貴方の”親”である私の”ささやかなお願い”に文句を言うなんて……貴方の幼い頃の話とか貴方にとって知られたら”色々と不味い話”をこの場にいる皆さんに教えて欲しいのかしら?」
(なっ!?―――私が悪かった!頼むからそれだけはやめてくれ!)
レグナートの背に乗っていたエイドスが跳躍してリィン達の前に着地して説明し、更に文句を言うレグナートに膨大な威圧を纏って微笑みながらレグナートを焦らせ、その様子を見守っていたリィン達は大量の冷や汗をかいて表情を引き攣らせた。
「フッ、さすがに”空の女神”が相手では”古代竜”も形無しだな。」
「御愁傷様です、レグナートさん……」
「というか”空の女神”が”古代竜”を育てたなんて、七耀教会にとっては驚愕の事実だと思うのだけど……」
レーヴェは静かな笑みを浮かべ、ツーヤはレグナートに同情し、プリネは疲れた表情をし
「アハハ、そう言えばエイドスっていっぱい凄い武具や装飾品を持っていたよね~。」
「それを材料にするって事だね。……”在庫処分”って所が微妙に嫌だけど。」
無邪気な笑顔を浮かべるミリアムに続くようにフィーはジト目で呟いた。
「え、えっと……あの人が女神様なんだよね?何だか想像していた女神様と違うような気がするんだけど……」
「……ええ、非常に残念ながらあれでも”空の女神”ですよ。というかエイドスさん、もしかしてケビンさん達に黙ってこっちに来たのですか?」
冷や汗をかいているティータに尋ねられたティオは疲れた表情で答えた後ジト目でエイドスに尋ね
「あ、大丈夫ですよ。ちゃんと少し出かけてくると言いましたから。」
(正確に言えば女神の両親たちに七耀教会の騎士達への伝言を伝え、両親達の制止の言葉も無視してこちらに来たのだがな。)
エイドスの答えの後に呆れた様子で答えたレグナートの話を聞いたその場にいる多くの者達は冷や汗をかいて表情を引き攣らせた。
「それって黙って抜け出したんじゃ………」
「……どこかの誰かさんと一緒ね。」
「ぬぐっ………!何故そこで余を見るのじゃ!?」
「クスクス……一応自覚はなさっているのですね。」
「恐れながら意見をさせて頂きますが、見聞を広める事は結構ですがそろそろ殿下も少しはお立場を考えて行動して頂きたい所存です。」
「フフッ、相変わらずお茶目な女神だね♪」
「ア、アン………”お茶目”で済まされないと思うんだけど……」
冷や汗をかいたトワが呟いた後にジト目で見つめて来るエリゼにリフィアは焦り、その様子をシグルーンは微笑ましそうに見つめ、ゼルギウスは疲れた表情でリフィアを見つめ、口元に笑みを浮かべるアンゼリカの言葉を聞いたジョルジュは冷や汗をかいて指摘した。
「そ、そんな事よりも材料代わりになる武具や装飾品が必要なのですよね?今、出しますからちょっと待っててください。」
「露骨に逃げたな。」
「”エレボニア存亡会議”の時はまともに見えたが、どうやらこっちが”本性”みたいだな……ハア……こんなのが”空の女神”だなんて、世も末だな。」
「今頃七耀教会では大騒ぎになっているのでしょうね……」
「あの時エイドスと一緒にいた神父の人達も青ざめているかもしれないわね……」
「そりゃ女神が勝手に抜け出したんだから、騒がない方がおかしいだろ……まあ、アインやあのワジって”守護騎士”辺りは今の状況を面白がっているだろうがな。」
露骨に話を逸らしたエイドスにユーシスは呆れ、クロウは疲れた表情で呟き、苦笑しているセレーネとゲルドの言葉にトヴァルは疲れた表情で頷いた。
「フフッ……材料で思い出したが”空の女神”であるエイドスさんならゼムリアストーンをたくさん持っている可能性がある話を以前していたな。」
「そ、そう言えばそんな事もあったな。」
「”外の理”で創られた魔剣を持っているエイドスさんなら、ゼムリアストーンの大結晶も間違いなく持っているでしょうね……」
苦笑するガイウスの言葉を聞いたマキアスとエマは冷や汗をかいて呟いてエイドスを見つめ
「”ゼムリアストーン”……?あの、どうして私が”あんな石ころ”を大量に持っていると思ったのですか?」
異空間から様々な武具を取りだそうとしたエイドスは首を傾げてリィン達を見つめて尋ね、エイドスの発言を聞いたリィン達は大量の冷や汗をかいて表情を引き攣らせた。
「ゼ、”ゼムリアストーン”が”石ころ”扱い……ですか………?」
「その”石ころ”を集める為にボク達、滅茶苦茶苦労したんだよ~!?」
「いい加減貴様はもう少し遠回しな言い方はできんのか!?」
「ア、アンタね……!そりゃアンタやアンタの時代からしたら”ゼムリアストーン”ですらもありふれた鉱石で”石ころ”扱いかもしれないけど、今の時代ではとてつもない貴重品なのよ!?」
「ま、まあまあ……皆さんのお気持ちはわかりますが、今は落ち着いて下さい。」
我に返ったエリスは表情を引き攣らせ、ミリアムとユーシス、セリーヌはそれぞれ疲れた表情で指摘し、その様子を見たクレア大尉は苦笑しながら諌めた。
「はあ……そう言われても確かゼムリアストーンって七耀脈が結晶化したものでしょう?こうやって少し集中すれば…………―――はい、ゼムリアストーンのできあがりです♪ね?こんな簡単にできるんですから”石ころ”でしょう?」
一方エイドスは戸惑いの表情で答えた後片手を前に出してその場で集中し、僅か数秒でゼムリアストーンの大結晶を具現化させ、リィン達に微笑んだ。
「……………………」
「ゼ、ゼムリアストーンの大結晶をこの場で……しかも僅か数秒で具現化させるなんて……!」
「幾ら”空の女神”とはいえドチート過ぎだろ、オイ……」
「まあ、”ゼムリア大陸自身”に愛されていると言っても過言ではない”空の女神”だからこそできる”奇蹟”ね。」
「そうね。七耀脈に愛され、直接祝福を受ける事ができるあの女だからこそできる芸当よ……」
ゼムリアストーンの大結晶を見たリィンは口をパクパクさせ、エマは信じられない表情をし、クロウは疲れた表情をし、苦笑しているクロチルダの言葉にセリーヌは疲れた表情で頷いた。
(やれやれ、そのような非常識な真似ができるのはお前だけだと何度言えばわかるのだ?)
(七耀石の結晶を創りだす貴方も十分非常識だと思うのですが……)
「フフ、エイドスの”眷属”も非常識だと思っているようね。」
「あのゼムリア一フリーダムと言ってもおかしくないハチャメチャ女神の仲間だった人物達はさぞ苦労したでしょうね……」
「―――まさに”女神の奇蹟”と言った所か。」
「フフ、言われてみればそうね。」
呆れた様子でいるレグナートの念話を聞いたツーヤは心の中で指摘し、ゲルドは苦笑し、サラ教官は疲れた表情をし、ゼルギウスの言葉にシグルーンは頷き
「ハハ、さすがは”空の女神”だなぁ。俺もゼムリアストーンのレシピは開発したけど、鉱石としての純度は完全に向こうが上だよ。」
「あの。ゼムリアストーンのレシピを開発するウィルさんもエステルさんの職人版といってもおかしくない”人外”かつチートな存在なのですが。」
「ア、アハハ……」
「た、確かにウィル様はゼムリアストーンを始めとした現代では貴重な鉱石のレシピを開発したのですから、ウィル様の技術力は神がかっていると言ってもおかしくありませんね……」
「というか”神格者”になった時点で、”人間”を止めていますけどね……」
結晶を見つめて呟いたウィルにティオはジト目で指摘し、ティオの言葉に反論できないティータとシュリ、プリネはそれぞれ苦笑していた。一方ウィルのとんでもない発言を聞いたリィン達は再び大量の冷や汗をかいて表情を引き攣らせた!
「ゼ、”ゼムリアストーンのレシピ”って……まさかゼムリアストーンを人工的に創りだせるんですか!?」
ウィルが呟いた言葉が気になったジョルジュは信じられない表情でウィルを見つめ
「ええ。先程エイドス様が仰ったように”ゼムリアストーン”は七耀脈が結晶化したもの……ですから各属性のセピスを塊にしてからそれら全てを合成させれば人工的に創りだせますよ。」
「まあ加工が結構難しいから現在は上級の工匠でないと無理だから、もっと簡単な加工方法を見つけるのが今後の課題かな。」
「フフ、下級の工匠達の為に簡単な加工方法を考えるのもウィルらしいですね。」
ジョルジュの疑問にエリナは答え、考え込んでいるウィルの言葉を聞いたセラウィは微笑み、エリナの答えやウィルが考えている凄まじさを知ったリィン達は冷や汗をかいて表情を引き攣らせた。
「ア、アハハ……ゼムリアストーンを人工的に創り出すなんて考えた事もなかったね……」
「というか普通は思いつかないわよ、そんな非常識過ぎる事。」
「フフ、さすがは凄まじい”風”が込められた武具を創ったウィルさんだな。」
「ううっ、”精霊窟”での僕達の今までの苦労は一体何だったんだ……?」
「マキアス………虚しくなってくるからそれは言わないでよ……」
「何かわたし達がやって来た事を全否定されるみたいに感じて、あの二人を思いっきり蹴飛ばしたくなるね。」
「それボクも思った~!」
「落ち着け、フィー、ミリアム。気持ちはわかるがそれは八つ当たりだぞ。」
「うふふ、できれば後でわたくし達もご教授願いたいですわね♪」
「シャロン……貴女ね……」
トワは苦笑し、セリーヌは疲れた表情で指摘し、ガイウスは静かな笑みを浮かべ、マキアスとエリオットはそれぞれ疲れた表情で肩を落とし、ジト目で頬を膨らませているミリアムと共にウィルとエイドスを見つめるフィーの発言を聞いたラウラは冷や汗をかいて指摘し、シャロンの言葉を聞いたアリサは呆れた表情をしていた。
「な、何だかゼムリアストーンの価値が急激に下がったような気がするのは気のせいでしょうか……?」
「ハハ、エリス君。あの二人が”特別”なだけだからそんなに気にする必要はないよ。」
「うふふ、さすがはお兄様のお知り合いだけあって、どの方達も凄まじい方達ですわね♪」
「何でエステルが関われば、こんな”規格外”な連中が次から次へと現れるんだよ……?」
「言われてみればそうね………というかよく考えたら”嵐の剣神”や”英雄王”達もみんな、あの娘が関わっているわね………まさか、あのハチャメチャ女神による”女神の巡り会わせ”ってやつかしら?」
「サ、サラさん。その推測、冗談になっていませんわよ………?」
「エステルさんはその”女神”の子孫ですからね………」
「ゼムリアストーンを創る”空の女神”や”匠王”も非常識だが、そんな非常識な存在ばかりと必ず関わりがあってもおかしくない”ブレイサーロード”は双界一の非常識と言ってもおかしくないな。」
疲れた表情をしているエリスにオリヴァルト皇子は苦笑しながら指摘し、アルフィンは微笑み、疲れた表情で肩を落としたトヴァルの言葉に頷いた後呟いたサラ教官の疑問を聞いたセレーネは表情を引き攣らせ、クレア大尉は苦笑し、ユーシスは呆れた表情で呟き
「フフ、それを言ったら最高位の異種族と契約していて、多くの女の子達と付き合っているリィンも”規格外”よね?」
「ハハ……」
ゲルドに微笑まれたリィンは冷や汗をかいて苦笑していた。
「ねえねえ~、それよりそろそろ始めようよ~!あたし達、早く作りたくてすっごくうずうずしているんだから!」
「もう、この娘ったら……まあ、”工匠”として貴女の気持ちはわかるけどね。」
シャマーラの申し出を聞いたセティは呆れた後苦笑し
「あ、あのあの……えっと、お二人がリィンさんとエリゼさん、ですよね?」
「?はい。」
「俺達に何か用かい?」
ティータに話しかけられたエリゼは頷き、リィンは尋ねた。
「えとえと……後で”騎神”と”神機”を見せてくれませんか!?リフィアさん達に話を聞いた時からすっごく興味があったんです!」
「うふふ、ティータったら、相変わらず重度の機械マニアね♪」
「人形兵器に興味を持ち、あまつさえその技術を応用しようとするとか物騒すぎるマニアだと思うのですが……」
目を輝かせているティータをレンは微笑ましそうに見つめ、ティオはジト目で指摘した。
「ハハ……まあ、そのくらいなら別にいいよ。エリゼもいいよな?」
「ええ。」
「ほ、ほんとーですか!?えへへ……ありがとうございます!」
リィンとエリゼの答えを聞いたティータは嬉しそうな表情で頭を下げた。
「そう言えば気になっていたが……一体どこで武具を創るつもりなのだ?学院やカレイジャスでの施設では満足に創れないと思うが……」
「そうかな?ウィル達ならどこでも創りそうだけど。」
「エ、エヴリーヌさん……それ、冗談になっていませんよ?」
「ア、アハハ……実際施設も満足になかった”影の国”で工房を創り上げたものね……」
レーヴェの疑問に指摘したエヴリーヌの言葉を聞いたツーヤは疲れた表情をし、プリネは苦笑していた。
「フフ、”工房”については私やウィル達が”パンダグリュエル”の施設を少し改装して”工房”を創り上げましたから心配ありませんよ。」
「ええっ!?パ、”パンダグリュエル”に工房があるんですか!?」
「まあ、”パンダグリュエル”自体、元々豊富な施設があったから可能でしょうね……」
セラウィの話を聞いたエリオットは驚き、クロチルダは苦笑していた。
「さてと……―――話は色々と逸れたが”Ⅶ組”や協力者達、そしてゼルギウスとシグルーン、エリゼの武具の作成を頼むぞ、ウィル!」
「了解。”影の国”の時と同じ……いや、今回はセティ達もいるし、材料もエイドスの提供によって豊富にあるからあの時以上の武具が作れるように目指すよ!」
「フフ、ウィルならきっとできますよ。」
「またご指導の方、よろしくお願いします。」
リフィアの依頼にウィルは力強く頷き、その様子をセラウィは微笑ましく見守り、シュリはウィルを見つめて会釈をした。
「シャマーラ、エリナ。ここが私達の腕の見せ所ですよ。」
「うん!”匠貴”が三人もいるんだから、”影の国”で父さん達が創った武具以上の品に仕上げないとね!」
「”工匠”として腕が鳴りますね。」
セティの言葉にシャマーラとエリナはそれぞれ力強く頷き
「うふふ、リトルレディ達によるパーフェクトアシスタンツの結成、再びね♪」
「えへへ……頑張ろうね、レンちゃん、ティオちゃん!」
「ふう……めんどくさいですけど了解です。とっとと終わらせてしまいましょう。」
幼いながらも様々な方面で”才”のある三人――――レン、ティータ、ティオはそれぞれの手でハイタッチをして士気を高めた。
「あ、あの!お願いがあります!」
「ジョルジュ君……?」
その時真剣な表情をしたジョルジュが申し出、ジョルジュの様子をトワは不思議そうな表情で見つめていた。
「どうか僕もみんなの武具創りに手伝わさせてください!決戦に挑むみんなを見守ることしかできない僕もⅦ組のみんなの為に何かしてあげたいんです!最初はリィン君達の武器の強化を考えていましたけど……悔しいですけど、ディオン卿が創った凄まじい効果を秘めた武具の強化は僕の腕では無理だったんです……それに僕にもっと技術力があれば、”ゼムリアストーンの太刀”の完成も早くなり、リィン君とクロウの”約束”を叶えられていたかもしれないと今でも思っているんです……」
「先輩…………」
「………………」
「あれは別にお前のせいじゃねぇよ。あの爺さんにオルディーネを預けた俺やヴィータが一番責任がある。―――ま、自業自得って事だ。」
「……そうね。」
ジョルジュの話を聞いたリィンは辛そうな表情をし、エリゼは複雑そうな表情で黙り込み、静かな表情で語ったクロウの言葉にクロチルダは頷いた。
「先程の話や作業着を着ている事といい、君はもしかして技術者かい?」
「はい。以前シュミット博士に少しだけ師事して頂いた事もあります。」
「ふえっ!?確かシュミット博士って……!」
「ラッセル博士のエレボニア版と言ってもおかしくないゼムリア大陸の中でもトップクラスの導力技術を持っている人ですね。」
ウィルの質問にジョルジュは静かに頷いて答え、ジョルジュの答えを聞いたティータは驚き、ティオは真剣な表情でジョルジュを見つめた。
「俺達は導力技術だけでなく、他の様々な技術を使って武具を創っている。それこそ君にとっては専門外と言ってもおかしくない技術も勿論使っている。……というかむしろ正直導力技術を使っている部分が少ないと思うよ。だから導力技術者である君にとってはあまり参考にならないと思うんだけど……」
「それでもいいんです!リィン君達の為に僕も何かしたいんです!―――お願いします!」
「ジョルジュ…………」
ウィルを見つめて頭を深く下げて嘆願するジョルジュの様子をアンゼリカは目を丸くして見つめていた。
「…………わかった。同じ技術者として君の気持ちは痛いくらいわかるし、今は猫の手も借りたい程だ。今回は急ぎで創るから君に教えられる事は少ないかもしれないけど、それでもいいならいいよ。」
「あ、ありがとうございます……!」
「えへへ、よかったね、ジョルジュ君……」
「うふふ、僭越ながらわたくしも助力致しますわ。何かあれば是非お申し付け下さい♪」
「この女の事だから手伝いながら”匠王”達の技術をちゃっかり盗むんじゃないかしら?」
「ううっ、シャロンなら本当にやりかねないから冗談になっていませんよ……」
「ま、まあまあ……”ラインフォルトグループ”にとってもメリットになるでしょうから、あまり気にしない方がいいと思いますよ?」
ウィルの返事を聞いて明るい表情をしているジョルジュを見たトワは嬉しそうな表情をし、シャロンの申し出を聞いてシャロンの行動を推測したサラ教官の話を聞いたアリサは疲れた表情をし、クレア大尉は苦笑しながらアリサを諌めていた。
こうして……リィン達の武具はエイドスが提供した材料とそれらを使ったウィルを始めとした様々な才ある者達によって強化された。
そして全ての準備が整い、オズボーンとの決戦に向かう前日の夜リィンは士官学院を見回っていた…………
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