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英雄伝説~運命が改変された少年の行く道~(閃Ⅱ篇)

作者:sorano
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第229話

~トリスタ・郊外~



「大きい船ね……」

「ええっ!?あ、あの戦艦は……!」

「貴族連合の旗艦であった”パンダグリュエル”……!」

「おいおいおい……!普通、戦争で負かした相手の国から奪った戦艦で来るか?」

”パンダグリュエル”を見たゲルドは呆け、アルフィンとユーシスは声をあげ、トヴァルは疲れた表情で呟き

「フフ、バルヘイム宮を”グロリアス”で爆撃させた事といいメンフィルは皮肉な事をするのが随分と好きなのね?」

「ったく、趣味が悪いにも程があるぞ。」

クロチルダは口元に笑みを浮かべてプリネ達を見つめ、クロウは呆れた表情で溜息を吐いた。



「ア、アハハ……」

「え、えっと………すみません……」

「ハア………もう、リフィアったら……」

「言っておくが”パンダグリュエル”で来る事は俺達も知らされてないぞ。」

「エヴリーヌ達にそんな事を言われても知らないし。」

クロチルダの言葉に対し、プリネは苦笑し、ツーヤとエリゼは疲れた表情をし、レーヴェとエヴリーヌはそれぞれ反論した。そして”パンダグリュエル”は着地し、少しするとリフィア達がリィン達に近づいてきた。



「―――待たせたな!」

「リフィア。本当に陛下達を説得して来たのでしょうね?」

「リフィアだと、黙って来た可能性も高いしね。キャハッ♪」

ジト目でリフィアを見つめるエリゼの言葉に続くようにエヴリーヌは無邪気な笑顔を浮かべ

「さ、さすがに今回ばかりはそれはありえないと思いますよ……?」

「そ、そうね。戦艦まで使えば幾ら何でもお父様達の耳に入るしね。」

ツーヤとプリネはそれぞれ冷や汗をかいていた。



「心外な。幾ら余でもそこまで非常識ではないぞ。」

「クスクス。殿下の普段の行動を考えればお二人が疑いになるのも仕方ありませんわよ。」

呆れた表情をしているリフィアにシグルーンは微笑みながら指摘し

「――お前達。リウイ陛下やリフィア殿下に感謝するといい。陛下達はお前達の為にわざわざディオン卿達をこの場にお呼びしたのだからな。」

「”ディオン卿”……?」

「ディ、”ディオン卿”ってまさか……!」

「まさかウィル君がここに来ているのかい?」

ゼルギウスの言葉を聞いたアルフィンが首を傾げている中既に察しがついたアリサは信じられない表情をし、オリヴァルト皇子は目を丸くして尋ねた。

「―――ああ。久しぶりだね、みんな。」

するとその時ウィル、セラウィ、セティ、シャマーラ、エリナが近づいてきた。



「ディオン卿……!それにセラウィ様も……!―――お久しぶりです。」

「ハハ、その”ディオン卿”って言うのは止めて欲しいんだけどな……」

「フフ、でもウィルは”領主”ですからそう呼ばれても仕方ないですよ。」

驚いているリィンの自分に対する呼び方を聞いて苦笑しているウィルにセラウィは微笑みながら指摘した。

「?あの人は確か……」

「以前わざわざ私達を訪ねて依頼してくれたお客様ですね。名前は確か……」

一方クレア大尉に気付いたエリナは目を丸くし、セティは考え込みながら呟き

「あ――――ッ!お久しぶりです、クレアさん!」

「へっ……」

「ほえっ!?クレアって、”匠王”の子供達と知り合いだったの!?」

クレア大尉を見つめて声を上げたシャマーラの言葉を聞いたマキアスは呆け、ミリアムは信じられない表情でクレア大尉を見つめた。



「フフ、彼女達の情報を知った時にクロスベルに出向いて彼女達に私が持っているデバイス―――”ミラーデバイス”を改造した特殊デバイスを依頼をしただけです。そのお蔭で”空の女神”の”試練”を乗り越える事ができたといっても過言ではありませんね。」

「ええっ!?め、女神様の”試練”って……!」

「……なるほどね。そう言えば”千の腕”と戦った時にいつもとは違う特殊デバイスを使っていたわね……ったく、相変わらず油断できない女ね。」

クレア大尉の説明を聞いたエリオットが驚いている中、ある事を察したサラ教官は呆れた表情で呟き

「えっと……先程から気になっているのですが、そちらの方達がウィルフレド様のご息女だとの事ですが……」

エマはセティ達に視線を向けた。



「初めまして!あたしはシャマーラ・ディオン!よろしくね♪」

「ユイドラ領主ウィルフレド・ディオンの娘の一人、エリナ・ディオンと申します。以後お見知り置きをお願いします。」

「二人の姉のセルヴァンティティ・ディオンです。皆さんからは”セティ”と呼ばれていますので、今後私の事は”セティ”と呼んで下さい。皆さんの事はロイドさん達から聞いていたのですが……フフ、まさかこうして会う日が来るとは思いませんでした。」

「え……”特務支援課”の方達が兄様達の事をですか?」

「もしかしてその”特務支援課”の人達と知り合いなの?」

セティ達の自己紹介を聞いたエリスは目を丸くし、ゲルドは不思議そうな表情で尋ねた。



「フフ、知っているも何も彼女達も”特務支援課”に所属していたのですよ。」

「ええっ!?」

「彼女達も”特務支援課”に……」

「……それでその”特務支援課”にいた”匠王”の娘達がどうして今ここにいるの?」

クレア大尉の説明を聞いたアリサは驚き、ラウラは興味ありげな様子でセティ達を見つめ、フィーは不思議そうな表情で尋ねた。



「私達はお父様を手伝って皆さんの武具の強化や作成の為に来たんです。」

「え……ではウィルフレド様や皆様がわたくし達の武器の改造の為にわざわざこちらまでいらっしゃったのですか……!?」

セティの話を聞いて何かを察したセレーネは信じられない表情でウィルたちを見つめた。するとその時

「うふふ、ウィルお兄さん達だけじゃなく、レン達もよ♪」

レンがティオ、シュリ、そして赤い作業着を身に纏っている少女と共にウィルたちの背後から現れた。



「なっ!?レン姫に”特務支援課”のティオさんまで!?」

「貴女は確か……シュリ殿!」

「おや、君は…………」

レン達の登場にリィンとラウラは驚き、少女に気付いたオリヴァルト皇子は目を丸くした。

「―――お久しぶりです、皆様。オリヴァルト皇子殿下やプリネ姫達もご壮健そうで何よりです。」

「えへへ……お久しぶりです、オリビエさん、レーヴェさん、プリネさん!ツーヤちゃんも元気そうで本当によかったよ……エレボニアとメンフィルが戦争状態になったって聞いて、わたし、凄く心配したんだから……」

シュリの会釈の後に少女は無邪気な笑顔を浮かべた後安堵の表情をし

「フフ、心配してくれてありがとう、ティータちゃん。」

「というかどうしてティータさんもそうだけどティオさんも一緒にこちらに来たのですか?」

少女の言葉にツーヤは嬉しそうな表情をし、プリネは不思議そうな表情で尋ねた。



「余が頼んだのじゃ。お主達の武器を完璧にするためにはかつてのメンバーを集めるべきだと思ってな!」

「ぼ、僕達の武器を完璧にする為って……」

「ちょっとリフィア?話が見えないのだけど?というかラッセル博士達にちゃんと許可は取っているのでしょうね?」

リフィアの話を聞いたエリオットは戸惑い、エリゼはジト目でリフィアを見つめた。

「”ラッセル博士”……?確かその名前は――――」

「え……”ラッセル博士”って……まさか”導力革命の父”と称されているリベールのアルバート・ラッセル博士の事!?」

「ええ。そしてそちらの方はそのラッセル博士の孫娘に当たるティータ・ラッセル様ですわ。」

エリゼの言葉が気になったガイウスが答えかけたその時、アリサは信じられない表情で声をあげ、シャロンは頷いて少女―――ティータを見つめた。



「えとえと……ティータ・ラッセルです!よろしくお願いします!」

「”導力革命の父”と称されているあのラッセル博士の孫娘だと!?」

「な、何でそんな人物がエレボニアに……」

ティータの正体を知ったユーシスは驚き、マキアスは疲れた表情で呟き

「フフ、久しぶりだね、ティータ君♪」

「ふえ……?あ……っ!アンゼリカさんもお久しぶりです。えへへ、エレボニアが内戦やメンフィルとクロスベルとの戦争で大変だって話は聞いていましたけど、アンゼリカさんも無事で本当によかったです!」

アンゼリカは酔いしれた様子でティータに近づいた後その場で跪いてティータを抱きしめてティータの頬と自身の頬をすりすりした。



「う~ん、あのトワと並ぶ程のその無邪気な笑顔には本当に癒されるよ♪」

「はわわわわわっ!」

「また、ゼリカの悪い癖が始まったぜ……」

「もう、アンちゃんってば……」

「ハハ……」

「…………アネラスさんやエオリアさんに続く”危険人物”ですね。」

「うふふ、アンゼリカお姉さんの趣味は正確に言えばあの二人とは違うけど、面白い人である事には違いないわよ♪」

ティータを抱きしめて満悦している状態のアンゼリカを見たクロウとトワは呆れ、ジョルジュは苦笑し、ティオはジト目になり、レンはからかいの表情になり、その様子をリィン達は冷や汗をかいて脱力した様子で見守っていた。

「フフ……ちなみにあの娘もああ見えて、”リベールの異変”時を解決した立役者の一人で”影の国”の修羅場も潜り抜けているから見た目に反して、結構”できる”と思うわよ。」

「ええっ!?」

「ほう……という事は彼女もプリネ達やオリヴァルト殿下の”戦友”でもあるのか。」

「……あ。だからプリネ達と知り合い同士なんだ。」

クロチルダの話を聞いたアリサは驚き、ラウラは興味ありげな様子で見つめ、フィーは納得した様子で呟いた。



「うふふ、貴女がお兄様の話にあったティータさんですか……初めまして♪リベールでは兄のお世話をして頂き、ありがとうございます♪」

「ふえ……?え、えとえと……誰ですか?」

アルフィンに挨拶をされたティータは不思議そうな表情をし

「……そちらの方はオリヴァルト皇子の妹のアルフィン皇女ですよ、ティータさん。」

「ふえ?オリビエさんの……?……………………ふええええええええっ!?オリビエさんの妹という事は、エレボニアの皇女様ですか~!?」

ティオからアルフィンの正体を教えられると慌て始めた。



「うふふ、それは過去のわたくしで、今のわたくしの正式な立場は”ただの新妻”ですわ♪」

「アルフィン義姉様……」

「ふえ?皇女様が”ただの新妻”……?……???」

アルフィンの答えを聞いたエリスは呆れ、ティータは不思議そうな表情で可愛らしく首を傾げて考え込んでいた。

「フフッ、ティータ君のその可愛い所も相変わらずだね♪それよりもリフィア殿下。先程彼らの為にウィル君達をこの場に連れて来たと言っていたが………まさかリィン君達にも私達のようにかつて”影の国”でウィル君達によって創られた凄まじい効果を秘めた武具を与える為かい?」

「うむ!双界の命運をかけた決戦に挑むのじゃから、相応の装備も必要と思い、ウィルたちを呼び集めたのじゃ!」

「なっ!?それじゃあディオン卿達がこちらに来たのは俺達の装備を強化する為だったのですか!?」

オリヴァルト皇子の疑問に答えたリフィアの話を聞いたリィンは信じられない表情でウィルたちを見つめた。



「ああ、そうだよ。双界の命運をかけた決戦に挑むみんなの為に俺も”工匠”として全力で協力する為に来たんだ。」

「ちなみにあたし達はロイドさん達―――”特務支援課”の人達と一緒に”真・煌魔城”に突入するメンバーだよ!」

ウィルの後にシャマーラは答え

「……わたしは正直パスしたかったのですがね。めんどくさいですし、それにセティさん達がいるのですからわたしは必要ないと思うのですが。」

「ティ、ティオさん。」

ジト目で答えたティオの答えを聞いたエリナは冷や汗をかき、エリナに続くようにその場にいる多くの者達は冷や汗をかいて脱力した。

「ちなみにエリゼの分もじゃが、当然ゼルギウスとシグルーンの分も創って欲しいと依頼しておいたぞ!」

「フウ……それならそうと前もって言ってよ。」

「―――私達の為にありがとうございます、殿下。」

「フフ、一体どれほどの素晴らしい武具になるのでしょうね。」

リフィアの説明を聞いたエリゼは溜息を吐いた後苦笑し、ゼルギウスはその場で会釈し、シグルーンは微笑んでいた。



「うふふ、”匠王”であるウィルフレド様やそのご息女の方々に加えてそれぞれの方面に関して”才”がある方々が創る武具なのですから、歴史に残ってもおかしくない素晴らしい武具ができあがるでしょうね♪」

「価値にしたら、最低でも数千万ミラは降らないでしょうね……」

シャロンは微笑み、アリサは表情を引き攣らせ

「それにしてもよくラッセル博士の孫娘まで連れて来れましたね……技術漏洩等の関係でラッセル博士達やリベールから何も言われなかったのですか?」

サラ教官は驚きの表情でティータを見つめながら呟いた。

「ん?リベールとラッセル博士達にはティータを数日借りる代わりに”機甲兵”の技術提供をする事を条件に出したら簡単に許可したぞ。」

「ええっ!?という事は……!」

「リベールも”機甲兵”を手に入れたも同然という事になるな。」

「ううっ、複雑な気分よ……これってどう考えてもラインフォルトグループの技術漏洩じゃない……」

「そんな事をしていたのですか、リフィアお姉様……」

「ハア……」

リフィアの答えを聞いたエリオットは驚き、ユーシスは真剣な表情で呟き、アリサは疲れた表情をし、プリネとエリゼは呆れた表情をしていた。



「……あの。一つ気になる事があるんですけど”材料”はどうするんですか?幾ら技術力が凄い人達が集まっても肝心の材料がないと凄い武具は作れないと思うのですが……」

そしてジョルジュがリフィア達に自身の疑問を口にしたその時その場にいる全員の頭にある人物の声が聞こえて来た。



フフ、”材料”は私が提供するのでご安心ください。



「ふえっ!?い、今のなんなの~!?」

「オルディーネに”選ばれた”時のように頭に声が響いてきたが……」

念話を受け取ったトワは混乱し、クロウは戸惑い

「―――念話ね。しかもアンタ達にとって聞き覚えのある声ね。」

「あ、ああ……今の声は間違いなく―――」

疲れた表情をしているセリーヌの言葉に頷いたリィンが答えかけたその時、何かの咆哮が聞こえ、その咆哮を聞いて首を傾げたリィン達が空を見上げると何と巨大な竜が上空に滞空していた! 
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