英雄伝説~運命が改変された少年の行く道~(閃Ⅱ篇)
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第221話
同日、24:30――――
~バリアハート・クロイツェン州統括領主の館・客室~
「フウ……さすがは絶倫の兄様ですね。媚薬の効果もあって、いつもより凄く濃いです……これなら確実に兄様の子を孕んでいるでしょうね……フフ……」
リィンと愛し合った後幸せそうに自身のお腹を優しく撫でていたエリゼは下着や服を着始めた。
「あれ……今夜は俺の部屋に泊まっていかないのか?」
エリゼの行動を見たリィンは不思議そうな表情で尋ねた。
「はい。まだ兄様の”罰”は残っていますので、私は今夜はこれで失礼します。」
「へ。」
エリゼの答えを聞いたリィンが呆けたその時、服や下着を着終えたエリゼが突然リィンの両手に手錠をかけた!
「な…………エ、エエエエ、エリゼ!?何で俺に手錠を……!?」
エリゼの突然の行動にリィンは慌てた様子でエリゼを見つめて問いかけた。
「フフ、実はあの媚薬には副作用があるのですよ。」
「ふ、副作用……?それと今のこの状況とどう関係があるんだ……!?」
「それを答える前に……兄様。あんなにたくさん何度も私の口や体内に出したのに、未だ興奮が抜けきっていない事にお気づきではないのですか?」
「え…………っ!ま、まさか副作用っていうのは……!」
エリゼに問いかけられた後自分の身体の異常にすぐに気付いたリィンは何かを耐えるような表情をしながらエリゼを見つめた。
「兄様のお察しの通り、あの媚薬には大幅な精力の増強と共に副作用として強烈な催淫や興奮の効果があるのです。副作用は遅効性で、効果は4時間で2時間を超えると更に催淫や興奮の効果が高まるとの事です。」
「う……くっ……エリゼ……”罰”って、まさかこの……事か……っ!手錠をしたのは……まさか……!」
「フフ……勿論兄様が御自分を慰めて、少しでも楽になろうとすることを防ぐ為です。―――2時間経てば効果は切れますので、ご安心下さい。後手錠は明日の朝に外しますので申し訳ありませんが今夜はその状態で休んでください。」
苦しんでいるリィンに微笑んだエリゼはその場から去ろうとしたがある事を思い出し、出入口で立ち止まって振り返った。
「―――ベルフェゴール様、リザイラ様、メサイア様、アイドス様、それとアルティナさん。お願いしますから兄様を甘やかして、ベルフェゴール様達が苦しんでいる兄様を楽にしないでくださいね?」
「ちょっ、エ、エリゼ……!?」
(うふふ、わかったわ♪)
(ふふふ、これもご主人様の為ですね。)
(ア、アハハ……今回ばかりは仕方ないですよね……)
(フフッ、私達にも釘を刺すなんて、さすがはエリゼね。)
(……普段不埒な行為をしているマスターには良い薬です。)
エリゼの釘刺しにリィンが慌てている中、ベルフェゴールはからかいの表情をし、リザイラは静かな笑みを浮かべ、メサイアとアイドスは苦笑し、アルティナは静かな表情で呟いた。
「―――それではお休みなさいませ、兄様。」
そしてエリゼは客室から出て行き、その場はリィン一人だけになった。
「う……ぐっ…………ベ、ベルフェゴール……頼む……!」
エリゼが退室した後ベッドの上で苦しんでいるリィンは少しでも楽になる為にベルフェゴールに頼もうとしたが
(ダ~メ♪私は恋する乙女の味方だから、エリゼの頼みを無視する事はできないわ♪)
(ふふふ、先に言っておきますが私達も今夜は奉仕や性行為はしませんよ?)
(そ、その……すみません、リィン様……私も今回ばかりはエリゼ様の味方をしますので、リィン様の頼みに頷く事はできませんわ。)
(勿論私もよ。……その代わりお詫びとして別の日にいつもよりたくさん奉仕をしてあげるから、今晩だけは我慢して。)
(マスターの自業自得です。)
「そ、そんな…………っ……!う……っ……!」
ベルフェゴールどころか、リザイラ達も全員リィンを苦しみから解放する事を良しとせず、リィンはベッドの上で苦しんでいた。
「フフ、愛している男性に対して随分と酷な罰を実行したものね。まあ、ずっと君に恋をしていた彼女の気持ちもわからなくはないけど。」
するとその時クロチルダが転移魔法でその場に現れた!
「ク、クロチルダさん……っ!?一体何故ここに……っ……!」
(あらあら♪ある意味予想していた展開になったわね♪)
(ふふふ、困りましたね。”私達は”今夜はご主人様の苦しみを楽にするなと頼まれましたが、彼女に関しては何も言われていませんね。)
(困っている所か、面白がっているわよね……?)
(というか現れるタイミングがまるで狙ったかのように思えるのですけど……)
(……恐らくクロチルダ様の使い魔越しで状況を見ていたかと。)
クロチルダの登場にリィンが驚いている中、ベルフェゴールと共に興味ありげに見守っているリザイラにアイドスは苦笑しながら指摘し、表情を引き攣らせているメサイアの念話を聞いたアルティナは疲れた表情で自身の推測を口にした。するとその時クロチルダはその場で身に纏っている服を脱ぎ、大人の色気をさらけ出す漆黒のレースの下着だけの姿になった。
「ええっ!?ク、クロチルダさん………!?一体何を……!今はかなり不味いので離れてください……!両手は塞がってますけど……その……っ!」
「ユミルの時のように何らかの衝動で”鬼”の力を解放してその手錠を無理矢理破壊して、私を犯すかもしれないって、言いたいのかしら?」
「……っ!」
自身の忠告の続きをクロチルダに言われたリィンは反論する事なく、必死にクロチルダから視線を逸らしていた。
「安心して……私は君に犯される為に来たから、むしろ望む所よ。」
「なっ!?正気ですか、クロチルダさ――――んんっ!?」
クロチルダの口から出た予想外の答えにリィンが驚いた瞬間、クロチルダは自身の唇をリィンの唇に押し付けてリィンに答えを言わせなかった。
「な、ななななななっ!?」
「フフッ……私の命を救ってくれたお礼と後は今までのお詫びの分も含めてまずはたくさん奉仕をして君の苦しみを少しでも楽にしてあげるわね、リィン君…………」
「うくっ!?」
(うふふ、邪魔者が入らないようにまた結界を展開しないとね♪)
その後リィンはクロチルダの奉仕を受けた後クロチルダによって手錠が外され、手錠が外れたリィンはクロチルダの純潔を奪った後自分の気が済むまで何度もクロチルダを犯した。
「―――すみませんでした、クロチルダさん!」
”行為”を終えて寝間着に着替えたリィンは自分のベッドで裸で寝転んでいるクロチルダに土下座をして頭を下げた。
「?どうして謝るのかしら?私にとっては素敵な初体験だったわよ?」
リィンの行動の意味がわからないクロチルダは不思議そうな表情で首を傾げて問いかけた。
「その……暴走してクロチルダさんにあんなとんでもない事をしてしまって………」
「私は君に純潔を奪われた事や犯された事は全く後悔していないわ。勿論たくさん中に出された事もね。フフッ、まさか私が母親になる時が来るとはね……」
「う”っ。」
嬉しそうな表情でお腹を撫でているクロチルダの言葉を聞いたリィンはエリゼが自分に飲むように指示した媚薬の効果を思い出し、大量の冷や汗をかき始めた。
「リィン君、私を孕ませたからと言って責任を取って、私まで貴方の妻にする必要はないわよ。」
「へ…………」
しかしクロチルダの口から出た意外な言葉を聞くと呆けた表情をし
「私は愛人で構わないわ。……もしそれが嫌ならセックスフレンドでもいいわよ?リィン君が望めばいつでも君の性欲のはけ口になってあげるわ。勿論私とセックスをする時は避妊なんて考えず、存分に中に出していいわよ。」
「……………………」
クロチルダの言葉を聞いたリィンは一瞬固まったがすぐに我に返って首を何度もブンブンと横に振って答えた。
「そんな……!クロチルダさんをそんな酷い扱いになんてできません!」
「いいのよ、私は……今まで散々君達に酷い事をしたのだから、私には君と結ばれる権利なんてないわ。私が愛している男性である君に私の身体を求められ、その過程によって君の子供を孕み、そしてその子を産んでその子の母親になれる……それだけで私は幸せよ。」
一瞬寂しげな笑みを浮かべたクロチルダはすぐに今まで誰にも見せた事のないような優しげな微笑みを浮かべた。
「どうしてそこまで俺の事を…………」
クロチルダの答えを聞いたリィンは呆然とした様子でクロチルダを見つめた。
「フフッ、大切な妹を誘拐した私を助ける為に色々動いてくれた事に心を打たれてね……そしてクロウだけでなく私まで仲間にする為に繰り広げたエリゼとの激闘…………あの戦いを見て、エレボニア存亡会議で私の命を救ってくれた事で芽生えた君への思いが更に大きくなって、私は完全に君の虜になってしまったわ。」
「クロチルダさん…………」
「君に恋をすると共に自分を恥じたわ……大切な家族を誘拐した憎き敵の命を救う為にあそこましてくれた優しい君やエマ達を結社の”幻焔計画”の為に利用した事をね…………―――だから私には幸せになる権利なんてないわ。」
「………………確かにクロチルダさんは罪を犯しました。ですがだからと言って犯罪者にも幸せになる権利がないなんて事はありえません。」
「え…………」
寂しげな笑みを浮かべていたクロチルダはリィンの言葉を聞くと呆けた表情をした。
「―――ヨシュアさんにレオンハルト教官。二人は”結社”の”執行者”でしたが、それぞれ幸せに生きています。」
「……あの二人は”ハーメル”の件がある上、”漆黒の牙”は”教授”の操り人形のようなものだったからむしろ幸せになるべき存在よ。自分の欲の為に禁忌を破って里を飛び出して”結社”に身を置いた私とは違うわ。」
「――では、シャロンさんはどうですか?」
「それは………………って、まさか”死線”が自分の過去を君に話したの!?」
かつてのシャロンを思い出したクロチルダは黙り込んだがある事に気付き、血相を変えた。
「いえ。シャロンさんがイリーナ会長にヘッドハンティングされた話くらいしかしりませんし、シャロンさんの過去は俺が聞くより先にアリサが聞くべきですから聞くつもりはありません。―――ですが、俺には”ラインフォルト家”のメイドとして働く事やイリーナ会長やアリサに仕える事が”今のシャロンさんにとっての幸せ”です。」
「……………………」
「それに……その、テロリストであったスカーレットも罪を償って俺の所に戻って来た時、彼女も幸せにするつもりです。」
「ええっ!?スカーレットって、まさか”帝国解放戦線”の!?まさか彼女も惚れさせたの!?」
リィンの口から出た予想外の人物の名前を聞いて驚いたクロチルダは信じられない表情でリィンを見つめた。
「え、えっと……色々と複雑な事情がありまして。それと…………―――アルティナ!」
クロチルダの問いかけを誤魔化したリィンはアルティナを召喚した。
「え……あ、貴女はアルティナ!?”聖魔皇女”に討ち取られた貴女がどうして…………しかもこの”気配”は死者……!?まさか貴女も”鉄血宰相”のように亡霊と化したの!?」
「はい。―――お久しぶりです、クロチルダ様。経緯は諸事情で省きますが、今の私はマスター―――リィン様の使い魔としてマスターにお仕えしています。」
アルティナは自分の登場に驚いているクロチルダを見つめながら淡々と答えた。
「アルティナはクロチルダさんも知っての通りエリスとアルフィンを誘拐し、クロチルダさん達同様内戦の裏で様々な暗躍をしていました。―――でも俺はアルティナを生涯ずっと大切にするつもりです。」
「…………ぁ…………――――エリゼ様とクロチルダ様とあれだけ淫らな行為をしたにも関わらず、次は私とするつもりなのですか?相変わらず性欲旺盛な方ですね。」
リィンに頭を撫でられたアルティナは呆けたがすぐに気を取り直してジト目でリィンを見つめ
「ちょっ!?何でそうなるんだよ!?」
アルティナの指摘にリィンは慌てた様子で答えた。
「え、えっと。まあそう言う訳ですから、クロチルダさんにだって幸せになる権利はあります。その……多くの女性達と結婚する事になっている俺なんかでよければ、クロチルダさんの事も責任を取るつもりです。」
「リィン君…………もう、益々好きになったわ!」
リィンの言葉を聞いて一筋の涙を流したクロチルダはリィンを自分の方へと引き寄せてリィンの唇を奪って舌を絡めるほどの深い口付けを交わし始め
「ク、クロチルダさ―――んんっ!?」
「…………なるほど。クロチルダ様に追い討ちをする為に私をこの場に呼んだのですね。さすがは天然で不埒なマスターです。目的は果たしたようですし、私は一端失礼します。」
リィンとクロチルダの様子をジト目でリィンを見つめていたアルティナはリィンの身体の中に戻った。
「ちゅ♪フフッ、それじゃあお言葉に甘えて期待させてもらってもいいかしら?」
「え、ええ……クロチルダさんが良ければですけど………」
「―――ヴィータ。」
「へ…………」
クロチルダが呟いた言葉の意味がわからなかったリィンは呆けた表情をした。
「君と私は将来家族の関係になるのだから、”クロチルダさん”だなんてそんな他人行儀で呼ばないで欲しいわ。さっき私を荒々しく犯していた時みたいに”ヴィータ”って呼び捨てで呼んでいいのよ?」
「う”っ…………あ、あの……そう簡単には慣れませんので、呼び方については追々という事で……」
「フフ、”ご主人様”の命令とあらば、仕方ないわね。何せ私は君の”肉奴隷”だものね♪」
「…………(理性が飛んでいたとはいえ何で俺、あんな事を言ったんだ……?)」
クロチルダにウインクをされたリィンはクロチルダとの”行為”での出来事を思い出し、大量の冷や汗をかいていた。
「――――そうだ。リィン君、もしよければ私の子守歌を聞きながら眠ってみる?”蒼の歌姫”である私の膝枕で私の子守歌を聞きながら眠るなんて、私のファンが聞いたら発狂するくらい羨ましすぎる出来事よ?」
「え、えっと…………そ、それはそうなのですが…………大丈夫ですよね?」
クロチルダの提案を聞いたリィンはクロチルダが得意としている魔術が”子守唄”である事を思い出し、言葉を濁しながら問いかけた。
「フフッ、命の恩人で心から愛している君に”子守唄”を歌って操ろうなんてそんな恩知らずで女として最低な真似はしないわよ。小さい頃のエマにも歌って上げた子守歌だから安心して。―――ほら、こっちに頭を乗せて寝転んで。」
クロチルダはベッドで正座をした後リィンに膝枕を誘った。
「わ、わかりました。―――失礼します。」
「それじゃあ始めるわね?―――――♪」
(綺麗な歌声だな……あのゲルドとも良い勝負をしているかもな…………さすがに今日は疲れたな………眠気が………………)
そしてリィンはクロチルダに膝枕をされた状態でクロチルダの純粋な子守歌を心地よさを感じながら眠り始めた。
「フフッ、まだ最初の方しか歌っていないのにもう眠るなんてよほど疲れていたのね………………」
リィンの頭を優しく撫でながらクロチルダは優しげな微笑みを浮かべてリィンの眠り顔を見つめていた。
「(全てが終わった後、私はどうなるのかしら……?少なくても監視があるとは言え、ある程度の自由は許された状態で刑期を過ごす事になるけど…………好きな時にリィン君に会うのは難しいでしょうね……それにさっきのセックスで恐らく宿ったと思う私とリィン君の子供は一体どうなるのかしら……?)フフッ、これも私の”罰”なのかしら……ごめんね、こんな私が貴方のママで…………」
ふと自分の将来を考えて不安に感じたクロチルダは寂しげな笑みを浮かべた後涙を流しながら自分のお腹を撫でていた。
「―――ちょっといいかしら?」
するとその時ベルフェゴールがクロチルダの目の前に現れた。
「貴女は……確かリィン君と契約している異世界の”七大罪”の”魔王”の一柱――――”怠惰”のベルフェゴール。」
「うふふ、自己紹介は必要ないようね。――――”蒼の深淵”ヴィータ・クロチルダ。その様子だと決戦を終えた後の自分の将来に不安を感じているようね?そんな貴女に良い話があるんだけど、ちょっと私の話を聞いてもらえるかしら?」
「?」
ベルフェゴールは”使徒”の説明をし、既にスカーレットがベルフェゴールの”使徒”になった事や、その事によってメンフィル帝国がスカーレットの減刑を決めた事を説明し、クロチルダに自分の”使徒”になるように勧誘した。
「そう…………もしその”使徒”になったら、減刑してもらえる可能性はある上私はリィン君にずっと若い私を見てもらえるのね……私にとっては様々な意味で都合のいい話だけど、一つ聞いてもいいかしら?」
「?何かしら?」
「貴女は初対面の私に対して、どうしてそこまで親切にしてくれるのかしら?それも貴女の主人の元”敵”だった相手に。」
「うふふ、私は恋する乙女の味方なの♪それにこれはご主人様の為でもあるしね♪」
「フフッ、話には聞いていたけど、本当に変わった”魔王”ね…………――――わかったわ。大いなる”七大罪”の一柱―――”怠惰”のベルフェゴール様。どうか私を貴女の”使徒”にして下さい。」
ベルフェゴールの答えを聞いて苦笑していたクロチルダは表情を戻して、ベルフェゴールに対して最大限の礼儀を払って一礼をした。
「ええ、いいわよ。―――受け取りなさい。」
そしてベルフェゴールははその場で集中して、小さな光の球体を両手から出し、球体はクロチルダの身体に入り、クロチルダは”七大罪”の一柱――――”怠惰”を司る魔神ベルフェゴールの”第二使徒”になった!
「……!何て凄まじい霊力……!魔王である貴女の”使徒”になったからかしら?」
「まあね。―――それじゃ、用は済んだし私は失礼するわね♪」
クロチルダが自身の”使徒”になった事を確認し終えたベルフェゴールはリィンの身体に戻り
「愛しているわ、リィン君…………ん……」
その場に二人きりになるとベルフェゴールは眠っているリィンに口付けをし、その後リィンを抱きしめた状態で眠り始めた。そして翌朝、先に起きたクロチルダは服や下着を着た後リフィア達を訪ね、自分がベルフェゴールの”使徒”になった事を説明した。
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