英雄伝説~運命が改変された少年の行く道~(閃Ⅱ篇)
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第220話
同日、22:20――――
~バリアハート・クロイツェン州統括領主の館・客室~
「フウ…………(ようやく……全員揃う事ができたな……エリゼが”騎神”に似た存在を持っていた事には本当に驚いたな……本当に強くなったな、エリゼは……もっと精進してエリゼを守れるくらいにならないとな……)」
客室で身体を休めようとしていたリィンは今日一日の出来事を思い出していた。
(……後はオズボーン元宰相を討てば、ようやく”かけがえのない毎日”が戻ってくるな…………だけどその場にはクロウは…………)
元通りの生活に戻ってもクロウはその生活に戻って来ない事を察したリィンは辛そうな表情をしたが
(……さすがにそれは望みすぎか。クロウはエレボニアの人達に対して自分の罪を償うべきだし、会長達との”約束”は守れるんだから、それだけでも十分と思うべきだな……)
すぐに気を取り直して真剣な表情で外の景色を見つめていた。
(そう言えば……この戦いが終わったらゲルドはどうするんだろう……?メンフィル帝国の貴族になるから少なくても生活には困らないだろうけど…………)
ふとゲルドの事を思い出したリィンは自分達とは異なる世界の出身で、知り合いは自分達だけであり、身寄りもないゲルドの未来が気になった。
(アリサ達の話によるとゲルドは俺達の世界に来る前は一人で旅をしていたそうだけど、一体何の為に旅をしていたんだ?それに…………どうしてゲルドは”自分が殺される事を受け入れていたんだ”……?)
ゲルドの事を知れば知る程ゲルドには多くの謎が未だ秘められている事に気付いたリィンは考え込んでいたが、ゲルドの今までの行動やケルディックでの演奏会で見せた全てを慈しむような微笑みを浮かべて歌うゲルドをふと思い出した。
(ゲルドの過去がどんなものなのかはいつか聞くとして………絶対に守らないとな。今度は俺達もいるんだから、絶対にゲルドを殺させるものか……!)
「兄様、少しよろしいですか?」
新たな決意を決めたその時、扉がノックされ、エリゼの声が聞こえて来た。
「エリゼ?ああ、いいぞ。」
「―――失礼します。」
リィンの返事を聞いたエリゼは客室に入って来た。
「こんな夜遅くに何の用だ?」
「”何の用”とはご挨拶ですね?未来の婚約者に対して。今までずっと離れ離れで寂しい思いをしていて、ようやく兄様と二人っきりになれる機会ができた私の気持ちを理解できないのですか?」
リィンの言葉を聞いたエリゼはジト目でリィンを見つめた。
「うっ。す、すまない………」
「別に謝らなくていいです。兄様の”そう言う所”も私は受け入れて、兄様の妻になりたいとずっと願っていたのですから。――――最も、毎晩アリサさんやエリス達と愛し合っておられた兄様にはわからないでしょうが。」
「う”っ。そ、その……エリゼ……?今日は何だか棘のある言葉が多くないか?」
エリゼの口から出てくる言葉の端々に込められて棘のある言葉を聞いたリィンは冷や汗をかきながらエリゼを見つめた。
「―――内戦の最中でも随分と羽目を外しておられたのですから、苦言の一つや二つくらい言いたくなります。」
「ええっ!?いつ俺がそんな事をしたんだよ!?」
(うふふ、エリゼが言っている事は間違いなくエマ達の事でしょうね♪)
(ふふふ、この内戦の最中、大幅に増やしましたしね。)
(………そうですね。そして私もその一人という事ですね。)
(ア、アハハ……リィン様の為に今まで頑張ってきたエリゼ様にとったら、色々と思う所があるでしょうね……)
(フフ、リィンだから仕方ないと納得していても、それでも文句の一つや二つは言いたくなったのでしょうね。)
エリゼの言葉にリィンが慌てている中、ベルフェゴール達は微笑ましそうに見守っていた。
「―――ユミルに戻って来て早々アルフィン義姉様の”純潔”を奪うとは完全に想定外でしたよ?てっきり、”紅き翼”としての活動を始めた頃あたりからアルフィン義姉様とも肉体関係の間柄になっていたと思っていましたのに、”エレボニア存亡会議”でのアルフィン義姉様のあの発言を聞いた時には本当に驚きました………意図していなかったとはいえ、エレボニアを救う条件を作っていたとはさすがは兄様ですね?フフッ…………」
「………………そ、その。あれには色々と複雑でブレアード迷宮よりも深い事情があってだな……」
膨大な威圧を纏って微笑むエリゼの話を聞いたリィンは表情を青褪めさせて身体を震わせながら何とか言い訳をしようとしたが
「更に内戦の最中にクレア大尉にトワさん、そしてエマさんとの仲も深めるなんて………特にオズボーン元宰相に忠誠を誓っていたクレア大尉の心を射止めた話を聞いた時は夢を見ているのかとも思いましたよ??」
「……………………」
エリゼの口から次々と語られる内戦の最中に関係を深めた女性達の存在が出ると反論する気力もなくなり
「挙句の果てには敵対関係であったアルティナさんと”契約”して自分の使い魔にし、スカーレットさんには性的暴行を加えて彼女の心を射止めた話を聞いた時は兄様のその”悪い癖”を完全に見誤っていたと思い知りました。」
「その……―――すまない、エリゼ!言い訳にしからないけど俺にはそのつもりは全然無かった!ただ俺は自分のした事に後悔はしていない。」
やがて罪悪感に耐えられず、潔くエリゼを見つめて頭を深く下げた。
「……わかっていますよ。兄様にそのつもりは全然無かった事も全て。」
膨大な威圧を纏っていたエリゼは威圧を引っ込めて静かな表情でリィンを見つめていた。
「エリゼ………」
「―――ですがそれでも、私の”罰”は受けて頂きますからね?それでアルフィン義姉様達の件は相殺という事にしておきます。」
「…………わかった。何をすればいいんだ?」
「―――まずはこれを飲んでください。」
自分の罰を受ける覚悟を決めたリィンにエリゼは懐から何かの液体が入った瓶を取りだしてリィンに手渡した。
「これは……?ま、まさか。毒か……?」
「私が兄様に毒を飲ませるなんてことをするはずがないでしょう?中身は媚薬です。それもペテレーネ様が直々に調合された特殊な媚薬です。」
表情を引き攣らせて瓶を見つめるリィンに呆れた表情で指摘したエリゼは気を取り直して説明を続けた。
「ええっ!?そ、その、エリゼ。ペテレーネ神官長が直々に調合したという事は前に俺に飲ませた薬か……?」
「いいえ。その媚薬には殿方の精子を一時的に凄まじく増強する効果が秘められていまして。普通精子が女性の体内に入った際の生存時間は数日程度だと言われていますが、その媚薬を飲んで女性の体内に精子を出せば生存時間が数日から約1ヵ月に伸び、ほぼ確実に妊娠させられるとの事です。その事から不妊で悩んでいる夫婦達から重宝されている媚薬だと聞いております。」
「な、何でそんなとんでもない媚薬を俺に…………――――!ま、まさかエリゼ。”罰”というのは………」
「フフッ、普段は”そう言う事”に関しての兄様でもさすがに察する事はできましたか。」
冷や汗を滝のように流しているリィンの言葉に微笑んだエリゼは身に纏う服をその場で脱いで下着姿になった。
「―――今私に兄様の子を孕ませて下さい。それが私の”罰”です。―――それと先に言っておきますが、今日はいつものように妊娠防止の魔術を使っていない所か、”危険日”です。」
(アハハハハハハハッ!一人でこの場に来た時点でどうせそんな事だろうと思っていたわよ♪―――あ、いつものように結界を展開しないとね♪)
(ふふふ、下手をすれば今年中にご主人様の子供が二人もできるかもしれませんね。)
(……私は二人で済むとはとても思えないのですが。マスターとマスターに想いを寄せる女性達が1週間ごとにしている不埒な行為の回数を考えると最低でもその倍……いえ、倍以上の子供ができると思われるのですが。)
(ア、アルティナさん……その推測、冗談になっていませんわよ……?)
(フフ、私もいつかリィンの赤ちゃんを産みたいわ……)
エリゼの答えを聞いたベルフェゴールは腹を抱えて笑った後結界を展開し、静かな笑みを浮かべるリザイラに呆れた表情で指摘するアルティナの推測を聞いたメサイアは表情を引き攣らせ、アイドスは頬を赤らめて微笑んでいた。
「……………―――わかった。」
一方エリゼの答えを聞いて固まっていたリィンだったが、決意の表情になると瓶の中身を全て飲み干した後エリゼ同様下着姿になり、エリゼをベッドへと押し倒した。
「キャッ!?に、兄様…………?んんっ!?ちゅ……れる……ふぁ……ちゅる……!」
ベッドに押し倒して強引に自分の唇を奪って深い口付けを交わすリィンの予想外の行動に驚いたエリゼだったが抵抗する事なく受け入れていた。
「……驚きました。いつものように慌てると思っていましたのに、まさか開き直るなんて…………」
リィンが一端離れるとエリゼは自分を押し倒した状態で自分を見下ろしているリィンを目を丸くして見つめていた。
「……俺だって男だ。俺を支える為だけにずっと頑張ってきた愛しい女性にここまでされたら耐えられる訳がないだろう?俺の気が済むまで止めるつもりはないから、お前が止めてくれって言っても止めるつもりはないから覚悟しろ。」
「フフ、望む所です♪さあ、私を存分に犯して私に兄様の子を孕ませて下さい♪それとわかっていると思いますが外出しなんてしたら、絶対に許しませんからね♪」
「ああ……!」
「……………………」
その後リィンはエリゼと何度も深く愛し合った。その様子を窓の外の木の枝に止まっているグリアノスがジッと見つめている事も気付かずに…………
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