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英雄伝説~運命が改変された少年の行く道~(閃Ⅱ篇)

作者:sorano
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第202話

~エルベ離宮・紋章の間~



「ええっ!?じゅ、純潔を捧げたって……!」

「む、むう…………」

我に返ったクローディア姫は顔を真っ赤にし、答えに困ったアルバート大公は唸り声を上げ

「な、なななななななっ!?むぐっ!?」

「はわわわわわわわっ!?むぐっ!?」

「何度も会議の邪魔をしてすみません。」

(貴女達の気持ちはわかりますが、ここは黙っていなさい。)

顔を真っ赤にして混乱した様子で声をあげたエステルとミントの口をヨシュアと共に両手で塞いだフェミリンスは疲れた表情でエステルとミントに小声で指摘した。

「で、でででで、殿下!?一体何を!?」

「まさか”秘策中の秘策”とはこの事だったのかい?というか1度目のユミル襲撃の前だと言っていたけど一体いつリィン君とそんな関係になったんだい?」

リィンは混乱した様子で声をあげ、オリヴァルト皇子は目を丸くしてアルフィンを見つめて尋ねた。



「1度目のユミル襲撃が起こる数時間前――――11月30日のお昼過ぎに”鳳翼館”の露天風呂で療養しているリィンさんにわたくしの純潔を捧げました!」

「よりにもよってユミル襲撃が起こる直前でそんな関係になっていたとは……普通ならありえない偶然だな。」

「……他に言う事はないのですか、貴方は…………」

「ろ、露天風呂で殿下がリィンさんに…………」

アルフィンの説明を聞いて目を丸くしているヴァイスにエルミナは呆れた表情で指摘し、ユーディットは顔を真っ赤にしてリィンとアルフィンを見つめ

「で、殿下。時間はともかく、場所まで口にする必要はないと思うのですが……」

クレア大尉は大量の冷や汗をかいて疲れた表情で指摘した。



「さ、さすがに今の話には驚きましたね…………」

「ハア……この場合シュバルツァーの節操の無さに呆れるよりもアルフィン皇女の大胆にして積極的な行動による運の良さに感心すべきか…………?」

イリーナは表情を引き攣らせてリィンとアルフィンを見つめ、凄まじい頭痛を感じていたリウイは頭痛を抑えるかのように片手で頭を抱えて疲れた表情で溜息を吐いた。

「……………………(フ、フフッ……アルフィン皇女とも性行為を済ましている事は予想していましたけど、まさかユミル襲撃が起こる前にすませて既成事実を作っていたとは、さすがは兄様ですね~~~~~??)」

「ぬおっ!?エ、エリゼ、お、落ち着くのじゃ…………!お主の気持ちはわかるが今は国際会議中じゃぞ……!?」

「……………………」

魔力によって発生した電撃をバチバチと迸らせ、膨大な威圧を纏って微笑み始めると共にメモ用に持っていたペンを片手でバキッと音を立てて真っ二つに割ったエリゼの隣にいたリフィアは驚いた後表情を青褪めさせて必死でエリゼの怒りを抑えようとし、エリゼに微笑まれているリィンは表情を青褪めさせて身体を震わせ、エリゼの様子に気付いたその場にいる多くの者達は大量の冷や汗をかいた。

(フフ、こんな国際会議はきっと歴史上初でしょうね。)

(ククク、そして我々はその歴史上初の会議に立ち会えたという貴重な経験ができたな。)

一方エイドスの小声の言葉に続くようにセルナート総長は笑いを噛み殺しながらリィンとアルフィンを見つめていた。



~待機室~



「アルフィン義姉様……」

「……………………」

「えええええええええええええええっ!?」

「で、でででで殿下とリィンが1度目のユミル襲撃が起きる前にそんな関係になっていたなんて……!?」

「しかも露天風呂でやっていたなんて、色々と滅茶苦茶だね。」

「ほえ~……と言う事はボク達が何度も入っていたあの露天風呂でアルフィンは処女を捨てたんだ~。」

「ミ、ミリアムちゃん!?」

端末で会議を見守っていたエリスは疲れた表情で頭を抱え込み、サラ教官は驚きのあまり口をパクパクさせ、エリオットとマキアスは混乱した様子で声をあげ、フィーはジト目で呟き、ミリアムの言葉を聞いたエマは顔を赤らめて慌て

「あの男は……!もし、メンフィルと戦争状態にならなければどうするつもりだったのだ!?」

「阿呆が……万が一その時の”行為”によって殿下が懐妊していたら内戦が終わってもエレボニアに大混乱が起きる事も予想できなかったのか……?」

「フフッ、色々な意味で”救済条約”に助けられたな……」

ラウラは厳しい表情で端末に映るリィンを見つめ、ユーシスは呆れた表情で呟き、ガイウスは苦笑しながら呟いた。



「ハア……もう何だか色々と滅茶苦茶な会議になってきたわね。」

「ア、アハハ……こんな公の場で自分の情事を口にするアルフィンさんも凄い度胸ですわよね……」

「……確かにある意味感心すべきかもしれないわね、あの皇女の度胸は。」

アリサが疲れた表情で溜息を吐いている中セレーネは冷や汗をかいて苦笑し、セレーネの言葉にセリーヌは呆れた表情で頷いた。

「そう言えばアルフィンがリィンに純潔を捧げた事をエリスが証明できるみたいな事を言っていたけど……」

「うっ。そ、それは………」

ゲルドが呟いた言葉を聞いたエリスが口ごもっているとその場にいる全員はエリスに注目し、全員の視線に耐えられなかったエリスは真っ赤にした顔を俯かせて答えた。



「その…………実は露天風呂で私と兄様が愛し合っている所をアルフィン義姉様が覗き見していまして………それで私達の”行為”が終わった後にアルフィン義姉様が現れて兄様には自分の純潔を奪うように、私には兄様を喜ばせる”方法”を教えるように”命令”して……その後いつの間にか3人で愛し合ったんです……」

エリスの答えを聞いたその場にいる全員は冷や汗をかいて表情を引き攣らせた。

「な、なななななななっ!?さ、3人でだって!?」

「え、えっと…………」

我に返ったマキアスは顔を真っ赤にして混乱し、エリオットは答えに困り

「ニシシ、皇族のアルフィンに”命令”されたんなら仕方ないよね~。」

「まあ、リィンがとんでもないむっつりスケベって事実である事には違いないけど。」

「フィ、フィーちゃん!?一体どこでそんな言葉を覚えたんですか!?」

ミリアムはからかいの表情をし、フィーはジト目で呟き、フィーの言葉を聞いたエマは慌て

「あたし達が苦労していた時期にそんな事をしていたなんて……どうやら全部終わった後に全員でリィンをタコ殴りにする必要があるようね……!」

「ええ……!」

「例え殿下の事とはいえ、他人の恋路に口を挟むつもりは毛頭ないが……さすがに今の話は元エレボニア貴族として見逃せん話だしな。」

サラ教官は顔に青筋を立てて呟いて端末に映るリィンを睨み、ラウラとユーシスも続くようにリィンを睨んでいた。



「………………………」

「ユ、ユミル襲撃が起こる直前に……それも露天風呂で純潔をリィンさんに捧げたって……」

「……とんでもないです。マスコミのグレイスさん達が待機する部屋には会議の様子を見守る端末がなくて幸いしましたね。もしあったらアルフィン皇女とリィンさんの痴情の事実が世界中に報道されていたでしょうし。」

「アハハハハハハハッ!そしてその時点でアルフィン皇女にリィンの子供が宿っていたらとんでもない事態になっていただろうね♪」

「あんのリア充野郎が―――――!露天風呂でエレボニア皇女の”初めて”を奪うとか、あの野郎のリア充度は神がかっているんじゃねえのか!?」

同じ頃端末で会議の様子を見守っていたロイドは口をパクパクさせて固まり、エリィは表情を引き攣らせ、ティオはジト目で呟き、ワジは腹を抱えて大声で笑い、ランディは悔しそうな表情で咆哮を上げて端末に映るリィンを睨んでいた。


「先程述べたようにユミル襲撃が起きる前からわたくしとリィンさんは肉体関係に発展する程互いに思い合っていました。それに女性が”純潔”を捧げる相手は一生を共にすると誓った相手だというのが一般常識です。ましてや皇族のわたくしが自身の”純潔”を捧げる相手こそがわたくしの伴侶……わたくしはそう思っています。」

「え、えっと、それは…………」

「……確かにアルフィン皇女の仰っている通りですね。」

「う、うむ。アルフィン皇女、一つ聞きたいのだがユミル襲撃の事件が起きる前からメンフィルとクロスベルもアルフィン皇女とリィン・シュバルツァーの婚約を実質認めていたようなものとはどういう事ですかな?」

アルフィンの説明を聞き、答えに困ったクローディア姫が口ごもっている中アリシア女王は苦笑しながらアルフィンの説明に同意し、アリシア女王と共に同意したアルバート大公は気を取り直して尋ねた。

「それに関してはレン姫達がわたくし達に”戦争回避条約”や”救済条約”を提案しにこれからの方針を決めたわたくし達の前に現れた時に判明していますわ。」

「何?」

アルフィンの説明を聞いたリウイは眉を顰めた。



うふふ、アルフィン皇女にとっても悪くない話でしょう?元々リィンお兄さんに恋しているみたいだし、祖国も救える上民達のエレボニア皇族達に対する信頼を回復できるんだから、”皇族の義務”を果たして堂々と大好きなリィンお兄さんの許に嫁げるじゃない♪



「――――アルフィン殿下の仰る通り我々の前に現れたレン姫はアルフィン殿下に”救済条約”の実行を勧める時にこう仰いました。『元々リィンお兄さんに恋しているみたいだし、祖国も救える上民達のエレボニア皇族達に対する信頼を回復できるんだから、”皇族の義務”を果たして堂々と大好きなリィンお兄さんの許に嫁げるじゃない』、と。」

「ちなみにその場にはギュランドロス陛下の正妃であられるルイーネ皇妃殿下やヴァイスハイト陛下の側室の一人になるマルギレッタ様もいらっしゃっていた。」

「なるほど……もしそれが本当ならメンフィル帝国とエレボニア帝国が戦争状態になる前からメンフィルとクロスベルの皇族の方々はリィンさんとアルフィン皇女達の関係を把握し、実質認めていたという事になりますね。」

「何せレン姫自身がアルフィン皇女がリィン・シュバルツァーに対して恋愛感情を持っている事を口にしていますしな。」

カレイジャスに現れたレンの話を思い出したクレア大尉とオリヴァルト皇子は真剣な表情で説明し、二人の説明を聞いたエイドスは静かな表情でリウイ達を見回し、エイドスの言葉にセルナート総長は口元に笑みを浮かべながら頷いた。

「あー……確かにもうその時点でメンフィルとクロスベルは同盟を組んでいたからな。当然”救済条約”の内容や二人の関係を知っていた事に関しても否定できないな。」

「ハア……まさかこんな方法で情状酌量を求めてくるとは想定外です……」

「え、えっと……この場合仕方ないと思います。絶対に誰も予想できないでしょうし……」

二人の説明に対する反論が見つからないヴァイスは苦笑しながら答え、疲れた表情をしているエルミナにユーディットは苦笑しながら指摘し

「……そう言えば。リウイ陛下達がリベール(私達)にメンフィル軍の2大国との国境の通過の許可の話をされている最中に戦争回避条約や救済条約の話も口にして、その際にアルフィン殿下がリィンさんと接吻を交わす程リィンさんに想いを寄せている話を仰っていましたよね?」



それと先程アルフィン皇女の意思を無視しているという意見があったが、エリゼやプリネ達の話ではアルフィン皇女はリィン・シュバルツァー自身に恋愛感情を抱いている上、学院祭の後夜祭の時に接吻までしたとの事だからそれ程問題はあるまい。むしろリィン・シュバルツァーと接吻まで交わす程、リィン・シュバルツァーに対して強い恋愛感情を抱いているアルフィン皇女自身にとっては都合がいい条約だろうな。



「……………………ああ。確かに俺自身がそのような事を言っていたな。」

「しかもその場には父―――シルヴァン陛下も同席していたな……」

「フフ、私達も言い逃れできない状況ですね。」

クローディア姫に問いかけによってかつての自分の言葉を思い出したリウイは疲れた表情でリフィアと共に肯定し、イリーナは苦笑しながら答え

「……申し訳ございません。今後このような事を2度と起こらせない為に後でリィン様に”説教”をするつもりですので、どうかお許しください。」

(うっ……!)

リウイ達に謝罪した後膨大な威圧と殺気を纏ったエリゼに睨みつけられたリィンは表情を青褪めさせ、大量の冷や汗をかいて身体を震わせ始めた。



「フム……外交問題に発展する以前に”既成事実”があった上、三国の姫君達とリィン・シュバルツァーが婚約する可能性が高い事を把握していたメンフィルとクロスベルの皇族の方々が介入もしなかったという事は三国の姫君とリィン・シュバルツァーの婚約によって三国の皇族達が親類関係になる事を受け入れていたという事にもなりますな。」

「ええ、私もそう思います。アルフィン皇女は勇気を出して自分の情事を口にしてまで祖国を存続させようという心意気や将来互いが親類関係になる事に免じてエレボニアの存続を認めて、領地の一部を返還してあげたらどうですか?」

「「……………………」」

アルバート大公の意見に同意した後のエイドスの意見を聞いたリウイとヴァイスは反論する事なく黙って考え込み

「エレボニアを存続させる為のエレボニア帝国側の主張は以上でよろしいですか?」

二人の様子を見たアリシア女王はオリヴァルト皇子達を見つめて確認を取った。



「―――いえ、後一つメンフィル帝国に対する謝罪と誠意を込めた”取引”の提示がまだ残っております。」

「なぬ?”取引”じゃと?」

「一体どういう内容なのですか?」

オリヴァルト皇子の答えを聞いたリフィアとイリーナはそれぞれ不思議そうな表情で尋ねた。

「その件に関しましては先程説明したユーゲント陛下の退位とそれに付随するセドリック殿下が皇帝として成長するまでのエレボニア皇帝の代理の件と深く関係しております。」

「ええっ!?」

「なっ!?」

クレア大尉の答えを聞いたクローディア姫とアルバート大公はそれぞれ驚き

「まさか……!」

「エレボニア皇帝の代理を我らメンフィル帝国に任せると言うつもりか?」

エレボニア帝国が提示しようとする”取引”の内容を察したイリーナは目を見開き、リウイは信じられない表情で尋ねた。

「はい。セドリックが成長するまでの間だけメンフィル皇家の方に”エレボニア皇帝の代理”を務めて貰い、可能ならばセドリックの教育をメンフィル帝国にして頂く……―――それが関係のない他国であるメンフィル帝国を内戦に巻き込んでしまったエレボニア帝国ができる最大の謝罪と誠意です。」

そしてリウイの問いかけに肯定するかのようにオリヴァルト皇子が決意の表情で答えた。 
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