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ジュラバ

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第五章

「冬用もお願いね」
「特別な日に着るわね」
「私もね」
 妻も娘達と同じ笑みで言う。
「お願いするわね」
「ああ、わかったよ」
 モサーイドは今度は明るい笑顔で三人に答えた、そしてだった。
 次の日職場でマスルールに家でのことを話した、するとマスルールは彼に笑ってこう言った。
「うちもだったよ、うちは娘三人だがな」
「四人共か」
「そっちと同じ感じだったよ」
「そうか、滅多に着ない服でもな」
「冬用も買ってくれだよ」
 四人共こう言ったというのだ。
「やれやれだよ」
「本当にな、しかしな」
「それでも買うな」
「そうするさ」
 モサーイドはマスルールに笑って答えた。
「女房と娘達の為だ」
「そうだな、俺もだよ」
「そこは本当に同じだな」
「ああ、じゃあまた買おうな」
「冬用もな」
「そうしような」
「じゃあ今日は働くか」
 マスルールにこうも言った。
「冬用も買う為にな」
「そうだな、真面目に働いて稼いで」
「娘達に買ってもらおうな」
「そうしような」
 二人で話してだ、そしてだった。
 二人は実際に頑張って働いた、社長はその二人の言葉を聞いて笑って言った。
「二人共今日はよう頑張ってるな」
「はい、女房と娘達に服を買う為に」
「俺もそうしています」
「その為には金が必要ですから
「何といっても」
「そうか、じゃあ頑張れよ」
 社長は二人の言葉を聞いて気さくな笑顔で返した。
「家族の為にな、家族の為に働くことこそがな」
「まさにですね」
「美徳ですね」
「アッラーが喜ばれることだからな」
 社長もムスリムなのでこう言う、
「頑張れよ、じゃあわしも女房と子供達の為に」
「働くんですね」
「そうするんですね」
「ああ、そうしないとな」
 陽気な声での言葉だった。
「家族の為に」
「ですね、じゃあ」
「お互い頑張りましょう」
 二人は社長と明るく話して仕事を再開した、また家族にプレゼントをする為に。笑顔でそうしたのだった。


ジュラバ   完


                        2016・5・26 
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