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英雄伝説~光と闇の軌跡~(3rd篇)

作者:sorano
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6章~奇跡の邂逅~ 第39話

~隠者の庭園~



「ようやく、あの方を解放できましたね………!」

「うむ!」

「………こうして再びお会いできるとは思いもしませんでした………イリーナ様………」

リースが封印石を解放し、光から現れようとした見覚えのある人物を見たプリネとリフィアは嬉しそうな表情をし、ティナは優しい微笑みを浮かべた。

「………………………」

「どうしたんですか、エクリア母様~?帰って来てから顔色が少し悪いですよ~?」

「どこか具合が悪いのですか?」

「エクリアちゃん……………」

一方エクリアは辛そうな表情をし、エクリアの様子に気付いたサリアとシュリ、リタは心配した。そして光の中から地面に膝をついているイリーナが現れた!

「一体今の光は………?あなた、何があったのですか………?…………………え。」

目を閉じてまぶしそうな様子で呟いたイリーナは目を開けて立ち上がって言ったが目の前にいる人物達に気付いて呆けた。

「無事で何よりです、イリーナさん。」

「ん。これでリウイお兄ちゃんが巻き込まれた事が確実になったね。」

呆けているイリーナにツーヤが話しかけ、エヴリーヌは頷いて答えた。

「えへへ………イリーナさん、こんにちは!」

「………この方が”覇王”に嫁いだエリィさんの姉君ですか………」

エステルは元気よくイリーナに声をかけ、リースは興味ありげな様子でイリーナを見つめていた。



「ツーヤ………エステルさん…………それに皆さんも………」

「フフ、お久しぶりです、イリーナ様。」

「……………………」

「フッ、結婚をして美しさにますます磨きがかかっていますね♪」

「………口を慎め。」

驚いて自分達を見つめるイリーナにクローゼとユリアは会釈をし、オリビエはいつもの調子で話しかけ、それを聞いたミュラーは顔に青筋を立てて注意をし

「この間は結婚式にご招待して頂き、誠にありがとうございます、イリーナ皇妃。」

「フフ、式の時に歌った貴女達への祝福の歌はどうだったかしら?」

「あ、あはは…………久しぶりだね、イリーナさん。」

セラウィも会釈をし、エリザスレインは口元に笑みを浮かべて話しかけ、それを聞いたウィルは苦笑しながら挨拶をした。

「皆さん…………ええ………式の時に祝って頂き、本当にありがとうございました。」

仲間達の言葉を聞いたイリーナは気を取り直して、優しい微笑みを浮かべて答えた。

「フフ………それとイリーナ様。貴女にとってはなつかしい方もここにいらっしゃっていますよ?」

「?どういう事、プリ…………え!?ティ、ティナ!?」

プリネの言葉に首を傾げたイリーナだったが、ティナに気付いて驚いた。



「………皆様からイリーナ様の事はお聞きしました。……転生、そして再び陛下と結ばれ、おめでとうございます、イリーナ様。」

「ティナ………………ありがとう。それと私がリウイの傍を離れている間、生涯リウイを支え続けてくれて本当にありがとう。貴女がいたからこそ、あの人は変わらずそのままでいてくれているのだから………」

「そ、そんな。私こそイリーナ様より先に子を授かってしまい、申し訳ない事を………」

「フフ、気にしないで。リウイの側室の一人である貴女にも幸せになる権利はあるのだから。………あら?………………まあ…………!ようやくお会いできましたね、エクリア姉様……!フフ、それも懐かしい服も着ていらっしゃって……」

慌てているティナをイリーナは微笑ましそうに見つめて言った後、エクリアに気づいて驚き、嬉しそうな様子でエクリアに話しかけた。

「…………イリーナ…………………ごめんなさい………!私………貴女に会って………ずっと謝りたくて………!」

「エ、エクリア!?」

「いきなりなんじゃ!?」

一方見つめられたエクリアは身体を震わせた後、イリーナに頭を深く下げた。その様子を見たマリーニャとレシェンテは驚いた。

「エクリア姉様………」

謝られたイリーナは静かにエクリアを見つめた。

「私のせいで………せっかく幸せになった貴女の幸せを……………貴女の命を………奪ってしまって…………本当にごめんなさい………!謝ってすむ事ではないと………思っているわ…………どうか………私を裁いて…………!貴女と………リウイ様には………その権利があるわ…………」

エクリアは涙を流しながらイリーナに頭を下げ続け、嘆願した。

「………………………………」

一方イリーナは何も答えず、静かにエクリアに近づいた後、エクリアを優しく抱き締めた。

「え………イリーナ………?」

「エクリア姉様…………私は魂だけの存在でいる間ずっと、見守っていました。だからずっと、姉様が苦悩されてきたことも知っています。………姉様を恨んでなんていません。だから謝らなくていいのです。…………あの時送った招待状に同封されていた手紙にも書きましたが姉様は今でも私にとって大事な家族です。………後でエステルさん達から聞いて知りましたが………私とリウイの結婚式に来てくれて……本当にありがとうございます。」

「イリー………ナ………う…………うっ………うあああああああ………………!」

優しい微笑みを浮かべて言ったイリーナの言葉を聞いたエクリアはイリーナを抱きしめながら大声で泣いた!

「えへへ、よかったね、エクリアさん!」

「よか…………った………セリカも………喜ぶ………と………思う………」

「よかった………本当によかった…………イーリュンよ………感謝いたします………」

その様子を見つめていたエステルとナベリウスは微笑み、ティナは優しい微笑みを浮かべた後祈りを捧げ

「さて………後はリウイ自身がどうするか………だな。」

「………そうですね…………」

「………………………」

一方リフィアとプリネは真剣な表情で考え込み、エヴリーヌは複雑そうな表情でエクリアとイリーナを見つめた。その後リース達はイリーナに事情を説明し、初対面の者達は自己紹介をし合った。



「……そうですか。そんな事が………でも、私………いえ、私”達”は今回の出来事に感謝しなくてはなりませんね。やっと、エクリア姉様と私がお会いできたのですから。」

「イリーナ……………ええ………私もよ…………」

事情を聞き考え込んだイリーナだったがやがて微笑み、イリーナの言葉を聞いたエクリアはイリーナを見つめた後頷いた。

「………あの。さっきから気になっていたのですがイリーナ皇妃はエクリアさんを”姉様”と呼びましたがそれは一体………?エリィさんの姉妹(きょうだい)はイリーナ皇妃しかいらっしゃらないと聞きましたし。」

「あら?エリィの事を知っているのですか?」

リースに尋ねられたイリーナはリースがエリィを知っている事に気付き、驚いて尋ねた。

「はい。エリィさんがアルテリアに留学していた時、共に学んだ学友です。」

「まあ………じゃあ、貴女がエリィが言ってたアルテリアでお世話になったシスターの方ですか。………そうですね。貴女を含め、ここにいる方達なら話してもいいでしょう………実は………」

そしてイリーナはかつてリウイの愛妻であった”イリーナ・マーシルン”が生まれ変わった人物であり、そしてティナとエクリアと共に”幻燐戦争”の事を説明した。

「………メンフィルにそんな過去が………………」

「……正直、御伽話を聞いている気分だね………」

「……あのメンフィルがかつてはリベールと大して変わらぬ小国であったことも驚いたがまさかその戦争をきっかけにあそこまでの大国へ上り詰めるとは………」

「それも大陸中の全ての国を敵に廻した状況で勝利をするとは…………」

「………よほどの激戦をくぐり抜けた証拠だね。」

「”覇王”達や”大陸最強”の真の強さがなんとなくわかったな…………」

事情を聞き終えたクローゼとヨシュア、ユリアは信じられない表情をし、リシャールとオリビエ、ミュラーは真剣な表情で呟いた。

「というか俺はあの”覇王”が元は俺達と同じ平民だったなんて信じられねえぜ………」

「剣一本と臣下の人達や仲間達と共に戦い、国を創ったって………まさしく”剣皇”ですね………」

「それも両親を殺されたあげく、両種族から迫害を受けていたのにあれほどの為政者になっているなんて、普通、ありえないわよ。」

「ああ。”理”と”修羅”を知る究極の”皇”だな。」

アガット、アネラス、シェラザードは驚きの表情で呟き、ジンは重々しく頷いた。

「うふふ、”幻燐戦争”か。レンも当時のパパ達と一緒に戦場を駆け抜けたかったわ♪」

「レ、レンちゃーん………」

「相変わらず、無茶苦茶な皇女だね………」

「ミント、戦争なんか絶対参加したくないよ………」

「同感です。」

レンは不敵に笑い、それを聞いたティータとジョゼットは呆れ、ミントは悲しそうな表情で呟き、ティオはミントの言葉に頷いた。

「………あんたにそんな過去があったなんてね。」

「エクリア様………」

「う~………そのブレアードって人、酷過ぎです~!!」

「全くじゃな!」

(お師匠様…………)

一方マリーニャは静かに、シュリは心配そうな表情でエクリアを見つめ、サリアは頬を膨らませて呟き、レシェンテはサリアの言葉に頷き、プリネの身体の中にいたペルルはかつての主の事を思っていた。

「………どこかで歯車が違ったら、僕達………いや、僕はノイ達と袂を分けていたかもしれないね………」

「ナユタ…………」

ナユタは複雑そうな表情で呟き、それを聞いたノイは心配そうな表情で見つめ

「”人間”達しか愛しない女神………哀しい方ですね。」

「………そうだね。」

フィーナは悲しそうな表情で呟き、アドルはフィーナの言葉に重々しく頷き

「”姫神”フェミリンスにそのような事情があったとは………」

「………”人間”達だけを愛し、人間以外の種族には排他的………か。」

「……ま、それが本来の”人間”よ。あなたやエステルみたいな人間は滅多にいないわ。」

セラウィは”姫神”フェミリンスの過去に驚き、ウィルは考え込み、エリザスレインはウィルに静かに言った。



「”姫神”フェミリンスか………あたしは一度会って、ちゃんと話してみたいな。」

「エステル?」

「ママ?」

そしてエステルが呟いた言葉を聞いたヨシュアとミントは驚いて、エステルを見つめた。

「だって、そうでしょ?人間にも悪い人や良い人がいるように他の種族も同じなんだから。フェミリンスはそんな事も考えずに最初から決めつけているじゃない。あたしだったら強引にでも引っ張って、それでも抵抗して嫌がるんならまずは叩きのめしてからフェミリンスを大人しくさせた後、見せてあげるわ!みんな同じ”人”だって事を!」

「エステルさん…………」

「……正気?」

(この小娘、本当に”人間”か?)

「ウム!さすがは余の友だ!!」

エステルの言葉を聞いたエクリアは驚きの表情で見つめ、エヴリーヌとリフィアの身体の中にいたディアーネは信じられない表情をし、リフィアは力強く頷いた。

「そうだね。俺も伝えたいよ。種族に関わらず、みんなは手を取り合って生きていけるって。」

「ウィル………ええ、そうですね。」

「フフ…………それでこそ、この私が”期待”した人間にして愛する人間。」

そしてウィルとセラウィも頷き、その様子をエリザスレインは口元に笑みを浮かべて見つめていた。

「フフ、エステルさんでしたら本当に行動に移しそうですね。」

「……で、最終的には”契約”とかもしちゃうんじゃないかしら?なんせ、あの獣の”魔神”―――カファルーでさえも反抗もせず黙ってこの娘に力を貸しているしね。しっかし、これで本当に”神”すらとも”契約”したらこの娘、本当にあたしたちと同じ”人間”なのか疑ってしまうわ。」

クローゼは微笑みながら、シェラザードは苦笑しながら呟いた。

「そうそう!それでこいつのノーテンキも移るんじゃないの?」

「あ、あんですって~!?」

ジョゼットはからかいの言葉を言い、それを聞いたエステルはジト目でジョゼットを睨んだ。

「…………………その事、エリィさんやご家族の方にはお話したのですか?」

一方話を聞き終え考え込んでいたリースはイリーナに尋ねた。

「………いいえ。………ただ、いつかは話そうと思っています。………最もすぐに信じてくれるとは思っていませんが………それでもいつかは姉様にも私の今の妹を紹介したいですから。姉様も会ってみたいでしょう?」

「ええ、そうね…………」

尋ねられたイリーナは静かに首を横に振った後答えてエクリアを見つめ、見つめられたエクリアは微笑んだ。

「えっと………イリーナさん。これからどうする?その……妊娠しているんだから、無理はしない方がいいとは思うけど………」

「いいえ。リウイ達を探す為にも………私達の世界に帰る為にも喜んで協力します。」

(………今度は貴女の幸せを誰にも奪う事はさせないわ………イリーナ…………私の命をかけて絶対に貴女と……貴女が愛するリウイ様と、そして”貴女達”の子供を守る………例えリウイ様が私に憎しみを持ち続けても………)

そしてエステルに尋ねられたイリーナは力強く頷き、エクリアは決意の表情でイリーナを見つめていた。



その後リース達はメンバーを編成し、リース、エステル、アドル、イリーナ、エクリア、リタのメンバーで探索を再開し、次なる”星層”―――”第六星層”に繋がる転位陣に入って、転位した……………






 
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