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英雄伝説~運命が改変された少年の行く道~(閃Ⅱ篇)

作者:sorano
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第182話

~鳳翼館~



「に、兄様……?一体何を……」

リィンの問いかけを聞いたエリスは戸惑い

「ほう?一体どういう事だ?」

セルナート総長は興味ありげな表情で尋ねた。



「エイドスさんは先程自分自身の”判断”で”女神として”リベールに協力する事を決めたと仰いました。ならば”七の至宝”を人々に授けた話と矛盾している気がするのですが。」

「あ…………」

「確かに言われてみればそうね。”歴史の流れ”を守るという事を口実にしてリベールに協力する事を”自分自身で判断”しているわね。」

リィンの説明にアリサが呆けている中、サラ教官は口元に笑みを浮かべて頷いた。



「へえ?まさか”空の女神”に意見する怖いもの知らずがいるとはねぇ?」

「感心している場合やないやろが……」

「……だけど、リィンさんの言う事が一理あるのも確か。」

「エイドスさ―――いえ、”空の女神”様。御身は先程の彼の発言をどう思われますか?」

口元に笑みを浮かべているワジを見たケビンは疲れた表情で指摘し、リースは複雑そうな表情をし、ルフィナは真剣な表情でエイドスを見つめて尋ねた。



「…………フフ、及第点と言った所ですね。ですがそこに気付き、女神である私相手に怯む事無く指摘した事を評して、エレボニアにチャンスを与えるべきですね。」

その時エイドスは微笑みながらリィン達を見つめ

「!!それじゃあ……!」

「メンフィルとクロスベルとの会談に参加し、二国に情状酌量を認めるように意見をして下さるのでしょうか……!?」

エイドスの答えを聞いたリィンとセレーネは明るい表情をした。



「いくつか条件があります。」

「え……じょ、条件ですか?」

「一体どのような内容なんだい?」

エイドスの答えを聞いたアルフィン皇女は戸惑い、オリヴァルト皇子は真剣な表情で尋ねた。



「まず一つ。私が”ハーメルの悲劇”を自作自演で行ったエレボニア帝国のフォローを一切しない事を受け入れる事です。あの件は一人の人として……そして”空の女神”としても絶対に許せません。当然、情報操作等をして誤魔化す事も許しません。勿論その情報操作の中には皇帝に非はないという情報操作も入っていますよ。」

「それは…………」

「………………」

「ま、それは仕方ないよね。」

エイドスの言葉を聞いたラウラとユーシスは複雑そうな表情をし、フィーは納得した様子で呟き

「まあ、どの道”戦争回避条約”を守る為に世界中に公表しなければならないから別に言われなくてもするんだけど、あの件は一部の人達の暴走と”結社”の”白面”の仕業なんだからちょっとくらい大目に見てボク達エレボニア帝国の事も助けてよ~。」

「ミリアムちゃん……さすがにそれは図々し過ぎですよ。」

「君な……少しは遠慮ってものを覚えたらどうだ?」

不満げな表情で言ったミリアムにクレア大尉は不安そうな表情で指摘し、マキアスは呆れた表情で呟いた。



「混乱が訪れてもそれは今まで”ハーメルの悲劇”を隠蔽し続けて来た貴方達エレボニア帝国の自業自得です。その混乱を乗り越える事もリベールとハーメルの人々に対する”償い”にして私―――”空の女神”からの”天罰”だと思って下さい。」

「”ハーメルの悲劇”を公表した時に起こるかもしれないエレボニア帝国内の混乱が”空の女神”である貴女の”天罰”ですか……」

「やれやれ………またエレボニア帝国が乗り越えなければならない問題ができてしまったね。それも内戦や二国との外交問題よりも大きな問題が。」

「うん……でも、それは本来なら12年前に乗り越えるべき問題だったから仕方ないよね。」

エイドスの話を聞いたガイウスは複雑そうな表情をし、疲れた表情で溜息を吐いたアンゼリカの言葉にトワは悲しそうな表情で頷き

「ハア……七耀教会が崇めている空の女神がこう言っているんだからどうせ七耀教会もフォローしてくれないんだろ?」

「当然だ。我ら七耀教会の真の主たる”空の女神”の意向こそが七耀教会(われわれ)にとって何よりも優先すべき事だからな。」

疲れた表情をしたトヴァルに視線を向けられたセルナート総長は静かな表情で答えた。



「二つ目は現エレボニア皇帝ユーゲント・ライゼ・アルノールが退位する事です。」

「え……」

「な―――――」

「ユ、ユーゲント陛下が退位って……皇帝の位から退く事じゃないか!?」

「そんな事になったらエレボニア帝国はまた荒れるぞ!?それに何でユーゲント陛下が皇帝の位から退かなければならないんだ!?」

エイドスの口から出た信じられない条件にアルフィン皇女は呆け、オリヴァルト皇子は絶句し、マキアスは表情を青褪めさせ、トヴァルは怒りの表情でエイドスを睨みつけて問いかけた。



「”ハーメルの悲劇”を利用した戦争――――”百日戦役”を起こして他国であるリベールに多くの被害をもたらした事に加えて内戦勃発、そして他国であるメンフィルまで巻き込み、その結果メンフィルの逆鱗に触れてしまった事によって自国を滅亡の危機にまで陥らせるという多くの不祥事を起こしてしまった皇帝が全てが解決した後に皇帝の座についている方が国が荒れると思うのですが。それにそれらの責任を全てユーゲント皇帝に押し付けてユーゲント皇帝が責任を取る形で皇位から退けば民達の怒りはある程度収まると思いますよ。」

「そ、それは…………」

「………………」

「待ってください!王政の国は”皇”がいないと成り立ちません!」

エイドスの説明に反論できないトワは悲痛そうな表情をし、クレア大尉は辛そうな表情をし、リィンは真剣な表情で反論した。



「ユーゲント皇帝の跡継ぎはいないのですか?例えばオリヴァルト皇子。貴方はエレボニア皇家の方なのでしょう?」

「”庶子”である私に皇位継承権はない。皇位継承権があるのはセドリックとアルフィンだ。」

「アルフィン皇女殿下はリィンに降嫁するからアルフィン殿下の皇位継承権は消滅する為、唯一の皇位継承権があるのはセドリック皇太子殿下だけになるが……」

「幾ら何でもセドリック殿下が皇位を継ぐのは早すぎるぞ。」

「下手したら政治能力が未熟である事を弱味に取られて、貴族達に利用されるかもしれないね……」

セドリック皇子が皇帝になるのはまだ早い事を理解していたラウラとユーシス、アンゼリカは重々しい様子を纏って呟いた。



「?まだ13歳のレン皇女が領主としての仕事を立派に務めているのですから、レン皇女より年上のセドリック皇子では無理なのですか?確かセドリック皇子はアルフィン皇女の双子の弟ですからレン皇女より年上のはずですよね?」

「レ、レン姫を比較対象にするって……」

「確かにレン姫は13歳という若さでありながら領主としての仕事を務めているが……」

「そもそも比較対象が間違っているし。」

「ハハ、レンちゃんはチートの塊やからなぁ。」

「あのねぇ……正直才能を言い訳にしたくないけど”殲滅天使”は”天才の中の天才”だから、13歳でも領主として務まるのよ。まだ成長しきっていない普通の皇族ならその年齢で領地経営なんて厳しいし、ましてや皇帝として振舞う事なんて不可能よ。」

心底不思議そうな表情をしているエイドスの疑問を聞き、仲間達と共に冷や汗をかいたアリサは表情を引き攣らせ、ガイウスは困った表情をし、ジト目で呟いたフィーの言葉を聞いたケビンは苦笑し、サラ教官は疲れた表情で指摘した。



「…………でしたら、セドリック皇子がエレボニア皇帝の跡継ぎとして成長するまでの間だけメンフィル皇家の方々に皇帝の”代理”を務めてもらったらどうですか?確かメンフィル皇家は優秀な皇族がたくさんいるのでしょう?」

「ええっ!?」

「他国の皇家の方に皇帝の代理を務めてもらうなんてことをしてしまえば、様々な問題が浮上してきますわよ……!?」

「というかそれってもう、メンフィルに隷属したも同然じゃん……」

「下手したらそのままエレボニア帝国が乗っ取られるでしょうね。」

「それにメンフィル皇家の方がそのような前代未聞な提案に応じてくれるとはとても思えません……」

エイドスの口から出た信じられない提案にエリオットは驚き、セレーネは信じられない表情で声をあげ、疲れた表情で呟いたミリアムの言葉に続くようにセリーヌは目を細めて答え、エリスは不安そうな表情で推測を口にした。



「リィンさんとアルフィン皇女達の重婚によってメンフィル皇家とエレボニア皇家は親戚同士になるのですから、それを理由にセドリック皇子の教育やメンフィル皇族達に荒れたエレボニア帝国の復興や国家経営の助力を頼んではどうですか?そもそも貴方達は重婚によって三国の皇家の縁が結ばれる事を理由にエレボニアが国として存続できるように情状酌量を求めているのですよね?」

「それはそうだけど……」

「例えエイドスさんの提案に応じたメンフィルがセドリック殿下が成長するまでという条件を守ってくれるかも心配になってきますよね……」

エイドスの指摘を聞いたゲルドは複雑そうな表情をし、エマは不安そうな表情で推測した。

「あくまで”提案の一つ”だと思って下さい。それにどの道エレボニア帝国は今回のような事が2度と起こらないように”国自体を改革する必要がある”と私は思っています。そしてその改革をするからには皇家も相応の責任を取る必要がある…………――――違いますか?」

「そ、それは…………」

「……つまりエレボニアの未来の為にも今までの政治体制を敷いていた父上は必要な―――いや、”邪魔な存在”になるからエレボニア帝国の政治から退場するべきだと言いたいのかい?」

エイドスの正論に反論できないアルフィン皇女は辛そうな表情をし、オリヴァルト皇子は真剣な表情で問いかけた。



「ありていに言えば。ユーゲント皇帝が皇帝の座から退く事……それは”ハーメルの悲劇”や内戦勃発等を始めとした”空の女神”である私ですらも許し難い様々な愚かな不祥事を起こしたエレボニアの”皇”であるユーゲント皇帝自身に対する私――――”空の女神”の”裁き”だと思って下さい。」

「……………………」

エイドスの話を聞いたその場にいる全員は重々しい様子を纏って黙り込んだ。そしてリィン達を静かに見回したエイドスは次の条件を口にした。


「三つ目は他国の領土を手に入れる為の暗躍を2度としない事です。当然その中には”ハーメルの悲劇”のような自作自演の暗躍も入っていますよ。」

「フン、自分の政策を空の女神が真っ向から禁じてきたと知れば、どんな反応をするだろうな、”鉄血宰相”は。」

「お、おい、ユーシス。」

「今は信じてもらえないだろうが、私達皇族は”ハーメルの悲劇”を今でも後悔し、ハーメルの民達にもいつか償いをしたいと思っている。それに私自身2度とあのような悲劇を繰り返す事を許さないし、私個人としても暗躍をして他国の領土を手に入れるというやり方も許せない。」

「お兄様…………」

エイドスの条件を聞いて鼻を鳴らしたユーシスの言葉を聞いたマキアスはミリアムやクレア大尉を気にしながら冷や汗をかき、決意の表情で語るオリヴァルト皇子をアルフィン皇女は呆けた表情で見つめていた。



「まあ、オジサンが生きていたら無視するか抜け道を見つけてやりそうだね~。ちなみにもし破ったらどうなるの~?」

「その時は…………―――その暗躍をした愚か者達を”外法”扱いし、”星杯騎士団”の皆さんに”狩って”もらいます。」

「なっ!?」

「か、”狩る”って……!」

「ま、まさか殺すのでしょうか……?」

ミリアムの質問に答えたエイドスの答えを聞いたリィンは驚き、アリサは信じられない表情をし、セレーネは表情を青褪めさせて尋ね

「……貴方達は反論しないのか?殺人を強要されているのに。」

ガイウスは真剣な表情でセルナート総長達を見つめて尋ねた。



「無駄よ。”外法”を”狩る”のもそいつらの役目の上、ましてや崇めている存在である”空の女神”直々の勅命なんだから、躊躇う事なく実行するでしょうね。」

「ええっ!?それってどういう事!?」

セリーヌの指摘を聞いたエリオットは驚いた後信じられない表情で尋ね

「……”星杯騎士団”には”古代遺物(アーティファクト)”の回収以外にも役目があるのですが……その役目とは後戻りできない”大罪人”――――”外法認定”された者を”狩る”のも彼らの役目なんです。」

「……七耀教会の”星杯騎士団”という組織の役目の一つが”外法”を”狩る”という事は、七耀教会の一番偉い人も認めているという事なの?」

クレア大尉の説明を聞いたゲルドは悲しそうな表情で尋ねた。



「―――その通りだ。”星杯騎士の心得”というものが我らにあってな。その中には『外法、滅すべし』という心得もあり、七耀教会が”外法認定”した者を”狩る権限”が我ら”星杯騎士団”にあるのだ。」

「当然”外法認定”には教皇も関わっているわ。」

「そ、そんな……七耀教会が殺人を認めているなんて……」

「しかも教皇様まで関わっているなんて……」

「それが七耀教会の”闇”という事ですか……」

セルナート総長とルフィナの説明を聞いたエリスとトワは信じられない表情をし、エマは重々しい様子を纏って呟き

「七耀教会が崇めているあんた自身の”勅命”とあらば、絶対に守るでしょうね……個人的に暗躍をして領土を手に入れる事は気にいらないけど、幾ら何でも”外法認定”はやりすぎじゃないかしら?」

サラ教官は厳しい表情でエイドスに問いかけた。



「女神である私自身を味方にし、更に私が現代を去った後に衰退した自国の領土を広げる為にまた同じ事を繰り返す等虫が良すぎる話の上、都合の悪い時だけ私を利用したという事にもなるでしょう?”女神”である私の出した条件を守らず、私を利用した愚か者は”外法”としか思えないのですが?」

「それは………………」

「…………ちなみに期間とかあるのか?」

エイドスの答えを聞いたアンゼリカは仲間達と共に複雑そうな表情をし、ある事が気になったトヴァルは尋ねた。



「期間はありません。今後永遠にエレボニア帝国による暗躍で他国の領土を手に入れた事が判明した際は直ちにその国に返還すると共に賠償をし、暗躍をした者達を七耀教会に引き渡し、その者達を七耀教会に”狩って”もらいます。当然例外は認めませんので、その暗躍をした者達が貴族や皇族でも七耀教会に引き渡してもらい、”狩って”もらいます。」

「―――つまりエレボニア帝国はかつてない衰退が待っている上、しかも2度と暗躍によって領土を広げられないって事だね。」

「……………………」

「ハハ……まさに”女神の裁き”だね…………」

「その……もしその者達を引き渡さなかった場合はどうなるのですか……?」

エイドスの話を聞いたフィーは真剣な表情で呟き、ユーシスは重々しい様子を纏って黙り込み、オリヴァルト皇子が疲れた表情で呟いている中、アルフィン皇女は不安そうな表情で尋ねた。



「―――その際は何らかの方法で”暗殺”します。何せ”空の女神”直々の勅命とあらば、絶対に守らないとダメですからな。」

「ケビン…………」

「ま、空の女神の出した条件を守らないなんていう怖いもの知らずな事をしないとは思うけど、もし本当にした場合は容赦なく狩らせてもらうよ。」

冷酷な笑みを浮かべるケビンをリースは心配そうな表情で見つめ、ワジは真剣な表情でオリヴァルト皇子達と見つめて答え

「く……ッ……!貴女は女神なのに罪を償わせる事もさせずに人の命を奪う事に何も思わないのですか!?」

「兄様………」

ケビンとワジの答えを聞いて唇を噛みしめて真剣な表情でエイドスに問いかけるリィンをエリスは辛そうな表情で見つめていた。



「綺麗事や理想だけで世界は平和になりませんし、”大罪”を犯した者にはその命を持って償ってもらわなければその者によって被害を受けた者達が納得しません。それは内戦や異世界の大国との外交問題を経験した貴方もよくおわかりなのでは?そもそも”女神”である私を何の”代償”もなく、味方にする等虫が良すぎる話ですし、貴方達が救おうとしている人物達――――テロリストのリーダーと世界中で暗躍していた裏組織の幹部も一般的に考えれば処刑されて当然の立場ですよ。もし貴方達がその二人と何の関わりもなければ、その二人の処刑を当然と思い、減刑の為に動く事はないでしょう?」

「ッ……!!」

「エイドス…………」

「……………………」

厳しい意見でリィンを黙らせるエイドスをフィーナとアドルは複雑そうな表情で見つめていた。



「――――話を戻します。四つ目は私はメンフィルとクロスベルに対してあくまで”意見”をするだけで、”空の女神”としての”勅命”はしません。」

「え……それじゃあメンフィルとクロスベルが貴女の意見を無視した時は……!」

エイドスの言葉を聞いたアリサはある事に気付くと表情を青褪めさせ

「その時はそれがエレボニアの運命だと思って諦めてください。」

「そ、そんな……」

「……二国が女神の意見に対してどのような反応をするかが鍵となるだろうな。」

エイドスの答えを聞いたエリオットは肩を落とし、ラウラは重々しい様子を纏って呟いた。



「五つ目は私―――”空の女神”と七耀教会の”試練”を受けてもらい、それに合格してください。」

「”試練”……もしかして私達が三国で受けた”試練”の事を言っているの?」

エイドスの口から出た予想外の話にゲルドは目を丸くして尋ねた。

「はい。”女神”である私を味方にした上、公の場に出席させようとしているのですから、三国の件同様皆さんに”試練”を受けて貰うのは当然でしょう?」

「そ、それはそうですが……私達はどなたと戦えばいいのですか?」

「まさかとは思うけど”守護騎士(ドミニオン)”とも戦えって言うつもりかしら?」

エイドスの問いかけにエマが戸惑いの表情をしている中、セリーヌは目を細めてセルナート総長達を見つめた。



「ええ、私が選出する方達もそうですが、七耀教会が選出する方達の中から必ず”聖痕(スティグマ)”の使い手とも戦ってもらいます。あ、でもアインさんと戦う必要はありませんよ?さすがに実力が違いすぎますから。」

「フッ、少々残念だな。」

「いや~、君らマジでよかったな~。総長を相手にする必要がないだけ、まだマシやで?」

「そうね。言葉通り”女神の御慈悲”ね。」

エイドスの話を聞いたセルナート総長が口元に笑みを浮かべている中ケビンとルフィナは苦笑し

「フフ、けど僕達の事を甘く見て貰っては困るよ?」

「私達―――七耀教会が崇める存在にして真の主である”空の女神”直々の勅命とあらば、”星杯騎士”として全力で皆さんの試練の相手を務めさせて頂きます。」

ワジは口元に笑みを浮かべてリィン達を見つめ、リースは静かな表情で答えた。



「え~と、エイドス。もしかしてその”試練”で君が選出する彼らの相手って僕達の中からも選出するのかい?」

「はい。アインさんの件同様私が務めた場合”試練”にもなりませんので。」

冷や汗をかいたアドルの質問にエイドスは静かな表情で答え

「私は正直遠慮したいのですけど……今回の場合は仕方ないですね。」

「フフ、そうね。」

フィーナの言葉にクレハは苦笑しながら答えた。

「何だか”影の国”の”試練”を思い出しますね。」

「アハハ、そうですね。まさか今度は自分自身が”試練”の相手を務める事になるとは思いませんでしたが。」

「私はできれば遠慮したいの……」

エレナとナユタが互いの顔を見合わせて苦笑している中、ノイは疲れた表情で呟いた。

「フフ、心配しなくてもお母様達―――女性陣から選出するつもりはありませんよ。」

「じょ、女性陣から選出するつもりはないって事は……」

「僕とアドルさんしか残っていないじゃないですか……」

フィーナ達を見つめて苦笑しながら答えたエイドスの言葉を聞いて”試練”の相手は自分達が務める事が既に決定している事を察していたアドルは表情を引き攣らせ、ナユタは疲れた表情で肩を落とした。



「ハハ……七耀教会の使い手達と遥か昔の”英雄”達が相手か。ようやく超えられたと思ったら、最後の最後にとんでもない”壁”が立ちはだかってきたね。」

「ですが、我らが一丸となれば超えられるはずです。」

「う、うん!私達ならきっと大丈夫だよ!」

「フン、全勝して女神達の度肝を抜いてやるぞ。」

苦笑するオリヴァルト皇子に答えたラウラの言葉にトワは頷き、ユーシスは鼻を鳴らしてエイドス達を見つめた。



「なお、私と七耀教会の”試練”には三国の”試練”同様メサイアさん以外の皆さんが”契約”している異種族の方達の参戦は不可とし、どの”試練”にも”Ⅶ組”の方に参加してもらいますが……そこに”特別ルール”を加えさせてもらいます。」

「と、”特別ルール”ですか?」

「一体どんな内容なの?」

エイドスの言葉が気になったエリスは戸惑い、フィーは真剣な表情で尋ねた。そしてエイドスは以下の三つのルールを口にした。





1、一度”試練”に参加した者は重複して他の”試練”に参加できない。



2、”試練”は全部で3回あり、それぞれの”試練”に参加できる人数を制限するかつ全ての試練に”Ⅶ組”のメンバーが最低一人は参加する事。※1戦目は”試練”の相手が二人に対して、Ⅶ組側は8人。2戦目は”試練”の相手が1人に対して、Ⅶ組側は3人。最後の3戦目は”試練”の相手が一人に対してⅦ組側は4人



3、最後の三戦目はリィンとアルフィン皇女が参加する事 
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