英雄伝説~運命が改変された少年の行く道~(閃Ⅱ篇)
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第153話
~カレイジャス・ブリーフィングルーム~
「お兄様!?」
「クレア!?それにレクターも!」
「トヴァル殿まで………!」
オリヴァルト皇子達の登場にアルフィン皇女やミリアム、ラウラは驚き
「よ、ご苦労だったみてーだな。」
「……お疲れ様です、皆さん。先日は騙すような事をしてしまい、申し訳ありませんでした。」
「……最悪の結果になっちまったが……まだ可能性は残っているぜ。」
レクター少尉は複雑そうな表情でリィン達を見回し、クレア大尉は申し訳なさそうな表情で頭を下げ、トヴァルは真剣な表情でリィン達を見回した。
「それって……」
「滅びに向かっているエレボニアの今の状況を何とかできる方法があるのか!?」
トヴァルの言葉に反応したエリオットは目を丸くし、ユーシスは信じられない表情で尋ね
「ゲルドさんが言っていた”希望の未来の可能性”ですか……」
「……一体どんな方法なのよ。」
エマは真剣な表情で考え込み、セリーヌは不思議そうな表情で尋ねた。
「―――既に皆さんもご存知かと思いますが私は昨日プリネ姫の元に訪れ、皆さんに戦争回避条約の期間が切れた事を士官学院を奪還した日だけは教えないように嘆願し、それを受け入れて貰いました。――――そしてその後帰り際にプリネ姫にある”助言”をしてもらったのです。」
「え……プリネ姫がですか?」
「じょ、助言……?一体何の助言なのでしょうか?」
クレア大尉の話を聞いたエリスとマキアスは戸惑いの表情で尋ね
「それは勿論、エレボニアが”国”として生き延びる方法だよ。」
「クク、正直聞いたらマジで驚くぜ~?」
オリヴァルト皇子が静かな表情で答え、レクター少尉は口元に笑みを浮かべた。
「ええっ!?そ、そんな方法があるんですか!?」
「……既に帝都まで制圧された上エレボニアの領土のほとんどが制圧されたのに、そんな方法があるとはとても思えないのだけど。」
「一体どのような起死回生の方法なのでしょう?」
「もったいぶらずに教えてよ~!」
二人の答えを聞いたアリサは驚き、フィーとラウラは不思議そうな表情をし、ミリアムは興味ありげな表情でオリヴァルト皇子達を見つめて言った。
「フム……その前にいくつか確認したい事があってね。アルフィン、こんな状況になってしまったけど例の”救済条約”にあったリィン君との婚姻の件はまだ実行するつもりはあるかい?」
「え?はい、勿論ですわ。わたくしはリィンさん以外の殿方に嫁ぐつもりはありませんし、メンフィルにお父様達の”処分”を軽くしてもらう為に状況が落ち着いたらリィンさんに嫁ぐつもりでしたけど。」
「ええっ!?」
「姫様!?こんな時にも抜け駆けをするつもりだったのですか!?」
「あ~、話が進まないから”そう言う事”に関してはあたし達の居ない所でやってちょうだい。」
オリヴァルト皇子の問いかけに答えたアルフィン皇女の答えを聞いたリィンは驚き、エリスはアルフィン皇女を睨み、その様子を見ていたその場にいる全員は冷や汗をかいて表情を引き攣らせた後、サラ教官が呆れた表情で制止した。
「そんで次はセレーネ。あんたは自分の保護者の”蒼黒の薔薇”からリィンと将来結婚する事は許して貰っているんだよな?」
「え?はい、勿論ですわ。」
レクター少尉に尋ねられたセレーネは不思議そうな表情で頷き
「それとリィン。お前さんが契約している異種族―――メサイアを今この場に呼んでくれないか?そいつに頼みたい事があるんだ。」
「え……メサイアをですか?わかりました。――――メサイア!!」
トヴァルに促されたリィンは不思議そうな表情をした後メサイアを召喚した。
「あの……私に頼みたい事とは一体……」
「メサイアさん。突然の頼み事で戸惑うと思いますが、リィンさんと婚約して頂けないでしょうか?」
戸惑いの表情をしているメサイアにクレア大尉は真剣な表情で尋ね
「え………」
「ク、クレア大尉!?突然何を……!?」
クレア大尉の頼みにメサイアが呆けている中、リィンは慌てた様子で尋ねた。
「え、えっと……アルフィン皇女殿下達にリィン君との婚約の件を確認していますけど、もしかしてそれがエレボニアが”国として生き延びる方法なのですか”?」
「おや……」
「へえ~、中々鋭いじゃねえか。さすがは各方面から引っ張りだこの生徒会長だな。」
トワの質問を聞いたオリヴァルト皇子は目を丸くし、レクター少尉は興味ありげな表情でトワを見つめていた。
「ええっ!?リ、リィン達の結婚がですか!?」
「へえ?何だか面白い展開になってきたね♪」
「え、え~っと……ちなみにプリネ君はクレア大尉にどういう助言をしたのですか?」
二人の答えを聞いたエリオットは驚き、アンゼリカは口元をニヤニヤさせ、ジョルジュは冷や汗をかいて表情を引き攣らせながら尋ねた。
「私の去り際にプリネ姫は私にこう助言なさいました。―――『エレボニアが例え多くの領地を失ってでも”国”として存続できる方法を探るのならば、リィンさんとアルフィン皇女、そしてセレーネとメサイアさん……この4人とリィンさんの”女運”が鍵となるかもしれません』、と。」
「プ、プリネがそんな事を!?」
「一体どういう意味なのだ……?」
クレア大尉の話を聞いたアリサは驚き、ラウラは考え込み
「フフ、ある意味リィンらしい方法よ。」
「その様子ではゲルドはどんな意味なのかわかっているのか?」
「もったいぶらずにボク達にも教えてよ~!」
微笑みながら答えたゲルドの答えを聞いたガイウスは不思議そうな表情をし、ミリアムは頬を膨らませて指摘した。
「リィンの”女運”って言葉も引っかかるよね……」
「……先程殿下達にリィンとの婚約の件を聞いていたのと恐らく関係があると思うのだが…………」
「…………待てよ。――――リーヴェルト大尉、”クロスベル帝国”の今の皇帝は誰だ?」
フィーとマキアスが考えている中、何かに気付いたユーシスは驚きの表情でクレア大尉に尋ねた。
「現在のクロスベル皇帝は”六銃士”の”黄金の戦王”ヴァイスハイト・ツェリンダーと”紅き暴君”ギュランドロス・ヴァスガンです。」
「え……こ、皇帝が二人もいるのですか?」
「ギュランドロスさんがクロスベルの皇帝……」
「それにヴァイスハイトさんと言えば、メサイアさんの…………」
クレア大尉の話を聞いたエリスは戸惑い、ガイウスは呆け、セレーネはメサイアに視線を向け
「アハハ……生まれ変わっても皇帝へと成り上がるなんて、やっぱりお父様はお父様ですね……」
メサイアは苦笑していた。
「!!そうか……それなら、確かにエレボニアが国として生き延びる可能性が出て来たな……!」
「フフ、なるほど。まさにリィン君ならではの方法だね♪」
「ええ……普通ならありえませんが、その方法なら可能性が出てきましたね。」
その時何かに気付いたユーシスが目を見開いて声を上げ、アンゼリカは口元に笑みを浮かべ、ラウラは苦笑し
「え、えっと……?」
「フフ、どうやら三人もわかったようだね。」
三人の様子を見たアルフィン皇女は戸惑い、オリヴァルト皇子は静かな笑みを浮かべ
「だから、もったいぶらずにいい加減ボク達にも教えてよ~!」
ミリアムが不満そうな表情で声を上げた。
「クク、いいぜ。その方法とはズバリ、リィンがアルフィン皇女殿下、セレーネ、メサイアの3人と結婚する事だ!」
「………………………」
そしてレクター少尉が答えるとその場は静寂に包みこまれ
「えええええええええええええええええええええええっ!?」
事情がわかっている一部の者達を除いて全員声を上げて驚いた!
「レ、レクター少尉!?何で俺と殿下達の結婚が関係してくるんですか!?」
逸早く我に返ったリィンは信じられない表情で尋ね
「クク、3人の”身分”を思い返してみろよ。」
リィンの様子を面白そうに見ていたレクター少尉は口元に笑みを浮かべて答えた。
「ア、アルフィン皇女殿下達の”身分”……?」
「一体どういう事だ?」
レクターの答えを聞いたエリオットは戸惑い、ガイウスは不思議そうな表情をした。
「―――アルフィンは言うまでもなくエレボニアの”皇族”だ。そしてセレーネ君は養子とは言え、メンフィル皇族の一員。そこで君達に聞くがクロスベルの皇帝となったヴァイス――――ヴァイスハイト・ツェリンダー皇帝の娘であるメサイア君は今はどんな身分になるかな?」
「へ?………………ああっ!?」
「……現クロスベル皇帝の娘であるメサイアはクロスベル皇族の一員という事になります。そして、各国の皇族である殿下達がリィンと婚約をすれば……」
オリヴァルト皇子の問いかけを聞いたマキアスは呆けた後何かに気付いて驚きの表情で声をあげ、ラウラは真剣な表情でメサイアを見つめた後リィン、セレーネ、アルフィン皇女を順番に見回した。
「ア、アハハ……私にもわかりましたわ。―――つまり私とセレーネさん、そしてアルフィン皇女がリィン様と結婚するか婚約を結ぶ事で、エレボニア、メンフィル、クロスベルの三国の皇族がリィンさんを介して婚姻を結んだ事になり、それを理由にメンフィルとクロスベルに情状酌量を求めるのですね?」
その時答えに気付いたメサイアが冷や汗をかいて苦笑しながらオリヴァルト皇子達に問いかけ
「フッ、その通り♪」
オリヴァルト皇子が笑顔で答えた。
「な、なななななななななっ!?」
「はわわわわわっ!?で、でも確かにその方法ならエレボニアが国として生き延びれるかも……」
「まさかここに来て兄様の”そう言う所”が役に立つなんて……」
「うふふ、まさかわたくし自身が結婚する為の最初の方法が鍵となるなんて、驚きましたわ♪」
オリヴァルト皇子の答えを聞いたアリサとトワは混乱し、エリスは疲れた表情をし、アルフィン皇女は嬉しそうな表情をし
「え、え~っと……この場合なんて言えばいいのかな……?」
「フフッ、ハーレムを築く事で国を救うなんて、脱帽したよ。」
「クスクス……だから言ったでしょう?みんなも絶対驚くって。」
「ア、アハハ……リィンさんらしいと言えばらしいですね……」
「そ、そうですわね……確かにお兄様ならではの方法ですわね……」
「もはや呆れを通り越して感心に値するわね……」
ジョルジュは表情を引き攣らせ、アンゼリカは口元をニヤニヤさせ、ゲルドは微笑み、エマとセレーネは苦笑し、セリーヌは呆れた表情でリィンを見つめた。
「リ、リィン……君って奴は……」
「でもその方法でエレボニアが国として生き延びれるかもしれないから、僕達は何も言えないよね……」
「フッ、まさにエレボニアの”英雄”だな。」
「フフッ、確かに”国を救う”事になるのだから、そうなるな。」
「”英雄色を好む”って諺通りだね。」
マキアスは呆れた表情でリィンを見つめ、エリオットは苦笑し、からかいの表情をしているユーシスの言葉にガイウスは静かな笑みを浮かべて頷き、フィーはジト目でリィンを見つめた。
「ほえ~……確かにそれならエレボニアが滅亡せずにすむ可能性が出て来たね~……」
「ア、アハハハハハハハハッ!さすがは多くの皇族達に加えて”氷の乙女”すらも落とした色男ね~?」
「全くだぜ。この超生真面目女まで落とした話を聞いた時はリィンがギリアスのオッサンの息子だって知った時よりも驚いたぜ~?」
「サ、サラさん!?それにレクターさんも!今の件と私の件は関係ないでしょう!?」
ミリアムが呆けている中、腹を抱えて笑い続けるサラ教官と口元をニヤニヤさせるレクター少尉にクレア大尉は顔を真っ赤にして指摘した。
「……………………」
(アハハハハハハハハッ!さすがは多くの”皇族”を落としたご主人様ね♪)
(まさか重婚で”国を救う”とは……これはさすがの私も予想外です。)
(私もマスターの罪作りな所が役に立つ時が来るとは思いませんでした。)
(クスクス、リィン以外では絶対に不可能な方法ね。)
リィンが石化しているかのように固まっている中、ベルフェゴールは腹を抱えて笑い、リザイラは静かな笑みを浮かべ、アルティナは目を丸くし、アイドスは微笑んでいた。
「さてと。話を戻すが、メサイア君。リィン君と結婚する意志はあるかい?」
「えっと…………リィン様が構わないのでしたら、私は構いませんが……」
オリヴァルト皇子に問いかけられたメサイアは頬を赤らめてリィンを見つめながら答え
「うふふ、決まりですわね♪」
「で、殿下!?俺の意志はどうなるんですか!?」
嬉しそうな表情で答えたアルフィン皇女の話を聞いたリィンは我に返り、慌てた様子で尋ねた。
「おいおい、まさかとは思うがアルフィン皇女殿下達と結婚をしないつもりじゃないよな?エレボニアが国として生き延びる方法の可能性はマジでそれしか今の所ねぇぞ?他にも方法があるなら言ってみろよ?というかお前の場合、もう既にたくさんいるんだから、”今更”一人二人増えても問題ないだろ~?」
「うっ……!そ、それは…………」
しかし口元をニヤニヤさせるレクター少尉に問いかけられると冷や汗をかいて答えに詰まり
(ニシシ、レクター、滅茶苦茶楽しんでるね~。)
(ミ、ミリアムちゃん。)
ミリアムの小声を聞いた隣の席にいるエマは冷や汗をかいた。
「それに三国の皇族達がお前さんとの重婚によって婚姻を結んだ事により三国の皇族達同士にそれぞれ”縁”ができたとなれば、国際的にも明るい話になって、恩赦が出てお前さん達が助けたい二人を減刑できる可能性もあるから、少なくても”処刑”は免れる事ができる可能性も十分にあるぜ?」
「そ、それは…………~~~~~~っ!ううっ……わかりました…………」
そしてトヴァルの話を聞いて口ごもったリィンは頭を抱え込んで悩みぬいた末、疲れた表情で頷いた。
「フッ、決まりだね♪あ、リィン君の妻としての序列は後で君達が仲良く相談して決めてくれたまえ♪無論、アリサ君達も交えてね♪」
「うふふ、勿論そのつもりですわ♪」
「アハハ……わたくしは別に順番は気にしないのですが。」
「その……私もリィン様と結婚できれば、順番は気にしませんわ。」
オリヴァルト皇子の言葉にアルフィン皇女は嬉しそうな表情で頷き、セレーネとメサイアは苦笑し
「リィンさん……」
「リィン君……わたしもお嫁さんにしてくれるって言ってくれたよね……?」
「一晩でエマだけじゃなく、その娘まで……アンタ、本当に節操がないわね。」
不安そうな表情でリィンを見つめるエマとトワの様子を見たセリーヌはジト目でリィンを見つめた。
「ト、トワ会長!?」
「い、委員長どころか会長まで……」
「おや。まさかあの夜にトワ以外も攻略し終えていたとはねぇ?クロウが今のリィン君の状況を知ったらさぞ悔しがるだろうね♪けど、そのリィン君の今の状況で助かるからクロウは文句すらも言えないね♪」
「リィン、そなた……懲りずにまた罪を重ねたのか。」
「阿呆が……」
「………………あの後いいんちょと会長を落としていたんだ。」
トワの言葉とセリーヌの言葉を聞いたマキアスは驚き、エリオットは表情を引き攣らせ、アンゼリカは口元をニヤニヤさせ、ラウラは真剣な表情でリィンを見つめ、ユーシスは呆れ、フィーは怒気を纏ってリィンを見つめた。
「へ、へぇ?まさか一晩で二人も増やすなんて、私も驚いたわよ?リ・ィ・ン~~~~~??」
「全てが終わった後、詳しく聞かせて頂きますからね?に・い・さ・ま~~~~~??」
「……リィンさん?全部終わった後にお説教がありますから、覚悟していてくださいね??」
「……………………」
(ヒッ!?い、いい加減にその癖は止めてよ、リィン~!)
(もっと爆発しなさいこの超鈍感にして超リア充男!)
膨大な威圧を纏って微笑むアリサとエリス、クレア大尉に一斉に見つめられたリィンは表情を青褪めさせて身体を震わせ、それぞれの主の身体の中にいるミルモはアリサを怖がり、ヴァレフォルはリィンを睨み、その様子をその場にいる全員は大量の冷や汗をかいて見守っていた。
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