転生とらぶる
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機動戦艦ナデシコ
1341話
連合軍との共同作戦は、驚く程にあっさりと終わった。
いやまぁ、その最大の原因は、俺がカトンボやヤンマはともかく、木星蜥蜴の本拠地から地球に戦力を転移させる役目のチューリップを仕留めたからだろうが。
正確には仕留めたのではなく空間倉庫に収納したのだが。
生き物を収納出来ないという欠点……もしくは艦の中に誰かが潜んでいるのを見つける事が出来るという意味では利点でもあるんだろうが。
ともあれ、その能力により俺は無人機に対しては絶対的なアドバンテージを持つ。
まぁ、ディストーションフィールドを展開していれば、それを解除するのを待つしかないが。
無理をすれば自力でも突破は出来るだろうけど、そうすればどうしても目立ってしまう。
折角20m近い機体が戦闘を行い、木星蜥蜴の注意もそっちに集中してるのだから、わざわざ目立つ必要はない。
俺がやるべきなのは、こっそりと忍び寄って装甲へと触れ、空間倉庫に収納するだけだ。
そして、今回の件に関してはそれがこれ以上ない程に成功した。
向こうが幾ら戦力をこっちに送りたくても、そもそもチューリップがなければどうしようもない。
その結果、木星蜥蜴はシャドウミラーの質に量で対抗出来ず一方的に撃破されていった訳だ。
連合軍の戦艦や戦闘機といった戦力もある程度の成果を上げる事が出来たし、ミスマルの株も上がるだろう。
で、連合軍との共同作戦が終わった後で俺達が何をしているのかと言えば……
「いや、凄いですねシャドウミラーの戦力は。私達はあれ程木星蜥蜴に苦戦していたというのに、まさかここまで圧倒的だとは……火星で行われた映像は見せて貰いましたが、どこか作り物ではないかと思っていたんです。お恥ずかしい」
連合軍主催の祝勝パーティに呼ばれていた訳だ。
笑みを浮かべ、俺に取り入ろうとしている男は確か連合軍の極東方面軍の中でも結構なお偉いさんだったと聞いている。
ミスマルと対立している相手で、そもそも今回の件でミスマルを推薦したのもこの男だとか。
本来ならさっきこの男が口にしていたように、火星の戦いの映像は合成映像とかだと思っていたのだろう。
ところが、実はそれは本物で、陥れようとしたミスマルが得点を稼いだので、負けてはいられないと俺に擦り寄ってきているらしい。
あやかがパーティの中で得た情報を教えてくれたので、間違いない。
「そうだな。シャドウミラーとしても決して油断していい相手ではないが、逆に言えば油断さえしなければ問題のない相手でもある」
「シャドウミラーの軍隊は素晴らしいですな。どうでしょう? もし良ければ私が口を利いてシャドウミラーと連合軍の関係を今よりも良くする事が出来るのですが」
そう告げる男の言葉に、少し考える。
この目の前の男は、こうして話した感じだと間違いなく小物としか言えない男だ。
だが、そんな小物であるにも関わらず、ミスマルのライバルという立場になっているのも事実。
ミスマル自身は極東方面軍の中でも上から数えた方が早いだけの実力者である以上、自然とこの小物の地位も高い訳だ。
……こうして見る限りだと、とてもそんなに高い地位にいるだけの能力があるとは思えないんだけどな。
コネとか裏金とかそんなので上に来たんだとすれば、連合軍も結構腐敗しているのか?
まぁ、実はこう見えて高い実力を持っているとかで、俺に見る目がないだけって可能性もあるけど。
もっとも、こういう小物は味方にいれば厄介だが、敵にいれば便利だ。……今の連合軍は敵じゃないが。
「そうだな、考えておこう。これからもシャドウミラーと連合軍のために頑張ってくれ」
それだけに、こういう存在はいざという時の為に子飼いにしておくに限る。
まぁ、シャドウミラーに来られたら使い勝手が悪くて非常に困るんだろうけど。
倉庫整理辺りを……いや、横領とかしそうだな。博物館の職員……知識が足りなさそうだな。システムXNの担当……いやいや、それは有り得ない。牧場でワイバーンの飼育員……餌になるだけだな。いや、それもいいか? いっそ牧場の土産物屋の店員でもやって貰うのも……レジの代金をくすねそうだな。土産物屋の荷出し担当? レジの代金よりはマシだが、商品をパクりそう。いっそ、マブラヴ世界の火星に派遣して、そこでBETAの死骸をコンテナに詰める単純作業でもさせるか?
「ええ、ええ。勿論ですとも。何かあった時は是非私を通して……」
俺が何を考えているのか理解していないのか、男は嬉しそうに告げるとそのまま去って行く。
その背を見送り、取りあえずこれでお偉いさんからの挨拶は一段落した事にようやく安堵の息を吐く。
祝勝パーティという事になってはいるが、実際は連合軍や連合政府とシャドウミラーの関係を深める為の懇親会のようなものだよな。
まぁ、それでも連合軍が開いているパーティだけあって料理は美味いが。
「アクセル君、お疲れ様」
円が笑みを浮かべながら俺に冷たいウーロン茶の入ったコップを渡してくる。
ここでアルコールを選ばない辺り、俺の事をよく分かっているよな。
「こういうのはエザリアに任せておきたいんだけど、何でわざわざ俺が出る必要があるのやら」
「そう言ってもね。向こうにとってはシャドウミラーのトップがいるんだから、出来れば参加して貰いたいと思うのは当然でしょう? それに、エザリアに比べるとアクセル君の方がまだ与し易いと思っているんでしょうね」
「……それは否定出来ない事実だけどな」
政治が専門のエザリアと、特殊部隊の実働班を率いていた俺。どっちが交渉相手としてやりやすいかと言われれば、それは当然俺だろう。
もっとも、これは懇親会である以上、露骨な交渉をしてくる奴はいないが。
「料理は美味いんだから、ゆっくりと食べたいよな」
「火星の料理は美味しくないって話だったけど、地球に来ればきちんと美味しい料理があるのね」
「火星の料理が不味いってのは、地面に栄養がないから素材が不味いせいらしいしな。地球は全くそういうのは関係ないから、普通に美味い料理が食える訳だ」
そう呟いた瞬間、不意に大声が聞こえてくる。
「お離しなさい! 私は、貴方のような方とお付き合いするつもりは一切ありません!」
その声が誰の声なのかというのは、俺も円も当然知っていた。
『あやか?』
奇しくも、俺と円の声が重なる。
しかもその声はかなり不愉快な色を感じさせており、色々と不味い事態になりそうな気さえしている。
円と顔を合わせてお互いに頷くと、そのまま声の聞こえてきた方へと向かって進んでいく。
声の聞こえてきた方へと進むにつれ、パーティに参加していた客達がある一定の方を見ているようになる。
そうして1分も掛からずに声の聞こえてきた方へと到着した俺と円が見たのは、不愉快そうな表情であやかが連合軍の軍人……将校と思しき中年の男を睨み付けている光景だった。
「ひっく、おい姉ちゃん。お前俺にそんな口を利いてもいいと思ってるのか? 俺を誰だと思ってやがる? 俺はなぁ、連合軍の少将様だぞ!」
40代くらいのあの男は、どうやら少将らしい。
少将と言えばかなりの地位なのは間違いないが……にしても、何だってあんな奴が少将なんだ?
隊長とその部下といった感じで明確な階級がないシャドウミラーの俺が言うべき事じゃないかもしれないけど。
「少将だろうがなんだろうが、関係ありませんわ。いえ、そもそも少将という地位にある方が嫌がっている女を強引に連れ出そうとするなど言語道断!」
「ひっく……んだと、姉ちゃん。お前、俺に逆らってどうなるか分かってるんだろうなぁ!」
このやり取りを聞く限り、連合軍の軍人が酔っ払ってあやかにちょっかいを出してきたって訳か。
で、それをあっさりと断られて頭に血が……と。
「うわぁ。連合軍にとって、今回のパーティってかなり大事なものの筈でしょ? なのに、こんな事をしてもいいのかしら? あの人、少将って言ってたけど、間違いなくパーティが終わったら酷い目に遭いそうな気がするんだけど」
「だろうな。まぁ、あの少将はあやかをシャドウミラーのメンバーと思っていない可能性も高い気が」
このパーティには、当然連合軍からもそれぞれが自分の知り合いとかを連れて参加しているし、中にはウェイトレスやウェイターといった者もいる。
そういう面子とあやかを勘違いした可能性も捨てきれないんだろうが……
「貴方が誰であろうと構いません。酒は飲んでも飲まれるなという言葉をご存じないのですか? 全く、見苦しい」
う゛っ……あやかの言葉は、少将だけではなく俺にも突き刺さる。
何度も酒を飲んで暴走した実績があるだけに、何も言い返す事が出来ない。
そんな俺の様子を、隣の円は苦笑を浮かべて笑っていた。
「ふふっ、アクセル君には確かに痛い一言かもね。……それで、どうする? 大きな騒ぎになる前に止めた方がいいと思うけど」
「止めた方がいいのは間違いないだろうけど、俺が出て行くと色々と不味くないか?」
俺はシャドウミラーの代表であり、その俺が出て行って騒ぎを大事にしてしまえば、連合軍とシャドウミラーの関係は間違いなく悪化する。
少なくても、傍から見ている者達にとっては連合軍が面白くなさそうだと思い込んでもおかしくはないだろう。
「けど、このまま放っておくとこの会場が火の海になるわよ? それともあやかだから、氷の彫像かしら?」
あやかは基本的にどんな属性の魔法も満遍なく使いこなす。
こういうタイプは、良く言えばオールマイティー、悪く言えば全てにおいて中途半端って事になるんだが、あやかの場合はそれに当て嵌まらないんだよな。
元々の能力の高さもあるんだろうが、オールマイティーを1歩前に進めた万能とでも呼ぶべき能力になっている。
その中でも特に得意なのは、氷の魔法だ。
これは、あやかの魔法の師匠が氷の魔法を得意とするエヴァだった事に影響する。
ともあれ、俺の従者4人……あやか、千鶴、円、美砂の中でもっとも攻撃魔法に秀でたのがあやかだ。
ちなみに、純粋な攻撃手段となると純炎の涙というアーティアファクトを使って炎を自由自在に生み出せる円が上がる。
そんな俺達の視線の先では、酔っ払いの少将があやかに向かって散々に怒鳴り散らしていた。
勿論あやかの方も言われっぱなしという訳ではなく、寧ろ存分に言い返す。
連合軍の方でも、このままでは色々と不味いというのは理解しているのだろう。何人かのお偉いさんが色々と指示を出し始めている。
そうして、やがて何人かの軍人がその場へと向かい、同時にシャドウミラー側からもムウが姿を現す。
アウルやイザークじゃなくて良かったと言うべきか。
スティングも何だかんだと仲間思いだけに、あやかと敵対しているあの男に対してはどんな手段を取るか分からないしな。
「うるせえっ! 俺に命令する気か!?」
そんな怒鳴り声が周囲に響く。
仲間に窘められた男が、仲間の手を振り払ったのだ。
「大体、こいつらを本当に信用していいと思ってるのかよ! こいつらが木星蜥蜴の正体じゃないって保証はどこにもないんだぞ! 地球を侵略する為にこうして味方の振りをして出て来たって考えてもおかしくないだろ!」
叫ぶ男。
……ちっ、少し不味いな。
男が叫ぶのはともかく、それを聞いて何人かの軍人が反応を示した。
プロスペクターが言ってた通り、俺達を木星蜥蜴と同一に見る存在が少なからずいるという事の証明になってしまったな。
厄介な真似をしてくれる。
「ほらっ、根も葉もない出鱈目を叫んでないで、こっちに来るんだ! お前、ここがどういう場所だか、分かってるのか!?」
軍人の1人が強引に男を引っ張って去って行く。
そうして、やがてパーティ会場から騒がしい男は消えたのが、そこに漂っている雰囲気は決して騒ぎの前のように友好的なものではない。
シャドウミラー=木星蜥蜴という風に思っていた者はどうやら予想以上に多かったらしい。
さて、どうするか。
円がどうするの? といった視線でこっちを見ているのに合わせ、考える。
取りあえず、そうだな。この空気を少し穏やかなものにするか。
そう判断すると、パーティ会場の真ん中へと向かう。
突然動き出した俺の姿に、周囲のパーティ客達は視線を向ける。
俺が誰なのかを知っているからこその行為だろう。
「さて、多少場が白けてしまったので、シャドウミラー代表として俺が軽い芸を見せようと思う。……1、2、3!」
その言葉と共に俺の右手が白炎へと変わる。
パーティ会場内にざわめきが起き……だが、次の瞬間には歓声が響き渡った。
何故なら、白炎から鳥や犬、猫、といった小動物の炎獣が幾つも生み出された為だ。
そうしてパーティ会場中を走り回り、飛び回る。
「それは炎獣と呼ばれる、俺の使い魔に近い代物だ。触れても火傷はしないから、安心して欲しい」
その言葉に、何人かの軍人がそっと手を伸ばして犬の炎獣へと触れ……感嘆の溜息を吐くのだった。
後書き
アクセル・アルマー
LV:43
PP:405
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1415
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
努力 消費SP8
集中 消費SP16
直撃 消費SP30
覚醒 消費SP32
愛 消費SP48
スキル:EXPアップ
SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
念動力 LV.10
アタッカー
ガンファイト LV.9
インファイト LV.9
気力限界突破
魔法(炎)
魔法(影)
魔法(召喚)
闇の魔法
混沌精霊
鬼眼
気配遮断A+
撃墜数:1188
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