FAIRY TAIL~水の滅竜魔導士~
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誰かの声
前書き
気付いたらもう6月ですね。
梅雨の時期なのに雨がいまだに降らないとは・・・
シリルが干からびる~!!
シリル「え?」
睨み合う魔導士とトレジャーハンター。その均衡を破ったのは、桜髪の魔導士。
「じゃあ、こいつはどうだ!!」
地面を強く蹴りハンマー使いへと迫るナツさん。その攻撃を受け止めるべく、トレジャーハンターは姿勢を低く構える。
「火竜の翼撃!!」
両手から炎を繰り出すナツさん。だがその攻撃もやはりというべきなのか、パーに広げられたハンマーにあっさり防がれてしまう。
「水竜の斬撃!!」
「剣の勝負なら超負けねぇぞ!!」
腕を水の剣へと変換して剣士に斬りかかり、互いの攻撃がぶつかり合う。俺と相手の実力は均衡しているらしく、つば競ったままの膠着状態に入っていた。
「アイスメイク」
「無駄無駄!!」
氷の鎖を作り出し敵に対抗しようと考えたグレイさん。だが敵の鎖は回転の力も加えることができる。そのため、氷の鎖はあっさりと破壊されてしまった。
ドンッ
そして別の場所では、二人の少女に向かって三発の弾丸が打ち込まれようとしていた。
「「ひっ!!」」
「狙撃で負けるわけにはいかないからしてもしもし!!」
一直線に向かってくる弾丸に向かって矢を放つサジタリウス。その矢は三本に分身すると、的確に敵の攻撃へとぶつかり砕け散る。
「お前ら、魔法も使わねぇのにすげぇな」
特殊な武器を使ってはいるが、基本的には通常の剣士や狙撃手と変わらない戦い方をしている彼らを見てナツさんがそう言う。
「おいおい、俺たち風精の迷宮をそこらのトレジャーハンターギルドと、超一緒にしないでくれよ。
フィオーレ一のトレジャーハンターギルドを決める『大秘宝演武』超優勝ギルドだぜ!!」
「ドゥーン!!」
「てゆっか、つまりフィオーレ最強のトレジャーハンターギルドってわけ」
「大秘宝演武!?」
大秘宝演武と聞いて目を輝かせているナツさん。その姿を見て調子に乗った彼らはさらに続ける。
「そして俺は、ソード・ヒロシ!!」
「ハンマー・ララ」
「クサリガマ・バンダ」
「スナイパー・ドレイク」
「四人揃って風精の迷宮!!超かっこいいトレジャーハンターよ」
全員の名前に使っている武器が入っているのかと感心していたが、よく考えたら本名なわけないよね?親がそんな名前つけるわけないよね?
「トレジャーハンターさんの世界にも、同じようなお祭りあったんですね」
「お・・・おめでとう・・・」
「よ・・・よかったですね・・・」
「それはすげぇ」
「本気で感心するな!!」
ウェンディとルーシィさん、それに俺は大魔闘演武と同じような大会に優勝したとあって、一応祝福の言葉をかけておく。先頭に立つナツさんは鼻息を荒くして本気で感心していたが、グレイさんに一蹴されていた。
「わかったらとっとと帰りなよ。そこらの魔導士じゃ、俺たちとはやりあえないぜ?」
「それがそこらの魔導士じゃねぇんだな。じゃ~ん」
敵の挑発に涼しい顔でそう返した黒髪の青年。彼の手には、先程奴等が得意気に見せていた瓶が握られていた。
「何!?」
「月の雫が!!」
「なんで!?」
どのタイミングで奪われたのかさっぱりわからず、目を飛び出させているトレジャーハンターたち。
「アイスメイク盗賊の手ってね」
彼らから瓶を奪ったのはグレイさんの氷の造形魔法によって作られた腕。それが戦っている最中に、攻撃に意識を集中させていた彼らのポケットから月の雫を奪った正体だったのだ。
「氷の手!?」
「いつの間に!?」
「泥棒だ!!超泥棒だ!!」
宝を盗むはずの存在が逆に宝を盗まれると言う失態。超秘宝と瓶を見せびらかしていたトレジャーハンターたちは、あわてふためいていた。
「あの・・・普通スナイパーさんに瓶を渡しません?」
「遠くにいる人なら奪われることはまずないですし」
「「「あーーーーっ!!」」」
俺とウェンディが正論を述べると、頭を抱えて自らの失態を嘆くトレジャーハンター。いやいや、もっと早くに気づいてくださいよ。
「取られたもんは取り返す!!」
「ドレイク!!撃て!!」
「おう!!」
バンダさんとヒロシさんの指示を受けて離れた位置から弾丸を放つドレイクさん。
「サジタリウス!!」
「お任せあれ」
それに対し、ルーシィさんの星霊であるサジタリウスさんが矢を放ち、ドレイクさんの弾丸を打ち消す。
「何!?」
「某もまた、弓の名手であるからしてもしもし」
スナイパーさんの攻撃はサジタリウスさんがすべて防いでくれることだろう。おかげで、俺たちは目の前の敵に集中することができる。
「返せドロボー!!」
「巨人を助けるんだ。悪いがいただく!!」
ヒロシさんが剣を伸ばしてグレイさんを突こうとする。それをあらかじめ予測していたグレイさんはジャンプしてそれを回避していた。
「ナツ!!」
「おう!!」
グレイさんは空中に浮いたまま瓶を地に足をつけているナツさんへと投げ、彼もまたそれをガッシリとキャッチしている。
「ドゥーン!!」
「おっと!!」
瓶を受け取った青年の頭からハンマーを叩きつけるララさん。しかし、さすがはナツさん、鮮やかな身のこなしでそれを避ける。
「ルーシィ!!」
「OK!!」
続いてパスを受けたのはルーシィさん。翻弄され始めているトレジャーハンターたちは、武器の形態を更なる形に変化させている。
「変形銃槍剣!!ガンナー形態!!」
剣を一度引っ込めて、銃口を金髪の女性へと向けると、マシンガンのように何発も弾丸を放っていく。
「オラァ!!」
雄叫びと共に逃げるルーシィさんを狙うヒロシさん。しかし、その攻撃も全く当たらない。
「シリル!!」
「はいです!!」
弾丸の雨から逃れた彼女はすぐにこちらにパスを出してくる。そこにすぐさま鎖を投げてくる影が見えたので、後方にジャンプして避ける。
「人のもの盗るんじゃねぇ!!」
「あなたたちには言われたくない!!」
地面を抉りながらこちらに迫ってくる回転式鎖。だけどそれに捕まるようじゃ、レオンにリベンジできないんだよね。
「ウェンディ!!」
「任せて!!」
鎖から逃げ切ったのを確認してからウェンディへと瓶を放り投げる。少女はそれを包み込むように両手でキャッチした。
「オラァ!!」
「ドゥーン!!」
「どりゃあ!!」
か弱い少女に瓶が渡ったからなのか、一斉に彼女を攻撃しようと突進するトレジャーハンターたち。
「セシリー!!」
「ほ~い」
天竜は彼らが迫ってくるのをギリギリまで見極めた後、空飛ぶ茶色の猫へとパスを出す。
「うりゃあ!!」
「シャルル~!!」
「了解!!」
ウェンディに体当たりするのではないかというほどの速度で突っ込んでいたバンダさん。彼は瓶が移動したのを見てすぐさまセシリーに鎌を構えて向かうが、彼女はラグビーのようなパスを白い猫へと出す。
「オオオオオオ!!」
「もう!!危ないじゃない!!」
ヒロシさんが数撃てば当たるというような感じでシャルルを狙う。白い猫は縦横無尽に飛び回り、その攻撃を完璧に交わしていた。
「ハッピー!!」
「あいさー!!」
シャルルは近くにノーマークの青猫がいたことに気付いてそちらに瓶を投げる。彼はそれを頭の上でキャッチしようとしているらしく、両腕を高く構えていた。
全員がこのまま月の雫を村に持っていければとハッピーに視線を注ぐ。だが、俺たちは大事なことを観念していた。
ハッピーの腕は大変言いにくいのだが、短い。それは頭のてっぺんを手で掻くことができないぐらいに。つまり・・・
パリンッ
頭上で瓶を受け取ろうとしていたハッピーには、それに手を届かせることができないのだ。
「「「「「あ・・・ああああ・・・」」」」」
青猫の頭上を通りすぎ、地面に落ちた魔法入りの瓶は、あろうことか真っ二つに割れてしまっていて、中身は地面に流れ出ていた。
「「「「「割れたーーー!!」」」」」
一拍遅れて全員の悲鳴が森の中に響き渡る。
「なんてことしやがる!!お前ら超悪人だな!!」
「てゆっか!!それはやっちゃいけないだろ!!」
「盗んだもん壊すとか!!ドゥーンドゥーンドゥーン!!」
「・・・ごめんなさい」
苦労して手にいれたアイテムをふいにされて泣き叫ぶトレジャーハンターたち。壊してしまったハッピーは、反省しているようで、目に涙を浮かべて彼らに謝罪している。
「え!?でもあれ見て!!」
「「あ!!」」
せっかくの作戦が失敗に終わってしまい、暗い表情をしていると、ルーシィさんが何かに気づく。そこに視線を向けると、俺とウェンディにも彼女が何を言いたいのかすぐにわかった。
「たったあれしか氷が溶けてない」
「やっぱり初めっから、あの量の月の雫で村全体を救うのは無理だったんだ」
瓶が割れたことで凍り付いている地面に月の雫が溢れたのだが、それは液体が付着した部分しか溶けておらず、わずかな地面が見えるようになるのが限界だったみたいだ。
「そんなぁ!!最初から超ダメな計画だったのか!?」
「てゆっか!!あんだけ苦労したのによぉ!!」
「月の雫で、永遠の炎がドゥーンって溶けると思ったのに!!」
作戦が実は駄作だったことを知ったトレジャーハンターさんたちはみんな頭を抱えてそう叫んでいた。
「トレジャーハンターが魔法なんかにドゥーンって頼るからいけねぇのか!!」
「そうだな!!てゆっか、作戦変更だ!!」
「超やり直しだな!!」
「あの・・・皆さん?」
「口癖入れ替わってますよ?」
さっきまでの彼らの口癖がこの非常事態で頭から抜け落ちてしまったのか、ごちゃごちゃに混ざっていたのでウェンディと一緒に指摘しておく。
そんなことなど気にする素振りもなく、ナツさんが涙ぐむハッピーの元へと歩み寄る。
「ナツ!!ぶつならお尻にして!!」
お尻を彼に向けて身構えるハッピー。しかし、ナツさんは彼の横を通り抜けると、月の雫で地面が露になった場所に耳を押し当てる。
「なんか聞こえる。・・・誰かの・・・声?」
「え?」
「声・・・ですか?」
「地面からですか?」
妙なことを口走るナツさんに、キョトンとしている俺やウェンディたち。
「氷が溶けた地面から、誰かの声がする。呼んでるみてぇだ」
「呼んでる?」
「あぁ」
ナツさんは一度立ち上がり、顎に手を当てて物思いに耽っている。彼が耳を押し当てていたところに、ハッピーが耳を当てて何が聞こえるのか確認している。
「オイラには何にも聞こえないよ」
「そこ耳じゃないからな」
「あっと、間違った」
ナツさんと同じように顔の側面を地面に当てていたハッピーだが、彼の耳は頭に付いているのだから、そんなところを押し当てても意味がない。そう注意すると、気を取り直して彼は本物の耳を当ててみる。
「ダメだ、やっぱり何も聞こえないよ」
しかし、それでもナツさんが聞いたという声は聞こえてこないらしい。すると、何か結論が出たのか、ナツさんは誰にも告げずにいきなり走り始める。
「こっちか!!」
「ナツ!!」
「ナツ!!待てよ!!」
「ちょっと!!何なの!?」
「みんな待って~!!」
走り出したナツさんの後を追いかけようとグレイさん、シャルル、セシリー、ハッピーがそちらに向かう。
「何を聞いたのかな?」
「わかんない・・・けど」
「とにかく、追いかけよう!!」
「「はい!!」」
ナツさんの聞いた声がどういったものなのかさっぱりわからない俺たちは立ち尽くしていたのだが、ルーシィさんにそう言われてすぐさま彼の後を追いかけ始める。彼は一体何を聞いて、どこに向かっているのか、それは誰にもわからなかった。
「「「ハァ・・・ハァ・・・ハァ・・・ハァ・・・」」」
どこまでも続いていく長い森の道をかけていく三人の人影。だか、俺たちが走っているその場所は氷によって覆われている。それのせいで一人が滑って転んでしまい、前を走っていた俺とルーシィさんは足を止める。
「きゃう!!」
「ウェンディ、大丈夫?」
「ケガはない?」
「ありがと、シリル」
足を滑らせて倒れている少女に手を差し伸べる。ウェンディはそれに礼を言った後、俺の手を握ってゆっくりと立ち上がる。
「すみません。地面が凍ってて」
巨人たちが住んでいる建物の周辺だけなのかと思っていたけど、この氷は村の近くの森にまで被害を及ぼしているらしい。これはウェンディじゃなくても、転ぶ確率が高いだろうな。
「てか、グレイともはぐれちゃったね」
「おまけに現在地もよくわかりませんね」
「どうしよう・・・全然わけのわからないところに来ちゃったみたいです」
ナツさんを真っ先に追いかけていったグレイさんも、途中で見失ってしまった。こんな時にセシリーたちがいてくれたらと思うのだけれども、彼女たちは上空からナツさんを探すとなったため、ここにはいない。
「ルーシィさん。シリル。ちょっと気になることがあるんですけど」
「ウェンディも?」
「え?」
立ち上がって服についていた氷の欠片を払いながらチラッと後ろに視線を向けるウェンディ。彼女の言いたいことはよくわかる。実は俺も少々気になっていたことだから。
「気になるっていうか、絶対変っていうか」
「明らかにおかしいものが・・・」
目だけを動かしてその謎の存在たちが何なのか気づかせようとしているウェンディ。俺も遠慮気味にその方向を指さす。
「つけられてるみたいです」
「さっきの人たちに」
俺たちの後ろにいるのは顔を青くしたヒロシさんと、白く塗り潰したララさん、そして茶色の顔へと変化させたバンダさんの三人。
「やだなぁ、オイラ超猫だニャ」
「てゆっか、僕茶猫だニャ」
「白猫だニャドゥーン」
「きゃあああああああ!!」
ようやく後ろの不審者たちに気付いたルーシィさんは目を飛び出させて悲鳴をあげる。その間もトレジャーハンターさんたちは話を続けている。
「さっき飛んでいったけど戻ってきたニャ」
「みんなどこにいったかわからなかったニャ」
「また一緒になりましょドゥーン」
いまだに騙せていると考えているのか、全く似ていない物真似を続行する彼らをじと目で見ている俺とウェンディ。ルーシィさんに至っては、あまりの頭の悪さに呆れているようだった。
「あの・・・ひょっとして、ハッピーとシャルルとセシリーに化けてるつもり?」
彼女に突っ込まれた皆さんは、顔を見合わせた後、衝撃を受けたような顔をする。
「トレジャーハンタースキル『変装』が見破られただと?」
「そんなことが起こっていいというのか?」
「やっぱ俺が青猫やるべきだったんだよ!!」
自分たちの正体を看破されたことに体をフルフルと震わせているトレジャーハンターさんたち。
「本気で騙せると思ってたのかしら?」
「奥が深いですね、トレジャーハンターって」
「ウェンディ・・・そこ感心しないで」
ウェンディは純粋だからそんな優しい視点で見ていられるけど、俺からすればバカだ。超バカだ。
「バレちまったら超仕方ねぇ。標的変更!!」
「てゆっか、お前のその鍵、レアもんだろ?」
「ドゥーンっといただいてくぜ」
ルーシィさんの黄道十二門の鍵を奪おうと考えているトレジャーハンターたち。彼女はそれを聞いてすぐさま鍵を奪われないように隠す。
「何なのよこいつら」
「すごくめんどくさいです」
放っておいたら永遠についてくるのではないかと思えるほどの行動力を見せてくるトレジャーハンターさん。はっきり言うと、すごくうざいです。
「あの、小瓶のことはすみません。私たち、争うつもりはないんです。巨人さんを助けたいんです」
先程のことを謝るウェンディ。しかし、彼女が優しいことで、トレジャーハンターたちは付け上がってしまう。
「巨人?そんな奴等はどうでもいいよ。トレジャーハンターにとって、ものを見極める基準は一つだけ!!」
ヒロシさんはそういうと背中の大剣を手に取り、
「それが宝か宝じゃねぇかだ!!」
凍り付いている巨人の足に攻撃を加えた。
「「「!!」」」
外道ともいうべき行為に目を見開く三人。攻撃されたその部位は、痛々しい傷跡がついていた。
「やめなさいよ!!まだ生きてんのよ!!」
「生きてようが死んでようが、宝じゃねぇものに興味はねぇ」
そう言うとトレジャーハンターは持っていた剣を巨人の足へと突き刺す。
「やめてください」
「やめねぇよ。やりたいことをやる。欲しいものをいただく。それがトレジャーハンター」
何度も何度も剣を足に突き刺し致命傷にもなりかねない攻撃を加えていくその男に、堪忍袋の緒が切れた。
「やめ――――」
「やめろって言ってんだろ!!」
ウェンディが怒声を発するよりも早く、ヒロシさんの頭を掴み、近くの木に叩きつける。その衝撃で、凍っていた木は見事に倒れた。
「ウェンディがやめてくださいって言ってんのにやめなかった。それは、こうされても文句は言えないってことですよね?」
いつだかのレオンのように頭を掴む手に力を込めていく。だけど、手が小さいことと握力が氷の神ほどないからか、敵は怯む様子がない。
「女のくせになかなかやるじゃねぇか!!」
「女じゃねぇ!!ぐっ!!」
聞き慣れた勘違いを言われて反射で突っ込んでしまい、腹に蹴りを入れられる。そのせいで敵との距離が開いてしまい、拘束が解けてしまった。
「シリル!!大丈夫!?」
「全然大丈夫」
離れた場所からウェンディが声をかけてくれるので、片手をあげて答える。それを見た天竜はホッと一安心といった表情をする。
「争うつもりはありませんでしたけど、そっちがそんなことをするなら、放っておけません!!」
「村人を傷つけるつもりなら、あたしたちが相手よ!!」
彼らの酷すぎる行動に怒りを覚えたウェンディとルーシィさん。その言葉に対し、トレジャーハンターは不敵な笑みを浮かべている。
「いいね。宝も女ももらっていくか」
「三人とも可愛いしな」
「女はいらね。殺そうぜ、ドゥーンと」
何なら如何わしいことを考えている剣使いと鎖鎌はニヤニヤとだらしのない顔をしており、ハンマー使いは一人だけ平然としていた。
パァン
「きゃっ!!」
「うわっ!!」
三人に気を取られていると、どこからかもう一人のトレジャーハンターが銃撃をしてくる。ウェンディとルーシィさんはそれをギリギリで回避していた。
「こっちは四人。そっちは女三人。何ができるよ」
「だから女じゃないって!!」
どこにいるのかわからないスナイパーにキレる。最近の俺の扱いどうなってんだ!!
「ああ!!」
「ウェンディ!?」
スナイパーの死角に動こうと考えたウェンディだったが、それが裏目に出てしまい、その場に転倒する。そして、狙撃手はその隙を見逃さず、少女に向かって弾丸を放った。
「ウェンディ!!」
「危ない!!」
さっき敵に奇襲を仕掛けたせいで彼女たちから離れていた。そのせいで、弾丸が届く前にウェンディの元に戻ることができない!!
叫ぶことしかできない自分を歯がゆく思っていると、少女の前に赤い髪の毛が現れ、弾丸が受け止めた。
「あなたはレイヴンの・・・」
「フレアさん?」
「なんでこんなとこに!?」
ウェンディを守ってくれたのは大魔闘演武の一日目のバトルで戦ったフレアさん。なぜこんなところに彼女がいるのかわからず、俺たちは驚愕している。
「女は四人。赤髪と水髪と青髪と・・・金髪。クックックッ」
突然乱入してきた赤髪の女性。トレジャーハンターvs.魔導士のセカンドラウンド・・・開始!!
後書き
いかがだったでしょうか。
安定のシリルの扱い。彼の発言を聞いてるとウルティアの「だから女だって」が頭をよぎる(笑)
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