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英雄伝説~運命が改変された少年の行く道~(閃Ⅱ篇)

作者:sorano
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第135話

12月27日――――



翌日、リィン達はトヴァルからの連絡があり、トヴァルからの情報―――クロスベル方面に突如現れた大樹についての説明を聞いていた。



~カレイジャス・ブリッジ~



「”(あお)の大樹”―――それが、クロスベルに現れた不可思議な物体の名前ですか。」

「ああ、あちらのギルドに問い合わせて得られた情報だ。今の所何が起こるかわからない状況が続いているらしくてな。ただ、おそらくエレボニアには直接の影響はないだろうってことだ。」

「そう……まあ、良い報せではあるわね。だけど問題は…………」

「……”クロスベル帝国”ですわね……」

トヴァルの言葉に安堵の表情をしたサラ教官だったがすぐに表情を引き締め、セレーネは不安そうな表情で呟いた。



「2週間前まではボク達が有利だったのにあっという間に追い抜かれちゃったね~。」

「そ、そんな呑気な事を言っている場合か!?”クロスベル帝国”が建国されたって事は……!」

「……近い内クロスベルとメンフィルが二大国に戦争を仕掛けて、二大国を攻め滅ぼすって事だね。」

「………………」

「姫様………あの、シグルーン様。”戦争回避条約”の”期間”はどうなったのでしょうか……?」

「シグルーンさんがまだ私達と一緒にいるって事は”期間”は切れていないのよね……?」

ミリアムが呟いた言葉に指摘したマキアスは表情を青褪めさせ、フィーが呟いた言葉を聞いて辛そうな表情で黙り込んでいるアルフィン皇女を心配そうな表情で見つめたエリスはシグルーンに尋ね、ゲルドも続くように不安そうな表情で尋ねた。



「……メンフィルとクロスベルによる二大国侵攻の件だがギルド方面からも”クロスベル帝国”とメンフィル帝国の動きの情報も入ってきている。先日メンフィル帝国とクロスベル帝国の連合軍がカルバード共和国に侵攻したとの事だ。……カルバード方面のギルドからも既に両国によってカルバードの領地が制圧された情報も入ってきている。連中、恐ろしいスピードで共和国軍を次々と壊滅させてカルバード共和国領を支配下に置いているそうだ。」

「な――――」

「何だと!?」

「メンフィルはともかく、クロスベルは自国に”碧の大樹”みたいなものがあるのに、他国に攻め入ったのですか!?」

トヴァルの情報を聞いたサラ教官は絶句し、ユーシスは厳しい表情で声を上げ、アリサは信じられない表情で声を上げた。



「残念ながらクロスベル帝国にとって”碧の大樹”は全く脅威ではないと言っても過言ではありませんわ。」

「なっ!?」

「……それは一体どういう意味ですか?」

シグルーンの答えを聞いたリィンは驚き、ラウラは真剣な表情で尋ねた。



「皆さんもご存知のクロスベルの精鋭は当然として、彼らに助力する”協力者”達も”碧の大樹”を消滅させる為に”碧の大樹”の攻略を開始しています。」

「ぼ、僕達が知っている”クロスベルの精鋭”……?」

「…………まさか。”特務支援課”の方達ですか?」

シグルーンの話を聞いたエリオットは戸惑い、何かに気付いたエマは真剣な表情で尋ねた。



「ええ。そして”協力者”とは”(イン)”とファラ・サウリン卿達に”神殺し”セリカ・シルフィルを始めとした彼に従う”使徒”全員とディル・リフィーナから呼び寄せた彼の仲間達に加え、以前ミリアムさんが軽く説明しました”守護騎士(ドミニオン)”を始めとした七耀教会の使い手達、そして―――”空の女神”の”眷属”や”空の女神”を含めた”空の女神”の一族達ですわ。」

「な―――――」

「な、なにその超過剰戦力~~!?というか何でメンフィルに雇われていた”銀”がクロスベル警察に協力しているの~~~!?」

「警察に暗殺者が協力している事もそうだけど、あの”空の女神”までいるなんてめ、滅茶苦茶だ………!」

「……どうやら”空の女神”が以前言っていた空の女神自身が挑む”戦い”はあの大樹をどうにかする戦いだったみたいね……」

「……そう言えばのような事を別れ際に言っていたな。」

シグルーンの答えを聞いたリィンは驚きのあまり絶句し、ミリアムは信じられない表情で声を上げ、マキアスは疲れた表情をし、真剣な表情で呟いたセリーヌの話にガイウスは頷いた。



「……”リベールの異変”を解決した立役者であるエステル達が協力すれば”碧の大樹”の攻略は捗るだろうし、あの”嵐の剣神”に加えてエオリアや”紅き魔女”と同じ”使徒”、だったかしら?その”使徒”とかいう連中は全員で何人いるのよ。」

「”神殺し”の”使徒”は全員で6人です。ちなみに”神殺し”がディル・リフィーナから呼び寄せた仲間の中にはソロモン72柱の一柱に加えて”軍神(マーズテリア)”の”神格者”もいますわ。」

「旧校舎の異変の時にその”使徒”って人達も協力してくれたけど、三人とも相当な腕利きだったよね?」

「うむ……それに”全員”と言う事はレグラムで出会ったシュリ殿も助力しているのであろうな……」

「4人の強さを考えると残りの2人もそう大差のない腕利きなのは間違いないだろうな。」

サラ教官の問いかけに答えたシグルーンの話を聞いたフィーとラウラ、ユーシスはそれぞれ考え込み

「な――――光の陣営の神々……それもその中で最も勢力が大きく、しかもあの”メンフィルの守護神”と謳われているシルフィア様と同じ”軍神(マーズテリア)”の”神格者”まで協力しているのですか!?」

「ソロモン72柱の一柱と言う事はヴァレフォルさんやアムドシアスさんと同じソロモンの”魔王”の一柱……!」

(”軍神”の方はロカだと思うけど、ソロモンの方は一体誰かしら?)

一方リィンは信じられない表情で声を上げ、エマは驚き、ヴァレフォルは不思議そうな表情をしていた。



「エステルさん達やセリカさん達どころか、あの”空の女神”まで協力しているなんて……どう考えても結果は決まったようなものじゃない……」

「アリサ君の言う通り”空の女神”がいる時点でどう考えても早期で勝利を収められるとしか思えないね。」

「”碧の大樹”の方は女神様達が何とかしてくれる事がわかっていたから、”六銃士”の人達は心置きなくカルバードに侵攻したんだろうね……」

「一体何故そんなにも多くの人達がクロスベルに力を貸しているんだろう……?」

アリサは表情を青褪めさせ、アンゼリカは疲れた表情で答え、トワは複雑そうな表情をし、ジョルジュは複雑そうな表情で考え込んだ。



「その……姉様も引き続き”特務支援課”の方々に協力しているのでしょうか……?」

その時ある事が気になったエリスはシグルーンに尋ねた。

「―――いえ、クロスベル帝国が建国された時点でエリゼの”特殊任務”は完了した為、リフィア殿下達に合流しましたわ。―――なお、エリゼはエレボニア帝国に侵攻するリフィア殿下の専属侍女長として従軍する事になっています。」

「何だって!?じゃあエリゼまでエレボニア帝国とメンフィル帝国との戦争に参戦するんですか!?」

「やはりそうなってしまいますわよね……」

「そ、そんな……」

シグルーンの答えを聞いたリィンは血相を変え、セレーネは重々しい様子を纏い、エリスは表情を青褪めさせ

「シグルーン中将閣下……メンフィル帝国とクロスベル帝国はいつエレボニア帝国に攻めてくるのですか………?」

アルフィン皇女は辛そうな表情でシグルーンに尋ねた。



「その件ですが、クロスベル解放並びにクロスベル帝国建国に大きな貢献をしたエリゼの嘆願によりメンフィルとクロスベルの連合によるエレボニア帝国侵攻の日程を遅らせる事になりました。」

「え…………」

「姉様が……」

「それで攻めて来るのはいつになるんだ?」

シグルーンの答えを聞いたリィンとエリスは呆け、トヴァルは真剣な表情で尋ねた。



「”碧の大樹”の消滅が確認された時が戦争回避条約で指定されていた”追加期間”が切れる時ですわ。」

「という事はまだエレボニア帝国が内戦を終結させる猶予は残されているという事ね……」

「……だが、”碧の大樹”に挑むメンバーを考えると正直猶予はもう殆んど残されていないぞ。」

シグルーンの説明を聞いたゲルドは静かな表情で呟き、トヴァルは厳しい表情でリィン達に指摘した。



「そりゃメンツが反則すぎるもんね~。」

「ぶっちゃけ一国も軽く滅ぼせるメンバーだし。」

「フン、冗談になっていないぞ。」

「実際エステルさん達はクロイツェン州の領邦軍を壊滅させたことがありますものね……」

ミリアムの言葉に続くように言ったフィーの言葉にユーシスは鼻を鳴らして指摘し、エマは複雑そうな表情をした。



「クッ…………何とか内戦を早期に終結させる方法はないのか……!?」

「……みんなが焦る気持ちはわかるけど、今はとにかく各地を回ってみるしかないと思うわ。この状況で、私たちに何ができるかを見極めるためにも…………」

焦った様子を見せているリィンを見たゲルドは静かな表情でリィン達を見回して指摘した。

「そうだね……できることからやらなくちゃ!」

「うんうん。まだ各地に散らばっている士官学院生たちとも何とか合流したいし………」

「ゼムリアストーンの調達もまだ途中だったね。」

「はい、精霊窟の探索も出来る限り進めないと。」

「ふむ………やるべきことは今まで通りだが、これまで以上に気合を入れる必要があるな。」

「ああ……気を引き締めて各地を回るとしよう。」

ゲルドの指摘によって元気を自分達がやるべきことを思い出したリィン達はそれぞれ決意の表情をした。



「話はついたみたいだな……そっちも頑張ってくれ。サラ、しっかりと見守ってやるんだぜ。」

「ええ、あんたもせいぜいくたばらないよう気を付けなさいよ。”紅耀石(カーネリア)の君”と再会できる日のためにもね♪」

「ぐっ……茶化すなっての。そんなんじゃねえって言ったろ。じゃあな、お前さん達。また連絡するぜ。」

サラ教官のからかいの言葉に唸ったトヴァルはリィン達の健闘を祈りながら通信を切ってモニターから姿を消した。



「あらら、逃げられちゃったか。」

「今のって……」

「何か色っぽい話?」

「えっと……トヴァルさんの良い方とか?」

「ふふっ、詳しくはとある小説をチェックね。」

女性陣に尋ねられたサラ教官は得意げな笑みを浮かべ

「(うーん……トヴァルさんも災難だな。)―――それじゃあ、そろそろ行動を開始しよう――――」

その様子を見ていたリィンは苦笑した後仲間達を見回し

「………………(肝心の”蒼の騎神”は既に破壊されている事を知れば彼らは一体どのような反応をするのでしょうね……)」

リィン達の様子をシグルーンは内心憐みながらも、表情に出さず黙って見つめていた。



その後依頼を確認したリィン達は各地に散っている士官学院生達との合流や依頼の消化、そして精霊窟の探索を開始した。 
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