艦隊これくしょん【転移した青年の奮闘記】
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。
ページ下へ移動
北方作戦
第11話 北方作戦の前哨戦 Ⅱ
前書き
前哨戦を兼ねての海戦。
*描写はあまり期待しないで下さい。
……アナザーサイド……
前衛の第三水戦が接敵。敵は軽巡ヘ級2隻からなる水雷戦隊で、陣形は複縦線の反航戦だった。
≪ゴオォン……!≫
最初に動いたのは飛行場から出撃したと思しき敵攻撃隊だったが……
≪ゴオォン……ドドドド……ズガァン‼︎≫
神通「全艦、砲撃開始!」
≪ドンドンドンッ……グワアァンッ‼︎≫
飛鷹と隼鷹の烈風,あきつ丸の烈風改の敵では無く、敵攻撃隊は全滅。更に横須賀鎮守府が誇る第三水戦と、3隻の戦艦からなる2個支援艦隊の砲撃の前に歯が立たず……
≪ズズズズ……≫
ものの1時間掛からず、敵は皆轟沈して終了。しかも味方の損害はゼロ、完全勝利だった。
ーーーーーーーーーー
川内「何だ、準備運動にもならない程弱いな」
長門「落ち着け、まだ突破口を開けた訳じゃないんだぞ」
神通「我が艦隊を追尾する敵艦隊の反応有り、数6!」
敵の弱さに余裕たっぷりな川内だが、それはまだ前兆に過ぎない。その証拠に敵艦隊は次々と現れる。
川内「!見えた、あそこだ!」
『!』
川内が接近する艦隊を目視で捕捉。指を指す方角には…、
≪ザザ〜〜〜……!≫
『……』
次に姿を現したのは、空母ヲ級からなる航空艦隊。その中には戦艦タ級までいた。
アイオワ「電探に感あり!北から三つ、南から二つの敵艦隊が接近中!」
長門「くっ……厄介だが仕方あるまい。ペースアップをして息切れになったら終わりだ、このままのペースで行くぞ!」
『はい!』
次から次へと押し寄せる敵艦隊に嫌気がさす長門だが、脱出への活路が開けない以上は仕方ない。新手の敵艦隊に警戒して戦力温存を計り敵艦隊目掛けて突入を開始した。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
それから1時間程が経過。
あれから10回に渡る戦闘を繰り返したが、結果は味方の損害ゼロで圧勝だった。
川内「やれやれ、結局夜戦は無しか……」
那珂「それじゃあ勝利の記念に、那珂ちゃん元気良く唄いま〜す♪!」
長門「ボヤくな、後唄うな」
ボヤいて唄おうとする川内と那珂に痺れを切らし、長門がキツく咎める。
だがその時……
神通「!左舷後方より新たな敵艦隊の反応を確認!それも今までより大きな反応です‼︎
数6、距離20000、近いです‼︎」
『!』
長門「何だと⁉︎」
更なる敵艦隊の反応を神通の電探が捉えた。それも今までとは全く異なる反応との事で、長門達に緊張が走る。
アイオワ「!見えました!あそこです‼︎」
『!』
その時、長門と並走するアイオワが敵艦隊を目視で確認。その方向にいたのは…、
≪ザザ〜〜〜……≫
戦艦棲姫「……」
『……』
先程隼鷹の偵察機が発見した戦艦棲姫とヲ級2隻、そして重巡リ級と駆逐艦ロ級が2隻だった。
長門「ここにきて戦艦棲姫だと⁉︎」
陸奥「どうするの、長門⁈」
長門「くっ!」
あまりの事態に長門は動揺した。長門らは戦艦3隻を揃えてるとはいえ、戦艦棲姫では分が悪い。オマケに2隻の正規空母も連れてるとなると、幾ら強力な艦上戦闘機を持つ自分達の方が不利だった。
長門「提督に報告しよう」
陸奥「私も同じ意見よ」
『うんうん』
長門「……」
策が思いつかない長門は、悩んだ末に座蒲郎に連絡して指示を仰ぐことに決めた。
これにみんなも賛成し、長門は鎮守府の座蒲郎へ連絡する。
ーーーーーーーーーーーーーーー
……主人公サイド……
一方、横須賀鎮守府の会議室
「「……」」
大まかな作戦立案が終わり、座蒲郎と陸軍少将は長門達の帰還を待っていた。
そこへ……
≪バタンッ!≫
大淀「提督、長門秘書艦より指示を求める通信が入りました!」
座蒲郎「何だって⁉︎」
会議室のドアが勢いよく開き、大淀がけすを変えて入って来て報告。それを聞いた俺は驚いてしまった。
幾ら長門でも、そんなミスをするとは到底思えない。その本人から連絡とは余程重大な事態が起きたに違いない。
座蒲郎「分かった、すぐに出る!通信を代われ!」
大淀「はい!」
すぐ事情を聞くために大淀に通信を代わるように指示。
大淀「提督!通信代わりました、どうぞお話し下さい!」
≪スッ≫
座蒲郎「ありがとう!」
早速大淀は通信を代わり、本人に礼を言った俺はさっき大淀から渡されたヘッドホンマイクをセットした。
このヘッドホンマイクは海へ出撃した艦娘達と交信することが可能な無線式で、しかも供給源要らずで持ち運び可能な超ハイテク機器。
座蒲郎「長門、聞こえるか応答しろ!」
何はともあれ、長門へ連絡する。
長門『提督、私だ!聞こえてるぞ!』
なんか久しぶりに長門の声が聞けたような気がしたが、とにかく状況を聞く。
座蒲郎「長門、どうしたんだ、みんな怪我は⁈」
長門『安心しろ、みんな無事だ!.だが、目的地近くにいた戦艦棲姫が出て来たんだ!』
座蒲郎「何、戦艦棲姫が⁉︎」
長門「ああっ、それで提督に指示を仰ぐ為に連絡したんだ!」
みんな無事みたいで良かったけど、戦艦棲姫が現れたと連絡を聞いて驚きを隠せなくなった。
長門達側の戦艦は3隻、しかも1隻は大和と同程度の火力を持つアイオワ。けれど、だからって戦艦棲姫を相手にするのにそれでは心細い……
俺も向こうでは戦艦棲姫の相手に手を焼いたが、こっちでも同じじゃ厄介だ……
座蒲郎「脱出は出来ないのか⁈」
長門『残念だが、我々ではせいぜい15ノットが限界だ!それでは脱出はまず無理だ、戦って活路を見出す他は無い!』
座蒲郎「くっ!」
脱出の案も出すけど、速力から考えるにそれは出来ないみたい。そうなるとやはり戦う他に道は無い……
無理をさせる訳には行かないけど、支援部隊を出しても間に合うとは思えない。……仕方ないか……
座蒲郎「敵の支援部隊は⁈」
長門「飛行場から飛び立ったと思しき敵機と奴が連れてる正規空母はいるが、我が方の戦闘機と対空射撃でどうにかなる!だが戦艦棲姫をどうするかだ!」
支援部隊の増派も考えたけど、それでは間に合わないと判断した俺は現在の状況を更に聞き、そして……
座蒲郎「分かった!ならまず空母とあきつ丸は護衛艦を付けて後方に下げ、艦載機による航空支援をさせろ!長門と陸奥はアイオワと共に戦艦棲姫と空母の気を引き、第三水戦はその隙をついて砲雷撃で敵を撹乱させろ!
尚、第三水戦は敵護衛艦を真っ先に潰せ!護衛艦を潰した後、戦艦棲姫と空母を挟み撃ちにして撃破しろ‼︎
損害を受けた場合は煙幕を展開して戦線から離脱しろ!分かったな⁈」
長門『了解!』
決断した俺は長門にそう指示し、いざという時に備えての注意もした。
ーーーーーーーーーーーーーーー
……アナザーサイド……
長門「飛鷹と隼鷹とあきつ丸は護衛艦と共に後方へ退避して攻撃支援!
第三水戦は敵護衛艦を真っ先に潰せ!
私と陸奥とアイオワは敵主力艦を相手にする!
第三水戦は敵護衛艦を叩き潰した後に攻撃に参加!砲雷撃で撹乱せよ‼︎」
『了解!』
長門から指示を受けた各艦は艦隊を再編成。
≪ザザ〜〜〜……≫
まずは飛鷹と隼鷹とあきつ丸が、練習巡2隻と駆逐艦4隻に護衛されながら後方へ退避。更に第三水戦が敵重巡と駆逐艦を攻撃する為に戦列から離れる。そして長門と陸奥とアイオワは単縦線を組んで突入、敵主力と艦隊決戦に持ち込む。
ーーーーーーーーーー
長門「敵主力捕捉!距離19000!」
即座に発進させた観測機からの報告の元、準備に取り掛かった。
長門「主砲、砲撃戦用意!戦艦棲姫に放火を集中!弾種徹甲弾‼︎」
「「了解!」」
≪ガチャンッ…ゴゴゴゴゴ……≫
長門は陸奥とアイオワに指示を送り、砲撃戦に持ちかけるべく手っ取り早く砲弾を装填して3隻は主砲を旋回させる。
≪ゴゴゴゴゴゴ……≫
戦艦棲姫「アイアン…ボトム…サウンドニ…シズミナサイ……」
一方の戦艦棲姫も主砲を旋回させてはいるけれど、速度が遅く長門達と出遅れている。
≪ゴゴゴゴゴゴ……ガコンッ!≫
陸奥「こちら陸奥、用意良し!」
アイオワ「同じくアイオワ、用意良し!」
長門「よし!」
それに対して陸奥とアイオワは準備完了。同時長門も砲撃準備が完了し、戦艦棲姫に狙いを定める。
長門「砲撃開始!撃(て)〜〜‼︎」
陸奥「選り取り見取りね、撃て!」
アイオワ「さぁ、私の火力見せてあげるわ…Open fire!」
≪ドオンッ…ドンッドンッ!≫
長門達の砲撃で戦闘開始。前哨戦最大とも言える戦いが切っておとされた。
≪ズガァ〜〜〜ン!≫
戦艦棲姫「キャァ!」
長門「よし、先手を取ったぞ!」
第一斉射で戦艦棲姫に命中。
しかし……
戦艦棲姫「シズマナイワ……ワタシハ…モウ…ニドト……!」
強靭な装甲を持つ戦艦棲姫にはあまり通用していない。
長門「くそっ!第一斉射で砲撃が効かないとは、どれだけ堅い奴なんだアイツは‼︎」
初弾で通用しない相手に悔しがる長門だが……
座蒲郎『長門、お前が取り乱してどうするんだ!戦場では一瞬の油断が敗北を招くんだぞ‼︎』
長門「すまない提督、だが奴はタダ者じゃないんだぞ!」
座蒲郎『戦艦棲姫は撃破出来なくてもいい!奴を退けることさえ出来ればそれで良い!お前達がすべきことは、確実に奴にダメージを与えることだ‼︎
奴と距離を保ち、正確な射撃に努めろ!下手に接近しようものならヤられるだけだ!第三水戦が敵護衛艦を叩き、戦艦棲姫への攻撃に加わり次第直ちに徹底攻撃に転じろ‼︎
それまではなんとか持ち堪えろ‼︎
分かったな⁈』
長門「……、分かった!」
そこへ座蒲郎からの通信が入り、長門へ更なる指示を送ると共に長門を勇気づける。
長門「陸奥,アイオワ、戦艦棲姫と出来る限り距離を取れ!このままじゃヤられるぞ‼︎」
陸奥「分かったわ!」
アイオワ「roger that!(了解!)」
≪ザザ〜〜〜……≫
座蒲郎からの指示通り、長門は陸奥とアイオワと共に距離を置く為速度を上げて離れて行く。
≪ゴゴゴゴ……ガコンッ!≫
戦艦棲姫「シズミナサイ!」
≪ドゴォ〜〜ン……!≫
一方、長門達に遅れて狙いを定めた戦艦棲姫が砲撃開始。
だが……
≪ヒュルルルル……ズッズーーン!≫
砲撃する前に長門達が回避を始めた為、砲弾は長門達の至近に着弾した。
陸奥「危なかったわね」
長門「ああっ、後もうちょっと遅かったら確実にヤられてたな」
アイオワ「不本意ながら、仕方ないです」
砲撃を無事躱した長門達は安堵に包まれたが、敵は今だ健在。一瞬の油断が敗北を招くこの状況で、戦いはまだ続く。
ーーーー
一方その離れた場所で……
≪ドンッドンッドンッ!≫
≪ザザ〜〜〜……≫
≪ズッズーーン!≫
神通「残念ですが……」
≪ドンッ!≫
川内「そんなんじゃあたし達には勝てんよ!」
≪ドンッ!≫
那珂「ヤッホー!那珂ちゃんのライブにいらっしゃ〜〜い♪‼︎」
≪ドンドンッ!≫
敵護衛艦と第三水戦の戦いがヒートアップしていた。
が……
≪バコンッ……ドカ〜〜ン!≫
結局は第三水戦の砲雷撃にて全滅した。
神通「よし、後は長門秘書艦と合流しましょう」
川内「そうだな。こっちも終わったし、援護に向かうか」
那珂「はいはーい!那珂ちゃんのライブは、まだまだ続くよ〜〜♪‼︎」
護衛艦群を撃破した第三水戦は、長門の援護に入る為に艦の向きを変えて長門達の方へと向かった。
ーーーー
一方……
≪ドーン…ドドーン…ドドドーンッ!≫≪グオォーーン!ザバッ!シュルルルル……≫≪グオォーーン!ガチャッ!ヒュルルルル……≫
≪ズガンッ!ドカンッ!バカンッ‼︎≫
戦艦棲姫「キャァ!」
飛鷹らの航空支援の下、戦艦棲姫と距離を保ちながら砲撃を続ける長門達。
そこへ……
≪ドンドンドンッ!≫≪シュパッ!シュポッ!シュルルルル……≫
≪ズガーン!ドカーン!≫
戦艦棲姫「グワァ!ナ…ナニ……?」
突然の無数の水柱と爆発。
神通「長門秘書艦!我々も攻撃に加わります!」
長門「よし、各艦は戦艦棲姫に集中攻撃!攻撃出来れば空母も叩き潰せ‼︎」
『了解!』
攻撃を加えたのは神通の第三水戦。これでなんとか揃い、各艦は敵主力への集中攻撃を開始した。
ーーーー
戦闘が始まってから5時間が経過。
≪グオォーーン!≫≪ドンッドンッドンッ!≫≪シュパッシュポッ!≫
≪グワーーーン!≫
戦艦棲姫「グ…ウウゥ……」
飛鷹らの航空攻撃と第三水戦の砲雷撃で、随伴する敵空母は轟沈。更に長門達の集中攻撃で残った戦艦棲姫を追い詰める。
そしてついに……
戦艦棲姫「グ…ダメナノネ……」
戦艦棲姫は沈黙。長門達は無力化に成功した。
『わあぁ〜〜〜!』
沈黙と同時に長門達から歓声が上がった。
ーーーーーーーーーー
長門「提督、戦艦棲姫は見事に沈黙しました!後一押しで__」
座蒲郎『ダメだ!深追いして反撃されたら厄介だ!直ちに帰投しろ‼︎』
長門「ですが……!」
座蒲郎『言った筈だ!“撃退出来ればそれで良い。”ってな‼︎
とにかく、急いで帰投しろ!分かったな⁈』
長門「……、分かった!今すぐ帰投する‼︎」
歓喜に湧く長門は座蒲郎に連絡して更なる攻撃を仕掛けようとするが、本人は断固として許さず、寧ろ長門達に帰投するよう命じた。これには長門も反発するが、結局は論破されて従う他は無かった。
陸奥「長門、提督は何て?」
長門「今のチャンスに乗じて直ちに帰投しろとさ」
アイオワ「What’s⁉︎提督がそうしろと⁈」
長門「ああっ、そうだ」
陸奥「提督が言うんじゃ、仕方ないわね」
長門「ああっ……」
陸奥が提督からの命令を聞くので、長門は言われた通りの事を伝え、アイオワも驚くが、提督の命令である以上は従うしか無い為陸奥は認めざるを得なかった。
長門「全艦に告ぐ!この機に乗じ、直ちに現海域より離脱する‼︎」
『ええ〜〜〜⁉︎』
長門「提督からの命令だ!早くしろ‼︎」
『は〜〜い……』
その後長門は全艦娘にもこの事を伝え、各艦娘は渋々撤退準備に掛かった。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
陸奥「長門、全艦撤退準備完了」
長門「よし、では全艦!直ちに__」
それから間もなく撤退準備が完了し、全艦娘に号令しようと長門が声を発したその時…、
戦艦棲姫「マテ……」
『⁉︎』
なんと無力化した筈の戦艦棲姫が動き出し、長門達へ近付こうとしている。
長門「まだ生きてるのか⁉︎」
あまりの事態に主砲を旋回させようとした長門だが……
戦艦棲姫「ナゼ…シズメン……ナゼ…シズメヨウト…シナイ……?」
呻く様な言い方で長門達にそう聞いて来た。
長門「!」
陸奥「あいつ、まさか…聞いてるの?私達に?」
長門「多分な……」
これには長門どころか陸奥も驚いた。今までの深海棲艦には、そんな事は聞いて来ようとはしなかった。それを考えたら、今回の場合は極めてあり得ない状況だった。
だが……
長門「それは、提督がそう命じられたからだ!」
戦艦棲姫「テイ…トク……?」
長門「そうだ!時々無知な事をする人だが、それでも我々の事を大事に思ってくれてる立派なお方なんだ‼︎」
戦艦棲姫「リッパナ…カタ…テイ…トク……」
戸惑いながらも、長門は提督の座蒲郎に命じられたと言って更に説明。一方の戦艦棲姫はどこか興味津々だった。
すると……
戦艦棲姫「……アイ…タイ……」
長門「えっ?」
戦艦棲姫「アイ…タイ……テイ…トク…ニ……」
『!』
突然何を思ったのか、長門達の提督である座蒲郎に会いたいと言い出した。
長門「いやしかし、それは流石に__」
戦艦棲姫「ダ…メ……?」
長門「う……そ…それは……」
突然の事に動揺して断ろうとしたものの、何故か可愛く迫る戦艦棲姫に長門は口ごもってしまった。
ーーーー
座蒲郎『どうした、何かあったか?』
長門「いやその……お前に会いたい奴が…居るんだが……」
座蒲郎『俺に?』
長門「ああ…そうなんだが……」
そこに座蒲郎からの通信が入り、戦艦棲姫の名は出さずに会いたい者が居ると伝えたが……
座蒲郎『じゃあ連れて来て』
長門「ええっ⁉︎」
“連れて来て。”っとあっさりした返事に長門は驚いた。
長門「本当に良いのか⁉︎」
座蒲郎『駄目か?』
長門「いや…決してそんなことは……」
あまりの返事に聞き返す長門だが、動揺のあまりにその本人の事が言えず……
座蒲郎『じゃあ待ってるよ、無事の帰還を祈る』
長門「分かった…任せろ……」
結局その名が言えずに了解する事となった。
ーーーー
長門「ハァ……分かった…提督に会わせてやろう!だが条件がある!
“一切の抵抗はしない事。”これが守れるのなら良いぞ!それでどうだ⁈」
戦艦棲姫「エエ……ヤク…ソク……マモ…ル……ゼッタ…イ……♪」
溜息をついた長門は条件を付けて戦艦棲姫に問い掛け、本人は了解。しかも本人、凄く喜んでいる。
陸奥「あなた本気なの⁉︎相手は敵よ!」
長門「そうだが、提督から連れて来いと言われた以上やも得んだろ?」
陸奥「う……」
その話に陸奥は真っ先に反対するが、提督からの命令では言う通りせざるを得ない。
神通「ですが、相手が戦艦棲姫だと知ったら、提督がどんな反応をするかやらですね」
長門「全くだ……」
更に神通から発せられた言葉に、長門は肯定する他は無かった。
もとより、相手が戦艦棲姫だとは伝えていない。その状態で座蒲郎が戦艦棲姫と顔を合わせればどんな反応をするかは想像がつくが、事は決まってしまった以上は後戻りできない。
長門「仕方ないか。戦艦棲姫は飛鷹と隼鷹が繋留して鎮守府へと連れて行く。何かしようものなら、即刻叩き潰せ」
「「はい……」」
長門「他はその3隻を囲む様に輪形陣を組め。いいな?」
『は〜〜い……』
仕方ないので、戦艦棲姫は飛鷹と隼鷹で繋留し、他の艦はその3隻を中心に輪形陣を組んで取り囲み、およそ10ノットの速度で鎮守府へと帰還を始めたが、皆不安と心配が募る帰投となった。
____________________
その結果、一行が鎮守府に帰投したのはそれから二週間が経過した朝の06:00(マルロクマルマル)。
各艦目立った損害は無かったが、集中攻撃を浴びてた戦艦棲姫の艦体(姿はアメリカの戦艦 モンタナ級に酷似)はドッグ入りとなり、長門と陸奥は座蒲郎に知らせる為、戦艦棲姫を伴って本人の下へと向かった。
(続く)
後書き
戦闘はまだしも、終わり辺りのパターンは“深海棲艦にもこんな感情があるんじゃないか?”っと言う発想を籠めて書いてみました。
次回は、戦艦棲艦の登場に提督唖然。更に…、
ページ上へ戻る