英雄伝説~運命が改変された少年の行く道~(閃Ⅱ篇)
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第117話
~オーロックス砦・司令室~
リィン達が司令室に到着するとそこにはアルバレア公とデュバリィが待ち構えていた。
「ユーシス……!!」
「アルバレア公―――それに”結社”の!」
「あの人がリィン達の話にあった……」
リィン達が到着するとアルバレア公爵はユーシスを睨み、デュバリィを睨むリィンの言葉を見たゲルドは目を丸くした。
「フフン……また会いましたわね?って、げえっ!?な、なななななな、何でさっきまでクロスベルの”特務支援課”と一緒にいた貴女が”Ⅶ組”と共にいるんですの!?―――”守護の剣聖”エリゼ・シュバルツァー!?」
リィン達を見回したデュバリィは得意げな笑みを浮かべたがエリスに視線を向けると血相を変えて狼狽え
「―――違います。私はそのエリゼの双子の妹―――シュバルツァー家の次女であるエリス・シュバルツァーです。」
「妹…………ああ、メンフィルの帝都襲撃の際に”聖魔皇女”達に救出された”灰の騎神”の乗り手と”守護の剣聖”の妹の方ですか。心臓に悪いくらい似過ぎで、紛らわしすぎですわ!」
「ハ、ハア……そんな事を言われましても姉様と私は双子ですし。」
「あの様子だとエリゼ達にこっぴどくやられたみたいだね。」
「ハハ……」
狼狽えているデュバリィの様子を見たエリスは苦笑し、フィーに視線を向けられたリィンは苦笑した。
「くっ、よもや隙を突いてここを直接急襲するとは……!テロリストの女に猟兵どもは何をしている!?」
一方アルバレア公爵は悔しそうな表情で声を上げた。
「”S”は撃破済み……”北の猟兵”ならもういないよ。」
「どうやら貴族連合からも完全に見放された様子――――父上、もはや逃げ場はありません。大人しく投降してください。」
「貴様、父に向かって……!―――私を誰だと思っている!?このクロイツェン州を治めし誇り高き四大名門、アルバレア家の当主だぞ!?」
ユーシスに降伏宣言を問いかけられたアルバレア公爵は怒りの表情で声を上げた。
「それは、他国の領地を焼いてもいい理由にはならない。」
「あの焼き討ちのせいで、ケルディックの人達は傷つき、メンフィル帝国の怒りの炎に油を注いだのですよ!?」
「ええい、黙れ!ケルディックを奪い取った忌々しきメンフィルが居座るのを黙って受け入れるような愚民共……いずれ来る貴族支配とエレボニア帝国によるメンフィル帝国の支配の時代に、そんな恥知らずは必要ない!なぜそれがわからぬ!?」
リィンとエリオットの言葉に対し、アルバレア公爵は怒りの表情で怒鳴った。
「……父上……」
「……哀れな人ね……」
「”百日戦役”で圧倒的な敗北を味わされたエレボニア帝国がメンフィル帝国に勝利できると本気でお思いなのですか……?」
「問答はムダだね。早い所拘束してプリネ達に引き渡そう。」
「ん、クレアたちも前線で戦っている真っ最中だしね。」
アルバレア公爵の怒鳴りを聞いたユーシスは肩を落とし、ゲルドは憐みの目でアルバレア公を見つめ、エリスは信じられない表情をし、フィーの言葉にミリアムは頷いた。
「―――そう簡単に行くとは思わないことですわね。」
するとその時デュバリィがリィン達の前に出て剣と盾を構えた。
「貴族連合の思惑はともかく。こちらに連絡がない以上、与えられた使命を果たすのみです。ここで会ったが百年目……相手をさせていただきますわ!特にリィン・シュバルツァー並びにエリス・シュバルツァー!”星見の塔”で”守護の剣聖”から受けた屈辱は貴方達に返させてもらいますわよ!」
「フッ、威勢はいいようだが、圧倒的不利な立場である自分の状況がわかっていないのか?」
「貴女一人で俺達全員を相手にするつもりか?」
デュバリィの叫びを聞いたユーシスは不敵な笑みを浮かべ、リィンは真剣な表情で問いかけた。
「……フ、フフフ……特務支援課といい、貴方達といい、揃いも揃ってわたくしをコケにしてくれるものですわね……!」
するとその時デュバリィが身体を震わせながら笑い
「―――いでよ!ヴァンガードF3”スレイプニル”!」
そして大剣を掲げて自分の左右に普通の人形兵器とは比べ物にならない大きさの人形兵器を召喚した!
「結社の人形兵器……!?」
「かなりの重装甲……拠点防衛用みたいだね。」
人形兵器達の登場にエリスは不安そうな表情をし、フィーは真剣な表情で戦力を分析した。
「以前の立会いは小手調べ……舐めてかかったら容赦はしません。”鉄機隊”が筆頭隊士、”神速のデュバリィ”―――いざ、尋常に勝負ですわっ!!」
「返り討ちにしてくれる!!」
「ならばこちらも出し惜しみはしない!―――来い、アイドス!!」
デュバリィの叫びに対しユーシスも声を上げ、リィンはアイドスを召喚した!
「へ――――って、なああああああっ!?あ、ああああああ、貴方はまさか”嵐の剣神”セリカ・シルフィル!?”月の僧院”を攻めている貴方が何でここにいるんですの!?」
アイドスの容姿を見たデュバリィは信じられない表情で叫んだ後狼狽え
「フフ、私はセリカお兄様の妹のアイドスよ。」
デュバリィの様子を見たアイドスは苦笑しながら答えた。
「へ?よく見たら女性ですわね……何だ、本人じゃないんですの。フフン、どうやら”嵐の剣神”と同じ剣士のようですが、この”神速のデュバリィ”相手にどこまで持ちこたえるか見物ですわね!ちょうどいいですわ……クロスベルで貴女の兄から受けた屈辱、ここで返させて頂きますわ!」
アイドスの答えを聞いたデュバリィはアイドスをよく見てアイドスが女性であり、自分が知る人物ではない事に気付いた後不敵な笑みを浮かべた。しかしデュバリィの発言を聞いたリィン達は穏やかな性格をしているとは言え、実力からすれば敵味方含めて間違いなく”最強”であると共に”人の身では絶対に勝てない存在”と言ってもおかしくないアイドスに向けたデュバリィの発言の無謀さに気付いていた為冷や汗をかいて表情を引き攣らせた。
「え、えっと…………」
「ハハ…………」
「ニシシ、よりにもよってアイドス相手によくあんな事が言えるよね~?」
「むしろアイドス相手にどれだけ持ちこたえられるかは向こうの方だよね。」
「ま、まあ向こうはアイドスがどれだけの強さか知らないからあんな事を言っても仕方ないよ……」
我に返ったエリスとリィンは苦笑し、ミリアムは口元に笑みを浮かべ、フィーは呆れた表情でデュバリィを見つめ、エリオットは困った表情をし
「……あ……今、あの人がアイドスに酷い目にあわされる所が見えたわ……」
「フッ、予知能力を使わなくてもそのくらいの事、俺達でもわかる。」
「えっと……戦闘不能に留める程度に手加減はするつもりだけど……」
ゲルドの予言と静かな笑みを浮かべるユーシスの言葉を聞いたアイドスは困った表情をした。
(アハハハハハッ!ただの人間が古神相手によくあんな無謀な事が言えるわね♪)
(ふふふ、アイドスの強さをその身で思い知った時の反応が期待できそうですね。)
(ア、アハハ……相手はアイドス様の強さを知らないのですからあのような態度でいられるのも仕方ないかと。)
(……御愁傷様です、”神速”のデュバリィ。)
一方リィンの中にいるベルフェゴールは腹を抱えて笑い、リザイラは静かな笑みを浮かべ、メサイアは苦笑し、アルティナは静かな表情で呟いた。
「な、何ですの!?そのまるで可哀想なものを見るような目は!?ググググ……ッ!このわたくしを何度も侮辱した事……絶対に許しませんわっ!覚悟しなさいっ!!」
リィン達の反応を見たデュバリィは怒りの表情で声を上げた後リィン達へと向かい
「俺とアイドスが”神速”の相手をする!他のみんなは分散して人形兵器の方を頼む!神気―――合一!!」
「いいだろう!―――行くぞっ!!」
”力”を解放したリィンはアイドスと共にデュバリィへと向かい、ユーシスは仲間達と共に分散して人形兵器達へと向かって行った!
そしてリィン達はデュバリィ達との戦闘を開始した!
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