艦隊これくしょん【転移した青年の奮闘記】
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北方作戦
第10話 北方作戦の前哨戦 Ⅰ
前書き
第二次北方作戦の立案。
……主人公サイド……
アイオワの歓迎会の翌日の会議室
陸軍少将「………っといったところですね」
座蒲郎「ふーむ、成る程」
昨日招いた陸軍少将から色々と情報を聞いていた。この時陸軍少将には、備え付けの椅子に座ってもらっている。
何でもキスカ島に残る戦友は6000名弱。飛行場に居座る敵機はおよそ200機以上。殆どがヲ級にも搭載されてる黒いタイプだが、1部は鬼,姫にも搭載されてるたこ焼き型艦載機も居るらしい。それだけでなく、海上には最低でも六個分の艦隊が居るらしく、戦艦も少なからず居るそうだが、大半は大型の空母(推測するにヲ級)からなる航空艦隊との事だった。
座蒲郎「推測の域でこれとは……かなりの規模ですね」
陸軍少将「自分が言うのは何ですが、全くであります」
北方海域における敵の規模はある程度想像はしてたが、これ程の規模とは流石に予想外だった。
陸奥「それで提督、こちらの艦隊の規模はどうするの?」
座蒲郎「そうだな……これ程の規模だと鬼か姫は絶対に居るだろうからな……空母を有する艦隊決戦用の大艦隊を編成する必要があるな」
陸奥「となると、大和の投入は必要不可欠ね」
座蒲郎「そうだな。それと、大和型と同等の火力を持つアイオワも欲しいな」
頭を悩ませる程の規模に、陸奥からの問い掛けに大艦隊が必要だとして、大和とアイオワの投入は必要不可欠だと答えるしかなかった。
大淀「そうなりますと、決行はアイオワの頑張り次第ですか?」
座蒲郎「そう言う事になるね」
そうなるとアイオワを投入するとしたら、後はアイオワの頑張りに任せる他は無い。
ーーーーーーーーーー
≪カパッ……ピッピッ……≫
座蒲郎「……」
途端にアイオワの現在状況が知りたくなった俺は、休暇中に番号を交換した長門の携帯に電話を入れた。
≪プルルルル…プルルルル……≫
長門『どうした提督?』
座蒲郎「長門、今度の作戦にアイオワを投入したいんだが、そっちの現状はどう?」
長門『ああっ……初めてとはいえ、飲み込みが早いし、香取と鹿島も協力してくれてるから助かっている。この様子なら、後一週間も掛からずに作戦投入しても問題は無いだろう』
長門の話によると、本人の飲み込みが早い上、香取と鹿島の協力もあって予定より早く進んでるらしい。
座蒲郎「そうか、なら心配は要らんな。けど念の為、実戦経験を積ませるために近海でもいいから深海棲艦との海戦にでも出すと良いぞ。後、くれぐれも無茶はさせるなよ?」
長門『分かってるさ』
座蒲郎「それじゃあ」
長門『ああっ』
≪ピッ≫
状況を聞いた俺は、アイオワに実戦を経験させる事と無理をしないようにと伝えて携帯を切った。
陸奥「長門はなんて?」
座蒲郎「後一週間足らずで作戦に出せるとさ」
陸奥「そう、なら問題無いわね」
陸奥から長門の現状を聞かれて簡単に説明して返した。
大淀「ところで提督、いつ長門さんと番号を交換したのですか?」
座蒲郎「休暇中にだよ。ってか、長門だけじゃなく陸奥や大淀やみんなとも交換したって言わなかったっけ?」
大淀「……」
不意に大淀から携帯番号の交換をいつやったか聞かれ、休暇中に交換したと言い、加えて長門以外にもみんなと番号を交換した事を言うと大淀は黙り込んでしまった。
余談ながら、俺はいざという時の備えとして、長門と交換した後もみんなと番号を交換し、アイオワとも昨日のウチに携帯を選んでやって番号を交換している。
ーーーーーーーーーーーーーーー
座蒲郎「とはいえ、大まかな内容は分かりましたが、もっと正確な情報が欲しいですね」
陸軍少将「しかし、一体どうすると?」
座蒲郎「まずは状況偵察として、我が鎮守府の第三水雷戦隊に偵察してもらい、報告を待ちましょう」
大淀「分かりました、ならすぐに召集をかけます」
話を作戦の方へ移し、大まかな情報は集まったとはいえ、より正確且つ最新の情報が欲しい。そのためにまずは第三水雷戦隊に出撃させ、連絡を待つとする。
座蒲郎「いや……大淀、チョット待ってくれ」
大淀「はい?」
召集をかけようとした大淀を止め……
座蒲郎「折角だから、アイオワと長門も呼んでくれ。出来れば大至急」
大淀「分かりました、では直ちに召集します」
良い案を思い付いた俺は、アイオワと長門とさも呼ぶように伝え、召集をかけさせた。 ̄
ーーーー
そして……
アイオワ「ハーイ、Admiral(提督)。言われた通り来たわよ♪」
長門「……」
神通「お呼びに預かり、只今参りました」
第三水雷戦隊旗艦の神通と第八艦隊旗艦のアイオワ、そしてアイオワを指導してくれてる第三艦隊旗艦の長門が揃った。
座蒲郎「今回君らを召集したのは他でもない。
神通は第三水戦を率いて北方海域へ突入、海域全体を偵察し、情報を集めてくれ」
神通「了解しました」
座蒲郎「アイオワ麾下の第八艦隊は長門率いる第三艦隊と協力し、火力と航空戦力を持って第三水戦を支援してくれ。何せ連中(深海棲艦)はかなりの航空戦力を有してるらしいからね」
長門「承知した」
アイオワ「Of course .(勿論よ。)アイオワの腕の見せどころよ!」
召集した理由を簡潔に説明し、3人はすぐさま承知。その中でもアイオワは気合が入ってる。
長門「だが提督、我々が出るとなると、陸奥も出撃するのだろ?代わりの秘書艦はどうするのだ?」
座蒲郎「心配には及ばないよ。代理なら大和と矢矧に任せるし、いざという時には大淀も居るから問題無いよ」
長門「成る程、それなら心配は無用だな」
けれど第三艦隊の出撃は、秘書艦が不在になる事を意味している。そのことを長門から指摘されたけど、秘書艦については大和と矢矧に任せるつもりでいるし、大淀も居るから大した問題は無い。
座蒲郎「後言うとすれば、このくらいだ。
決して無茶をしたり深入りはするな、1人でも大破する危険に直面した場合は直ちに任務を中止して帰投するように。
分かった?」
「「「「はっ!」」」」
座蒲郎「よし。各艦隊、準備が整い次第直ちに出撃せよ!」
「「「「了解!」」」」
最後に注意事項を話し、出撃命令を出して解散させた。
ーーーーーーーーーーーーーーー
それから……
陸軍少将「それにしても、幾ら大人とはいえ、20代とは思えない程の立ち振る舞いですな。我が陸軍としても、実に参考になります」
座蒲郎「嫌々、自分は言いたい事を言ったに過ぎませんよ」
陸軍少将「それでも、陸軍としては感心に値するお方です。それ程の資質があれば、海軍元帥の座も夢ではありませんな」
座蒲郎「そんな大それた名誉は欲しくありませんよ。自分はこの世界の人々の為に働ければ、それで十分です」
陸軍少将「そうですか。確かに、それは自分も同感です」
さっきの振る舞い方を陸軍少将から賞賛されたけど、俺個人としては言いたい事を言ったに過ぎないし、本人が言う元帥などの位は要らない。
そこへ……
≪ガチャッ≫
大和「提督、言われた通り参りました」
矢矧「ご命令に預かり、秘書艦補佐に着任しました」
長門と陸奥の代わりの為に呼んだ大和と矢矧(改仕様)が執務室に入って来た。
座蒲郎「そんなに畏まらなくても良いぞ、矢矧もな」
矢矧「分かったわ」
けれどあまりに畏まってそうですぐさま直させる。
座蒲郎「それと矢h__」
≪バタンッ!≫
金剛「へーい、テートク!ティータイムの時間ネー‼︎」
矢矧に頼み事をしようとした瞬間に金剛が入って来た。客人扱いの陸軍少将が居るのに失礼ではあるけど……
座蒲郎「あー、矢矧に頼んで連れて来てもらおうと思ってたのに丁度良かった。金剛、お客様に紅茶をご馳走してあげなさい」
金剛「了解ネー!今から準備するからチョット待つネー‼︎」
現在時刻は10:00(ヒトマルマルマル)、金剛がティータイムと称して姿を現す時間帯だった。矢矧に頼んで連れて来てもらおうと思ったけど、自分から来るんだったら話が早い。金剛に紅茶を振る舞うよう告げて用意させる。
ーーーー
陸軍少将「それでは、有難く頂きます」
座蒲郎「そうしますか」
早速金剛が用意した紅茶を口にする。
≪クイッ≫
陸軍少将「美味しいですね、いつ飲んでも飽きませんよ」
座蒲郎「確かにそうですね」
金剛「本当?それを聞けたら嬉しいネー!」
相変わらず美味い紅茶を口にして、紅茶を淹れてくれた金剛を褒める。
金剛「いつもマカロンだと飽きるから、今回はマフィンを用意したデース!」
座蒲郎「どれ……」
陸軍少将「それでは一口」
≪パクッ……モグモグ≫
座蒲郎「んっ、美味い!」
陸軍少将「この絶妙な砂糖の加減が、最高ですね」
金剛「そんな事を言われると、金剛トテモ嬉しいデース!」
今回金剛が用意したお菓子は、スコーンだと飽きるからとマフィンに変更。食べてみるとさじ加減も丁度良く、陸軍少将が絶賛する程の美味さだった。
矢矧「相変わらずの美味ですね」
大和「そうね。けどいつ気付くのかしら、金剛が手作りした事を?」
大淀「多分…一生気付かないでしょうね」
一方部屋の片隅でマフィンを食べる大和と矢矧と大淀。実はマフィンが金剛手作りの品だということは気付いていた。けれど座蒲郎が気付くまで言わないつもりだったものの、当の本人が気付かないので、彼女らは呆れ返っていた。
ーーーーーーーーーーーーーーー
座蒲郎「うーん……」
陸軍少将「そうなりますと__」
ティータイムが終わり、作戦立案を再開。けれど厄介なのが……
座蒲郎「“キスカ島の戦友約6000名をどう撤退させるか。”ですね」
陸軍少将「そこですよね」
6000人もの人達をどう撤退させるかだった。普通に艦に収容すればいい話なのだが、その為に必要な大発動艇が先の撤退作戦で破壊されてキスカ島には皆無との事だった。そうなると鎮守府に置かれてる陸戦隊の大発動艇を使えば良い話だが、肝心の大発は修理に出してあって目下使えないときた。これでは収容どころか撤退させる事も出来ない。
座蒲郎「仕方ないですね。こうなったら撤退ではなく、北方海域に居座る敵を駆逐し、尚且つ敵飛行場を制圧する作戦に切り替えましょう」
陸軍少将「敵飛行場を制圧して、一体どうなさるのですか?」
大和「まさか提督、制圧した飛行場を航空基地として使用すると?」
座蒲郎「その通りだ。使える物は使わないと、勿体無いからね」
陸軍少将「おお〜〜」
矢矧「成る程、その手があったか」
仕方ないから、キスカ島からの撤退ではなく、深海棲艦を駆逐して飛行場を奪い取る作戦に切り替える事に決めた。飛行場を制圧する理由について聞かれるも、大和がその意味を理解してくれてたみたいだった。大和が察した通り、敵飛行場を味方の航空基地として使用するのが、俺の狙いだった。
座蒲郎「もし制圧出来、航空基地として利用出来る状態にあれば直ちに航空機をそこへ配備して、北方海域において睨みを効かせておく。そしてその基地はあなた方陸軍に管理して頂きたいのです。勿論航空機は、我が鎮守府に配備されてる航空機と同じヤツをです」
陸軍少将「成る程、それなら上層部はさぞお喜びになる筈です。ならすぐさま上層部へ問い合わせます」
≪タッタッタッタッ……≫
更にその基地の運用についても説明して陸軍少将は賛成。上層部から許可を仰ぐ為か立ち上がり、足早にその場から出て行った。
ーーーー
座蒲郎「作戦に関しては一応のところはこれでいい。けれど、より確実な情報が無くては、いざという時に痛手を受けることになる」
大和「その為にも、敵情偵察は必要不可欠な事ですね」
矢矧「となりますと、後は偵察部隊の頑張り次第ということになりますね」
座蒲郎「そうだ」
何も起こらなければいいけど……頼むよ長門、そしてみんな……
作戦は一応なところは固まり、残るはより正確な敵情のみ。こうなると頼みの綱は、北方海域へ派遣した偵察部隊のみ。何も起こらなければそれで良しだけど、それでもやっぱり心配にはなる。
____________________
……アナザーサイド……
その頃……
≪ザザ〜〜〜……≫
『……』
座蒲郎の命の元出撃した偵察部隊は、北方海域のアッツ島の南約300海里(約555km)の地点を北東へと航行していた。
陣形は第三水戦を前衛に、第三,第八艦隊はその後方1kmにて数百mの距離を置いて並走航行。第三水戦が単縦線で、第三,第八艦隊は複縦線。
部隊上空は入れ替わり立ち替わりで飛鷹,隼鷹,あきつ丸から発艦する艦上戦闘機に守られ、更に偵察機も出して敵情偵察にあたっていた。
≪ザザ〜〜〜……≫
川内「やけに静かだな、本当に飛行場なんかあるのか?」
那珂「だったらここで歌っても良いよね♪?」
長門「駄目だ、敵の補足に集中しろ」
那珂「ええ〜〜⁉︎」
神通「那珂ちゃん、油断したらやられるわよ」
だが問題なのが海域に侵入したはまだしも、今だ敵と出くわさない事だった。しかも偵察機の報告でも敵艦隊どころか敵機さえも発見出来て無い、改装によって各艦体に搭載された電探にも反応が無い。艦の速力の都合上15ノットで航行しているのだが、それでも敵に見つからないのはまずおかしいモノだった。
川内「巻雲,長波,秋雲、ソナーの反応はどうだ?」
巻雲「こちら巻雲、異常無し」
長波「同じく長波、異常無し」
秋雲「同じく秋雲、異常ありません」
オマケにソナーにも反応が無い。
アイオワ「一体どうするの?」
長門「進むしかあるまい。神通、このまま敵飛行場のあるアムチトカ島へ進むぞ」
神通「了解」
アイオワから指示を仰がれた長門は敵の拠点へと肉迫する事に決め、その決定を受けた神通は進路をアムチトカ島へとった。
ーーーーーーーーーーーーーーー
その後部隊は変針を繰り返し、突入からおよそ4時間でアムチトカ島の南西約100海里(約185km)へと辿り着いた。
そこで……
≪……≫
飛鷹「!長門秘書艦‼︎」
長門「どうした?」
飛鷹「偵察機“彩雲”より入電、‘我、敵飛行場を確認せり。’」
長門「何⁉︎」
飛鷹「敵の迎撃機に追われたそうですが、写真が撮れた上に上手く逃げ切れたとのことです」
『おお〜〜!』
長門「そうか、よくやった」
飛鷹の艦載機の彩雲から、アムチトカ島の敵飛行場の発見と航空写真が撮れた事を報告する通信が届き、全員が歓喜した。
だが、報告はそれで終わらなかった。
≪……≫
隼鷹「!長門秘書艦!今度は私の偵察機からも報告が来ました!」
長門「今度はなんだ?」
隼鷹「アムチトカ島の西側にて、深海棲姫の姿を確認!報告によると、飛行場姫と戦艦棲姫に間違い無いとの報告です‼︎
更に付近に空母の大群が居るとの事です‼︎」
『⁉︎』
長門「何だと⁉︎」
次に隼鷹の元に届いた報告はアムチトカ島近くに居座る深海棲姫。報告によると飛行場姫と戦艦棲姫に間違い無い事、更にその付近に空母の大群が群がっているとの報告だった。
長門「これは予想外だな。だが十分に情報は集まった、これくらいあればいいだろう。全艦、偵察機を収容次第、直ちに引き上げるぞ!」
『了解!』
あまりの知らせに驚く長門だが十分に情報を集めたとして、偵察機を飛ばした艦に収容と全艦に撤退の指示を送る。
だが……
≪……≫
川内「!長門秘書艦!水偵より入電、‘我、艦隊へ迫る敵艦隊を捕捉!’」
長門「何⁉︎」
≪ピコーン!≫
神通「!長門秘書艦!電探に感あり、数6‼︎右舷160度、距離30000よりこちらへ向かって来ます‼︎」
『⁉︎』
長門「何だと⁉︎」
そこへ敵艦隊らしき艦影を、神通の電探がキャッチ。
どうやら気付かれたみたいだ。
陸奥「長門、どうするの⁈」
長門「うーむ…偵察機の収容は⁈」
『完了しました!』
陸奥からの問いに悩んだ長門は僚艦に偵察機の収容状況を聞くが、収容は既に完了しているとの事だった。
ーーーー
長門「ふっ、上等だ!これより我が部隊は敵艦隊と交戦しこれを撃破、それで持って突破口を開き撤退する‼︎
全艦、戦闘用意‼︎」
『了解!』
報告を聞いた長門は一つ息つき、敵艦隊との交戦を決意。
その命令に、各艦は戦闘準備に掛かる。
神通「こちら第三水戦、用意良し!」
アイオワ「続けてこちら第八艦隊、用意良し!」
陸奥「長門、我が第三艦隊も用意良し」
長門「良し。全艦、第三水戦を先頭に突入開始!飛鷹,隼鷹,あきつ丸は戦闘機を直ちに発艦させ、敵航空機を撃滅せよ‼︎」
「「「はっ!」」」
準備完了の報を受けた長門は全艦に通達。
第二次北方作戦の前哨戦にあたる海戦が切って落とされた。
(続く)
後書き
次回は北方海域での前哨戦を兼ねた海戦。
*艦これに出て来る深海棲艦の航空機は以下の通りで通します。
黒いタイプは戦闘機がグラマン F4F ワイルドキャット、爆撃機がSBD ドーントレス、攻撃機がダグラスTBDデヴァステイター。
白いタコ焼き型は攻略-wikiの推測にあるヘルキャット、ヘルダイバー、アヴェンジャー。
陸爆がB-17 フライングフォートレス。
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