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FAIRY TAIL~水の滅竜魔導士~

作者:山神
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ウォーロッド・シーケン

 
前書き
ウォーロッドって、魔法の使いすぎで木になりかけた結果あんな姿なのかな?それとも単純に老化してああなったのかな?気になる・・・ 

 
「のどかなところですね」
「だね!!」
「空気もおいしいし!!」
「風も心地いいな」

大自然の中を歩きながらそう言うのはウェンディ、俺、ルーシィさん、エルザさんの四人。彼女たちの言う通り、空気が綺麗ですごく気持ちがいい。

「すっごく気持ちいい~!!」
「なんかピクニックみたいで楽しいよね!!」
「そうね。・・・あれがなければね」

楽しそうに頬を緩ませる皆さん。しかし、その後ろの光景を見ると、それだけでため息が出たのは、きっと俺だけじゃないはず。

「俺の肉喰っただろう!!」
「てめぇのもんなんか食うかよ」
「ていうか服着ろよ!!」
「髪の色が目に痛ぇ、なんとかしろよ!!」

額をぶつけ合い互いを罵り合うナツさんとグレイさん。実は列車を降りてからずっとこれ。こんなに仲悪かったっけ?

「いい加減にしないか!!これからとても位の高い人に会うんだぞ!!」
「二人と一緒になるシリルが可哀想だからついてきたけど、先が思いやられるわぁ」

エルザさんが注意するがいっこうに争いは収まらない。それを見てルーシィさんが遠い目をしている。これ、俺だけだったら諦めてただろうなぁ・・・皆さんが来てくれて感謝です。

「聖十大魔道って言えば、評議院が定めた、大陸で最も優れた十人・・・だっけ?」
「そうだ。うちのマスターや蛇姫の鱗(ラミアスケイル)のジュラもその一人だ。かつては幽鬼の支配者(ファントムロード)のジョゼ、評議院に入り込んでいた頃のジェラール・・・いや、ジークレインもその称号を持っていた」

ルーシィさんの質問に答えていくエルザさん。これいつかレオンも聖十に入れるんじゃないかな?元聖十のジョゼを圧倒していたわけだし。

「中でも序列上位の四人は『イシュガルの四天王』と呼ばれる、大魔導士だ」
「ちょっと緊張してきたかも」

これから会いに行くウォーロッドさんは、そのイシュガルの四天王のうちの一人。蛇姫の鱗(ラミアスケイル)のジュラさんが序列五位だから、彼よりもすごい魔導士ということである。

「イシュガル?」
「この大陸の古い名だ」

聞き覚えのない単語に?を浮かべていたウェンディ。フィオーレや隣国(ボスコ)などのたくさんの国があるこの大陸は、昔そう呼ばれていて、その中でのトップ四人だからそう呼ばれているのだろう。

「そして、その四人に迫る実力を持つと言われていたのが、BIG3だ」
「カミューニさんとノーランのことですよね?」

七年前に天狼島で戦い、今では魔女の罪(クリムソルシエール)の一員として関わりがあるカミューニさんと、大魔闘演武で戦ったノーラン。彼らはイシュガルの四天王に対抗できる数少ない魔導士とされ、以前は聖十の称号を保有していたと聞いている。

「BIG3ってことは、もう一人いるのよね?」
「一体どんな人なんですか?」
「俺も聞きたいです!!」

カミューニさんとノーラン、それに後一人彼らと同等の魔導士がいるということである。彼らのことをよく知っている感じだったエルザさんなら知ってると思い、ルーシィさんとウェンディ、そして俺は目を輝かせながら質問してみる。

「あぁ。リュシーのことか」

すると、エルザさんはどうやらもう一人のことも知っているらしい。さすがマスターに一目置かれる存在ですね。

「あいつは・・・な・・・」

もう一人のBIG3のことを思い出しているはずのエルザさん。しかし、彼女はなぜか顔をうつ向かせ、立ち止まってしまう。

「エルザ?」
「どうしたんですか?」
「何かあったんですか?」

心配して俺たちも立ち止まり顔を下から覗き込む。顔を伏せている緋色の女性は、体を小刻みに震えさせており、もしかしたら嫌な記憶を思い出させてしまったのではないかとハラハラしている。

「あいつは・・・


















大変可愛らしい少女だ!!」




「「「「「・・・へ?」」」」」

急に正気を取り戻し、顔をあげたかと思うとキラキラと瞳を輝かせながらそんなことを言い出す妖精女王(ティターニア)。よく見るとすごい笑顔だ。まるでスイーツを食べている時のような、その時の彼女を彷彿とさせている。

「史上最年少、さらには史上初の女性での聖十入り。評議院にナツたちの始末書を出しに行かされた時にいつも声をかけてくれてな、あの可愛らしい笑顔が、私の心の癒しだった」

饒舌に語り出した彼女を見て唖然としている。黙ったかと思えば今度は急に話し出すし、なんだかエルザさんらしくない。いや、本当は乙女な人だし、これが普通なのかな?

「史上最年少って・・・いくつ?」
「11歳だ」

それを聞いて俺やウェンディは感心していた。だってそれは、今の俺たちよりも一つ二つ下の年齢。それぐらいの年齢から評議院に認められ、なおかつ大陸で優れた魔導士十人に選ばれるなんて・・・

「私の五つ年下だったはずだから、今は21くらいにはなっているはずだな。どんな大人になっているのやら・・・」

空を見上げながらしみじみと物思いに更けるエルザさん。ん?エルザさんの五つ下ってことは・・・

「一個上!?」
「私と二つしか変わらないんですか!?」

七年間凍結封印されていたから肉体年齢は全く変わっていないが、戸籍的にはたぶん20歳の俺。俺たちとほとんど変わらない世代にそんな人がいたなんて、全然知らなかったなぁ。

「すごく人懐っこくてな。私のことを「エルポヨ」なんて呼んでいたんだ」
「え・・・エルポヨ?」

あだ名で呼ばれることなどほとんどない彼女にとって、年下の少女がそんな風に親近感を持ってくれるのは大変嬉しいことなのだろう。でもエルポヨのポヨって・・・なんだ?

「・・・グス」
「「「「「!?」」」」」

俺があだ名の理由を考えていると、隣にいた天空の少女がなぜか涙をこぼし始める。何が起きたのかさっぱりわからない俺たちは、あたふたしていた。

「ウェンディ!?」
「あんた、どうしたのよ!?」
「何があったの~!?」

泣きじゃくる少女をあやそうと俺とシャルルとセシリーで背中を擦る。猫たちに泣いてる理由を聞かれた彼女は、呼吸を整えながら口を開く。

「どうせ・・・私は・・・ポヨンとしてませんよ・・・」
「「「「「・・・あ!!」」」」」

その一言で少女が泣いている理由とエルザさんが「エルポヨ」と呼ばれていた理由がすぐにわかった。彼女は鎧で隠れているが、かなりふくよかな胸を持っている。それが上下する時にはまさしく“ポヨン”という効果音が最適だろう。おそらくリュシーさんは、その光景からそんなあだ名をつけたんだ。

「どんな発想よ・・・」
「すごいネーミングセンスだね~・・・」

まだ見たことすらないリュシーさんの驚異的な思考に呆れているシャルルとセシリー。俺も彼女たちと同じだけど、今はそれよりもウェンディを落ち着かせないと。

「大丈夫。ウェンディはそのままでいいから」
「シリルぅ・・・」

ギュッと彼女を抱き締めると、ウェンディも同じように抱き返してくる。ちょっとシャンプーのいい香りがしてテンションが上がったのは内緒である。

「でも、そんなすごい人の上にいるような人がなんで・・・あんなのをご指名で?」
「てめぇなんかエルザに食われちまえ!!」
「てめぇこそエルザのクソにまみれてろよ!!」
「今、私がディスられているのか?」

俺がウェンディのあやしている後ろでは、いまだに睨み合ってケンカしているナツさんとグレイさんを見て呆れているルーシィさんとエルザさん。彼らを止めても意味が無さそうなので、そのままの形で依頼主の元へと足を進めていく。

「あ!!見てください!!」
「あそこに家がありますよ!!」

地図を広げて先頭を歩いていたウェンディと俺が前方を指さす。そこには煙突と同じような感じに壁から木が飛び出ている一軒の家があった。

「やっとついたぁ!!」
「遠かった~!!」
「で、あれが」
「そのようね」
「聖十大魔道序列四位、ウォーロッド・シーケンの家!!」

駅からかなりの時間を擁してやって来たため、ルーシィさんやセシリーたちは達成感に浸っているようだ。

「ボロいな!!」
「ボロいね!!」
「あんたたちの家も似たようなもんじゃない?」
「あの・・・本人の前では絶対言わないでくださいね?」

ナツさんとハッピー、おまけにルーシィさんまでがそんな失礼なことを言う。偉い人なんだから、あまり変なことを言わないでほしい。

「ごめんください」
「お邪魔します」
「魔導士ギルド、妖精の尻尾(フェアリーテイル)の者です」

家の扉を開き、挨拶をした後名前を名乗る。家の中を簡単に見回してみると、部屋を埋め尽くす勢いでたくさんの植物が置かれている。

「うわぁ!!」
「植物がこんなに」
「たくさんある~!!」

感心しているエクシード三匹。しばらく部屋の中を見ていると、植物の植木に水をあげている一人の老人が目に入る。

「すみませぇん!!」
「シィ」
「ひ・・・人!?」

ルーシィさんは植物と同化していた老人に気付いていなかったらしく、静かにするようにジェスチャーをされて驚いていた。

「シィィ、静かに」
「「「「「??」」」」」

じょうろで植木に水をやる老人にそう言われ、俺たちは言われるがままに口を閉ざす。

「草木は静寂を好む。理解したならその忌々しい口を閉じよ」

声は決して大きくはない。しかし、怒気があるように感じられるそれを聞いて、俺とウェンディとルーシィさんは手で口を塞ぎ、ナツさんたちは硬直してその場で口をチャックしている。

「なぁんてな」

先程までへの字に曲がっていた口が綻んだかと思えば、部屋にある植物たちに日が当たり、一気に花を咲かせていく。

「冗談じゃよ冗談。プフフフ」

花を開花させた植物たちに驚いていると、その声の主がこちらに振り返る。その人は、髪がまるで葉っぱのようになっていて、顔は木をイメージさせるような、何とも言いがたい風貌をしていた。

「草木も花も人間の声は大好きなんじゃ。ハハハハハ」
「木?」
「??人?」
「なんだ、このじっちゃん・・・」
「本当にすごい奴なのか?」

予想のはるか上をいく老人の姿に度肝を抜かれていると、彼はゆっくりとこちらに向かって歩いてくる。

「いやぁ、よく来てくれたね。妖精の尻尾(フェアリーテイル)の魔導士たちよ。ナツくんとグレイくんとシリルくんというのはどちらかね?」

名前を呼ばれて一歩前に出る俺とナツさんとグレイさん。しかし、ウォーロッドさんは俺たちではなく、なぜか足元にいる三匹の猫を手に取る。

「やや?予想より猫っぽいな?」
「「「・・・」」」
「冗談じゃよ冗談!!フハハハハ!!」

どうやらセシリーたちと俺たちを間違ってみるとどんな反応をするのか見てみたかったようで、何も言えずに固まっている俺たちを見て楽しそうに笑っている。

「テンションの高いおじいさんね・・・」
「あ・・・あぁ」

腹を抱えて大笑いしている木の人を見て冷めた目をしている女性二人。しかし、彼の暴走は止まることを知らない。

「おっと、喉が乾いた。ハハハハハ」
「「あわわわわわわ」」

彼はそう言うと、手に持っていたじょうろから口へと水を注ぎ始める。あまりのことに俺とウェンディは驚愕して言葉を発することかさができない。

「失礼ですが、あなたが聖十大魔道のウォーロッド・シーケン様ですか?」
「いかにも。(ワッシ)こそがウォーロッド・シーケン。・・・冗談だけどな」
「「「「「えぇ!?」」」」」
「というのは冗談じゃ」

最初ウォーロッドさんだと肯定した時はみんな畏まっていたけど、冗談だと言われ驚き、また冗談だと言われた時には、なんだか疲れてしまい皆さん白くなっていた。

「疲れるじいさんだ」
「ちげぇねぇ」
「こんなのが本当にすごい人なの?」

声に覇気がなくなっているグレイさんとナツさん。彼らのすぐ前で、俺とウェンディも明らかに疲れたように肩を落としている。

















場所を家の中から外にある木のテーブルへと移し、ウォーロッドさんの依頼について話を聞くことにした。

(ワッシ)は、引退してからずっと砂漠の緑化活動を続けてきた」
「引退?ウォーロッド様も昔はギルドに?」
「ハハハハハ!!いいギルドじゃったよ」

彼はそう言うと手のひらから小さなバラを作り出す。

(ワッシ)の緑の魔法をもって砂漠の広がりを食い止める。慈善活動をといえば聞こえがいいが、実はただの趣味じゃ。
そんなわけで何年もあちこちの砂漠を旅しておるのだがね、この前奇妙な村を見つけてのぅ」
「奇妙?」
「どの辺がですか?」

彼が見つけた奇妙な村。それを説明するためなのか、ウォーロッドさんは一冊の本を手に取り、その中を一ページを広げる。

「文献によればそこは『太陽の村』。永遠に燃え続ける炎を守護神とし、信仰していた村だった」
「永遠に燃え続ける炎?」

永遠に燃え続ける炎、それを聞いて火を扱う魔導士であるナツさんがいち早く反応する。

「そう。だがその村は、凍り付いていた。天災なのか人災なのか、人も動物も、植物も建物も川も、村を守護する永遠の炎さえも凍り付いていた」
「炎が凍り付いて・・・」
「そんな・・・」
「信じられない・・・」

ウォーロッドさんの話を聞いてルーシィさんとウェンディ、そして俺がそう言う。

「その村で何があったのかはわからん。だが、氷の中で村人は生きておった」
「え~!?」
「氷の中で生きてるなんて」
「どういうことなの!?」

次々に常識では考えられないようなことが彼の口から述べられる。それを聞いている俺たちはただ驚いていることしかできない。

「生きた村人が凍り付いている。放ってはおけん。その村を救ってほしい。それが、(ワッシ)の依頼じゃ」

彼からの依頼の全貌を聞くと、彼の正面に座っている桜髪の青年が机に片足を乗せて身を乗り出す。

「なるほど!!それなら簡単だ!!俺の炎で全部の氷の溶かしてやる!!」
「そういうことなら、俺とシリルは必要ねぇだろ」
「なんで俺らまで呼ばれたんですか?」

やる気満々のナツさんとは正反対で、この依頼でなぜ俺たちまで呼ばれたのかさっぱり理解ができない。すると、ウォーロッドさんがその理由を看破してくれる。

「いや、あれはただの氷ではない。グレイ君の力も必ず必要になる」
「あ?」

含みのある言い方をするウォーロッドさんを眉間にシワを寄せて見ているグレイさん。そんな彼から視線を外し、ウォーロッドさんは俺を見つめる。

「シリルくんは水使いと聞いている。水は万能だ。ナツくんほどの力のある炎ならそれにアシストにも使えるし、グレイくんの氷の魔法を増幅させることもできる。まさしく二人を助ける万能魔導士(オールマイティー)だ」
「!!」

聖十大魔道の中でも最強の四人と吟われる人物に褒められて思わずハニカム。自分の魔法をそんな風に考えたことがなかったから、なんだかすごく照れ臭い。

「お言葉ですが、ウォーロッド様」
「ん?」
「あなたほどの魔導士ならば、ご自分で解決できる事件では」

エルザさんがもっともなことを彼に言う。確かにそんなにすごい魔導士ならば、自らの手で村人を救うことだって可能なんじゃないだろうか?

「君たちは何か勘違いしているかもしれんな」
「「「「「??」」」」」

しかし、ウォーロッドさんは落ち着いた表情のままそう言う。俺たちは彼が何のことを言っているのかわからず、次に続く言葉を待っている。

「聖十大魔道といえど万能ではない。評議院が勝手に定めた十人に過ぎん。この大陸には(ワッシ)以上の魔導士は山ほどいるし、大陸を出ればそれはもう・・・(ワッシ)などはとても小さな存在」

青い空を見上げてしみじみと告げるウォーロッドさん。彼はそのままの姿勢のまま、言葉を続ける。

「現に(ワッシ)は攻撃用の魔法をほとんど知らん。若者と武力で争っても勝てる自信もない。蛇姫の鱗(ラミアスケイル)のレオンくんのような、(ワッシ)より遥かに優れた若者もいるしのぅ」

やっぱりイシュガルの四天王とはいえ、レオンクラスの魔導士はすごいと感じるんだ。まぁ、あれはチートに限りなく近いし、仕方ないことなのかな?

「ですが・・・」
「誰にも得意不得意はある。それを補い合えるのが仲間。ひいてはギルド・・・だろ?」

なおも納得がいっていない様子のエルザさんだったが、ウォーロッドさんの一言を受け考えを改めた様子。そして彼女以外のメンバーも、周囲の仲間たちと視線を交わし合い、仲間の存在を認識している。

「おっしゃる通りです」
「その依頼引き受けた!!」
「おう!!」

静かにうなずくエルザさんと拳を合わせて息がピッタリなところを見せつけるナツさんとグレイさん。

「わかりました!!」
「私たちに任せてください!!」
「頑張ります!!」

そして俺やルーシィさん、ウェンディも一気に気持ちを昂らせる。それを見てウォーロッドさんは一度小さくうなずいてみせる。

「それで、その村はどこにあるんですか?」
「ここからどれくらいかかりますかね?」
「ここから二千㎞ほど南じゃ」
「結構あるわね」
「何日くらいかかるかな~?」

太陽の村は大変遠くにあるらしい。できればあまり乗り物には乗りたくないんだけどなぁ・・・

「なぁに、移動くらいは手伝ってやろう。ほれ、そこに集まって。荷物を忘れんようにな」

ウォーロッドさんが杖で指した位置に集合する。これから一体何が起きるのか、すごく気になる。

「さて、始めるか。回れ右!!」

彼の指示通りに全員が一斉に右を向く。チラッと見えただけなのだが、ハッピーだけ左を向いていたような気がする。

「というのは冗談じゃ」
「「「「「おい!!」」」」」

お得意のジョークを繰り出すウォーロッドさん。位の高い人なのに、思わず突っ込みを入れてしまったが、しょうがないよね?

「頼んだぞ、妖精の尻尾(フェアリーテイル)の若者たち。君たちなら己と向き合い、いずれ、立ち塞がる困難を乗り越えて行けるだろう」

ウォーロッドさんの足元が光り輝き始める。すると、俺たちのいた場所が急激に盛り上がり、空へと伸びる大きな木が姿を現す。

「「「「「オオッ!!」」」」」

桜の花を纏ったそれは上空から一気に南の方角へと枝をしならせ、ぐんぐんぐんぐん伸びていく。

「すげぇな!!」
「あぁ。木が、生き物のように・・・」

人間が歩くよりも何倍も早い速度でどんどん元いた場所から離れていく。眼下にはまるでミニチュアのようになった村や街が広がっている。

「謙遜されてはいるが、やはり大したお方だ。大自然を操る魔法とは」

ふざけてはいるが、やはりすごい魔導士なのだと改めて感じさせられた俺たちは、そのまま氷漬けにされている村人たちがいるという、太陽の村へと向かった。






 
 

 
後書き
いかがだったでしょうか。
このタイミングでカミューニたちと並ぶ三人衆の特徴が少しだけ登場。もちろん彼女も出てきます。いずれ・・・たぶん・・・
次からは太陽の村での出来事です。 
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