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Blue Rose

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第十一話 嵐の中でその二

「そうしていくよ」
「じゃあな、それとな」
 ここでだ、龍馬は。
 自分達が今いる窓の外を見てだ、その顔を曇らせて言った。
「やっぱり天気がな」
「低気圧が来るからね」
「それも凄いのがな」
「嵐だね」
「来るな」
「登下校とか気をつけないとね」
 どうしてもと言うのだった。
「嵐だと」
「濡れない様にな」
「警報出たら休校だしね」
「だよな、とにかくな」
「うん、嵐になるなら」
 それならとだ、また言った優花だった。
「気をつけよう」
「俺も濡れたくないしな」
「ものも飛んでくるかも知れないし」
「それもあるな」
「うん、気をつけよう」
 こう言ってだ、そしてだった。
 二人は今度は天気のことを気にした、優花の関心はそちらにも向かったがやはり心は自分の身体のことにあった。
 だがそれでもだ、決意を固めていっているだけにだ。
 部活の絵もだ、先生が観て言った。
「黒以外の色もね」
「増えてきてます?」
「徐々にね」
 それでもというのだ。
「そうなってきてるわ」
「そうですか」
「赤や黄色もね」
 そうした明るい色がというのだ。
「特に白が」
「皆と同じものをモデルにしていても」
 優花は風景画を描いている、そうしつつ言うのだった。
「その人それぞれですね」
「絵はね」
「芸術は、ですね」
「そう、違ってくるのよ」
「ピカソやゴッホなんかは」
「ええ、あの人達はね」
 それこそというのだった、先生も。
「私達と同じものを観てもね」
「ああしたタッチになりますね」
「シャガールもそうよ」
 先生はこの芸術家の名前も出した。
「あの人もそうでしょ」
「独特の芸術ですね」
「芸術はそれぞれだから」
「同じものを観て描いてもですね」
「タッチも色もね」
 そうしたものがというのだ。
「全く違ってくるのよ」
「そうなんですね」
「だから蓮見君の絵もね」
 今は黒が多いそれもというのだ。
「それでいいのよ」
「独特で」
「芸術は誰にも縛れないわ」
 先生は真剣な顔で言った。
「縛ったらね」
「それで、ですか」
「芸術じゃなくなるのよ」
「じゃあ何になるんでしょうか」
「強いて言うなら模写よ」
 それになるというのだ。
「模写は芸術でもね」
「模写以外のものではないですか」
「ええ、そうよ」
 その通りという返事だった。 
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