ドリトル先生北海道に行く
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第十二幕その六
「もういいと思うよ」
「そうだね」
先生もウルのその言葉に頷きました。
「それ位の大きさになったね」
「それじゃあね」
「皆終わろう」
先生は皆に笑顔でお話しました。
「これ位の大きさなら充分だよ」
「うん、わかったよ」
「それでは」
王子とトミーが先生の言葉に笑顔で応えました、そして。
皆は掘るのを止めました、ウルが実際にその穴に入って休んでみるとです。大きな彼がゆっくりと休める位でした。
その大きさに満足してです、ウルは皆に笑顔で言いました。
「有り難う、これで安心だよ」
「冬を越せるね」
「今年も来年もね」
「それは何よりだよ」
先生も笑顔で応えます。
「君が冬眠出来るのならね」
「本当に有り難う、けれどね」
「けれど?」
「僕の為にここまでしてくれるなんてね」
「いや、君達にとって冬眠出来ないことは大変なことだからね」
それでというのです。
「僕もだよ」
「こうしてくれたんだ」
「そうだよ」
「汗をかいて穴を拡げてくれたんだね」
「実際に冬眠出来ないとね」
それこそと言った先生でした。
「君達にとっては大変だから」
「羆嵐みたいなことになったら」
「ああしたことになったら誰も幸せにならないからね」
だからというのです。
「そうならない為にしたことだから」
「それは先生強く言ってるね」
「誰も幸せにならないのなら」
「それはどうにかしないといけない」
「そう、気にしないでね」
「そこまで言うのならね」
「冬はここでゆっくりと寝るんだよ」
「そうさせてもらうね」
ウルは先生のお言葉に頷きました、そしてです。
シホレさんもでした、先生に深々と頭を下げて言いました。
「有り難うございました」
「ですからお礼はです」
「宜しいですか」
「はい、お話した通りです」
「そうですか、ですが」
「それでもですか」
「何もなしではいけないです」
シホレさんは先生に確かなお声でお話しました。
「ですからここは美味しいものでどうでしょうか」
「美味しいものですか」
「私はカレーが得意とお話しましたが」
「そうでしたね、昨日」
「ですからカレーをご馳走させてもらいたいのですが」
「それで、ですか」
「お礼にして宜しいでしょうか」
これがシホレさんの提案でした。
「それでどうでしょうか」
「そうですね、今日の晩は予定もありませんし」
皆一日かけて穴を掘りました、ですから結構な広さになったのです。
「それでは」
「はい、お家にいらして下さい」
「そうさせてもらいます、そのカレーはです」
「どういったカレーですか?」
「スープカレーです」
「そういえばスープカレーも」
先生はその彼についても言いました。
「北海道の名物でしたね」
「そうです、北海道で生まれたカレーです」
「そのスープカレーをですか」
「召し上がって下さい」
「それでは」
笑顔で頷いてでした、そして。
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