歌集「春雪花」
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恋忍び
想い揺蕩う
片割れの
仰ぐは侘し
夜半の月かな
この恋に耐え忍び…彼を想って日々を生きる…。
ふと気付けば、月影が明るく夜を照らしていた。
見上げれば…半分だけの月…。
私の想いなぞ知らない彼のような月…。
独り見上げるには…余りにも心寂しい月であった…。
朝昇る
日も恨めしき
晩春の
落ちたる影の
独り虚しき
朝、太陽が大地を照らし始めると、見えなかった鮮やかな色が見えてくる。
あまりに鮮やかで…寂しい私にとっては目映いばかり…。
その朝陽にふと振り返れば…私の影が一つ、地面へと落ちているだけ…。
春の終わり…一人きりだと再認識するだけの朝…。
全く恨めしいだけだ…昇りゆく朝陽というものは…。
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