ユキアンのネタ倉庫 ハイスクールD×D
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ハイスクールD×D 神様のレシピ
前書き
掃除してたら見つかったとある漫画に出てくる能力を全て持って原作知識なしで投入です
「バンカーにMAXベットだ」
バンカーサイドにこのテーブルに設定されているMAXベットを置く。周囲の観客が見守る中、カードがめくられる。結果はバンカーが3、6。プレイヤーが3、A。よってバンカーの勝ちだ。
「これで10連勝だ!!」
「いつもながらバカラだけは強いな!!」
「いやいや、配当が2倍程度ならどれでも強いな!!」
「はっはっはっ、いつも応援ありがとう、紳士淑女の皆々様。とりあえず一杯奢らせてもらおう」
最後の配当をそのままカジノ側に回して酒を振る舞う。さてと、情報通りならそろそろ来るはずだ。つまらなそうな顔をしていると支配人が寄ってくる。
「お客様、どうやら退屈なようですね。よろしければ当カジノ一押しのギャンブルがございますが如何でしょうか?」
通訳を兼ねる銀髪の女性がまたかという顔を見せるが仕方ないだろう。これでこのギャンブルも三回目だからな。
「噂には聞いていたが、これがあるのか?」
指で銃の形を作ってこめかみに当てるジェスチャーをする。一応、通訳を通して言葉も伝える。
「ええ、もちろんですとも」
「そいつは楽しみだ。案内してもらおうか」
山のように積まれたチップを台車に乗せて支配人に案内されて地下へと向かう。全面コンクリートで囲まれた広い部屋の真ん中にポツンとテーブルと2脚の椅子、そしてテーブルの上にはリボルバーと銃弾が置いてある。椅子の片方には仮面をかぶった年配の男性が座り、その後ろにSPらしき黒服の男が3人立っている。
「ようこそ、超VIPルームへ。私は当カジノのオーナーを勤める者です。仮にJとでも名乗っておきましょうか」
「ああ、よろしく頼むよ、J。それでルールとレートは?」
全て銀髪の女性を通訳として会話を行う。
「まずは銃ですが、装弾数8発。多少の改造を施し、どこから見ても弾倉の中身が見えないようになっております。その弾倉に1発の銃弾。これでロシアンルーレットを行ってもらいます」
「銃と弾を確認させてもらっても?」
黒服がJの前に立って肉の壁となってから銃と銃弾が1発手渡される。装填せずにまずは銃の確認をする。Jの言う通り弾倉の中身はどこからも見ることはできない。そのままトリガーを引いて動作に異常がないかを確認する。次に銃弾を装填して部屋の隅に用意されている防弾チョッキを着ているマネキンに発砲する。異常は見当たらないな。
「銃にも弾にも異常は見受けられないな。ルールの続きを確認しよう」
「ええ。では、ルールですが、私がディーラーを行います。命を張るのはお客様のみとなっております」
「だろうな。それはまあいい。その分、レートは上げてもらうぞ」
「もちろんですとも。そして銃弾を装填して弾倉を回すのも引き金を引くのも私が行います。つまりお客様が銃に触れることは一切ありません。銃弾1発の重さでも慣れた者なら分かってしまいますからね」
「なるほど。だが、それはJにも言えることだ。負けが嫌で引き金を引くかもしれない」
「だから貴方も連れてきているのでしょう。悪魔を」
「そういうそっちは3人も連れてきちゃって」
「これでお互いに契約を交わすことができます。公平でしょう」
「ああ、そうだな。良いだろう、ディーラーに関してもそっちにお任せしよう」
「では、ルールの続きです。最初にベットを行い、引き金を引いた回数分レートが上昇していきます。降りればそこまでの配当が支払われます。そして降りる際に次に引く分で銃弾が出るにそこまでの分の配当をベットすることが出来ます。外れれば配当は没収の上で同額を支払ってもらいます。当たれば配当金が上がり、御祝議として10倍をお支払いします」
「OKだ。MINベットとMAXベット、それからレートは?」
「MINは1000$+命、MAXは100000$+命。1回ごとに3倍々とさせていただきます」
「つまり、1発で3倍、2発で9倍、3発で27倍って感じだな?」
「そうです。そして最低でも5ゲームを行う。それがルールでございます」
「それじゃあ、悪魔との契約内容だが、相手のイカサマによる危害から契約者を守る、自分の身を守る以外で魔力・能力を使えない。また、イカサマは見破らなければならない。あとは、守秘義務と、ああ、死んだ際は残っている配当を契約の対価として引き払うかな」
「それに追加しまして神器をお持ちでしたらそれの使用をゲーム中はご遠慮していただきます。現在も能力下でしたら解除をお願いいたします」
「それに関してだが、席に座るまでは許してほしい。足が悪くてね。神器の力で立っているものでね」
「ええ、構いません。では、ゲーム開始時に解除するに変えましょう。そして最後に支払いが不可能な場合は契約している悪魔への借金となります。よろしいですか?」
「ああ、いや、ちょっと待ってくれ。オレは立てなくなるからベットは彼女がテーブルに置く。揉めるかもしれないから事前にな」
「ええ、もちろん構いません。以上でしょうか?」
「ああ。では、ゲームを始めようか」
契約を交わし、椅子に座ると同時に神器の能力を切る。
「それではゲームスタートでございます」
「MAXベットだ」
銀髪の女性が100000$をテーブルの上に置く。それを見てからJが銃弾を入れて弾倉を回してから狙いをオレにつける。
「それでは、引きますか」
「引こう」
即答に少しだけJが驚くが、そのまま引き金を引き、カチッという乾いた音が響く。
「続けて「引くぞ」
言葉を被せるように告げ、再び乾いた音が響く。
「それでは」
そこで初めて長考するふりをして、そして絞り出すように告げる。
「降りる。それから次に弾丸が出るのにフルベットだ」
これは外れる。むしろ外しに行ったのが正解だ。狙うは一撃必殺のみ。乾いた音が響き、100000$と追加で900000$を払う。
「次はいくら掛けますか?」
「再びMAXだ。死ぬ可能性がある以上は当然だろう」
「ええ。では」
Jが銃弾を入れて弾倉を回してから狙いをオレにつける。ゲームを続けていき、5回が終了したところで収支は+300000$となる。
「ふぅ、これで5回が終了したことになるが、これ以降はどうなるんだ?」
一度休憩が入り、ペットボトルの水を飲む。
「ここからはいつゲームをやめていただいても構いません。ルールは同じです」
「そうか。では続けよう」
体をほぐしてから再びゲームを続行し、11回目にとうとうチャンスが訪れる。
「引くぞ」
乾いた音が響く。流れ出る汗を乱暴に袖で拭い捨てる。今ので6発目。そして次で弾丸が出る。
「降りる。それから次に弾丸が出るのにフルベットだ」
「本当によろしいのですか?足りない分は契約している悪魔への借金となるのですよ」
「構いませんわ。もしもの際はグレモリー家が問題なく支払わさせていただきます。契約は遵守するものですから」
「い、いいでしょう。それでは最後の1発です」
最初の銃の確認の際に弾倉を回転させないギミックが隠されていることは分かっている。だからこそ、自信を持って引けるのだろう。そいつは甘い考えだ。そのギミックは今壊させてもらった。銃声が響き、Jと黒服が驚く。
「オレの勝ちだな。グレイフィア、いくらになる?」
「196830000$ですね」
「支払いは一括しか認めないぞ。契約に支払い方法を決めなかったのがそっちの落ち度だ」
「イ、イカサマだ!!」
「ほう、では何がどうイカサマなのか証明してくれ。銃も弾もオレは最初の確認で触っただけだ。まあ、仮にイカサマだとしてそれを見破れていない以上ゲームは有効だ。契約にちゃんと含まれているだろう」
「くっ、こいつらを殺せ!!」
「それも無駄。支払いまでがゲームの一環だ。魔力も能力も使えないし、襲いかかってくれば身を守るために魔力も能力も使える。そして、気付いていないようだが既にカジノの運営費以外から徴収を終えた。足りない分はそっちの悪魔の家から徴収中だ。絞れるだけ搾り取るみたいでな、家が残るといいな。というわけでばいば~い」
懐から転移魔法符を取り出してグレイフィアさんと共に逃げる。
仕事の終わりのたびに案内されるホテルのスウィートルームで報酬の確認を行う。
「それじゃあ、いつも通り取り分はオレが7でグレモリーが3で。いつも通りの口座に振り込みで」
「はい、確かに」
「それにしても、悪魔の島の奪い合いにギャンブルが関わってくるとはね。まっ、日本の賭博業界から締め出されたオレにとっちゃ渡りに船だったが」
「今まではあまりお聞きしませんでしたが、そこまでギャンブルがお好きなのですか?」
「いや、手っ取り早く金を稼ぐのにギャンブルが一番だっただけ。で、まあ、オレも若かったものでね、今も若いけど。荒稼ぎしすぎて何処も出禁を食らったんだよ。そんで金に困ってるところに悪魔からのお誘いだ」
「なぜ、そこまでお金を?」
「ウチの爺さん、それに親父が孤児院を作ってね。身内は全員死んで残ったのが結構な数の孤児院とその借金だ。さすがに路頭に迷わせるわけにはいかないからな。年を誤魔化して賭博でなんとかやりくりしてるんだよ。まっ、今回の件で借金も利息込みで返せたし、あと1回か2回もやれば、オレが死ぬまでは金に困ることは無いだろうよ」
「そのあとは、どうされるのですか?」
「そうだなぁ、普通に学園を卒業して、大学に入ってそこらの会社に就職して、まあ、普通の人生を送って死にたいな。今回みたいなギャンブル事なら協力してもいいけどな」
「そうですか。では、次は麻雀なのですが」
「あ~、すまん。麻雀はダメだ。オレの能力外だ」
「能力外?」
「つまり、種も仕掛けもあるんだよ。オレのギャンブルには」
「それは、一体?」
「何回か仕事を一緒にこなして信頼してるから話すけど、あまり話は広めないでくれ。そんでもって神器とは別のくっだらない能力だ。それでも聞くか?」
「出来れば聞いておきたいです。お任せしたい時が来るかもしれませんので」
「OKだ。まあ、オレはこの能力をこう呼んでいる『10分の1=1』オレは確率が10%までの事象なら確実に当てる事ができる」
「確率が10%。つまりバカラやロシアンルーレットのような、いえ、ですが、何度か外して」
「そう、外して生き残っている。それがオレの能力、そして演技力だ。後者は必死で身につけた。さすがに海外のカジノのブラックリストに載るわけにはいかないからな。ある程度、エンターテインメントに見せかけて一撃で喉元を食い破る。それが今のスタイルだ」
実際にグレイフィアにコイントスを10回させて、その様子を見ずに全て当てたり、サイコロの出目も完璧に当てて見せた事で信じてもらえた。まっ、他にもくだらない能力が1つ、応用が利く能力が1つ、危険な能力が1つあるんだけどな。そこまではまだ信用が足りない。
「というわけで、確率10%までを当てる仕事があればご一報を。世話になった分も含めてある程度の無理はさせてもらいますよ、グレイフィアさん」
「ここぞという一番の大仕事でお呼びさせていただきましょう」
「そいつは責任重大だ。意地でも負けるわけにはいかないな」
「また仕事帰りですか、安藤君」
「おや、次期生徒会長様じゃありませんか。でかい仕事帰りですよ。おかげで綺麗な身になれましてね。今日はかなり機嫌よく眠れるそうですよ」
「はぁ~、堂々とサボり宣言ですか」
「ため息をついてると幸せが逃げるぞ」
「幸せが逃げるからため息をつくんですよ」
オレが寝転がっている貯水タンクの上に軽く跳んで上がってくるとは、相変わらず悪魔のスペックはすごいと思いつつ上半身を起こす。そのままだとスカートの中が見えるからな。
「そんで、何かご用で?」
「不良生徒の注意、は、また今度ですね。今日は、第三者に話を聞いてみたい事があるんです」
「それは真面目な話で?」
「はい」
「なら、放課後にここで。時間がかかるでしょうし、ここには色々と機材を隠してますし、天気もいいんで」
「相変わらず学園に不要物を持ち込んで」
「バレなきゃいいんですよ、バレなきゃ」
「私が生徒会長になったら一番に撤去して見せます」
「なら、新しい隠し場所を探さないとな」
お互いに軽口が叩けるぐらいには仲の良い支取蒼奈、本名ソーナ・シトリーと放課後に約束を取り付けて昼寝と洒落込む。
誰かに揺すられているのを感じて目を開けると、支取がオレの顔を覗いている。
「やっと起きましたか。まさか昼休みからそのままですか?」
「お~ぅ、おはようさん。ご推察の通りだ。ちょっと待ってくれよ」
携帯ガスコンロでお湯を沸かせながらインスタントコーヒーを用意してお湯を注ぐ。支取にも渡して砂糖とミルクもつける。
「手際の良い事で」
「所詮はインスタントだからな。それで、話って?」
濃い目に作ったコーヒーをすすりながら尋ねる。
「私の夢に関してなんです」
支取がいうには上級悪魔、つまりは貴族だけが出場できる模擬戦、レーティングゲームの学校を作りたいのだそうだ。それも下級、中級悪魔のだ。
「あ~、うん、なるほど。それの第三者の意見が欲しいと」
「はい。率直な意見をお願いします」
「う~ん、情報不足だからなんとも言えないが、もし、オレの想定する最悪が現実となるならやめたほうが良いし、最良が現実になるならあまり賛同はできないな」
「どうしてでしょう?」
「支取の話を聞く限り、できる限り早く、そんでもって規模をでかくしたい。ここまでは大丈夫か?」
「はい、そうです。絶対に必要になってくると思っています」
「そう、必要になるのは認める。そんで出来るだけ早く作りたい、これも理解できる。だがな、いきなりでかい規模でやるのは止めた方が良い。これは確実だ」
「続きを」
「まずは、運営側にノウハウがないという事だ。上級悪魔に関しての学校はあるが、それ以外はない。つまりは全く新しい試みだ。予想は出来るだろうが、所詮は予想だ。思わぬアクシデントが発生する事だってある。ここまでは理解できるか?」
「大丈夫です。ですが、私達にも眷属を育成する事が」
「そこだ。眷属っていうのは身内だ。何かあっても身内内の事だし、それがはぐれ悪魔にならない限り失敗を笑いはしない。だが、支取の想定する学校ではそうはいかない。眷属を鍛えるのと生徒を鍛えるのを同一に見るのは間違いだ。生徒は法的に守れない。失敗をすればそれはそのまま嘲笑や批評になる。それは支取達だけでなく生徒にも向く。これはその後の運営に致命的ダメージを与える可能性がある。だから、最初はカバーできる人数で私塾みたいな形で進める。最低でも5年はノウハウの獲得に費やす。もちろん、少しずつ人数を増やしていくのは構わないだろうがな。その後、生徒の中から誰かが成果をあげるまでは規模を広げる事はしない。実績っていうのは重要だ。実績っていうのはそのまま信頼につながる。そこから再び規模をおきくしていく。その際に教師側も新たに増やしていく。この教師は生徒からだな。利点は話さなくてもわかるな。こういう風に少しずつ規模を大きくしていかなければ危険が多い。だから、学校は反対だ。絶対に支取の想定は甘い。断言してやるよ。お前のお姉さんにも覚悟を決めて話してみろよ。似たような事を言われるさ。もしくは力づくで解決するか?」
「いえ、ですが、そんな」
「下の為の道が必要だっていうのは認めるさ。だが、想定の甘さで周りを巻き込むなら止める。よ~く考えろ。考えるってのは高等生物にのみ許された至上の行為だ。相談ならいくらでも乗ってやる。ただな、時間をかけるっていうのも間違いじゃないって事を覚えておけ。走り出したら立ち止まってる暇がないような夢だ。こける事も許されない。しっかり考えて、相談して、またしっかり考えろ。自分や種族全体だけでなく、それを与えられる下の者の立場にもなって考えてみるんだ」
「はぁ~、グレモリーの奴は何やってんだか」
深夜にコンビニに買い物に行った帰り、見事にはぐれ悪魔に絡まれた。
「貴様の所為で我が家が!!」
訂正、オレが原因だったか。使い魔らしい大量のコウモリがオレに襲いかかってくる。仕方ない、当方に迎撃の準備あり。右手の人差し指を眉間に押し当てて念じる。
「なっ、何が!?」
相対する悪魔が驚く。何故なら全てのコウモリが叩き落とされて潰されているからだ。これがオレの能力の一つ、『空気の手』だ。自由に動かすことのできる圧縮された空気、それが『空気の手』だ。
コウモリの迎撃を終えて、空気の手で悪魔を拘束する。そして近づきながらメガネと左目のコンタクトレンズを外して、顔を掴んで相手を凝視する。
「オレの目を見ろ!!」
数秒目を凝視した後に放してやる。悪魔はそのままどこかへと歩いて消える。メガネとコンタクトレンズを戻して能力を封じておく。次の日にはあの悪魔は自殺体で見つかるだろう。そういう目だからな。オレの裸眼の両目を見ると、良心の呵責から自殺したくなる。そういう厄介な能力。これら能力と一番くだらない能力『腹話術』、肉体強化系では最も弱い『血脈の祝福』と共にオレは生きて行く。
全ての命には生まれてきた役目がある。全ては神様のレシピの通りに。
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