英雄伝説~運命が改変された少年の行く道~(閃Ⅱ篇)
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外伝~メンフィルの報復~
~カレル離宮・式典の間~
「リフィア殿下!何故メンフィル帝国とエレボニア帝国が戦争状態に陥ってしまったのですか!?ユーゲント陛下達は貴国との戦争を絶対に望んでいません!」
一方その頃レーグニッツ知事は真剣な表情でリフィアを見つめて尋ね
「”何故”じゃと……?エリスがここに連れてこられた経緯を聞いておらぬのか?」
レーグニッツ知事の問いかけを聞いたリフィアは不愉快そうな表情で眉を顰めた。
「あ…………ま、まさかアルバレア公が雇った猟兵達がユミルを襲撃した事ですか……!?」
その時エリスがカレル離宮に連れてこられる事になってしまった経緯を思い出したセドリック皇子は表情を青褪めさせ
「―――それだけではない。貴族連合軍は先日ユミル領空に”パンダグリュエル”で現れ、領主の息子、リィン・シュバルツァーをユミルに手を出さない事を条件に彼を自発的に”パンダグリュエル”に向かわせたのだぞ!?」
「なっ!?」
「そ、そんな……貴族連合は一体何を考えているのでしょう……?」
「じゃ、じゃあリィンさんは今アルフィンと同じ場所に監禁されているんだ……」
「…………………………」
怒りの表情をしたルベールの話を聞いたレーグニッツ知事は驚き、プリシラ皇妃は信じられない表情をし、セドリック皇子は呆然とした表情をし、ユーゲント三世は重々しい様子を纏って黙り込んだ。その時通信の音が聞こえ、音に気付いたリフィアは通信を開始した。
「余じゃ。――そうか、手筈は整ったか。メンフィル皇女リフィア・イリーナ・マーシルンの名に置いてバルヘイム宮を爆撃する事を許可する!貴族連、いや―――”エレボニア帝国”に我らメンフィルの怒りの炎と反撃の狼煙を見せつけてやれ!」
「え………………」
「リ、リフィア殿下……今何と仰ったのですか……?」
「!!」
「なっ!?バ、バルヘイム宮を爆撃!?」
リフィアの通信を聞いたプリシラ皇妃とセドリック皇子は呆然とした表情をし、ユーゲント三世は目を見開き、レーグニッツ知事は信じられない表情で声を上げた。
「”貴族派”と”革新派”を纏めきれなかった結果内戦を引き起こした挙句、他国である我らメンフィルをを内戦に巻き込んだ愚帝ユーゲント・ライゼ・アルノール!その目でしかと焼き付けるがよい!メンフィルの”怒り”と反撃の狼煙を!」
そしてリフィアはユーゲント三世を睨んで怒鳴った後ステンドガラス越しに見える遠くにあるバルヘイム宮に視線を向け、続くようにユーゲント三世達もバルヘイム宮に視線を向けた。
~グロリアス・ブリッジ~
「――爆撃開始。」
「ハッ!」
「目標、バルヘイム宮!」
「ロックオン完了!」
艦長席に座っているシェラが指示を出すと兵達はそれぞれ端末を操作した。
~バルヘイム宮・謁見の間~
「なっ!?あ、あの紅い戦艦はユミルで現れた……!」
「”紅の箱舟グロリアス”!?一体何を――――!!う、嘘でしょう!?クッ……!」
プリネ達が乗る飛行艇が去った後、飛行艇が空けた巨大な穴から見えるグロリアスの姿を確認したカイエン公爵は驚き、グロリアスの行動をすぐに察したクロチルダが信じられない表情で声を上げた後慌てた様子で転移魔法を発動してカイエン公爵と共に消えたその時グロリアスから大量の砲弾やミサイルが放たれ、バルヘイム宮に命中した!
グロリアスの爆撃によってバルヘイム宮は崩壊してしまい、伝統を誇るエレボニア帝国の宮殿は瓦礫の山になるという無惨な姿となり、爆撃に巻き込まれたりメンフィル兵達との戦闘によって絶命した近衛兵達の死体は瓦礫の山に埋もれた!
~カレル離宮・式典の間~
「ハハハハハッ!レスペレント地方全土を納める大国の逆鱗に触れた者達に対する相応しい”報復”だな!」
「あ………………」
「皇妃殿下!」
「しっかりなさってください!」
「そ、そんな…………」
「バ、バルヘイム宮が…………」
バルヘイム宮が爆撃され、崩壊する様子を見ていたディアーネは凶悪な笑みを浮かべて声を上げて笑い、プリシラ皇妃は気絶し、その事に気付いたメイド達は慌てた様子でプリシラ皇妃を支え、レーグニッツ知事は信じられない表情をし、セドリック皇子は呆然とした表情で崩壊したバルヘイム宮を見つめていた。
「……これがユミル襲撃―――”宣戦布告もせずにメンフィル帝国領を襲撃したエレボニア帝国”に対する”報復”と言う訳か、リフィア皇女……!」
そしてユーゲント三世は厳しい表情でリフィアを睨み
「――恨むのならばメンフィル帝国領を襲撃した挙句、約2週間の猶予を与えた上警告したにも関わらずメンフィル帝国の再三の要求を一切呑まなかった”貴族連合”の愚か者共やエレボニアの”皇”として”貴族派”と”革新派”を纏めきれなかった貴様自身を恨め。ご苦労、ディアーネ!余の身体の中で休むがよい!――――総員、撤収!皆の者、よくやった!作戦は大成功じゃ!」
「ハッ!!」
全身に覇気を纏っているリフィアはユーゲント三世を睨んだ後ディアーネを自分の身体の戻し、ルベール達親衛隊と共に”帰還の耳飾り”を使って離宮郊外に停泊している戦艦に戻り、リフィア達が消えるとリフィアが消えた場所から2枚の紙が舞うようにユーゲント三世の目の前の床に落ちた。
「……?――――!!こ、これは…………!……………………」
床に落ちた紙が気になったユーゲント三世は紙を拾って紙の内容――――”戦争回避条約”と戦争回避条約の救済条約”に書かれてある内容を厳しい表情で黙って読み
「ち、父上……?その紙には何が書かれてあるのですか……?」
ユーゲント三世の様子を不思議に思ったセドリック皇子は尋ねた。
「…………エレボニア帝国がメンフィル帝国との戦争を回避する為の”条約”が記してある。」
「なっ!?と言う事はメンフィル帝国との戦争を回避する方法があるのですか!?」
ユーゲント三世の答えを聞いたレーグニッツ知事は驚き
「そ、それでどんな内容なのですか、父上!?」
セドリック皇子は真剣な表情でユーゲント三世を見つめた。
「……二人も読んでみるとよい。」
そして疲れた表情をしたユーゲント三世はレーグニッツ知事にそれぞれの条約が書かれてある2枚の紙を渡し、レーグニッツ知事とセドリック皇子は条約内容を読んだ。
「なっ!?こ、これは…………!」
「え――――ど、どうしてこの”救済条約”でアルフィンがリィンさんと結婚する必要があるのでしょう……!?え、えっと……でもアルフィンはリィンさんの事を好きだったはずですから、アルフィンや僕達にとっては都合のいい条約ですよね……?」
条約内容を全て読み終えたレーグニッツ知事とセドリック皇子は信じられない表情をした後戸惑い
「……私は何と愚かで無力な皇だ…………唯一の救いは”救済条約”の内容にあるアルフィンの相手がアルフィン自身が懸想しているテオの息子であり、”有角の若獅子”の一人である事か…………女神よ……願わくば滅亡の道を歩むエレボニア帝国に救いを…………」
ユーゲント三世は辛そうな表情で肩を落として呟いた後その場で祈った。
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