英雄伝説~運命が改変された少年の行く道~(閃Ⅱ篇)
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外伝~帝都襲撃~
同日、12:00―――
~バルフレイム宮・謁見の間~
「歌姫殿!ルーファス君をメンフィルから奪還する策はまだ思い浮かばないのか!?」
バルフレイム宮の謁見の間でクロチルダと対峙しているカイエン公爵は怒りの表情でクロチルダを見つめて叫び
「ですからメンフィルの要求を呑むしかないと何度も言っているではありませんか!しかも今日を入れて2日以内にメンフィルが何らかの形で攻撃を仕掛けてくるのですから、ここは大人しく従い、早急に二人をメンフィルに返還すべきです!」
クロチルダは真剣な表情でカイエン公爵に反論した。
「ふざけるな!こういう時の為の貴女達―――”裏の協力者”だろうが!?」
「戦力を大幅に削られた今のこの状況でどうしろというのですか!?”執行者”どころか、”西風の旅団”の猟兵達や”黒の工房”から出向していた”黒兎”も殺されたこの状況で!現在も生き残っている”神速”や”帝国解放戦線”のメンバーがロレント大使館に潜入して異世界に向かい、異世界にあるメンフィル帝国のどこに幽閉されているかわからないルーファス卿の奪還をする事は到底不可能です!」
「”結社”に応援を頼めばいいだけではないか!新たな”執行者”や”使徒”とやらをこちらに回してもらうように!」
「そんな簡単に言いますけど、”使徒”もそうですが他の”執行者”達もそれぞれの”使命”があり――――」
カイエン公爵にクロチルダが反論したその時、宮殿内に小さな揺れが起こった後外から銃撃や砲撃、怒号や悲鳴が聞こえて来た!
「な、何だ……?」
「―――!!まさか……!」
突然の出来事にカイエン公爵が戸惑い、ある事を察したクロチルダが血相を変えたその時、慌てた様子の領邦軍の兵士が謁見の間に入って来た。
「―――閣下!メンフィルが……メンフィル帝国軍が帝都上空から現れ、ヘイムダルに奇襲してきました!」
「何だとっ!?帝都近郊の空を警備している者達は何をやっていた!?」
兵士の報告を聞いたカイエン公爵は怒りの表情で怒鳴った。
「突然帝都の上空から現れたのです!レーダーにも反応しなかったとの事です!迎撃に向かった空挺部隊は帝都の制空権を奪った敵の戦艦や飛行艇の砲撃によって帝都に到着する前に全て轟沈しました!」
「なあっ!?」
「…………”グロリアス”に搭載されてあるステルス機能を解析して他の飛行艇や戦艦に搭載したのね……!―――状況はどうなっているの!?」
兵士の説明を聞いたカイエン公爵は信じられない表情で声を上げ、すぐに察したクロチルダは厳しい表情で尋ね
「”ドライケルス広場”が占領され、連中は広場を中心に戦闘を開始しました!このバルフレイム宮にも連中が所持している”機甲兵”が城門を破壊し、宮殿内にメンフィル兵達が雪崩込み、現在護りについている兵達が迎撃しています!」
兵士は慌てた様子で状況を報告した。
~帝都上空・グロリアス・ブリッジ~
「敵機全滅。総員、援軍の敵機の迎撃に備えよ。」
「ハッ!!」
ヘイムダルの上空に滞空している戦艦グロリアスの船内ではメンフィル機工軍団団長シェラ・エルサリスは兵達に指示をしながら、端末を操作していた。
~帝都ヘイムダル・ドライケルス広場~
「――――総員、戦闘開始!メンフィルの逆鱗に触れた者達はどうなるか思い知らせてやるわよっ!」
「オォォォォォォォオ――――――ッ!!」
広場に現れたメンフィル帝国の機甲兵の部隊は上空に滞空しているファーミシルスの号令に答え、次々と戦闘を開始した!
「ギャアアアアアアッ!?」
「な、何でメンフィルが機甲兵を―――グアアアアッ!?」
領邦軍の兵士達は生身の為、機甲兵相手に為す術もなく次々と殺されるか空から強襲する翼を持つ騎獣に騎乗する兵達に次々と討ち取られ
「キャアアアアア――――ッ!?」
「う、うわああああああっ!?」
「メ、メンフィル帝国軍……!?」
「な、何でメンフィルがエレボニアを攻めるんだ!?」
「領邦軍は何をやっているんだよ――――!?」
市民達は大混乱した様子で広場から逃げ始めた。一方メンフィル帝国軍の機甲兵の部隊の中にいる強力な砲撃能力を備えた機甲兵―――”ゴライアス”がバルフレイム宮の正門に向かって砲撃をすると正門は破壊された!すると領邦軍の兵士達が慌てた様子で破壊された正門から現れた!
「ば、馬鹿な……”機甲兵”だと!?」
「し、しかも新型まで何故奴等が所持しているんだ!?」
「クッ、何としても宮殿への侵入を許すな――――ッ!」
そして領邦軍の兵士達は正門を絶対に通さないかのように多くの兵達で固めたが、翼を持つ騎獣に騎乗する兵達が次々と強襲し、討ち取られていった!
「ギャアッ!?」
「グアッ!?」
「ガガッ!?」
「な、何なんだ奴等……ガッ!?」
空からの強襲に兵達は為す術もなく次々と討ち取られ
「今だ!一気に城内に雪崩込め!」
「オォォオオオオ――――ッ!!」
ファーミシルスの副官であるルースの指示により、メンフィル兵達は宮殿内に雪崩込み、領邦軍の兵士達と戦闘を開始した!メンフィル軍がドライケルス広場を中心に戦闘を繰り広げていると帝都内の警備をしている機甲兵がドライケルス広場に現れたが――――
「そのような鉄屑に乗った上、満足に動かせない雑魚が私達を止められると思って!?絶技――――暗礁電撃剣舞!!」
「ギャアアアアアアッ!?」
「グアアアアッ!?」
ファーミシルスが空から強襲し、次々と機甲兵を中にいる操縦者事切り裂いて撃破して行った!
「ヒィィィィィッ!?」
「ば、化物……!」
それを見た機甲兵を操縦する領邦軍の兵士達は表情を青褪めさせ、混乱していた。
「―――隙だらけだ!聖炎よ、邪悪なる者を滅す力を我が剣に!―――剛!!」
「え―――――ギャアアアアアアッ!?」
その時龍人族の聖騎士が跳躍し、聖なる力を宿した大剣で領邦軍の機甲兵を縦に真っ二つにした!
「突!!」
「ガハッ!?」
そして聖騎士が聖剣を奮うと聖炎の奔流を解き放たれて機甲兵を貫き、機甲兵の中にいる領邦軍の兵士の身体に大きな風穴を空けて絶命させた後跳躍して領邦軍の兵士達の目の前に現れ
「斬!!」
「ギャアアアアアアッ!?」
闘気を纏った薙ぎ払いを放って兵士達の身体を上下に別れさせて絶命させた!
「ク、クソッ!?何なんだ、あの騎士は!?」
「ば、化物が……!これでも喰らえ―――ッ!!」
その時領邦軍の装甲車が砲撃を聖騎士に放ったが
「―――光よ、悪しき者達から彼の者を護りたまえ!―――防護の神盾!!」
”メサイアの容姿にそっくりな人間の女性”の魔術によって、聖騎士にドーム型の結界が包みこんで聖騎士を砲撃から守り
「アークス、駆動!――――リーンカルナシオン!!」
「ギャアアアアアアアッ!?」
「ウアアアアアアアッ!?」
そして続けて駆動させていた戦術オーブメントによる最高位アーツを発動させた!膨大な魔力を秘める女性の魔力に加え、アーツの中でもトップクラスの威力を誇るアーツによって装甲車は爆発を起こし、中にいる操縦者達は爆発に巻き込まれ、絶命するか重傷を負った!
「――援護感謝致します、マルギレッタ様。ですが、無理はなさらないで下さい!」
「フフ、心配してくれてありがとう、リ・アネス。でも貴女がいるから、私は安心して戦えるのよ。それにヴァイス様の話にあった”並行世界の私の娘”――――”メサイア”の為にも頑張りたいのよ。早く会いたいわ……並行世界の私の娘に。」
聖騎士――――リ・アネスに心配された女性――――マルギレッタ・シリオスは優しげな微笑みを浮かべ
「ええ……それは私も同じ思いです。――――マルギレッタ様の身は必ずお守りしますので、マルギレッタ様は後方からの援護をお願いします!」
「ええ!援護は任せて!――――アークス、駆動!………………」
リ・アネスの言葉に力強く頷いたマルギレッタはオーブメントを駆動させた後魔術の詠唱を開始し
「ハァァァァァッ!!」
リ・アネスは前線で聖剣を振るって獅子奮迅の活躍をしていた!戦術リンクを結び、また姉妹のように仲のいい主従である二人のコンビネーションは息ピッタリで、次々と領邦軍を葬って行った!
「へえ?龍人の聖騎士も中々やるけど、ティナを思い出させるような雰囲気を纏っている彼女も中々やるわね。さすがはかつてメルキアの覇王達と共に戦場を駆け抜けてきたメルキアの英雄達といった所かしら?フフッ、リウイ様より帝都奇襲の指揮を任された私が”協力者”達に負けるわけにはいかないわね。ハァァァァァ……ッ!!」
二人の活躍を見ていたファーミシルスは感心した後不敵な笑みを浮かべて戦闘を再開した!
~バルフレイム宮~
「何だと!?奴等も”機甲兵”を所持しているというのか!?」
「は、はい……!しかも”新型”の姿もあったそうです……!」
「馬鹿な……一体どこで”機甲兵”の情報が漏れたというのだ!?クッ……トリスタやカレル離宮の守備に廻している部隊も廻せ!」
兵士の報告を聞いたカイエン公爵は信じられない表情で声を上げた後すぐに指示をし
「既にトリスタや離宮の守備隊もこちらに向かっています!」
「―――!しまった!?帝都の襲撃は囮で本命はカレル離宮にいるエリスね……!直ちに離宮の守備隊を引き返させ――――」
兵士の報告を聞いてある事を察したクロチルダが厳しい表情で指示をしようとしたその時、何と数機の”ルナ=ゼバル”がバルヘイム宮の謁見の間に突撃した!
「キャアッ!?」
飛行艇がぶつかった際に起こった衝撃にクロチルダは怯み
「な、なななななななっ!?」
突然の出来事にカイエン公爵は混乱した様子で声を上げた。するとその時プリネ、ツーヤ、エヴリーヌ、レーヴェ、ペテレーネが転移魔術によってクロチルダ達の目の前に現れた!
「”姫君の中の姫君”!?それにレオンや”蒼黒の薔薇”、”魔弓将”や”闇の聖女”まで……!さしずめ私を足止めする為に貴女達が来たと言う事かしら……!?」
プリネ達の登場に驚いたクロチルダは厳しい表情でプリネ達を睨み
「―――その通りです。少しの間、時間を稼がせて頂きます。」
「時間稼ぎをするだけだから手は抜くけど、間違ってエヴリーヌ達に殺されないでね、キャハッ♪」
「シルフィエッタ様に代わり、今度は私が魔術師として”格”の違いを思い知らせて差し上げましょう……!」
「クッ……!”蛇の使徒”を舐めてもらっては困るわ……!―――グリアノス!!」
プリネとエヴリーヌ、ペテレーネの言葉を聞いて唇を噛みしめたクロチルダがグリアノスに魔力を注ぐとグリアノスは巨大な鳥になった!
「公爵閣下!ご無事ですか!?」
「プリネ皇女殿下!ご指示を!」
するとその時近衛兵達が謁見の間に現れると共にルナ=ゼバルからはメンフィル兵達が現れた!
「――総員、近衛兵達を”殲滅”しなさい!」
「敵将と巨大魔獣は俺達が相手する。お前達は近衛兵達を皆殺しにしろ。」
「プリネ皇女親衛隊、戦闘開始!メンフィル帝国の”怒り”、今こそエレボニア帝国に思い知らせてあげなさい!」
「オォォオオォオオオオ―――――ッ!!」
プリネ、レーヴェ、ツーヤの号令に武器を掲げて雄たけびを上げたメンフィル兵達は領邦軍の兵士達との戦闘を開始し、プリネ達はクロチルダとグリアノスとの戦闘を開始した!
~帝都郊外・カレル離宮~
プリネ達が戦闘を開始したその頃、メンフィル帝国の魔導戦艦―――”ヴァリアント”が一隻カレル離宮の上空に現れると砲撃で駅や線路、崖を破壊して無理矢理戦艦が着陸できる広さを作り、そこに着陸するとゼルギウスを始めとした多くのメンフィル兵達が降りてくる中、リフィアとエリゼ、そして二人の背後から身体のラインやハッキリ見え、太腿を大胆に晒している娘が現れた!
「ここにエリスが…………銀さ―――いえ、リーシャ様、仕掛けや罠の類はないのですか?」
離宮を睨んだエリゼは娘――――カルバード共和国に伝わる伝説の暗殺者―――”銀”であり、クロスベルの劇団”アルカンシェル”のトップスター―――”炎の舞姫”イリア・プラティエと並ぶ人気を誇る新人アーティストでもあるリーシャ・マオに視線を向け
「―――私が以前潜入した時は特にありませんでした。ただ、”赤い星座”が運用している”クーガー”より体格が一際大きい軍用魔獣や”身喰らう蛇”の人形兵器が離宮内を徘徊しているので、そちらに関しては注意して対応してください。徘徊している近衛兵達はそれなりの実力があるようでしたが、この戦力なら問題はないかと。」
リーシャは静かな表情で答えた。するとその時警笛が聞こえ、聞こえた方向に視線を向けると領邦軍の兵士達や装甲車、そして背後からは機甲兵達が迫ってきた!
「―――来たか。リフィア殿下。ここは我々にお任せを。殿下達は一刻も早くエリスの救出を!」
「うむ!―――出番だぞ、ディアーネ!!」
ゼルギウスの言葉に頷いたリフィアは自分の使い魔―――魔神ディアーネを召喚した!
「ディアーネよ、お主は余達と共に離宮内に突入、近衛兵共を蹴散らせ!」
「クク、その小娘の妹以外は全員殺してよいのだな?」
リフィアの指示を聞いたディアーネは凶悪な笑みを浮かべて問いかけ
「……兵士や魔獣達は殺して構わん。―――が、非戦闘員やエレボニア皇族達には手を出すな。」
「フン、つまらん。”報復”をするのならば皆殺しにすればよいものを……―――まあいい、久方ぶりの戦、楽しませてもらうぞ……!」
リフィアの言葉を聞いてつまらなさそうな表情をしたディアーネだったがすぐに気を取り直し、凶悪な笑みを浮かべ
「―――ルベール!私やシグルーンの代わりに部下達と共にリフィア殿下を命に代えても守護し、此度の作戦を必ず成功させよ!」
「ハッ!我ら親衛隊一同、必ずや将軍達の期待に応えて見せます!」
ゼルギウスに指示をされたリフィアの親衛隊の部隊長―――ルベールは敬礼をした。
「よし―――ゆくぞっ!」
「おおっ!!!」
そしてリフィアはエリゼ達と共にカレル離宮に向かい
「ここからは一人足りとも通さん!殿下より頂いた”漆黒の守護神”の名に賭けて、殿下の”道”を阻む愚か者達は全て排除する!総員、迎撃開始!!」
「オォォォォォォォオ――――――ッ!!」
ゼルギウスはメンフィル兵達と共に領邦軍の兵士達との戦闘を開始した!
カレル離宮に向かっていたリフィア達だったが、すぐに離宮から兵士達が現れてリフィア達の行く手を阻んだが
「そこをどきなさい!秘技――――裏疾風!!」
「え――――」
「な―――――」
「斬ッ!!」
エリゼが電光石火で強襲した後兵士達の背後から斬撃波を放ち、兵達の首を刈り取って絶命させた!
「おお……!さすがはエリゼ殿!また腕を上げられましたな……!」
「これが10代で”剣聖”の称号を得た者の八葉の剣……!(ひょっとしたら”風の剣聖”ともまともに戦えるかもしれないわね……)」
エリゼの活躍を見たルベールは感心した様子で声を上げ、リーシャは驚きながら真剣な表情で考え込んだ。
「全く、我の獲物を横取りしおって。―――玄武の地走り!!」
「ギャアッ!?」
「グアッ!?」
ディアーネは表情を歪めた後八つ当たりをするかのように凄まじい衝撃波を離宮の巨大な扉に向けて放った!すると扉は吹っ飛ばされ、扉の内側に待機していた領邦軍の兵士達も吹っ飛び
「「死愛の魔槍!!」」
「ガッ!?」
「グッ!?」
リフィアとディアーネが同時に放った暗黒の魔槍が吹っ飛ばされた兵達の身体を貫き、魔槍に貫かれ、血溜まりに沈んだ近衛兵は身体をピクピク痙攣させた後絶命した!
「――――道は開いた!ゆくぞっ!総員、一人足りとも余に遅れるなっ!」
「おおっ!!」
そしてリフィア達は離宮内に突入した!
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