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真田十勇士

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巻ノ四十二 大谷吉継その六

「それがしが」
「そこまではわかりませぬ、しかし」
「それでもですか」
「非常に立派な相と気なので」
 その二つを見るからだというのだ。
「間違いなくです」
「天下にですか」
「名を知られ」
「大きなこともですか」
「為されますな、それで関白様とお会いした後で」
 そこからのこともだ、大谷は幸村に話した。
「再びそれがしとお会いして頂けますか」
「大谷殿とですか」
「はい、そうしたいのですが」
「わかりました」
 二つ返事でだ、幸村は大谷に答えた。
「それでは」
「お願いします」
「その関白様ですが」
「今は利休殿とお話をされています」
「千利休殿ですか」
「はい、あの方とです」
 茶道の祖であり秀吉の政における相談役でもある、秀吉は内儀についてはよく彼と話をして決めているのだ。
「お会いしていますので」
「では」
「そのお話の後でとなりますが」
 それでもという言葉だった。
「お願いします」
「さすれば」
 こうした話をしてだった、大谷は。
 礼儀正しくだった、幸村の前を後にした。その彼が去ってからだ。
 猿飛がだ、こう言った。
「いや、実に」
「大谷殿はじゃな」
「出来た方ですな」
「全くじゃ」
 望月も言う。
「謙虚でな」
「それでいて器が大きいな」
 海野は大谷から発せられる気を見てから言った。
「あの方は」
「うむ、只者ではない」
 清海も言う。
「間違いなくな」
「あれだけの方はのう」
 根津が言うことはというと。
「そうそうおられぬな」
「石田殿もそうであられたが」
 穴山が言うことはというと。
「あの御仁の器もまた天下のものであるな」
「お二人で羽柴家の奉行衆でも要というが」
 筧が言うことはというと。
「あの気はそうじゃな」
「しかし石田殿とは個性がまた違いまする」
 伊佐の言葉は穏やかなものであった。
「穏健でかつ慎みがある」
「そうした方じゃな」
 霧隠は伊佐の言葉に頷いた。
「あの方は」
「あの方なら」
 由利が言うことはというと。
「必ず羽柴家を支えられるな」
「そうじゃな、石田殿それに長束殿もおられるが」
「大谷殿もですな」
「天下の才」
「羽柴家の天下を支えられる」
「そうした方ですな」
「そうじゃ、拙者にもわかった」
 幸村も言うのだった。
「あの方はまさにじゃ」
「その奉行衆のお一人として」
「羽柴家を支えておられる」
「そして、ですな」
「これからも」
「うむ、大きくなられる」
 それが大谷だというのだ。 
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