『曹徳の奮闘記』改訂版
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第八十話
前書き
詠イベントになってしまった。
「……詠……」
「……何よ?」
詠は顔を赤くしている。
「綺麗だ」
「ッ!?」
あ、直球過ぎた……まぁマジで似合ってて綺麗だからなぁ。
「詠ちゃん綺麗だよ」
「……ありがと月……長門」
ん?
「月様月様。詠がデレたようですな」
「そうですね御主人様。何時もああだったら詠ちゃんの可愛さが百倍上がるんですけど……」
「~~~ッ!?」
詠は口をパクパクとして何かを言おうとしているが、聞こえない。
「何だ詠?」
「……この腐れチ○コがあぁぁーーーッ!!」
「ごふぉッ!!」
み……右ストレート……。
世界を狙えるぞ詠……。
「わ、悪かったわよ……」
俺が気絶から目を覚ますと、詠が謝ってきた。
「いや、こっちも悪かったよ。ちょっとからかい過ぎた」
ま、一応俺にも非はあるしな。
「……さっきの言葉は本当なの?」
「ん? 何のだ?」
「だ、だからッ!! ……綺麗だって事よ……」
「あぁ、本当だけど」
「……そう」
「……ウフフ」
詠が俺の言葉に少し嬉しそうにして、それを見ている月が笑っている。
「次はどうする?」
「あんたが寝てたからお昼近くになったし、御飯にしましょ」
詠が言う。
「それは構わないけど、月もいいのか?」
「はい、構いません」
「なら飯屋行くか」
月も賛成したので、近くの飯屋に行った。
「……これは頼み過ぎじゃないか?」
俺の目の前にあるテーブルにはおかずを載せた皿が多数あった。
「いいじゃない。払うのは長門だしね」
「…………」
おいおい……俺の懐が寒くなるだろうが。
まぁ仕方ないか。
「んじゃまぁ食べるか」
「そうですね」
『いただきます』
俺はおかずの回鍋肉を取った。
「うぅ~ん美味しいわ~」
詠が春巻きを食べている。
「……何よ」
「いやなに、詠もそんな表情をするんだなぁと思ってな」
「なッ!?」
詠が驚く。
「べ、別にいいでしょッ!! ボクの事なんだからッ!!」
「そんなに怒るなよ。別に悪いとか指摘してるのと違うんだから。詠の違う一面を見れたなと思っただけだよ」
「……そう」
詠は顔を赤くして春巻きを食べる。
……やっぱ地雷踏んだよな。
「ウフフ」
月は俺と詠が会話している最中はずっとニコニコしていた。
お、餃子がラストだな。
「「…………」」
最後の餃子を取ろうとしたら、詠の箸も餃子を取ろうとしていた。
「……譲りなさいよ」
「今日は詠と月が主役だからな。仕方ないと思う……だが断るッ!!」
つい言ってしまった。後悔はしてないな。
「何ですって?」
「何故なら餃子は俺の好物だからな。これは譲れないな」
この世界に来る前からも餃子は好きなんだよな。やっぱり餃子は王将だな。
「偶然ね。ボクも餃子は好物なのよ」
「ほぅ食っていいのか? 口臭くなるぞ?」
「女性にその言葉は良くないわよね?」
「餃子のためなら何だって言える」
「……ねぇ二人とも」
俺と詠が睨んでいると、月が口を開いた。
「半分こしたらいいんじゃないかな?」
「「…………」」
……それが妥当か。
「……仕方ない。それで手を打つか」
「……ふん、月に感謝なさい」
俺と詠はそう言って餃子を半分にした。
「……今日は楽しかったわよ」
あれから俺達は飯を食べて街に買い物をしたりした。
「お茶の葉が切れる寸前だったので良かったです」
月は嬉しそうにお茶の葉を入れた袋を見る。
「役に立てて良かったよ」
「ありがとうございます……すみません、少し花を摘みに行きますね」
「あ、私も」
「うん分かった」
月と詠はそう言って俺に荷物を渡して花を摘みに行く。
え? 何処に行ったか?
……察してくれ。
「お、露店商もしているのか」
「これは王双の旦那。良かったら見ていって下さい」
おっちゃんの好意に甘えて俺は物色していく。
「……親父、これとこれをくれ」
「あいよッ!!」
俺はおっちゃんに金を払って物を受け取る。
「御待たせしました」
そこへ二人が戻ってきた。
「ほい二人とも」
「何よこれ?」
「俺からの贈り物だ」
「……リボン……」
中身を見た月が呟いた。
「月のリボンは先がほずれかけてそうだったからな。新しいリボンだ」
「……ありがとうございます。詠ちゃんは?」
「……翡翠の勾玉」
詠が呟いた。
詠には首からかけれる翡翠の勾玉をプレゼントした。
……確か翡翠って加工が難しいはずなんだが……。
「詠の髪の色はそんな色っぽいだろ?だから翡翠の勾玉だ」
「……ありがとう長門」
詠はクスリと笑った。
「長門いる?」
「ん? どうした詠?」
夜、詠が部屋の外にいた。
「……翡翠の勾玉、ありがとうね」
「気にするな。俺がしたんだから」
「うん……だからこれはお礼よ」
チュッ。
「……詠……」
詠は俺に背伸びをして唇と唇が合わさるキスをした。
「……それじゃぁまた明日ねッ!!」
詠は顔を赤くして走って行った。
「……明日からどう会えばええねん……」
俺は思わず関西弁でそう呟いた。
後書き
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