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機械の女

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4部分:第四章


第四章

「何もないわ」
「そう。だったらいいけれど」
「それで今度だけれど」
「うん、今度は?」
「下見よね」
 こう彼に言ったのである。
「結婚式場の」
「そうだね。もうすぐだね」
 その話をされるとすぐに笑顔になるスルーだった。
「もうすぐ。二人でね」
「行きましょう。じゃあ私は」
「どうするんだい?それで」
「ドレスも考えないと」
 このことを言うのだった。結婚するなら何が必要になるか、まずは何といってもドレスであった。そのことを今話してきたのである。
「だから」
「どんなドレスがいいかな」
 スルーも彼女の立場になって考えだした。
「それでね」
「選ぶのに協力してくれるんだね」
「だって奥さんになる人だから」
 だからだという。今の彼の言葉に悪意はなかった。
「だからね」
「それでなのね」
「うん、エリザベスはそれでいいよね」
「ええ」
 微笑んで応えたのだった。
「それじゃあね」
「二人でね」
 スルーは確かに幸せだった。しかしエリザベスは浮かない顔だった。しかしそれでも二人は結婚までこぎつけることができた。だが話はこれで終わりではなかった。
 結婚してからスルーは幸せの絶頂だった。しかしである。
 そのある日のことだ。エリザベスと二人で街を歩いていた。目的はショッピングである。夫婦の時間を大事にするのが彼の主義である。
 そしてその中でだ。スルーはこんな話をするのだった。
「最近だけれど」
「どうしたの?」
「エリザベスの会社景気がいいみたいだね」
 このことを話すのだった。
「随分とね」
「そのこと知ってるの」
「うん、ネットでも評判になってるからね」
 だから彼も知っているのである。彼女の会社のことは。
「それに対してこっちは」
「貴方の会社は?」
「経営状況はともかくね」
 それについては文句はないというのだ。
「けれどね」
「忙しいの?残業多いし」
「最近特に忙しいんだよ」
 苦笑いと共の言葉だった。
「もうね。とにかくね」
「そんなに?」
「お昼を食べる時間を見つけること自体が大変なんだよ」
 そんな状況だというのだ。
「もうね、サンドイッチを自分の机で座って食べてね」
「それでお仕事になのね」
「そういうこと。そういえばさ」
「そういえば?」
「うちの会社にアンドロイドの社員がいるんだけれどね」
 この話をするのだった。この話になるとエリザベスは表情は何とか見せなかった。しかしそれでも目は曇ってしまったのだった。この時代ではアンドロイド達も社員として働くことができるのである。
「そのアンドロイドだけれど」
「どうかしたの?その方が」
「実はね」
 ここでまた言うのだった。
「食べるのを見たんだよ」
「食べるのよ」
「いや、最近のアンドロイドって人間みたいに普通に御飯食べるんだね」
「そうなの」
「うん、それでエネルギーにするらしいね」
 そうした構造だというのである。
 
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