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英雄伝説~運命が改変された少年の行く道~(閃Ⅰ篇)

作者:sorano
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第195話

~トリスタ~



「ひゃっほう!!」

「や、やった………!」

「お兄様……!」

「よかった、これで……」

「そ、そんな……」

ヴァリマールの勝利に仲間達が浮かれている中、スカーレットは信じられない表情をした。



「ハハ……マジかよ。八葉一刀流に加えて”飛燕剣”、だったか。……ここにきて限界を引き上げやがったか。」

「そうしないと誰かさんに届かないからな……約束だ―――守ってもらうぞ!」

そしてヴァリマールが剣をオルディーネに付きつけたその時何とオルディーネは全身に凄まじい何かの力を纏い、立ち上がった!



「……?あ――――」

「お前はそいつに乗ったばかり……だが俺は3年目からコイツを乗りこなしている。悪いが―――”奥の手”を出させてもらうぜ。」

「……っ!?」

クロウの言葉にリィンが驚いた瞬間、オルディーネは強烈な一撃をヴァリマールに叩きつけて地面に叩きつけた!



「そ、そんな………ここまで通用しないなんて……」

リィンは悔しそうな表情をしていたが突如頭痛が襲い、顔をしかめた。

「くっ……なんだ……」

「騎神が受けるダメージは起動者にもフィードバックされるわ。やっぱり早すぎた―――いえ、遅すぎたかもしれないわね。」

頭を抑えている様子のリィンを見たセリーヌは悔しげな口調で呟いた。するとその時オルディーネがヴァリマールに近づいてきた。



「あ……」

そしてオルディーネがヴァリマールに攻撃を仕掛けようとしたその時!

「させるか――――!」

仲間達がヴァリマールを守るように武器を構えてオルディーネと対峙していた!



「……!みんな……いったい何を……」

「みんなで決めたの!貴方をここから逃がそうって!」

「何とか立て直してここから離脱するがよい!」

「今こそお兄様のパートナードラゴンとして、全力でお兄様をお守りします!」

アリサとラウラ、セレーネはそれぞれ決意の表情で仲間達と共に武器を構えて声を上げ

「そ、そんな……そんなの出来る訳ないだろうっ……!?」

玉砕も覚悟しているアリサ達の決意を聞いたリィンは悲痛そうな表情で声を上げた!



「いいから行きたまえ……!帝都が占領された以上、これから内戦が始まるだろう!」

「たとえ後れをとっても帝国全土の正規軍は精鋭……多分、熾烈な戦いになる。」

「でも、リィンやリィンが契約している人達――――ベルフェゴール達に加えて”灰の機神”がいたら……貴族派でも、革新派でもない第三の”力”が存在したら……!」

「必ずやその流れを変える”風”となってくれるだろう!」

エリオット、マキアス、フィー、ガイウスは撤退する事を否定するリィンを諭す為にそれぞれ説明し

「あ……だ、駄目だ……!生身で敵う相手じゃない!みんなこそ逃げてくれ……!」

エリオット達の説明を聞いて呆けたリィンだったがすぐに血相を変えた。



「フン、満身創痍のお前に心配される謂れはないな。」

「そーそー。ボクたちに任せときなって!」

リィンを安心させるかのようにユーシスとミリアムはそれぞれ不敵な笑みを浮かべ

「私達も、この場を切り抜けたら教官達と合流しますから!セリーヌ、リィンさんをお願い!」

「って言われても……」

エマの言葉を聞いたセリーヌが戸惑ったその時、操縦席に声が聞こえて来た。



「コレ以上ノ損傷ハ危険ト判断……戦場カラノ離脱ヲ提案スル……」

「こ、この声は……」

「そうか……その段階まで来てたのね!”ヴァリマール”、離脱して!なるべく遠くへ―――でも帝国内―――メンフィル帝国領あたりに!」

「了解……離脱ヲ開始スル。」

(何ですって!?)

(……………………)

(そ、そんな!?皆さんを犠牲にして自分だけ撤退するなんて、仲間思いのリィン様にとっては余りにも辛すぎます……!)

(リィン……みんな……!)

セリーヌの指示を聞いたベルフェゴールは怒りの表情で声を上げ、リザイラは静かな怒りを纏って黙り込み、メサイアとアイドスは辛そうな表情をし

「か、勝手な事を言うなっ!!」

「リィンッ!」

セリーヌにリィンが怒鳴ったその時、アリサがヴァリマールの顔の部分を通してリィンを見つめた。



「アリサ……」

「リィン……貴方は私に”道”を見出す勇気を……そして恋を教えてくれた。だから、今度は私が貴方の”道”を切り開く……!……いつか絶対に再会して、またいっぱい愛し合いましょうね……―――愛しているわ、リィン……」

「アリサ……!!やめろ、やめてくれええええええっ!」

アリサの告白にリィンが叫んだその時、ヴァリマールは立ち上がって空へと跳躍し、リィンの悲鳴を無視してどこかへと飛び去った!



「…………………」

一方その様子をレンと共に見守っていたサフィナは重々しい様子を纏って目を伏せて黙り込み

「―――サフィナお姉様。レン達が時間を稼いで、セレーネ達を逃がすわよ!」

「ええ!―――レン、まずはパテル=マテルによる牽制攻撃をお願いします!」

「わかったわ!」

そしてパテル=マテルの片手に乗っているレンと共にアリサ達を助ける為に飛竜を操って地上へと急降下させた!

「ハッ、悲恋の物語みたいな別れの告白を現実でするなんてお前くらいだぜ、アリサ!相変わらずバカップルだな。あのリア充野郎のどこがいいんだ?」

「五月蠅いわね!それに私とリィンは絶対にまた会うから悲恋にはならないわよ!」

クロウの声を聞いたアリサはオルディーネを睨み

「俺に勝てると本気で思っているのか?――――リィンの前にお前達とも纏めてケリを付けてやるよ……!」

「ぬかせ……!」

「そう簡単にやられると思ったら大間違いだよー!」

クロウの言葉を聞いたユーシスとミリアムはオルディーネを睨んだ。するとその時上空から極太のレーザーがオルディーネ目掛けて襲ってきた!



「何っ!?」

上空からの突如の奇襲に驚いたオルディーネは後ろへと回避したその時サフィナが操る飛竜が高速でオルディーネに向かって強襲し

「ハアアアアアアアアアアアアアアアッ!!」

「グッ!?」

腕の関節の部分にサフィナは双鎌による強烈な一撃を叩きつけた!



「え―――――」

「”竜騎士”……!?」

「あ、貴女は……――――サフィナ元帥!?」

「どうしてサフィナ元帥がここに……」

サフィナの登場にアリサは呆け、ラウラとマキアスは驚き、エマは戸惑った。



「うふふ、レンもいるわよ♪」

するとその時片手にレンを乗せたパテル=マテルがアリサ達の目の前に着地した!

「………”殲滅天使”。」

「何だ、あの巨大な人形兵器は!?」

「リィンやクロウが操縦している騎士人形や機甲兵とは違うようだが……」

「へー、じゃあ、あれがパテル=マテルなんだ~!物凄くデカイね~!あれなら、クロウが操るあの蒼い騎士人形ともまともに渡り合えるんじゃない!?」

「ああ……!あの人形兵器と協力すれば、勝機はある……!」

レンとパテル=マテルの登場にフィーは目を丸くし、パテル=マテルを見たユーシスは驚き、ラウラは戸惑い、興奮しているミリアムの言葉にガイウスは明るい表情で頷いた。

「も、もしかしてレオンハルト教官と一緒に僕達を助ける為にかけつけてくれたんですか!?」

エリオットは明るい表情で尋ねた。



「ええ、プリネお姉様に貴方達がピンチになったら、助けてあげてって頼まれていたのよ。」

「プリネ様が!?」

レンの答えを聞いたセレーネは驚き

「というか、助けに来るならもう少し早く助けに来て欲しかったのだけど。そしたらリィンを逃がす必要も無かったし。」

「ま、まあまあ……」

ジト目で指摘したフィーの言葉を聞いたエマは冷や汗をかいてフィーを宥めていた。

「―――ここは私達が喰い止めます!その間に貴方達もトリスタから脱出しなさい!」

「で、でも……」

サフィナの指示を聞いたアリサは二人を囮にする事に戸惑っていた。するとその時ベルフェゴールとリザイラが転移魔術でアリサ達の傍に現れた!



「あ……ベルフェゴールにリザイラ……!」

二人に登場にエリオットは驚き

「あんのバカ猫~!懲りずにまたやってくれたわね~!?後で覚えてなさいよ……!――――リザイラ!アリサ達を安全な場所に逃がしてあげるのに、何分かかる!?」

怒りの表情をしているベルフェゴールはリザイラに視線を向け

「―――10分耐えて下さい。さすがに人数が多い事に加えて撤退する場所を特定されない為に何人かに分けて分散させる必要もありますし、特定の人物だけ転移させないのは少々時間がかかりますので。……………………」

「結界……!?」

リザイラはアリサ達をドーム型の結界で覆った後詠唱を開始し、結界を見たエマは驚き

「――――ワタシも手伝うわ!」

「ヴァ、ヴァレフォルさん……!?も、戻って下さい……!幾らソロモンの”魔王”の一柱とはいえさすがに生身で”騎神”に挑むのは厳しすぎます……!」

更にヴァレフォルがベルフェゴール達と共にオルディーネと対峙した事にエマは驚いた後血相を変えて声を上げた。



「な、何これ~!?ガーちゃんの一撃でもビクともしないよ!?」

「そなた達、まさか……!」

「自分達が囮になってオレ達を逃がすつもりなのか……!?」

結界にアガートラムによる一撃を入れてもビクともしない事にミリアムは混乱し、ベルフェゴール達の行動を見てある事を察したラウラとガイウスは目を見開いた。



「”殲滅天使”、ベルフェゴール!夏至祭と鉄鉱山の時に俺の仲間を殺った仇をここで取らせてもらうぜ!オルディーネの前ではメンフィルや”魔神”とやらの”力”も無意味である事を教えてやるよ!」

「うふふ、その言葉、そっくりお返しするわ♪”パテル=マテル”、レンと貴方の”力”、存分に見せつけてあげるわよ!」

「―――――――」

「―――その身に刻むがいい!”闇夜の眷属”達の”英雄王”たる覇王――――リウイ・マーシルンと誇り高き竜騎士―――ティファ―ナ・ルクセンベールより受け継ぎし”力”を!」

オルディーネにダブルセイバーを向けられたレンは不敵な笑みを浮かべてパテル=マテルに指示をした後その場で集中してパテル=マテルの操縦を始め、飛竜に乗るサフィナは膨大な闘気を全身に纏って双鎌をオルディーネに向け

「あのバカ猫の事と言い、ご主人様を裏切った貴方の事といい、今、滅茶苦茶気分が悪いのよ……!――――久しぶりに本気で暴れさせてもらうわ!”七大罪”の一柱の”力”の前ではそんな鉄屑の”力”は無意味である事を思い知りなさい!」

「戦いはあんまり好きじゃないけど、エマの為にもワタシも”本気”で行くわよ……!」

ベルフェゴールとヴァレフォルもそれぞれ全身から膨大な魔力や闘気を解放してオルディーネを睨んだ!



「ハッ、上等だ!全員纏めてかかってこいや―――っ!らあああああああっ!!」

そしてクロウはベルフェゴール達に戦闘を仕掛けた!






 
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