英雄伝説~運命が改変された少年の行く道~(閃Ⅰ篇)
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外伝~トリスタ防衛戦線~
~トリスタ~
リィン達が町に出ると既に砲撃等の音が聞こえて来た!
「くっ、この戦闘音は……」
「どうやら既に始めているようだな……!」
「西口の方だね……!」
「行ってみましょう……!」
そしてリィン達が西口に急行すると信じられない光景―――生身のヴァンダイク学院長達を始めとした多くの教官達が装甲車をいくつも破壊していた!
「ば、馬鹿な……貴様ら……本当に人間か!?」
生身で装甲車が破壊されるという信じられない出来事に領邦軍の隊長は信じられない表情で声を上げた。
「失礼ね……さすがに学院長と一緒にしないで頂戴。それとベアトリクス先生ともね。」
「ああ、お二人にかかれば我々もヒヨッ子同然だからな。」
「やれやれ、こんなお婆さんを持ち上げるものではありませんよ。」
サラ教官とナイトハルト教官の指摘を聞いたライフルをその手に持つベアトリクス教官は呆れた表情で指摘し
「いや~、貴女は十分現役じゃろう。あっという間に装甲車を一台、撃破しておったし。」
身の丈ほどある大剣を片手で軽々と持つヴァンダイク学院長は苦笑しながらベアトリクス教官を見つめた。
「クク、そういう学院長こそ装甲車を袈裟斬りにしてたじゃないですか。」
「いや~、装甲車って、剣で斬れるものなんですね~。」
「そういう二人もさっきから高位アーツをバンバン使っているし……」
「特にトマス教官……よもや魔導杖が使えたとは思いもよらなかったのだが。」
「いや~、中世の魔導士にちょっと憧れてましてねぇ。」
マカロフ教官と呑気に会話しているトマス教官をサラ教官は苦笑しながら見つめ、ナイトハルト教官は口元に笑みを浮かべて指摘した。
「む、無茶だ……こんな化物ども相手に……」
「隊長……!さすがに無理であります!」
「クッ……弱音を吐くんじゃない!」
一方兵士達の弱音を聞いた隊長は唇を噛みしめて叫んだ。
「……なにあれ。」
「あ、圧倒的じゃないか……」
「皆さん、お強いんですね……」
領邦軍を圧倒している様子を見守っていたアリサやマキアス、セレーネは呆け
「そ、その……ベアトリクス先生って……」
「元、帝国正規軍の大佐で”死人返し(リヴァイヴァー)”って異名の持ち主。サラの恩人って聞いてるけど。」
「あ、何でもその筋じゃ伝説的な軍医さんみたいだねー。現役時代、どんな激戦地にも現れて敵味方問わず実力で押さえつけてから重傷者を治癒したっていう。」
表情を引き攣らせているエマの疑問にフィーとミリアムはそれぞれ答えるとリィン達は冷や汗をかいた。
「と、とんでもないな………」
「な、何だか助太刀する必要もなさそうな気が……」
エリオットが自分達が来た意味がなかったように感じると振動音が聞こえて来た。
「いや―――」
「現れたか……」
そして振動音の持ち主―――機甲兵の部隊を見たリィン達は血相を変えた。
「――まあいい。これ以上の損害は無意味だ。化物にはそれ以上の化物をぶつけるまでのこと……!」
「っ……!」
「来るか―――」
機甲兵の部隊の登場に隊長は口元に笑みを浮かべ、サラ教官は唇を噛みしめ、ナイトハルト教官は真剣な表情をした。
「……少々、多いですね。」
「しかもさすがに装甲が厚そうじゃの。」
「対アーツ防御も組み込まれているな……」
「ふ~む……どうするかですねぇ……」
「……アレ、何となりそうですか?」
機甲兵の部隊の登場に学院長達がそれぞれ真剣な表情で考え込んでいる中、サラ教官はナイトハルト教官に視線を向けた。
「厳しいだろうが何とかするしかあるまい。正規軍の増援が来るまでここは死守する必要がある。」
「フフ、若手の双璧と言われる腕前、見せてもらいましょうか。」
「こちらこそ……A級遊撃士の腕前、期待させてもらうとしよう。」
「いや~、息がピッタリですねぇ。」
それぞれ不敵な笑みを浮かべている二人を見たトマス教官は指摘したが
「「違います(う)!!」」
二人は同時に否定した!
「――――バルディエル!”アハツェン”や軍用飛行艇を容易に撃破したエヴリーヌやベルフェゴールと同じ”魔神”であるあんたの腕前も期待させてもらうわよ!」
そしてサラ教官はバルディエルを召喚し
「―――承知。あのような鉄の塊、”魔神”に到った我の前では無意味である事を思い知らせてやろう……!」
サラ教官の言葉にバルディエルは不敵な笑みを浮かべて答えた後サラ教官とナイトハルト教官と共に機甲兵に向かって戦闘を開始した!
「よし―――我らも続くぞ!」
「イエス・サー!」
「解析開始―――対アーツ装備を特定する。」
そしてヴァンダイク学院長達もサラ教官達に続くように戦闘を再開した!
「クッ……途轍もないほど凄まじい戦いぶりだが……」
「んー、あのままじゃちょっと厳しいかもねー。」
「相手には余力がある。サラたちの”切り札”はバルディエルだね。バルディエルをどう使うかが鍵だね。」
「わたくし達と戦った時に見せた大魔法を使えば撃破も容易だと思いますが、詠唱をする暇はなさそうですわね……」
戦闘を見守っていたユーシスとミリアムは厳しい表情をし、フィーとセレーネはそれぞれ推測した。
「―――出るか。」
「ああ、我ら程度では足手纏いになるかもしれぬが……」
「それでも一体くらいは引きつけられるだろう……!」
「はい……!それにヴァレフォルさん達に手伝ってもらえれば何とかなるかもしれません……!」
「何とかして教官たちの突破口を作れれば―――」
「ふふ……それには及びませんわ。」
リィン達がサラ教官達の助太刀をしようとするといつの間にかリィン達の背後にいたシャロンが制止した。
「シャ、シャシャ……シャロンっ!?」
「ここはわたくしにお任せを。サラ様たちの突破口、必ずや開いてみせましょう。」
「へ……」
シャロンの言葉にアリサが呆けたその時シャロンは恭しく会釈をした後跳躍してリィン達を飛び越えて戦場に向かった!
「……!?」
「速い……!」
シャロンの身体能力にリィンとフィーは驚いた。
「……来たわね!」
何かを察したサラ教官は後ろへと振り向くとシャロンは跳躍してなんと鋼糸で機甲兵の一体を締め付けた!
「おおっ……!」
「鋼糸……?」
シャロンの活躍に教官達が驚いていると機甲兵は力づくで自分を封じていた鋼糸を断ち切った!
「さすがのパワー……新型エンジンを搭載しているだけはありますわね。ですが、それならば幾らでも封じようはあるというもの。」
その様子を見たシャロンは静かに呟いた後回転して大型の軍用ナイフを構え
「縛られ、封じられ、雁字搦めにされる悦び……その甲冑ごしに味わわせて差し上げましょうか……?」
膨大な殺気を纏って機甲兵を見つめた。するとそこにサラ教官がシャロンに近づいてシャロンと共に機甲兵と対峙した。
「フン……やっと正体を現したわね。2年前、あたしの足留めをした時以上の技のキレじゃない。結社”身喰らう蛇”に所属する最高位のエージェント……!執行者No.Ⅸ(ナイン)―――”死線”のクルーガー!」
「そちらの方は休業中です。今のわたくしはラインフォルト家の使用人。彼らの背後に誰がいようとお嬢様の場所を守るだけです。」
「上等――!これが終わったら美味しいツマミと一緒に色々話してもらうわよ!」
シャロンの答えに満足したサラ教官は不敵な笑みを浮かべて答え
「あら……うふふ、どうやら”あの方”も間に合ったようですわね。」
何かに気付いたシャロンは微笑んだ。
「ハ?―――!ここであんたまで来るとはね……!――――執行者No.Ⅱ(ツー)―――”剣帝”レオン=ハルト!」
シャロンの言葉に呆けたサラ教官だったが上を見上げて叫ぶと、飛竜からレーヴェが飛び降りて来た!
「レオンハルト教官……!?休職届けを出したあんたが何でここに……!」
「お~、あれが話に聞くゼムリア大陸では絶滅し、異世界では今でも生きている”飛竜”ですか~!?」
レーヴェの登場にマカロフ教官は驚き、トマス教官は興味ありげな表情で滞空する飛竜を見つめた。
「フッ、もう正体を隠さなくていいのか?”死線”のクルーガー。」
「はい。やはり”深淵”様による映像を見た後プリネ姫がレーヴェ様に助太刀を頼まれたのですか?」
不敵な笑みを浮かべるレーヴェの指摘にシャロンは頷いた後問いかけ
「ああ。……まあ、お前と共同戦線を張る羽目になるとは思わなかったが。」
シャロンの問いかけにレーヴェは静かに頷いた後不敵な笑みを浮かべた。
「レーヴェ様の助力は今の状況ではとてもありがたいですが、わたくし共よりお嬢様達の方に助力して欲しいのですが……」
「―――奴等が窮地に陥ってもカリンが頼んだ”残りの臨時領主達”による助太刀があるから安心しろ。」
「”残りの臨時領主達”…………フフッ、なるほど。さすがはプリネ姫ですわね。」
レーヴェの答えを聞いて察したシャロンは微笑み
「あんたたち……あたしをほおっておいて、聞き捨てならない会話をしてんじゃないわよ!?あたしの前でわざとらしく互いに初対面を装った事とかも含めて後で聞かせてもらうわよ!」
二人の会話を聞いていたサラ教官は顔に青筋を立てて二人を睨んだ後、レーヴェやシャロンと共に戦闘を再開した!
「やれやれ、帝国男子としてワシらも負けておれんのう。」
サラ教官達の戦闘を見守っていたヴァンダイク学院長は苦笑し
「ええ……まずは一体、確実に潰しておきましょう!」
ナイトハルト教官は力強く頷いた後機甲兵に攻撃を仕掛けた!
「やれやれ……」
「いや~、大した人達だなぁ。特にサラ教官が呼んだ天使の人、一人で機甲兵を2体も相手にしていますし。」
その様子を見守っていたベアトリクス教官は苦笑し、トマス教官は感心し
「解析完了―――これより対アーツ装備を無効化する。」
マカロフ教官は静かに呟いた後ベアトリクス教官やトマス教官と共に遠距離攻撃による援護を始めた!
「ハハハ、なかなか愉しませてくれるじゃねえか……クク、といっても限界はあるだろうがなァ。この”機甲兵”相手にどこまで食い下がれるか……お手並み拝見するぜ―――”トールズ士官学院”!」
機甲兵達が圧倒される様子を見守っていた機甲兵に搭乗しているヴァルカンは不敵な笑みを浮かべた後自分も戦場に向かって戦闘を開始した!
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