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どうやら俺は主人公を殺したらしい

作者:パワタス
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九話、全ては1話に物語は収束する。NEW

 
前書き
今更ですがお気に入りしてくださって皆様ありがとうございます。
※最後の展開だけ大きく書き直して再投稿しますたm(_ _)m 

 
 




 夜空に浮かぶ星々。
 その無数の光の光源にてらされ、それは露になる。
 光が覆う聖剣を構えるデクタ。と同時に周りに伴う災害と一般人からの視認を避けるために展開する魔法防壁。
 そして―――

「―――エクスッカリバァァァァァァッ!!」

 天空の下から聖剣から解き放たれるそれは一つの線状の光として降下する。

 聖なる光の魔力が濃密に詰まったいわば、超高密度なビーム。

 豪風が唸る。
 それは悪魔が近づけば、肉片どころか、存在すらこの世から消し去る程の暴君にもなる風。
 だが、周りの街には―――建物には一つの傷すら付けさせやしない。
 だった1点を狙って、一つの光の筋は眼下にあるオーフィスだけを討ち滅ぼさんとする。

 オーフィスは眼前にまで迫っていた光の束を見て、ポツリと呟いた。

 ―――綺麗、と。

 オーフィスは手をかざす。
 その手のみならず、全身全てにわざと受けた。なんの狙いが秘められたであろうそのオーフィスの行動は俺を動揺させる。はっきり言って意味が分からんですたい。
 それでも、その思考は一瞬で消え失せる。
 相手はオーフィスなのだから―――と、なんと根拠もない考えで無理矢理自分を納得させる。

 そして―――弾けた。

 俺の放ったビーム砲は、オーフィスの力に押し返され、あばよくば消滅させられた。
 単純な力と力の勝負。
 俺のビーム砲とオーフィスの無限の力による押し合いは呆気なく、オーフィスが勝ってしまった。

 だが―――

 俺の技は終わっていない。
 力勝負なんてものは、初っ端から無理ゲーだと分かっている。
 だから、あのビーム砲の軌道に乗せて、もう一つの技を仕込んでいた。いや、技というよりこれは―――

「これは……結界?」

 つぶやくオーフィス。
 オーフィスは首を傾げ、ドーム上に展開される結界を見上げる。

 その時点で既にオーフィスの視界は、結界は全てを埋め尽くしていた。

 まるでこの状況を予想していたかのように、結界が展開されるそれは少しの隙も許さない高速の防壁。

 それは先ず俺が貼った防壁魔法とはまた別物。
 ならば、この結界は何なのか。
 簡潔にいうとこれは、オーフィスを捉えるためだけに作られた結界だ。

 あ、これ俺が作った結界ではないからね。アザゼルから貰ったヤツっす。

 先ほど使ってきた魔法防壁だってそうだ。

 てかあの人って本当研究チートだよね。腕とか切り落とされても、すぐに新しい機械仕掛けの腕生やしてたもん。なんだよあれ。

 ともあれオーフィスは結界に閉じこまれた。
 つまり封じ込めたのだ。―――とは言い難い。

 アザゼルは言っていたのだ。この結界は付け焼刃程度、だと。
 つまり、この結界はオーフィスを捉えるためだけに作られたものであって、誰も捉えることができるとは誰も言ってない。というより、まだ完成もしていないし、試作でしかない。つまり今からやるのは、その試作のための実験である。
 故にこれは欠陥品だった。
 だからもう一つの技を仕込んでいた。

 それは転移魔法だ。
 場所はどこでもいいから、ここから遠方先まで飛ばせるように設定した魔法だ。
 あ、これもアザゼル産です。

 オーフィスを捉えるためだけに作られた結界で、拘束をし、その間に何処かへ転移させる。
 と、ここまで俺が考えていた作戦を忠実に再現出来るていると言える。

『あれ? これ勝ち確じゃね? 行けるんじゃね?』

 中二もそう言う。若干というか、キャラがおかしくなってるけどさ。

 だがしがぁしっ!

 飛ばすまでが作戦のうちであって最終目的である。変なヘマはしないぜ!変なフラグは建てないぜ!

「飛べよオラぁぁぁッ!!」

 喝を入れる叫び声の中、俺の光の魔力を動力源として発動する転移魔法は煌めきと共に、発動する。
 オーフィスの足下に突如魔法陣が出現し、そこに俺は一点集中で、光の魔力を全力で注ぎ込む。

『フゥゥゥゥハッハッハッ!! 無限と恐れられたお前もこのザマとは情けないなァッ!! 』
「お、おう……」
『ククク……何を焦っている。このまま奴を転移させれば、我々の勝ちだ。圧巻だ! 圧勝なのだ! ククク、それでまたひとつ我に異名が増えるな。
 ヒーローインタビューがあるかもしれん。シミュレーションでも一応しとくか』
「あ、うんそうだね」

 本当にこいつ面倒くせーな。

『否、それはこの場を乗り切ってから、我々の勝利の祝勝会を開こうではないか』

 アホ毛を無視し、ちょっと思考する。

 このままだとうまく行き過ぎている。
 だってオーフィスが無抵抗すぎるからである。最初のビーム砲こそは無効化されたものの、それ以降はずっと傍観しているだけ。
 何故だ、なんて問う気はない。

 もしかしたら結界の効果が効いてるのかもしれない―――という話ならば、好都合。
 どのみち、そうでなくとも、自ら隙をつくるのならば、それも好都合。

 手加減なんてしない。全身全霊で、作業に取り掛かる。

 だが、オーフィスという質量を飛ばすのだ。それなりの魔力という対価が必要になる。

 虚無感に耐えながらも、俺は転移魔法を―――発動―――できなかった。

 パリン。
 結晶が割る音を鳴らし、結界の何もかもが瓦解する。
 防壁魔法も。オーフィス専用に作られた結界も。転移魔法も。

 1振りだ。
 オーフィスの1振りだけでぶち壊した。きっとオーフィスは結界、魔法陣に流れる魔力の流れを自身の魔力で逆流させたのだ。
 それも膨大な魔力で押し返したのだろう。

「―――今すぐ戻るつもりはない。だから少し待って欲しい」

 何故今更、抵抗したんだ。
 とはいえ、この展開は想定はしていた。

「くっ――――ぅぅおおおおおおッ!! アスカロンッ!!」
『はひぃぃぃぃ!』

 シュワンと聖剣アスカロンが手元に現れる。若干濡れてるけどそんなこたぁどうでもいい。これで何とか。

「―――無理。貴方じゃ我に勝てない」

 耳元でオーフィスの声が響き渡る。ひぃぃぃぃ、正直怖いぃぃぃぃ。もうオーフィスと戦うとか常に死と瀬戸際。まじぱねぇす。

「―――っちぃぃぃぃぃぃ」

 聖剣に間髪入れずに因子を織り交ぜ、技を聖剣に乗せる。

『断ち切れ―――轟剣』

 命名中二聖剣。言ったのも中二聖剣。
 天閃の聖剣は、膨大な魔力が剣を覆い、巨躯な大剣へと形が擬態する。その聖剣を引き連れて、俺は加速する。その速さは風を置き去りし、背後にいたオーフィスへと振り向くのと同時にそれごと大剣で薙ぎ払う。

 刹那、そのデクタの一連の動作は、オーフィスの目に止まることなく、オーフィスの目でさえ欺くその神速は、彼女の身体に一つの斬閃を残す。

「ぐっ、やったか!!!」
『それ我のセリフ!』
「別に警戒しなくていい。我は貴方と話に来ただけだから」
「………」
「……貴方のその力、とても興味深い」

 オーフィスはデクタを置き去りにして、淡々と言う。

「我は貴方の事をアザゼルから聞いている」
「デクタの力は見させてもらった」
「アザゼルはこと細かく言わなかったけど、我には隠せない」
「その力……聖剣に流れているその魔力――――悪魔だけを消滅しうるその力はこの世界のパワーバランスをいずれ崩す」
「アザゼルが隠すのも我にも分かった。冥界のものはまだ気づいていない。でも、天界は知ってしまった」
「悪魔を―――冥界を文字通り滅ぼすことができる貴方を」

 オーフィスの言う通り、デクタ・テインの力、いや、特典の力はで規格外の代物であった。
 本来『天閃の聖剣』というのは、身体強化によって、絶大なスピードを手に入れる―――それが主体である。
 それもデクタの特典であるのだが、本質はそこではない。

 “因子”―――聖剣を担うにあたって必要必須なもの。
 本命はそれになる神聖力だ。神聖力は、悪魔や、闇に属するものが天敵と言わざる負えないある意味この世のルールとも言える。

 その神聖力があまりにも―――突拍子もないくらい高すぎるのだ。
 だから強い。もう悪魔絶対殺すマンというほど。

 だが―――

「―――だけどそれだけ。それだけじゃ我の目的にはたどり着けない」

 オーフィスは微かに落胆の表情を見せた。

「デクタのその力は、確かに強大」
「だけどそれは―――悪魔だけにしか効かない力」
「所詮聖なる力でしかない。それだけじゃグレードレッドを倒すことは無理」

 オーフィスは、所詮は聖なる力、とまとめる。
 最後に、とオーフィスは既に興味が失せた対象であるデクタに声を掛ける。

「我、帰る」

 唐突のその言葉に、デクタは沈黙する。
 沈黙する。
 ……沈黙する。


 そして―――思った。

 いや、こいつまじで何しに来たん?w
 てかいきなりこいつ喋ってきてクソワロタw。
 え、何この展開。初見でそんな事言われても笑うしかない。



 てかさっきの言葉何なんのさ……。
『別に警戒しなくていい』―――ってwおまw
 あんたがいるだけでもう……ね。人間界で言えば、あんた歩く核爆弾だから。いや、もっと酷いかもしれない。そんな奴を警戒しない訳ないです。

 しかもこの幼女、いきなり帰るとかほざくし、俺この幼女が何を思ってその「我、帰る」という思考に至ったのかさっぱりなんですが……。

 強者特有の暇つぶしとか、気まぐれとかやめてよね。マジで迷惑この上ないからさ。

『ククク、余に恐れおののいたか』
「いや、違うよ。期待されて失望されただけだからね」
『わたしくしそういうの結構好物なんですよねー』
「あっハイ」

 オーフィスは不思議そうにこちらを見る。
 そうだろう。そうになるに決まっている。
 俺と聖剣の会話何てものを、第3者から見れば、ただの独り言なのだから。でも正直なところオーフィスなら聞こえるのではないか、と思っていた。根拠はない。

「ん、じゃまた」

 そう言ってオーフィスは帰ろうとする。
 俺はそれを呆然と見ることしかできない。
 逆に引き止めて、どうする。えー、本当にどうしよ。
 そうこう思考しているうちにオーフィスは異空間の向こうへと行くわけで。

「ちょっと待てよッ!」

 俺は思わず叫ぶ。
 だが、間に合いはしない。既にオーフィスは異空間へと消え去っていた。

 え―――これどうやって処理するの?
 数分後、呆然と立ち尽くしながら、「最初から本部に連絡すれば良かったテヘペロ」、と今更過ぎることを独り寂しく呟いた。シュッと5000%形態からなる女騎士みたいな姿から、元の俺の姿に戻し、入れてたはずの通信用魔法陣のルーンを、ポケットからまさぐる。

「―――それがお前の新たな力か………素晴らしいものだな」
「ま た お ま え か」

 おれは頭上にいたヴァーリを見上げる。いつ間にいたねん。

「フッ、そう冷たくなるな。………だが、気になるな。さっきの力は変身系か? 変化があるとすれば、金髪とその女のような顔立ちか………もしや女体化でもしているのか?」
「にょ、にょたいか? 何それ」

 にょたいか。……何なんだろうか。原作を最後まで読めば分かったことだろうか。

「ふむ、……声質もそうだが、まるで女だな。その姿もまるで騎士みたいな風貌だ。お前の性格とそれは合わんな」
「いや、女じゃねーよ、死ねボケカス」

 女? 俺の中の女っていうやつは、乳晒す奴しかしらねーよ。
 取り敢えず、俺は男だ。
 いや、取り敢えずじゃなくて正真正銘男だ。
 ………ただ、確認はしていない。したことはない。まずできない。
 童貞乙w―――なんて考えたやつは地獄に堕ちろ。まあ、胸ないから男っしょ。2回くらいしか変身したことないから知らないけど。

『え………胸………貧乳……男じゃないのに……我の身体………ぐすん』
『ラビットざまぁぁぁぁぁwwwwwアスカロン大勝利wwww』

 なんかうるさいな。

「で、何しにここに?」
「お前にはない。オーフィスを連れ戻しに来ただけだ。迷惑をかけ―――」
「いや、おっせーよ!?オーフィスもう行ったよ!? さっき行ったよ!? お前何してんだよ、もっと早く来いよ!」

 思わず、口が引きつってしまう。

「フッ落ち着け―――むっ、通信か」
「あ、はいどうぞ」

 ヴァーリの目前に通信用魔法陣が写し出される。それに応答するヴァーリ。……デジャヴ感じるぜ。
 数秒もしない内にヴァーリは通信用魔法陣から顔をこちらに振り向く。

「―――どうやら俺も、これ以上ここで長居の必要はないらしい」
「へー、そうすか。……別に興味ないけど誰とお喋りしてたんすか? まあ、だいたいは見当はつくけどさ。何とかの団あたりですかね?」
「禍の団《カオスブリケード》だ……まあ、隠すつもりはない。どうせ面は割れているだろうからな」

 だからって、言ったら言ったで駄目だと思うけどね。軽いのかな?この集団は。


「美猴と黒歌だ。このどちらかとはデクタ・テイン、お前も会ったことはあるだろ?」
「ああ、多分黒歌っていう人だったと思う。……ただ人相は覚えてないから、あんまし、覚えてねーすわ。相手も忘れてると思うけど」

 やべ。今その美猴と黒歌という名前聞いてピンと来たけど、禍の団の中にそんな名前の奴いたね、確かに。
 てか、まだ原作介入してないのにやっぱり原作知識って失いつつあるのな。

「忘れた………だと?」
「え、何? 何でそんなに驚いてんの?」
「いや………何でもないが………フッ、黒歌と会えば分かる。まあ、俺もそこまで関与できる話じゃないしな。会ってから確かめることだな」

 とヴァーリ 意味深な事を言い出す。
 そんな事言われると気になるのは人間の性であるけれど、興味はない。
 ………いや、別に、普通の人間の感性と違う俺かっけーなんて思ってないんだからね!

「そんな事より、はよ帰れ。用が済んだならさ」
「フッ、そうだな。だが、お前も日本へ来るんだろ? 俺もそこに用事があってな。ついでだ。一緒にいくか?」
「支給の転移魔法陣あるし、道中で寄らないと行けないところあるし、それにテロリストに借りを作りたくないし、お断りです」
「そうか、まあいいさ。―――早く完治するといいな」

 ヴァーリはそれだけを残してまた飛び去って行った。
 ………バレテーラ。
 奴が最後に早く完治するといいな。それは何を意味するか。

 俺はそれを指す方へ目線を落とす。

 腕だ。肩の付け根から指先のひとつひとつ、もうそれは腕として機能しないほどに惨く傷んでいた。見える損傷は片腕だけだけど、腕も足も、肢体の全てが悲鳴を上げている。もう痛すぎ。もし、ヴァーリが俺と戦おうとかバトルジャンキーじみたことを言われたら、絶対俺死んでた自信あるね。まず、体が重すぎて、今の俺じゃヴァーリのスピード愚か、普通の人間にも負けるかもしれない。

『変身による副作用だな。クククやはりロマン砲こそ至高だな』

 中二聖剣の言う通り、簡単に言うとそれが一番の原因だろう。おおよそ5分の変身で、この有様である。
 まじで痛すぎワロタ。
 アザえもんに直してもらお。

 そんなこんなで禍の団、そして今回の諸悪の根源であろうオーフィスが俺達正教会に接触したことは、周知に広がった。混乱も防ぐために、上の奴らは情報規制を実行したけど、情報の漏洩は防げない。ぶっちゃけ、この世界の大体のやつはポンコツだからね。
 ………まあ、そんなことはどうでもいい。今回の件で、天使陣営はいろんな事で頭を抱えることになるだろうが、原作の収束でどーにかなるでしょ(適当) いや、知らないけども。

 むつかしいことは、上の奴らに任しとけばオケ。俺みたいな使い捨てにされるような下っ端は何も気にせず、上のいうこと聞けばいい。その下っ端が俺なんですけどね。

 ゼノヴィアさん達とさっき連絡したけど、「私達のことは気にせず、さっさと任務を果たせ」……とその一言で、電話切りやがった。べ、別に心配する声を掛けてもらいたかった訳じゃないんだからね!

 今から俺は日本へ行く。どうせ、今から教会に戻っても、ゼノヴィアさんとイリナさんはともかく、誰にも歓迎はされないだろう。俺嫌われてるし。何故? 知らねーよ。……モブ程度にへこたれる俺じゃあない。気にするもんか。

 つーわけで、レッツジャパンでございやす。

 その前にまずは腕を直してもらうためにアザゼルの別荘に寄り道を。そこで身体治してもらう。
 確か駒王学園の近くにあった希ガス。

 早速、前もって準備していた転移魔法陣のルーンを展開する。
 本来はもう一つの転移魔法陣のルーンで、俺と一緒に日本に行くはずだった案内人と飛ぶはずだったけど、もう使う必要はなくなった。まあ、一応取ってとくけども。

 展開した魔法陣は徐々に煌めきを放つ。

 ―――ああ、そういえば、原作知識ってどうなるのだろう。

 魔法陣の上でふと思う。

 原作知識を持っていれば、天と地ほどの差ぐらいに、自分の生存率がぐんと上がる。理由はこの世界の未来を知っているから。原作全部読んでないから完璧じゃないけどね。……まあ、何故か禍の団と遭遇しちゃったけど。原作だとまだ未登場の筈だけど。ふむ、原作には載っていないだけで見えないところで活動してたのかな―――とこんな感じで原作知識を所有してるからって完璧じゃあない。しゃーない。臨機応変。そうするしかない。

 恐らく現時点での原作の進行度は、こうかな。

 フェニックスの悪魔がリアス・グレモリーとの結婚を掛けて主人公と勝負!主人公はリアス・グレモリーの結婚を取りやめるために、戦う!
 そうなるとかなり序盤だよね。原作介入を強いられる俺は考える。どの道特典の対価として付属それは避けられまい。

 まあ、いいや。日本に行ってから考えればいい。原作知識だって、俺の記憶から消えても、一応メモ帳にとってあるから多分なんとかなるさ。敢えて原始的に行くところポイント。……まあ、それも期待はしない。
 まあ、原作介入したからって原作知識が、消滅する保証もないけど。一応そっち方面も期待しとく。あと、限りなく可能性は低いけど、聖剣達にも原作知識は織り込み済みだ。……信じてはくれなかったけどね。そんなことより、人に、誰かに、他人のハーレム物語語るとかどんな拷問やねん。

 まあ、原作知識が消えたともしても、俺は俺だ。

 そう心の中で決心して日本に―――飛んだ。そして俺は原作に介入する。








 結果―――転移は失敗した。原因は満身創痍な身体で転移魔法を支給品とはいえ、そんな不安定なコンディションで使用したせいなのだろう。ああ、俺は失敗してばかり。自分が嫌になるでござる。

 だが―――ここは日本である。失敗したのは、アザゼルん家の別荘に転移できなかった訳で。日本のどこかは分からないけど、転移の座標のズレ様から見れば、ぶっちゃけ大したことはない。
 ヒャッハー! とりまはよアザゼルんとこ行って治してもらわないとキツイぜ。

「キャーーーーッ!!!!!」

 え、何うるさ。
 女の金切りのような声が何重にも響く。思わず、耳を塞いでしまいたくなるそれは、俺は今置かれていた現状にやっと気づく。

「人前で、転移魔法を見られちゃったせか。しかもここ―――」

 ……学校の校庭か。
 俺が今転移してきた場所に大勢の人間がいたのだろう。いきなり空間を歪めてそんな場所に人が突然現れたらそりゃびっくりしますよね。

 そんな人前で異能を使ったのだ。悪目立ちはしなくない。記憶操作だ。こういうのってなんか知らんけど掟だよね。
 ポケットから支給品のルーンをまさぐる。俺が魔法使いなら颯爽とちちんぷいぷいと記憶操作魔法掛けられるんだけどね。生憎、ただの聖剣使いだから、一々支給品の魔法を使う他ない。

「ああ、安心しなよ。僕が結界を張ったよ。だから、きみは周りの目を気にしなく済む」

 突然背後から声が掛かる。振り向けば、金髪のイケメン。まさにモテ男のお手本みたいな感じ。……妬ましい。

 それにこいつは―――

「木場………えっと、なんとかくんじゃん」

 どうやら俺の脳内に、原作知識は残って居られるようだ。



 
 

 
後書き
展開が遅いという訳(ずっと自分も思ってた)で、後半変えますた。てか、主人公1話でぶっ殺しるのにも関わらず、タイトル詐欺もいいところ。そんな内容。なのでご了承くださいm(_ _)mそしてやっと原作介入。………やっと日本にオリ主が到着。全ては1話に収束するよう更新ペースはやはり亀みたいなもんですが頑張ります。
一応、ここからが本編みたいなもんですが、この先の話になるとクズ要素満載ですが、ここまで読んで下さっている方なら大丈夫……ですよね……? 
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