英雄伝説~運命が改変された少年の行く道~(閃Ⅰ篇)
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外伝~アルフィン皇女の告白と宣言~
~グラウンド~
「フウ……(予想はしていたけど、やっぱり注目されたな……)」
「……すみません、リィンさん。わたくしの相手を務めれば多くの方達に注目される事はわかっていたのですが……」
疲れた表情で溜息を吐いたリィンに気付いたアルフィン皇女は申し訳なさそうな表情でリィンを見つめた。
「いえ、そんな。無礼講とは言え殿下のダンスパートナーの相手が本当に俺でよかったのでしょうか?ユーシスやパトリックの方が相応しいと思うのですが。」
「ふふっ、前にも言ったようにユーシスさん達を誘えばどこかから角が立ちますからね。それに今までの功績によってシュバルツァー家の爵位が上がり、将来”侯爵”になる事が約束されているリィンさんだって、わたくしのダンスパートナーのお相手としての資格を十分持っていますわ♪」
「うっ。もしかしてエリスから聞いたのですか?」
アルフィン皇女に笑顔で見つめられたリィンは唸った後冷や汗をかいて尋ねた。
「いいえ、シュバルツァー男爵夫妻と文通をした際に知りましたわ。」
「そ、そうですか………………殿下、その……ずっと聞きたい事があるのですがよろしいでしょうか?」
「ええ、何なりと。」
「何故俺や父さん達との文通を始めたのでしょうか?このような事実、外部に漏れたらまたマスコミ達が騒いで憶測をした挙句エレボニア帝国中を騒がせると思うのですが……」
リィンは複雑そうな表情でアルフィン皇女を見つめたが
「フウ………エリスやシュバルツァー男爵閣下達から聞いていた通り、リィンさんはとんでもない鈍感さんなのですわね。」
「え。」
溜息を吐いた後呆れた表情で自分を見つめるアルフィン皇女の言葉に呆けた表情をした。
「ちょっと恥ずかしいですけど、このままだと一生わたくしの気持ちに気付かない可能性も考えられますから、勇気を出して勝負に出る必要がありますわね……ただでさえリィンさんと直接会える機会も滅多にない上、エリス達と比べると圧倒的に不利な立場ですし…………」
「で、殿下……?どうされたんですか?」
リィンから視線を逸らして小声でブツブツ呟いているアルフィン皇女の様子をリィンは戸惑いの表情で声をかけ
(うふふ、どうやらここで攻勢に出るみたいね♪)
(ふふふ、ここからが面白くなりますね。)
(ア、アハハ……リィン様とアルフィン皇女には申し訳ないですけど、私も興味があります……)
(フフ……)
アルフィン皇女の小声の内容が聞こえていたベルフェゴールとリザイラは興味ありげな表情をし、メサイアは苦笑し、アイドスはアルフィン皇女を微笑ましそうに見つめていた。
「コホン、失礼しました。せっかくの機会ですので先程のリィンさんの質問に応えますわね。一度しか言いませんから絶対に聞き逃さないで下さいね?」
「わかりました。」
アルフィン皇女の言葉を聞いたリィンは真剣な表情で頷いてアルフィン皇女を見つめた。
「わたくしがリィンさんと文通を続けている理由は勿論、殿方として慕っているリィンさんにわたくしの事をもっと知ってもらい、いつかわたくしに振り向いてもらう為ですわ♪」
「………………………え”。」
真っ赤になって笑顔で自分を見つめるアルフィン皇女の直接的な言い回しの告白に石化したかのように固まっていたリィンは我に返ると呆けた声を出し
「そしてシュバルツァー男爵閣下達と文通を始めた理由は勿論、殿方として慕っているリィンさんのご両親にわたくしの事を気に行ってもらう為ですわ♪」
更にアルフィン皇女は笑顔で追撃した。
(あらあら♪やるじゃない♪正直、ここで告白をするとは思わなかったわ♪)
(ア、アルフィン皇女、凄く度胸のある方ですね……)
(ふふふ、ここまで言われたのならばさすがの超鈍感なご主人様と言えど、アルフィン皇女の気持ちには気付くでしょうね。)
(さて、リィンはどんな反応をするのかしら?)
その様子を見守っていたベルフェゴールは感心し、メサイアは冷や汗をかいて苦笑し、リザイラは静かな笑みを浮かべ、アイドスは苦笑しながらリィンを見つめていた。
「え、ええええええ――――モガッ!?」
そして我に返ったリィンが大声を上げようとしたがアルフィン皇女の両手によって素早く口を閉じられた。
(大声を出さないでください。皆さんに気付かれてしまいますわよ?)
(す、すみません。)
アルフィン皇女の小声の言葉にリィンが頷くとアルフィン皇女はリィンの口を封じている自分の両手をどけた。
「そ、その……何故俺なんかに殿下が………」
「自分を卑下しないで下さい。わたくしにとってはリィンさんは今まで出会った殿方よりも一番素敵ですわ。勿論、わたくしはリィンさんの出自の事については一切気にしておりませんわ。わたくしは一人の女性として”リィン・シュバルツァーという男性”を愛していますわ。」
「……………………………………そ、その、すみません!殿下のお気持ちはとても光栄で嬉しいのですが、俺には既に将来共に歩む事を約束した女性がいるんです。」
アルフィン皇女の話を信じられない表情で聞いていたリィンはエリゼ達の存在を思い出し、何とかアルフィン皇女を思いとどまらせる為に頭を深く下げてエリゼ達の話を出した。
「え……ど、どなたですか!?やはりエリスかエリゼさんですか!?それともアリサさんかセレーネさんですか!?もしくはリィンさんと契約している異種族の方々の内のどなたかですか!?」
リィンの答えに驚いたアルフィン皇女は血相を変えてリィンを見つめ
「……そ、その…………正直、信じられないと思うのですが…………エリゼとエリス、後はアリサとセレーネです……」
頭を上げたリィンは一瞬嘘をつこうとしたが、真剣な表情で自分を見つめるアルフィン皇女には嘘をつくのは不味いと判断し、正直に話した。
「ええっ!?よ、4人もいるんですか!?一体何故そんな事に………」
リィンの口から出た予想外の答えにアルフィン皇女は信じられない表情でリィンに尋ねたが
「そ、その………これには色々と複雑な事情がありまして…………と、とにかくそういう訳ですから、殿下のお気持ちはとても嬉しいですが、殿下のお気持ちには応えられません。」
4人と婚約する事になった”理由”はさすがに話せないリィンは答えを濁してアルフィン皇女の告白を断ろうとした。
「…………エリス達はリィンさんが自分達以外の女性と婚約している事や重婚を認めているのですのよね?」
「は、はい……何故か4人共重婚を認めています。」
「そうですか…………―――なら、そこにわたくしも加わる事もできますわね♪」
「へ。」
そして笑顔で自分を見つめるアルフィン皇女の言葉にリィンが呆けたその時
「ん…………」
「!!!!!!!!?????」
周囲を見回して誰も見ていない事を確認したアルフィン皇女がリィンの唇に口付けをした!
「な、なななななななななっ!?」
アルフィン皇女が離れるとリィンは混乱した様子でアルフィン皇女を見つめ
「―――リィンさん。エリス達が重婚を許しているのですから、わたくし、エリス達と一緒にリィンさんと結婚してリィンさんの妻の一人になる事を目標にしてこれからもリィンさんに振り向いてもらえるような女性になる努力をする事、そしてリィンさんの事を絶対に諦めない事をエレボニア帝国皇女アルフィン・ライゼ・アルノールの名に賭けてこの場で宣言致しますわ♪」
「……………………」
アルフィン皇女の口から出た信じられない宣言に口をパクパクしていた。
(アハハハハハハッ!今の話をエリゼ達に話したらどういう反応をするのかしらね♪)
(ふふふ、話をするも何も彼女の先程の行動は既に見られていますよ?)
(え……―――あっ!)
(フフ、やっぱり気になっていたのかしら?)
その様子を見守っていたベルフェゴールは腹を抱えて笑い、静かな笑みを浮かべるリザイラの言葉に首を傾げたメサイアは遠くから驚きの表情でリィンとアルフィン皇女を見つめて固まっているエリゼとエリスに気付き、アイドスは苦笑しながらエリゼ達を見つめた。
「それと一応言っておきますけど、先程のキスがわたくしのファーストキスですわ♪」
「ええっ!?」
「わたくしのファーストキスを貰った責任はいつか必ず取ってもらいますからね、リィンさん♪」
「で、殿下!?」
そしてアルフィン皇女はリィンの制する声を無視して顔を真っ赤にして走り去った。
「……………………こ、これからどうすればいいんだ……!?」
アルフィン皇女が走り去った後固まっていたリィンは我に返ると頭を抱えていたが
「「に・い・さ・ま~~~~~~~!?」」
「………………………………」
エリゼとエリスの声を聞いた瞬間、表情を青褪めさせて恐る恐る振り向くと膨大な威圧や闘気、魔力を纏っているエリゼとエリスが微笑みを浮かべてリィンを見つめていた!
「エ、エリゼ……それにエリスも……ど、どうしたんだ……?」
「どうしたもこうしたもありません!ちょっと目を離した隙にあんな事になるなんて……!」
「姫様とどのような話をして、何故姫様とキスをする経緯に到ったのか等、全て話してもらいますからね……!」
そしてエリゼとエリスに迫られたリィンはアルフィン皇女の告白などについて洗いざらい喋らされる羽目になった。
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