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英雄伝説~光と闇の軌跡~(SC篇)

作者:sorano
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第105話

~グランセル城前~



エステル達がグランセル城に向かったその頃、次々と兵達をなぎ倒して言った執行者達が城門の目の前まで来た。

「あら……城門が閉じちゃっているわね。」

固く閉じられている城門を見て、ルシオラが意外そうな表情をした。

「ふむ、旧い城のようだから人力でも開閉可能なのだろう。かなり大変ではあっただろうが。」

「ふふ……ご苦労様といったところかしら。どうする?博士に連絡して、パテル=マテルを呼んでもらう?」

ブルブランの話に頷いたルシオラは2人を見て尋ねたが

「おいおい。あんなデカブツ呼ばれたら俺たちが楽しめねえだろうが。ここは俺に任せとけや。」

凶悪な笑みを浮かべたヴァルターが進み出た。

「あら………何をするつもりかしら?」

「クク……ま、見とけって。」

ルシオラに尋ねられたヴァルターは城門に手を当てると気を練り始めた。

「コオオオオオオオッ……フン!!」

すると城門の一枚が見る間に瓦解した!

「泰斗流の奥義……寸勁ね。」

「フフ……相変わらず見事な技だ。」

「ククク……大道芸みたいなもんさ。さて、もう一枚行くとするか。」

そしてヴァルターは残っている一枚の城門を破壊し、ブルブラン達と城に潜入した。



~グランセル城内・エントランス~



一方城門が破壊される様子を親衛隊やリベール王家の者達が見ていた。

「まさか城門が……」

城門が破壊されていく様子をヒルダは信じられない表情で見ていた。

「くっ、もう保たんか……。クローディア!女官長!い、急いで陛下を女王宮にお連れするがいい!」

一方デュナンはクローゼ達の方に向いて、指示をした。

「お、小父様……」

「デュナン……貴方。」

デュナンの指示を聞いたクローゼは信じられない表情をし、女王はデュナンを真剣な表情で見つめた。

「わ、私とてリベール王家の一員だ!その権威を侵そうとする者を黙って見過ごすことなどできぬ!ユリアがおらぬ今、ここの指揮は任せてもらおう!」

「で、ですが……」

デュナンの説明を聞いたクローゼが心配そうな表情で反論しようとしたが

「ええい、グズグズするな!きゃつらは、陛下とそなたの身柄を奪おうとしておるのだ!女王と王太女の身柄をな!」

「!!」

デュナンの話を聞き、真剣な表情になった。

「今、そなたが優先すべきは陛下とそなた自身を守ること!己の使命を全うするがいい、小娘!」

「小父様……分かりました。お祖母様、ヒルダさん!急いで女王宮に向かいましょう!」

デュナンに指示され、静かに頷いたクローゼは女王とヒルダを見て言った。

「ええ……分かりました。デュナン……くれぐれも無事で。」

「ハハ、神をも恐れぬ狼藉者、返り討ちにしてご覧に入れよう。」

女王の言葉にデュナンは笑いながら答えた。

「……どうかご武運を。フィリップもどうか気を付けてください。」

「お気遣い、痛み入れます。」

そしてヒルダの言葉を聞いたフィリップも静かに頷いた。そして女王達は女王宮に急いで向かった。



「……閣下、お見事でした。このフィリップ、今この時ほど閣下にお仕えして良かったと思ったことはありませなんだぞ。」

「ふ、ふん、大げさなヤツめ。」

女王達が去った後、自分を感心した様子で見て言ったフィリップの言葉を聞いたデュナンは鼻を鳴らした。その時、最後の城門が破壊され、ブルブラン達が城内に入って来た!

「き、来おったか……!」

「ふむ、何という鬼気……。どうやら魔人の類いのようですな。閣下……わたくしが倒されたらどうか構わずにお逃げください」

「なに……!?」

フィリップの言葉にデュナンが驚いている中、フィリップはレイピアが収められている鞘を取り出し、助走をした後、2階から飛び降り、執行者たちの前に立ちふさがった。

「フィ、フィリップ殿!?」

フィリップの登場に親衛隊員は驚いた。

「なんだァ、てめえは?」

「デュナン公爵閣下の執事にして元・王室親衛隊大隊長、フィリップ・ルナールと申します。」

ヴァルターに睨まれたフィリップは腰に刺しているレイピアを抜いた!

「昔取った杵柄……どこまで通用するかは分かりませぬがせめて一太刀は浴びて頂きますぞ。」

「ほう……」

「はは……これは面白い!」

「フフ……少しは楽しませてくれそうね。」

フィリップにレイピアを向けられ、フィリップから伝わる”強者”の気配を感じたヴァルターとブルブランは感心し、ルシオラは妖しい笑みを浮かべた。そしてフィリップ達とブルブラン達は戦闘を開始した!



~グランセル城前~



フィリップ達が戦闘を開始し、しばらくすると城門前にエステル達が到着した。

「こ、これって……」

「これは……多分素手で壊した跡だ。恐らく”痩せ狼”の絶招技……」

「ああ……ゼロ距離からの寸勁だろう。」

破壊された城門を見て驚いているエステルにヨシュアとジンが説明した。

「マジかよ……」

「シャレにならないわね……」

2人の話を聞いたアガットとシェラザードは信じられない表情をした。

「なんていうか……。強さの次元が違うんですけど……。……って感心している場合じゃないわ!何とか連中に追いつかないと―――」

「エステル!」

ヨシュアが叫ぶとエステルたちに向かって銃弾が撃たれた。すると先を阻むかのようにグロリアスで戦った機械兵器――ペイルアバッシュが4体現れた!

「ふ、ふええっ!?」

「時間稼ぎが狙いのようですね……」

「ブチ壊すぞ!」

現れた敵達を見たティータは驚き、リタは真剣な表情をし、アガットは敵達を睨んで言った。

「わかった!――ニル、パズモ!力を貸して!」

そしてエステルはニルとパズモを召喚して、仲間達と共に戦闘を開始した!



「「「「……………」」」」

敵達はエステルに向かって銃弾を一斉に放った!

(させない!)

「させませんわ!」

「甘い。」

しかしパズモとニル、リタがエステル達の前に出て簡易結界を展開して防いだ! それを見た敵達は次の攻撃に移ろうとしたが

「おぉぉぉぉ!!」

ヨシュアが放ったクラフト――真・魔眼によって、動きを封じられ

「炎よ!爆ぜなさい!火球!!」

「雷よ、轟け!轟雷!!」

「大地に降り注ぐ光よ!弾丸となり、敵を貫け!シャインブレッド!!」

「え、えとえと……聖なる光よ!」

そこに詠唱を終えたエステルとシェラザード、ミントが魔術を放ち、ティータは絵札――”大天使の絵札”を使った!エステル達の攻撃にダメージを受けると共に、プロペラが破壊され、敵達は地面に落ちた!

「ふおらあぁぁぁ!フレイムスマッシュ!!」

「とりゃっ、雷神脚!!」

アガットとジンが放ったクラフトを受け、それぞれ城の堀へと吹っ飛ばされ

「光よ、降り注げ!爆裂光弾!!」

(光よ!我が仇名す者に裁きの鉄槌を!贖罪の光霞!!)

「決める!白露の鎌撃!!」

「えいっ!!」

ニルとパズモの魔術、リタのクラフト、そしてティータの魔導砲での攻撃を受けて、爆発を起こしながらバラバラになった!



「はあはあ……じょ、冗談じゃないわよ!」

「時間がない……とにかく中に入ろう!」

そしてエステルはパズモとニルを戻し、仲間達と共に城内に入った。



~グランセル城内・エントランス~



エステル達が城に入ると、親衛隊員達が地面に倒れ伏していた。

「こ、これって……」

「王国軍きっての精鋭部隊までもかよ……」

地面に倒れ伏している親衛隊員達を見たエステルは驚き、アガットは目を細めた。

「エ、エステル様……」

その時、誰かの声が聞こえ、声が聞こえた方向にエステル達が向かうとそこには倒れ伏したデュナンと、跪いているフィリップがいた。

「フィ、フィリップさん!?それにデュナン公爵も……」

「もしかして……彼らを食い止めようとして?」

「は、恥ずかしながら……。ですが歳ですかな……さほど時間は稼げませなんだ……。こ、公爵閣下のご様子は……?」

ヨシュアに尋ねられたフィリップは無念そうな表情で答えた後、尋ねた。

「大丈夫………当て身を喰らっただけみたい。」

「あ、安心しました……。陛下たちは女王宮に……ど、どうかお急ぎくだされ……」

シェラザードの言葉を聞いて安心したフィリップはエステル達に伝えた後、地面に倒れ伏して気絶した。

「フィ、フィリップさん!?」

「大丈夫、気絶しただけだ。急ごう……クローゼ達が危ない。」

「う、うんっ!」

そしてエステル達は女王宮に急いだ。



一方その頃、エリーズ街道での戦いは敵軍を絶望させるかのような大軍の軍勢を率い、さらにそれぞれの使い魔を召喚したリフィア達、そしてリウイ達メンフィル軍による虐殺劇が繰り広げられていた……………!




 
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