英雄伝説~焔の軌跡~ リメイク
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第122話
~第四星層~
「ここは………?」
「ふむ………見覚えのない場所やけど。」
新たな星層に到着し、周囲を見回した後周囲の光景に見覚えがないヨシュアとケビンは首を傾げた。
「ほう、こりゃあ……」
その時何かに気づいたジンは振り向いてある方向を見つめ、ケビン達もつられるようにジンが見つめている方向に視線を向けるとそこには絶景が広がっていた。
「フッ……絶景だね。」
「みゅう~!?さっきまで異空間だったのに、どうしてお外に出たんでしょう~?」
「……恐らくこの光景が今までの話にあった”影の国”によって再現された現実世界の偽物の光景なのでしょうね。」
「おいおい……ここまで忠実に現実世界の光景を再現するとか、”フォミクリー”の上を行っているんじゃねぇのか?」
景色を見たオリビエは感心し、戸惑っている様子のミュウの疑問にティアは冷静な表情で答え、ガイは疲れた表情で呟いた。
「へえ………まさかこんな場所に出てくるなんてな。」
「ここも王都と同じく”影の国”の中に再現された場所でしょうか?」
「ああ………その可能性は高いやろう。しかしここ………リベールのどこになるんや?」
ヨシュアの推測に頷いたケビンは目の前の光景はリベールでは見た事のない光景である事に気づき、光景の場所を考え込んでいた。
「いや………僕にも見覚えがありません。クローネ連峰?いや、それにしては空気が………あ………」
「なんや………?」
考え込んでいたが何かに気付いたヨシュアの呟きを聞いたケビンは首を傾げ、ヨシュアが気付いた方向を仲間達と共に向かった。するとそこには遊撃士協会の紋章である”支える籠手”の紋章がつけてある大きな建物があった。
「へ………遊撃士協会の紋章………?」
「ひょっとしたら………リベール以外かもしれません。僕が知る限り、こんなギルドの施設など国内に存在していないはずです。」
「ふむ………確かに俺も覚えはないな。かといって共和国にもこんな施設はなかったぞ。」
「なんや………あっちに答えがあるやんか。」
シュアとジンが考え込んでいる一方何かに気付いたケビンは声をあげた。そしてケビン達はケビンが気付いた物――看板に近づいて、看板に書かれてある字を読んだ。
「『遊撃士協会ル=ロックル訓練場』…………もしかしてここは………」
「たしかエステルちゃんが訓練に行ってた場所やないか?アネラスちゃんやレンちゃんと一緒に。」
「ええ………レマン自治州にある遊撃士協会の訓練場です。僕も彼女から話を聞いただけで訪れたことはなかったんですが………」
「ふむ、ここがあのル=ロックルか。俺も訪れたことはないが、ギルドでは割と有名な場所だ。」
ケビンにの質問にヨシュアとジンはそれぞれ頷いた。
「しかし妙だな。レマン自治州はリベールからかなり離れた場所にあるはずだ。」
「ええ、リベールからやとエレボニアやカルバードよりも遠い場所にあるのは間違いないです。そんな場所を、どうやってそして何のために再現したのかはわからへんですけど………」
「これが”敵”の仕掛けならそれなりに意味があるはず………つまり、そういう事ですね?」
「フッ、話が早くて助かるわ。」
ヨシュアの確認の言葉にケビンが頷いたその時、何かの鳴声や唸り声が聞こえてきた!
「今のは………!」
「ああ、さっそくの歓迎や………!」
声に気付いたヨシュアとケビンが仲間達と共に振り向くとそこには鼠のような姿をした戦士の魔物と狼のような姿をし、武闘家のような魔物がいた!
「これはこれは……」
「―――早速来たわね。ミュウ、下がって。」
「はいですの!」
「似ているが俺達の世界でも見た事がない魔物だな……」
魔物達の登場にオリビエは余裕の笑みを浮かべ、ティアの警告に頷いたミュウはケビン達の後方へと下がり、剣を鞘から抜いたガイは魔物達の行動を警戒していた。
「武装した獣―――いや”獣人”というべきか………『次なるは獣の道』というのはこれを意味していたみたいですね。」
「ああ、そうみたいやな。数も多いし手強そうや………気合い入れて追っ払うで!」
そしてケビン達は戦闘を開始した!
「「「………」」」
「そこやっ!!」
「そぉれっ!!」
戦闘開始早々、狼型の獣人がケビン達に襲い掛かってきたがケビンとオリビエがそれぞれ牽制射撃を行って獣人達の足を止めさせ
「おぉぉぉ……!」
ヨシュアが魔眼で敵達の動きを封じ込めた。
「もう、しまいにしよか……滅!!」
そこにケビンがクラフト―――デスパニッシャーで攻撃し
「朧!!」
「フッ、逃がさないよ!それっ!!」
ヨシュアとオリビエがそれぞれクラフトを放って一体ずつ敵を倒した。
「「「………」」」
一方、狼型の獣人に続くかのように鼠型の獣人達も襲ってきたが
「セヴァードフェイト!!」
ティアが放った数本の短剣が地面に刺さった際に発生した衝撃波によって怯むと共にダメージを受けた。
「風神脚!!」
「魔神剣!!」
そこにジンとガイが遠距離からそれぞれクラフトを放って追撃し
「散りなさい―――インリィノクターン!!」
ティアが一体の敵に近づいて結晶を目の前に発生させた後短剣を投擲して結晶を砕き、その破片で敵に攻撃すると一体の敵は滅された。ケビン達の戦いによって数を減らされた魔物達は戦闘続行をせず、背を向けて撤退した。
「………フン、一時撤退か。小知恵が廻る連中やな。」
「ええ、普通の魔獣と違って高い知恵を持っていそうです。やはり今までと同じく『あり得ない魔物』でしょうか?」
「ああ、レマン自治州の魔獣の生態は知らへんけどあんなのが普通にいるはずがない。」
「フッ、この”第四星層”とやらもなかなか楽しめそうじゃないか。」
「一体どこが楽しいのか全くわからないですの……」
「ミュウ、普通は誰も楽しいなんて思わないからわからなくていいのよ。」
「ったく、いい度胸をしているのも旦那とそっくりだな。」
ヨシュアの疑問にケビンが答えた後口元に笑みを浮かべて呟いたオリビエの言葉に考え込んでいるミュウにティアは優しく諭し、ガイは疲れた表情でオリビエを見つめていた。するとケビン達にとって聞き覚えのある音が聞こえてきた。
「おいでなすったか………!」
音を聞いたケビンは懐から”方石”を取り出した。するとケビン達の目の前に今まで何度も現れた女性の霊が現れた!
「………よくここまで………来ていただけました………この”第四星層”には3つの『修練場』があるようです………それぞれを制すれば………次なる道が開かれるはず………どうか………これを………」
女性が語るとケビンの手に地図が現れた。
「………ですが………どうか………気を付けて………”影の王”の狙いは………あなた……の………」
そして女性は最後まで語らず消えてしまった。
「………消えてしもうたか。”力”を奪われてるせいか満足に姿を見せられへんって感じやな。」
「ええ………彼女の方もはがゆいのかもしれません。ですが、ずいぶん貴重な手掛かりを託してくれましたね。」
ケビンの推測にヨシュアは頷いた後、ケビンの手にある地図を見つめた。
「ああ………」
ケビンが地図を開くと地図にはいくつか途切れている道があり、後は赤い点と”バルスタール水道”という名称の場所が示されてあった。
「……ふむ、右上にある赤い点が今いる場所みたいやな。すぐ左の上にあるのが”バルスタール水道”………多分、これが”彼女”の言ってた『修練場』ってヤツかもしれん。」
「……待って。先程の女性は修練場が3つあると言っていたけど………残りの2つはどこにあるのかしら?」
ケビンの話を聞いてある事が気になったティアはケビン達に訊ねた。
「多分………不自然に途切れている道の先にあるのかもしれません。ただ、どうやらこれも”ルール”に則っているみたいです。現時点でそちらに行っても”何もない”かもしれません。」
「空間を組み替えられる以上、あり得るかもしれへんな………仕方ない、まずはこの”バルスタール水道”に行ってみよう。」
ヨシュアの推測を聞いてある仮説を考えたケビンは気を取り直して仲間達に先に進むように促した。その後バルスタール水道に到着したケビン達は”水道”という名ながら溶岩が流れている事に驚きながらも、仕掛け等を解除して行き、奥に到着した。
~バルスタール水道・終点~
ケビン達が終点に到着すると妖しげな光陣が現れ、なんとそこから一際大きい狼型の獣人達と共にアネラスが現れた!
「アネラスさん………!?」
「…………………………」
アネラスの登場にヨシュアは驚き、アネラスは何も答えず虚ろな目でケビン達を見つめていた。
「あの人も人間じゃなくて魔物ですの!」
「どうやら、前の時と同じ”グリモア”の擬態らしいな。魂の気配が全然感じられへん。」
「だとすれば………遠慮は必要なさそうですね。全力で行きましょう!」
そしてケビン達はアネラス達との戦闘を開始した――――
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