英雄伝説~運命が改変された少年の行く道~(閃Ⅰ篇)
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第158話
エレベーターで24Fまで上がるとシャロンがリィン達を出迎えた。
~RF本社ビル最上階・ラインフォルト家ペントハウス~
「―――お嬢様、皆様。どうもお帰りなさいませ。」
タイミングよく出迎えたシャロンにリィン達は冷や汗をかき
「ただいま、シャロン。なんでタイミングよく私達を出迎えられたのかは聞かないでおくわ。」
アリサは冷静な様子で答えた。
「ふふっ、恐縮です。それでは皆様。どうぞお入りください。」
そしてリィン達はシャロンの案内によってラインフォルト家のペントハウスに入った。
「うわああああっ……」
「凄いな……」
「貴族の家と言っても差し支えないですね……」
「さすがは大陸有数の武器メーカーを立ち上げた会長の家ですね……」
「これは……予想していた以上だったな。」
「市街を一望かよ……ゼイタク極まりないねぇ。」
「昼寝したら気持ちよさそう。」
「うーん、そんなものかしら。でも……半年ぶりだと懐かしい感じがするわね。」
自分の実家の感想を聞いていたアリサは不思議そうな表情をした後口元に笑みを浮かべた。
「はは、そういうもんか。」
「すでにご夕食の準備もできていますわ。いつでも始められますのでお声をおかけください。」
「ありがとうございます。」
「そうね、お腹も空いたしせっかくだから早めに―――じゃなくて。夕食は母様と一緒なんだから帰って来るまで待たないと。ちょっと色々と聞いておきたい事もあるし。」
「……―――お嬢様。それなのですが……実は先程、会長から通信で連絡がありまして……」
アリサの話を聞いたシャロンは考え込んだ後申し訳なさそうな表情でアリサを見つめた。
「え。」
その後リィン達はイリーナ会長を待たずに夕食を取り始めた。
「ちょっと、アリサ。そんな勢いで食べたら……」
「ぶっちゃけ太るよ。」
「それにお腹の消化に悪いですし、明日の特別実習に支障をきたすかもしれませんよ?」
やけ食いをしている様子のアリサを見たエリオットは不安そうな表情をし、フィーとセレーネは忠告し
「ぐっ……少しくらいいわ!ちゃんとダイエットしてるし!」
二人の忠告に唸ったアリサは真っ赤にした顔を明後日の方向に向けて答えた。
「だからといって暴飲暴食はどうかと思うぞ。」
「まあ、暴飲暴食するアリサさんの気持ちもわからないではありませんが……」
「んー、ステージ衣装のデザインも考え直さにゃならんかねぇ。」
「そ、それがあったわね……ミルモも食べ過ぎたらダメよ?貴女もステージ衣装を着るんだから。そのパフェ、2杯目でしょう?」
クロウの言葉を聞いたアリサは冷や汗をかいた後自分の傍でシャロンが特別に用意したパフェを美味しそうに食べているミルモに忠告したが
「ふえ?わたし、”精霊”だからどれだけ食べても太らないよ?”精霊”は”天使”と一緒で食べた物を身体の中で分解して純粋な力にするから、どれだけ食べても太ったりしないよ?」
「ぐっ……何よ、それ!反則じゃない!?という事は体重を気にせず、甘い物が食べ放題って事でしょう!?”精霊”って、ズルいわ!」
ミルモの答えを聞いた唸り声を上げた後ミルモをジト目で睨んだ。
(まあ、私達の場合、食事をする必要がないのですけどね。)
(うふふ、ちなみに精気を吸い取る事ができる睡魔も同じよ♪)
(私も同じね。”女神”であるこの身体は食事をしなくても生きていけるし、食事は精気を取る手段の一つだから太らないわね。)
(アハハ……女性としては、どれだけ食べても太らない体質なんて羨ましいでしょうね……)
アリサの言葉を聞いてそれぞれ呟いた3人の念話を聞いたメサイアは苦笑していた。
「……アリサ、俺達の方ならそんなに気にする事はないさ。いくら夕食を約束してたからって忙しい人なのはわかっているからな。」
「そうそう、明日にはまた席を設けてくれるみたいだし。」
その時アリサの様子を見かねたリィンとエリオットがフォローの言葉を口にしたが
「だ、だからといって……私はともかく、貴方たちは自分が理事を務める学院の生徒たちでもあるのに……!それを蔑ろにして母様は誰と会っているわけ!?”ルシタニア号”からはいったん下船したんでしょう!?レン姫との商談もあったんだから、絶対本社には戻ってきているはずよね!?」
アリサは怒りを抑えきれずシャロンを睨んだ。
「わたくしの口から申し上げる訳には……ただ、男性とデートといった艶めいた話ではないのでその点はご安心ください。」
「はあ……そんな心配はしてないわよ。それだったらむしろ安心なんだけど……」
(アリサ……)
シャロンの答えを聞いて苦笑したアリサの様子を見たリィンは不思議そうな表情をした。
夕食の後、リィン達は早々に本日分のレポートをまとめた。だがアリサの母、イリーナ会長の突然の夕食のキャンセル……領邦軍と鉄道憲兵隊の対立、そしてルーファスの動き。何かが動いているのを感じながらもそれ以上のことは見当がつかなかった。
「それじゃ、時間も空いた事だし今夜はもう自由行動にしましょう。無駄に広い家だから勝手に見回ってくれていいわよ。ただし、私やシャロンの部屋は勝手に出入りしないこと。」
レポートを終えた後自由行動を提案したアリサはジト目でリィンを睨んだ。
「はあ、わかってるって。」
「あはは……」
「お約束だね。」
「わたくしはお兄様はそのような事をする人ではないと信じています!」
「フフ……セレーネの期待を裏切ったら、”どうなるか”わかっていますよね?」
「うっ……あ、ああ。」
セレーネの言葉を聞いたツーヤに殺気を向けられて微笑まれたリィンは頷いた。
「図書室もあるそうだが見学して構わないのか?」
「ええ。シャロン、案内してあげて。」
「はい、かしこまりました。」
「お姉様、一緒に外の夜景を見ませんか?」
「うん、いいよ。あたしも気になっていたし。」
「俺達は、学院祭のステージの最終的な詰めでもしとくか。」
「そうだね、お互いちょっと詰めきれていない部分もあるし。」
「俺も手伝おうか?」
クロウとエリオットの話を聞いていたリィンは提案した。
「いや、お前は一通り固めた後、総合的な意見を聞かせてくれや。」
「本当に良いものになりそうか直感で判断してもらいたいんだ。」
「わかった、そう言う事なら。」
「まあ、頑張ってちょうだい。それじゃあフィーは私の部屋に案内するわ。」
「ん、ヨロシク。」
そしてリィン達は自由行動を開始し、それぞれの自由を満喫し始めた。
~同時刻・ホテル・ラグランジュ最上階・VIPルーム~
「うふふ、とても大企業とは思えないくらい、ハッキング対策が穴だらけねぇ。IBCでももう少しマシなのに。これだとティオどころか、ソバカス君でも引き出せるわねぇ。」
一方その頃レンはホテルの一室で端末を操作して、何とラインフォルトグループにハッキングをしていた!
「うふふ、ラインフォルトも大変ねぇ。貴族派と革新派によって内輪もめをしているなんて。これだと”列車砲”はいつになったら完成するのかしら?…………あら?何これ。”機甲兵”……?…………………………」
ハッキングを続けていたレンはある情報を目にした瞬間真剣な表情で端末を操作する指を速めて端末に表示された情報を自分の頭に入れ続けていた。
「なるほどね。行方知れずの鉄鉱石の一部は”これ”に使われていたのね……………大したものだけど、それでも”パテル=マテル”には勝てないわね♪でも、この情報はメンフィルにとっても有益ね。特にこの”リアクティブアーマー”とかいうのは戦場で使うと便利ね。さてと……革新派に必死に隠しているその情報、全部もらってメンフィルの”糧”とさせてもらうわよ、”第五開発部”さん♪”これ”をメンフィルが量産したら、きっと驚くでしょうねぇ?クスクス♪」
そして小悪魔な笑みを浮かべたレンは指を高速に動かしてハッキングを再開した。
後にハッキングをされた事に気付いたラインフォルトグループの”第五開発部”は大慌てでハッカーを捜索したが、その時には既にレンもルーレを去っていた上巧妙なルートでハッキングをしていた事に加えてハッキングができるような導力端末専門の人材もいなく、さらにイリーナ会長にも秘密裏で開発していた為導力通信技術を専門とし、イリーナ会長直轄である”第四開発部”の助けを求めることができず、ハッキング元を割り出せず、ハッカーが”革新派”の手の者だと決めつけ、”革新派”を警戒していたという。
またハッキングによって自分の端末にコピーした”第五開発部”が開発していた”新兵器”の様々な情報をメンフィルに持ち帰ったレンによって、メンフィルは”第五開発部”が開発している”新兵器”がメンフィルにとっても”使える”と判断し、メンフィルも開発と量産を始めた………
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