英雄伝説~光と闇の軌跡~(SC篇)
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第39話
~王都グランセル・波止場~
エステル達が波止場に到着した時、シェラザードは何かの気配に気付いて足を止めた。
「はっ……!」
すると特務兵達の軍用犬達が現れた!
「や、やけに凶悪そうなワンちゃんたちやねぇ……」
自分達を睨んで唸っている軍用犬達を見て、ケビンは苦笑いをしていた。
「特務兵の軍用犬……!」
「……来るわ!」
そしてエステル達は戦闘を開始した!
「「「オン!」」」
「甘いっての!」
「フッ!」
「おっとと!」
軍用犬達はエステル達を襲ったが、エステル達はそれぞれ回避した。
「行くわよ~………!旋雷輪!!」
「「「ギャン!?」」」
そしてエステルが放ったクラフトに軍用犬達は悲鳴を上げた!
「そこっ!」
「「「ガッ!?」」」
さらにシェラザードはクラフト――シルフィンウィップを放って、さらにダメージを与えた所を
「止めや!降り注げ、炎槍!スパイラルフレア!!」
「「「ギャッ!?…………」」」
ケビンがアーツを放って止めを刺した!
「は~、ビックリした。でも『お茶会』の場所はここで間違いないみたいやね。」
「うん……そうね!」
「さあ、慎重に進むわよ!」
そしてエステル達は先に進むと、ある倉庫から人の気配がしたので倉庫に入った。
~波止場・倉庫~
エステル達が入って来る少し前、特務兵達が倉庫番達を脅していた。
「お、お前ら……。一体どういうつもりだ!こんなことをしてタダで済むと思っているのか!?」
倉庫番は特務兵達に武器を向けられ、動けない状態だったので睨むだけにして、尋ねた。
「フッ、元より覚悟の上だ。」
「ケガをしたくなければ大人しくしているがいい。我々は一般市民に危害を加えるつもりはない。」
「ただし……邪魔をしなければ、だがな。」
「ひ、ひいっ。命ばかりはお助けをっ!」
特務兵に銃を向けられた倉庫番の一人は悲鳴を上げた。
「一般市民以外には危害を加えるつもりってわけね。」
その時エステル達が倉庫に入って来た。
「なっ……」
「貴様ら……遊撃士か!?」
「一名は違うけどなー。」
驚いている特務兵達にケビンは苦笑しながら答えた。
「やっと、見つけた……。ずいぶんと引っ張り回してくれたわね。協会規約に基づき、騒乱・破壊活動などの容疑であなたたちを逮捕するわ!」
「さっさと降伏した方が身のためよ!」
「クソ……どうして気付かれた!?」
「まあいい、片付けるぞ!」
「おお!」
そしてエステル達は特務兵達と戦闘を開始した!クーデター事件の時よりさらに成長したエステルとシェラザードやケビンも予想以上に戦えたので、戦闘はすぐに終わった。
「ま、まあいい……。これで時間は稼げた……。あとは大尉殿にすべてをお任せするだけだ……」
「え………」
他の特務兵達が倒れている中、一人の特務兵が呟いた事にエステルは驚いた。
「じょ、情報部に栄光あれ……」
そして特務兵は気絶した。
「ちょ、ちょっと!?」
「アカン、気絶してもうた。」
ケビンは特務兵の状態を調べて、溜息を吐いた。
「ねえ、シェラ姉。『大尉』ってもしかして……」
「ええ……あのしぶとい女でしょうね。」
呆れた表情をしているエステルの確認にシェラザードは真剣な表情で頷いた。
「あんたたち……本当によく来てくれた!」
「ありがとう……君たちは命の恩人だよ。」
エステル達が相談しているその時、倉庫番達が近寄ってお礼を言った。
「えへへ……どういたしまして。あれっ……」
お礼を言われたエステルは大きな機械に気付いた。
「ああっ!」
「どうしたの、エステル?」
「なんかゴツそうなオーブメント装置やねぇ。何に使うもんなんや?」
驚いて機械に近寄ったエステルにシェエラザードは尋ね、ケビンは機械の正体を尋ねた。
「アルセイユ用に開発された高性能のオーバルエンジンよ!確か3つあったはずなのに……」
ケビンの疑問にエステルは焦った表情でレンを探していた時、エンジンを運んでいたのを思い出し、数が足りない事を言った。
「ああ、こいつらの仲間が運搬車で持っていったんだ。この先にある波止場の方に……」
「あ、あんですって~!?」
倉庫番の答えにエステルは声を上げた。
「嫌な予感がするわね……。波止場に急ぐわよ!」
「了解っ!」
「よしきた!」
そしてエステル達は先を急いだ。
「フン、やはり来たわね。」
エステル達が奥に到着するとそこにはカノーネと複数の特務兵、そして特務兵に拘束されたデュナンがいた。
「カノーネ大尉!」
「フン、元大尉ですわ。犬どもが騒がしかったからもしやと思って出てみれば……。遊撃士というのはよっぽど鼻が利くみたいね。」
「なめんじゃないわよ!あんな真似をしておいて!しかも関係ない子まで……絶対に許さないんだからね?」
「何を言ってるのかしら?私はただ、公爵閣下の王位継承をお手伝いするだけ。部外者はすっこんでいなさい。」
自分を睨み、怒鳴るエステルにカノーネは不敵な笑みを浮かべて答えた。
「はあ!?公爵さん!?あんたまた馬鹿なことを……」
「だ、誰がこのような無謀な計画に荷担するかっ!こ、こやつらは私のことを利用しようとしているだけだ!」
カノーネの答えに驚いたエステルはデュナンを信じられない表情で見たが、デュナンは心底嫌そうな表情で否定した。
「うーん、何か本気で嫌がっとるみたいやねぇ。」
「元大尉さん、いい加減本音を言ったらどうかしら?本当の目的はリシャール大佐の解放でしょう?」
「ええっ!?」
ケビンはデュナンの状態を見て呟き、シェラザードの推測にエステルは驚いた。
「うふふ、そこまで判っているなら話が早い……。―――これより『再決起作戦』を開始する!あなたたち!2分間だけ持たせなさい!」
「イエス・マム!」
そしてカノーネは特務兵達に指示をした後、数名の特務兵達と倉庫の中に入った。
「こら、待ちなさいよ!公爵さんはともかくレンは解放してくれても……」
エステル達はカノーネを追おうとしたが、特務兵達に道を阻まれた。
「大尉殿の決意と覚悟、邪魔させるわけにはいかん!」
「来い、ギルドの犬ども!」
「こ、この~っ……」
「いい度胸ね……可愛がってあげるわ!」
そしてエステル達は倉庫を守る特務兵達と戦闘を開始した!特務兵達自身はエステル達にとって敵ではなかったが、数が多かった為、多少手間取りながらも倒した。
「く、くそっ……」
「何て奴等だ……」
「往生際が悪いわよ!ほら、とっととどきなさい……」
エステル達の攻撃によって蹲って呟いている特務兵達にエステルは怒鳴ったその時、倉庫の扉が突如内側からへこんだ!
「わわっ……」
「な、なんや!?」
「まさか……これが設計図の……」
「ははは……間に合ったようだな……」
「じょ、情報部に栄光あれ!」
そして扉が何かによって吹っ飛んだ!
「きゃああっ!」
「こ、こいつは……」
すると中から大型の戦車が現れた!
「せ、戦車……!?」
「これが『オルグイユ』……」
戦車――オルグイユが進んで来たのでエステル達は急いで後退した。
「どうかしら……この『オルグイユ』は?情報部が独自に開発していた最新鋭・高機動の導力戦車よ。火力はエレボニア製戦車の2倍―――ほぼ警備飛行艇に匹敵するわ。」
オルグイユを見て驚いているエステル達に戦車のハッチの中からカノーネが出て、勝ち誇った笑みで答えた。
「また、ゴッツイもんを……」
「ム、ムチャクチャだわ……」
カノーネの説明を聞き、オルグイユを見たケビンは予想外の敵に溜息を吐き、エステルはカノーネを睨んだ。
「これを動かせるだけの高出力なエンジンがなかったので完成一歩手前で保管されたけど……。まさか『アルセイユ』の新型エンジンが手に入るなんてね。うふふ、空の女神はわたくしに微笑んだみたいね。」
「ちょ、ちょっと……。そんなものを使って何をするつもりなのよっ!?」
勝ち誇った笑みを浮かべて語るカノーネにエステルは睨みながら何を企いんでいるかを尋ねた。
「言ったでしょう。公爵閣下の即位を手伝うと。そのためには女王陛下に認めていただかなくてはねぇ。」
「ま、まさか……」
「狙いは城の女王様!?」
「ははは!今ごろ気付いても遅いわ!この『オルグイユ』ならたやすく城門も粉砕できる!城詰めの部隊も敵ではない!お前たちはせいぜい指をくわえて見ていなさい!」
そしてカノーネはオルグイユの中に入り、オルグイユを進ませた。自分達を轢くつもりで進んできたオルグイユを見て、エステル達は左右に分かれて回避した。
「し、しまった……!」
「追いかけるわよ!」
そしてエステル達はオルグイユの追跡を始めた!
「ふふ……完全に引き離せたようね。このまま城を占拠して女王陛下を拘束できれば……」
オルグイユのハッチから状況を確認したカノーネが不敵な笑みを浮かべたその時、砲弾がオルグイユの近くに撃ちこまれた!
「な……!?」
突然の攻撃にカノーネは驚いて、攻撃が来た先を見た。
「ふう……どうやら間に合ったようだな。」
そこにはユリア率いる親衛隊達が大砲らしき導力の大型武器を設置して待ち構えていた!
「お、王室親衛隊……!それに……ユリア・シュバルツっ!」
「久しぶりだ、カノーネ。まさかお前とこんな場所で相見えることになろうとはな。」
「あなたたち……どうしてここに!?レイストン要塞で飛行訓練をしていたのではなくて!?」
ユリア達の登場にカノーネは驚いて尋ねた。
「シード中佐から緊急の応援要請があってね。どうやらグランセル市街で変事が起こるのを読まれていたらしい。そこで我々が飛んで来たわけさ。」
「くっ……ただの昼行灯かと思えば……」
ユリアの答えを聞いたカノーネは誰の仕業か知り、唇を噛んだ。
「中佐はリシャール大佐と同じくカシウス准将の元部下だからな。侮ったお前のミスということだ。」
「どうやらそのようね……。それで、あなた達。何をしようというのかしら?」
「なに……?」
「アルセイユに搭載された移動式の導力榴弾砲……。そんなものでこの『オルグイユ』に対抗できるとでも思って?」
眉を顰めているユリアにカノーネは不敵な笑みを浮かべて尋ねた。
「対抗できぬまでも足止めくらいはできるさ。じきにシード中佐の部隊もこちらに到着するはずだ。投降した方が身のためだぞ。」
「うふふ……。アーハッハッハッ!」
「……なにがおかしい。」
突如笑い出したカノーネをユリアは訝しがって尋ねた。
「相変わらずね、ユリア……。真っ直ぐで凛とした気性は士官学校の頃のまま……。昔から顔を合わせるたびにいがみ合ってきたけれど……。わたくし、あなたのそういう所は決して嫌いではなかったわ。」
「カノーネ……それは私の方も同じだ。」
「でもね……。リシャール閣下の解放を邪魔するなら容赦しないわ!」
「!!仕方ない……。1番、2番共に発射用意!戦車の足を止めるぞ!」
カノーネの固い決意に説得を諦めたユリアは親衛隊員達に指示をした。
「イエス・マム!」
親衛隊員達が導力榴弾砲にエネルギーを充填し始めた。
「撃て――」
ユリアが号令したその時、オルグイユに装着されてあった『ゴスペル』によく似た物が妖しく輝き、ユリア達の周りの導力が全て停止した。
「な……!?」
「だ、だめです!機能停止しました!」
「くっ……導力停止現象か!?だが、そんな事をすれば肝心の戦車だって……」
導力が停止した事に焦ったユリアはオルグイユを見たその時、オルグイユは動き始めた!
「ば、馬鹿な!どうして動ける!?」
そしてオルグイユは砲弾や高出力の導力を放って導力榴弾砲を破壊した!
「なっ……」
さらにオルグイユは銃弾をユリア達に向けて連射して放った!
「うおっ……!?」
銃弾を受けたユリア達は傷つき、跪いた。
「周囲の導力器を停止しながらも接続した機体は動かせるユニット……。うふふ……予想以上の力ですわね。」
「くっ、カノーネ……。その『ゴスペル』はいったい……」
「うふふ、正確には違うけどある筋から入手したのよ。『実験』を手伝うのと引き換えにね。」
「な、なによあれ!?」
「新型ゴスペルに限りなく似たオーブメントの実験……!こ、こんな形でやるなんて!それにしても『結社』以外でどこの組織があんな物を作ったのよ!?」
一方オルグイユを追い掛けて、到着し、状況を見たシェラザードとエステルは驚いた。
「ちっ……マズイな。アレが動いている間はアーツの類も使えへん。こうなったら……奥の手を使うしかなさそうや」
「へっ……!?」
ケビンが呟いた言葉に2人は驚き、ケビンを見た。
「エステルちゃん、シェラの姐さん。今からやる事が成功すれば少しの間だけあのオーブメントを停止させることができるかもしれん。そのスキに戦車を足止めするで。」
「なんですって!?」
「そ、そんなことできるの!?」
ケビンの提案に2人は驚いた。
「確率は五分と五分……。せいぜい2人とも女神達に祈っといてくれ。」
そしてケビンは懐から杖を出した。
「あ……それって確か!?」
エステルは見覚えのある杖を見て驚いた。
「『封じの宝杖』……。ダルモア市長が持ってたご禁制のアーティファクトや!」
そしてケビンは『封じの宝杖』を持って、オルグイユに突進し
「喰らえッ!」
怪しい光を出しているオーブメントに『封じの宝杖』を叩きつけた!
「きゃあああっ!」
カノーネは叩きつけられた衝撃に悲鳴を上げた。カノーネが悲鳴を上げると同時にまばゆい光が辺りを包み、光が収まると周囲の導力が正常に稼働し始めた。また、ゴスペルによく似た装置はバラバラになっていた。
「しょ、照明が戻った……。導力停止現象が止まったのか!」
傷を薬で回復し、レイピアを構えていたユリアは辺りを見渡して驚いた。
「そ、そんな……。あなた、一体何をしたの!?」
「へへ、大したことはしてへんよ。アーティファクトが壊れる時に解放される膨大な導力を叩きつけてやっただけや。さすがのゴスペルもどきも壊れたみたいやね。」
「ば、馬鹿な……」
ケビンの説明にカノーネは信じられない表情をしていた。
「ケビンさん、ナイス!」
「やったわね、神父さん!」
「いや~、それほどでも。」
エステルとシェラザードの賛辞の言葉にケビンは照れていた。
「くっ……だからどうしたというの!ゴスペルもどきなど使えなくてもお前たちごとき敵ではない!『オルグイユ』の力見せてやるわ!」
そしてカノーネは再びオルグイユの中に入り、オルグイユを起動させた。
「ユリア大尉!ゴスペルがショートした影響で戦車の機能も低下しとるはずや!足止めするなら今しかない!」
「そうか……わかった!」
ケビンの説明にユリアは明るい表情で頷いた。
「ユリアさん、よろしく!」
「先生直伝の剣技、見せてもらうわ!」
「フッ……心得た!」
そしてユリアを加えたエステル達はオルグイユとの戦闘を始めた!
~王都グランセル・波止場~
「みんな、行くわよ!」
エステルの掛け声を合図にシェラザード達は武器を構えた!そしてオルグイユはエステル達に突進して来たが
「よっと!」
「ハッ!」
「おっと!」
「フッ!」
エステル達は回避した。
「とりゃっ!」
「やぁっ!」
そしてエステルとユリアはそれぞれの武器で攻撃した!しかし、オルグイユはあまりダメージを受けた様子はなかった。
「雷よ、走れっ!電撃!!」
「雷よ!プラズマウェイブ!!」
そこにシェラザードとケビンが魔術やアーツを放った!魔法攻撃により、オルグイユは少し傷ついたが気にせず、装着されてある機銃をエステル達に向かって連射した!
「きゃっ!?」
「うっ!?」
「あいたぁっ!?」
「あぁっ!」
攻撃を受けたエステル達は呻いたが
「今助けたるっ!そらっ!」
ケビンのクラフト――セイクリッドブレスによって傷は回復した。
「ありがと、ケビンさん!物理攻撃より魔法攻撃の方がいいみたいね……だったら!闇よ、我が仇名す者を吹きとばせ!黒の衝撃!!」
ケビンにお礼を言ったエステルは魔術を放って、オルグイユにダメージを与えた!
「猛る雷よ、落ちよっ!……轟雷!!」
エステルに続くようにシェラザードも魔術を放ち
「裁きの雷よ!我が仇名す者を打ち払え!!ラグナブラスト!!」
ユリアも駆動させていたオーブメントを発動させ、上位アーツを放った!畳み掛けるようにダメージを受けていたオルグイユだったが、砲口に高出力の導力を充填し始めた!
「!!我が右手に有りし星の杯よ、天より授かりし輝きをもって我らが盾となれ………グラールスフィア!!」
それを見たケビンは星杯を目の前に出し、自分を含めた味方に絶対防壁を張るSクラフト――グラ―ルスフィアを自分達にかけた!絶対防壁がエステル達にかかると同時にオルグイユは高出力の導力をエステル達に放った!しかし、ケビンが張った絶対防壁のお陰で無傷で済ませた。高出力を放った影響か、オルグイユは数ヵ所から煙を上げ始めた。
「今がチャンスね!ハァァァァァ!暗礁!雷波!無双撃!!」
「行くわよ、サンダ-ビュート!はっ!はっ!はっ!はっ!はっ!はっ!はっ!はっ!はっ!はぁっ!!!」
オルグイユの状態を見たエステルとシェラザードは挟み撃ちにして魔術効果を込めたSクラフトを放って、大ダメージを与え
「我が主と義のために………覚悟!たあっ!」
ユリアはレイピアを地面につけて、オルグイユを囲むように三角形を描き
「チェストォォォ!!」
レイピアを振り上げ、ユリアが叫ぶと三角形が光り、地面から光の柱が出て、オルグイユを襲った!ユリアのSクラフト――トリニティクライスを受けたオルグイユは到る所から爆発を起こし、完全に動かなくなった!
「や、やった……!?」
「ああ……。完全に足止めできたようだ。」
煙を上げて沈黙しているオルグイユを見てエステルとユリアは安堵の溜息を吐いた。
「くっ……やってくれたわね……」
その時カノーネがハッチから忌々しい表情でエステル達を睨んだ。
「カノーネ、お前の負けだ。今度こそ潔く投降してくれ。」
「ふざけるなッ!こんな事で閣下の解放を諦められるものですかッ!」
ユリアに降伏勧告にカノーネは声を荒げて否定し、オルグイユから出て来て、カノーネに続くように特務兵達も出て来た。
「隠れている同士達よ!全員出てきなさい!!」
カノーネが叫ぶとさらに複数の特務兵達がさまざまな所から現れ、エステル達を囲んだ!
「なっ……まだこんなにいたの!?」
自分達を囲む特務兵達を見て、エステルが焦ったその時
「――――全員、突撃。栗色の髪の娘達を包囲する特務兵達を掃討せよ!」
「ハッ!」
なんと、暗闇の空よりサフィナ率いる竜騎士の部隊が次々と空より強襲して、エステル達を包囲する特務兵達を目にも止まらぬ速さで倒した!
「なっ!?」
それを見たカノーネは驚いた。
「サフィナさん!?」
「”竜”にまたがる騎士……!と言う事は彼女達が『空の王者』と名高い竜騎士……!」
サフィナ達の登場にエステルは驚き、ユリアは信じられない様子でサフィナ達を見た。
「サフィナさん、どうしてここに!?」
「先ほどそこの女が王城を狙うと言っていましたからね。我が皇帝陛下達もおられるのですから我々メンフィルにとっても見過ごせぬ事でしたから、助太刀させて頂きました。」
エステルに尋ねられたサフィナは凛とした表情で答えた。
「ありがたい……!感謝致します、竜騎士殿……!」
サフィナの答えを聞いたユリアはサフィナ達を見て、お礼を言った。
「私達がしたのはただの露払いです。貴女達はそこの女と決着を。」
「うん!」
サフィナの言葉に頷いたエステル達はカノーネ達に向けて武器を構えた!
「カノーネ。メンフィルも出て来た以上、お前の勝ち目は完全にない。それでもまだ、戦うか?」
「当り前よ!ユリア!遊撃士ども!これで最後よ!いざ尋常に勝負なさい!」
ユリアに尋ねられたカノーネは怒鳴って否定し、銃を構えた!
「戦車まで使っておいてムシがいい気がするけど……。いいわよ!やってやろうじゃない!」
「お前との決着を付ける時が来たようだ……。……行くぞ、カノーネ!」
そしてエステル達はカノーネ率いる特務兵達との戦闘を始めた!
「「喰らえっ!」」
戦闘開始直後、特務兵達がそれぞれエステル、シェラザードに向かって武器を構えて突進して来たが
「っと!」
「!!」
2人は防御や回避を行い
「ウオオオオッ!」
「当たるかいな!」
銃を持った特務兵は連射してケビンを放ったがケビンは特務兵の行動を見て、その場から離れて回避し
「喰らいなさい!」
「無駄だ。ミラージュベルク!!」
カノーネの連射攻撃にはユリアは幻影の盾を身に纏わせ、絶対防御をするクラフト――ミラージュベルクを使って、カノーネの攻撃を無効化した!
「ハッ!」
「せいっ!」
「「グアッ!?」」
そしてエステルとシェラザードはそれぞれの武器で攻撃して、特務兵達を吹っ飛ばした!
「なっ!?ガッ!?」
吹っ飛ばされた特務兵達に銃を持っていた特務兵も巻き込まれ、地面に倒れた所を
「これで終いやっ!ヘル・ゲート!!」
「「「グアアアアアッ!?……………」」」
ケビンが放ったアーツによって気絶した!
「クッ……せめて貴様だけは!覚悟おし!」
「させん!」
特務兵達の状態を見て表情を歪めたカノーネは素早くユリアの懐に入って蹴りや銃を使って、ユリアに連続攻撃をし、カノーネの攻撃をユリアは防いでいた。
「全弾ゼロ距離発射!!」
そしてカノーネは至近距離で銃を連射した!
「くっ!」
至近距離の銃の連射攻撃はさすがのユリアも防げずダメージを受けたが
「武も鍛えたようだが、それでは私には勝てない。行くぞ!はっ!やっ!せいっ!たぁ!!」
「キャアッ!?」
ユリアが放ったレイピアによる一糸乱れぬ見事な4段攻撃のクラフト――ランツェンレイターを回避できなかったカノーネは悲鳴を上げて、膝をついた所を
「我が主と義のために………覚悟!たあっ!………チェストォォォ!」
ユリアはSクラフトをカノーネに放った!
「キャアアアアアアアッ!?閣下……申し訳……ありません………」
そしてユリアのSクラフトによってカノーネは戦闘不能になった………!
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