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英雄伝説~運命が改変された少年の行く道~(閃Ⅰ篇)

作者:sorano
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第144話

~ジオフロントC区画~



「グウ………!?まさかこれほどまでの差があるとは………!」

ルファディエル達の圧倒的な強さによって部下達が全員地面に倒れて気絶している中、まだ意識が残っているラウは呻き

「クク……ハハ……ハハハハハッ!もはや恐れや呆れを通り越して笑うしかないほどの戦力差と行動ですよ!フフ……貴女達は決して逆らってはいけない相手に逆らってしまったのですよ!この私に……黒月にここまでの仕打ちをしたら、貴女達どころかクロスベルはただでは済まないでしょうね!今度は”国”を―――カルバードをも相手にするおつもりですか!?」

ツァオは不敵な笑みを浮かべた後大声で笑い、醜悪な笑みを浮かべてルファディエルに視線を向けて言った。



「フフ……それ以前にプリネ皇女の身を狙ったカルバードがクロスベルに目を向ける余裕があるといいのだけどね?」

「…………」

(恐ろしい女だな。まさか二大国の暗躍を予測したどころか、それを逆手に取る作戦を考えるとはな……)

対するルファディエルは微笑みながらツァオを見つめ、プリネは目を伏せて黙り込み、レーヴェは真剣な表情でルファディエルを見つめていた。



「………?――――!!ま、まさか!あ、貴女は大統領閣下の失脚を狙い、カルバード中を混乱させ、クロスベルへの目を逸らせるという狙いですか!?」

「あら……さすがね。――――けど、私の狙いはそれだけではないわ。それだと大統領が任期中の間はクロスベルが完全に敵対視されるからね。―――当然、既に手は打ってあるわ。カルバードがクロスベルに手を出したくても、出せない状況にできるように。それは”リベールの異変”に関わった”赤い星座”を雇ったエレボニアも同じ事。」

「馬鹿なっ!?」

「なっ……!?大統領閣下どころか”鉄血宰相”の失脚まで狙い、エレボニアまで混乱させた挙句、両国がクロスベルに手を出せない状況に追い込むつもりなのですか……!?一体、どんな手が……!?――そうか!メンフィルに今回の件でカルバードにはプリネ皇女に危害を加えようとした事、エレボニアには”リベールの異変”に関わった”赤い星座”を雇用した事を外交問題にして、戦争の勃発を狙い、メンフィルを恐れる二大国の交換条件として二大国のクロスベルの介入及び侵略を防ぐ交換条件を出すつもりですか!!なんて方だ………!あの”鉄血宰相”やロックスミス大統領どころか二大国すら自分の思うがままに操ろうとするとは……!」

微笑みながら言ったルファディエルの話を聞いたラウは声を上げ、ツァオは驚いた後ある事に気付いて信じられない表情で叫び

「フフ……そこまで気づくとはね。――――やはり、貴方達をこの場で消しておく事を決めてよかったわ。赤い星座と違って頭がキレる分、後々赤い星座より厄介な存在になるでしょうしね。本音を言えば”鉄血宰相”やロックスミス大統領、赤い星座―――特に”赤の戦鬼”や”血染め”も消しておきたい所だけど、さすがに私達が消すのは問題があるだろうし、鉄血宰相を消すのはさすがに難しいわ。私ができるのは彼に向けられる民衆達の支持率の圧倒的な低下や彼の味方を減らす事ぐらいね。後は彼に敵対する”貴族派”が潰し合ってくれるだろうしね。それにロックスミス大統領は今回の策が全て成功したら、勝手に自滅する上2度と大統領に就任できないわ。」

ツァオの言葉を聞いたルファディエルは口元に笑みを浮かべてとんでもない事を言った!



「なっ……!?」

「ま、まさか……!」

ルファディエルの言葉を聞いたラウが驚き、ツァオが表情を歪めたその時!



「フフ、やはり持っていたわね。」

「!!それをどうするつもりですか……!?」

ルファディエルはツァオに近づいてツァオの懐を探って共和国公認の逮捕委任状を見つけて口元に笑みを浮かべ、それを見たツァオが驚くと

「―――レシェンテ、もういいわよ。事前に話した通り、証拠も残さず全て消し飛ばして頂戴。」

「うむ、任せておけ!これで貴様らは用済みじゃ!我が魔力によって消え去るがよい!愚か者達よ!」

ルファディエルが呟き、いつの間にか膨大な魔力エネルギーの球体を頭上に作ったレシェンテが口元に笑みを浮かべて言い

「――――ああ、そうそう。”冥き途”への土産に教えてあげるわ。カルバードは今回の件でメンフィルにアルタイル市もしくはリベールのヴォルフ砦に隣接している領地を差し出す事になり、さらに黒月と全面戦争する事になり、国中は大混乱するでしょうね。………フフ、怨霊となって化けて出ない事ね。その時は転生もさせないよう、魂ごと浄化してあげるわ。」

「フフ、ナベリウスに近い内に一端中間報告をする為に戻ると伝えておいてください。……あ、もし”冥き途”への道がわからなかったら遠慮なく私の所に来てください。その時は貴方達へのせめてもの手向けに”冥き途”への道案内をさせてもらいますから。後、”冥き途”ではちゃんと順番を守って門の中へと入って下さいね?でないと新たな生を受けられませんよ?」

ツァオから離れたルファディエルは不敵な笑みを浮かべ、リタは可愛らしい微笑みを浮かべながらツァオ達を見つめながら言い

「ツァオ様!お逃げ下さい!」

ラウは悲痛な表情で声を上げ

「おのれ―――――――――!数々の知略で今の地位へと這い上がり、黒月の長老たちから恐れられるこの”白蘭竜”が!こんな異郷な地で他人の手のひらでまんまと踊り、利用された挙句、果てるというのですかっ!!」

ツァオが怒りの表情で叫んだその時!



「全て塵となるがいい!エーテルストライク!!」

レシェンテが膨大な魔力エネルギーの球体をツァオとラウが倒れている場所に向かって放ち、球体に呑みこまれた2人はすざましい爆発の連鎖に呑みこまれ、爆発が収まると2人がいた場所には塵すら残っていなかった!



「あまりにもあっけない最後だな。」

「そうね……」

ツァオ達の消滅を見守っていたレーヴェの言葉にプリネは静かな表情で頷いた。

「―――こちらルファディエル。ええ………ええ……!わかったわ、本人に伝えておくわね。―――先程、局長達も赤い星座を制圧したそうだけど……―――プリネ姫。局長が後で貴女に渡したい物があるそうよ?」

「え……わ、私にですか?一体何を……」

ヴァイスとの通信を終えたルファディエルに視線を向けられたプリネは戸惑いの表情をした。



「局長の話では自害した敵幹部の死体を調べた所、”四大名門”の一つ―――”カイエン公爵家”の当主の印籠が押されてある書状―――帝国側のテロリスト達の身を保証するような内容が書かれてある書状を見つけたそうよ。」

「なっ!?まさか”帝国解放戦線”の背後には”貴族派”が……!」

「―――なるほど。”鉄血宰相”を抹殺したいという利害が一致しているからこそ、”貴族派”は奴等を支援しているのか。」

ルファディエルの説明を聞いたプリネは驚き、レーヴェは目を細めた。



「プリネ姫―――メンフィル帝国には今回の私の”策”に乗って頂いた感謝の気持ちとして、そちらの書状を差し上げるわ。エレボニア帝国との外交に使うかもしくは世界中に公表するのかはプリネ姫―――いえ、メンフィル帝国にお任せするわ。」

「―――そうは言うが実際は”貴族派”の敵対心を自分達に向けない為に渡すのではないか?」

ルファディエルの申し出を聞いてある事を察したレーヴェは静かな表情で問いかけ

「そうだとしても、エレボニア帝国に対して外交に有利なカードを手に入れられる事はメンフィル帝国にとっては美味しい話だし、私達にとっても不必要な敵を作る事もないから、双方にとって美味しい話でしょう?」

「……………………」

「……………わかりました。ありがたく受け取らせて頂きます。―――お父様ですか?実は――――」

ルファディエルの答えを聞いたレーヴェは黙り込み、プリネは頷いた後”古代遺物(アーティファクト)”を元にメンフィル帝国が開発した特殊な通信器でリウイと通信し始めた。



「これは一体……」

するとその時ダドリーと共に現れたアリオスは周囲の惨状を見て驚き

「なっ!?テロリストどころか、”黒月”の構成員まで……!――――ルファディエル!これは一体どういう事だ!?」

地面に倒れて気絶している黒月の構成員達を見たダドリーは驚いた後真剣な表情でルファディエルを見つめて尋ね

「―――俺からも聞きたい事がある。……セリカ殿、リタ、レシェンテ。何故貴方達が彼女達と共にいる?このような報告、俺どころかミシェルも知らされていないはずだ。」

アリオスは静かな表情で言った後セリカ達を見つめて尋ねた。



「―――今回の俺達はメンフィルに”傭兵”として雇われている立場だ。よって遊撃士協会に報告する義務はない。俺達は遊撃士協会に所属している訳ではなく、あくまで手伝っているだけだ。」

「エステルからも聞いておるじゃろう?セリカはレウィニア神権国の客将である事を。そしてエステルの頼みを受け、特別に”傭兵”という形でお前達遊撃士協会に期間限定で雇われ、手伝っているのじゃ。」

「…………………」

「メンフィルにだと!?一体何の為に雇われている!」

そしてセリカとレシェンテの答えを聞いたアリオスは目を細めてセリカ達を見つめ、ダドリーは叫んだ後真剣な表情でセリカ達を見つめた。



「フフ、すぐにわかるわ。今は文句を言わずに私の指示通りに動いてもらっていいかしら?そうすれば、黒月を検挙できるわ。」

「……これも全てお前の”策”で、”予定通りの流れ”という訳か……ハア…………――――後で全て聞かせてもらうからな!」

ダドリーの質問を聞いたルファディエルは微笑み、ルファディエルの答えを聞いたダドリーは顔に青筋を立てて口元をピクピクさせた後疲れた表情で呟いて溜息を吐き、ルファディエルを睨んだ。そして手分けして黒月の構成員達を拘束した後、見張りの者達を残してタワーに戻り始めた。



~同時刻・ジオフロントD区画~



「ハア………ハア……」

「さすが”赤い星座”でしたね……」

「ええ……」

戦闘が終わると戦闘の疲労によって仲間達と共に地面に跪いたロイドやノエル、エリィは疲れた表情で息を切らせ

「まあ、”赤の戦鬼”達が加わっていたら、間違いなく僕達が負けていただろうね。」

「そうですね……こんな戦力過剰としか思えないメンバーがいたからこそ、制圧できたのでしょうね……」

「うん、そうだね。”赤い星座”の猟兵達は普通の猟兵達の数倍は強いし。」

疲れた表情で呟いたワジの言葉にティオとツーヤはそれぞれ頷き

「………………………」

「ランディ……」

複雑そうな表情で地面に倒れている赤い星座の面々を見つめるランディの様子をロイドは心配した様子で見守っていた。



「えへへ、ボク達の勝ちだね♪」

「ああ!ご主人様も喜んでくれるだろうな!」

「フッ、口ほどにもないな。」

リリエムとメティサーナは勝利を喜び、リ・クアルーは静かな笑みを浮かべ

「クク……中々楽しませてもらえただの。」

「フフ、次は私に譲ってね♪」

不敵な笑みを浮かべてシグムントを見つめているハイシェラをカーリアンは口元に笑みを浮かべて見つめて言った。



「これで今回の作戦の正念場は超えたな……」

「ええ。」

「クク、だが”本番”はここからだよなぁ?」

ヴァイスの呟いた言葉にアルは頷き、ギュランドロスは獰猛な笑みを浮かべ

「にしても、あの天使、とんでもない腹黒女よね~。ルイーネすら比べ物にならないじゃない。」

「あらあら♪それはお互い様でしょう?エルファティシアさん♪」

苦笑するエルファティシアに視線を向けられたルイーネは微笑み

「あはは!本当にあの天使って、凄いよね~。エル姉でもここまで予想できないよね?」

「………そうですね。私も彼女の戦術眼や敵の行動を先読みする能力を見習わなければなりませんね。」

口元に笑みを浮かべたパティルナの言葉にエルミナは静かな表情で頷いた。



「―――あった。」

その時シグムントの懐を探っていたヴァイスはシグムントの懐にあった書状を手に入れて口元に笑みを浮かべ

「局長、それは一体……?」

「!!まさか……帝国政府の委任状ですか!?」

ヴァイスが持っている書状に気付いたロイドは首を傾げ、ある事に察したエリィは表情を厳しくした。



「ああ。赤い星座にエレボニア帝国宰相、皇族を狙った不届きなテロリスト達を処刑する事を許可した帝国政府が渡した委任状だ。」

「!やはり……!」

「政府がそんな委任状を作るなんて滅茶苦茶です……」

ヴァイスの答えを聞いたエリィは唇を噛みしめ、ティオは疲れた表情で呟き

「―――それだけじゃないわ。赤い星座にテロリスト達を処刑する事によって”鉄血宰相”は政治的に利用としていたのよ。」

「なっ!?」

「……ま、まさか………!」

そしてルイーネが呟いた言葉を聞いてある事を察したロイドは驚いた後厳しい表情をし、エリィは怒りの表情になり

「―――ま、お前達が想像している通りだと思うぜ?―――だが、その計画も今この場で完全崩壊してしまった。そして”鉄血”は今回の件で政治的に追い詰められる立場になるぜぇ?」

ギュランドロスは頷いた後凶悪な笑みを浮かべた。



「ええっ!?」

「あの怪物みたいな人がですか……!?」

ギュランドロスの言葉を聞いたエリィやティオは驚き

「―――まさか!それも全てルファ姉の策なんですか!?」

ロイドは驚きの表情で尋ね

「―――ええ。それでは手分けして赤い星座の拘束を手伝って下さい。」

アルは頷いた後ロイド達に指示をした。その後ロイド達と共に手分けして赤い星座を拘束していたツーヤはある事に気付いた。



「あれ……ヴァイスさん。拘束した”帝国解放戦線”のメンバーの中に”帝国解放戦線”の幹部と思われる人がいないのですが……」

「へ……」

「ツーヤさんはその人を知っているんですか?」

ツーヤの質問を聞いたロイドは呆け、ティオは尋ねた。



「うん。一度だけ対峙した事があるよ。タワーを飛行艇で襲撃した際の声にその男の声も聞こえて来たから彼らと共にいると思っていたんだけど……」

「特徴はどんな奴だ?」

「えっと……眼鏡をかけて、片腕がない人ですね。」

ヴァイスに尋ねられたツーヤはギデオンの特徴を思い出しながら呟き

「ああ、その人なら私達に追い詰められた時に下水道に向かって飛び込んだ瞬間隠し持っていた爆弾で自爆して木端微塵になったわよ?」

「ええっ!?」

「じ、自爆……」

「狂っているね……」

「ま、テロリストならやりかねないな……」

「「「…………………」」」

ルイーネの答えを聞いたツーヤは驚き、ノエルは信じられない表情をし、ワジとランディは重々しい様子を纏って呟き、ロイドやエリィ、ティオは追い詰めていた犯罪者が自殺したという事実に複雑そうな表情で黙り込んでいた。



「あんまり気負うなよ?自爆したのも奴の自業自得だしな。―――それと先程ルファディエルから連絡があった。向こうもテロリスト達を捕縛し、黒月達も一部を除いて制圧したそうだ。生憎ツァオやその側近であるラウ、そして銀は取り逃がしたそうだがな。(さすがにツァオを殺害したなんて、こいつらには教えられんしな。)」

「なっ!?」

「”黒月”まで!?」

「ハハ、さすがはルファディエル姐さん!凄すぎるッス!二大国のテロリストに加えて二大組織を同時制圧なんて、普通に考えて実現不可能な策ッスよ!」

通信を終えたヴァイスの話を聞いたロイドやエリィは驚き、ランディは嬉しそうな表情で声を上げた。



「で、でも大丈夫なんですか……?両政府と繋がりがある裏組織にここまでの仕打ちをして……赤い星座は国際犯罪者認定されているとはいえ、エレボニア帝国政府が正式に雇っていますし……」

「フフ、昨夜の局長の言葉を考えるとここからさらに、面白い事を仕出かすんだろ?局長やルファディエルさん達は。」

不安そうな表情をしているノエルとは逆にワジは興味深そうな表情をしてヴァイス達を見つめ

「フッ……わかっているじゃないか。」

ヴァイスは静かな笑みを浮かべて呟いた。



その後赤い星座を拘束し終えたロイド達は拘束したテロリストや赤い星座達を見張る為にルイーネ達をその場に残し、ヴァイスとカーリアン、そして何故か気絶したシグムントとテロリストをそれぞれの片手に担いだギュランドロスと共に首脳陣がいる会議室に向かった。



一方その頃、リィン達は”列車砲”がある格納庫に到着した………………




 
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