英雄伝説~運命が改変された少年の行く道~(閃Ⅰ篇)
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第141話
~オルキスタワー~
「くっ、こんなものまで……」
戦闘終了後ロイドは唇を噛みしめ
「多分、屋上からタワー内に放ったのだと思います。」
ティオは静かな表情で推測した。
「しかし今のは”結社”ってのが作ったモンじゃねえのか?」
「闇に流れたのを手に入れたかそれとも……」
「……夏至祭の時といい、やはり”結社”自身が手を貸しているようですね……」
「あっ!そう言えばリフィア殿下達の情報では”結社”がクロスベルに潜入している上、”結社”が”帝国解放戦線”と繋がっている可能性が非常に高い事を言っていましたよね……!?」
ランディの疑問にワジは答えた後考え込み、真剣な表情で考え込むツーヤの推測を聞いたノエルは声を上げた。
「……どうでもいいが、あっちもケリが付きそうだぜ?」
その時ロイド達にレクター書記官が声をかけ、声をかけられたロイド達が背後を見つめるとそこにはエリゼ達との戦闘によって、戦闘不能になり、テロリスト達と共に地面に跪いているギデオンがいた。
「くっ……化物どもが!それに非常階段を封じたはずなのに、何故警備隊がこうも早く駆けつけてこられる……!?」
「仕方ない!最終プランに切り替えるぞ!」
ギデオンは悔しそうに叫び、カルバード側のテロリストは立ち上がった後スタングレネードを投擲し
「む……」
「あれはまさか……!」
「スタングレネード……!」
それを見たアリオスは唸り、エリゼは驚き、ミレイユ三尉は叫び
「下がれ!」
ミュラー少佐は警告した後アリオス達と共に後ろに跳躍してスタングレネードによる爆発を回避した!そしてスタングレネードによる光が収まるとテロリスト達の姿はなく、テロリスト達が去ったであろう道に続く通路への道はシャッターによって防がれていた!
「チッ……」
「……逃げられてしまいましたね。」
ギデオン達を逃がしてしまった事にミュラー少佐は舌打ちをし、エリゼは静かに呟き
「このシャッターは……」
「……どうやら簡単には突破できなさそうですな。」
驚いているユリア准佐にアリオスは答え
「クッ、これもテロリスト達の仕業……!?」
ミレイユ三尉は唇を噛みしめた。
「皆さん!」
その時ロイド達がレクターやキリカ補佐官と共に近づいてきた。
「お前達か……」
「どうやら無事、撃退できたみてぇだな?」
「ああ、しかしこのままでは逃げられてしまうだろう。」
「ティオ、やれるか?」
「自信はありませんがやるだけやってみます。」
ロイドに尋ねられたはティオはシャッター脇のコネクタに導力ケーブルを接続し端末を操作した。
「やはりセキュリティレベルが最大まで上げられています。”エイオン”を使ってもこのノート型の端末では……」
しかし操作の最中にある事に気付いて報告した。
「そうか……」
ティオの報告を聞いたロイドが肩を落としたその時、ダドリーのエニグマに通信が入った。
「―――私だ。ああ、何とかこちらは凌いだばかりだが…………………なに?連中がエレベーターで地下へ降下しているだと……?―――!!」
部下からの報告を聞いて一瞬眉を顰めたダドリーだったが、すぐにルファディエル達の推理を思い出して目を見開き
「!!ま、まさか……!」
「局長達の推測通り、屋上にある飛行艇に積んである爆弾を使う気じゃ……!」
ダドリーと通信相手との会話を聞いて何かを察したノエルとエリィは血相を変えた。
「あら……」
「へえ?さすがは”六銃士”ってか?その推測は間違っていないだろうな。大方飛行艇に搭載した導力爆弾を自爆させる腹積もりだろうな。」
二人の会話を聞いたキリカ補佐官は目を丸くし、レクターは興味ありげな表情をした後自分の推測を口にした。
「なっ!?」
「やはりか……!」
「そうか……確かにそれならば……」
「このビルごと宰相たちを葬り去れるというわけか……!」
推測を聞いたミレイユ三尉は驚き、ロイドはアリオスやミュラー少佐と共に厳しい表情をし
「確かに、テロリストたちならそこまでやりかねないわね。」
「……自分達の目的の為に自国の皇族すらも誘拐しようとしたくらいですからね。」
「くっ、愚かな……」
キリカ補佐官とエリゼは静かな表情で呟き、ユリア准佐は唇を噛みしめ
「けどまあ、テロリスト達の行動を予め予測していた局長達が対策を立ててくれていたおかげで、そっちに関しては何とかなるんじゃないの?」
「ああ……!―――直ちに34Fに待機させている爆発物処理班を屋上にある飛行艇に搭載されてある導力爆弾の解除に向かわせろ!」
静かな笑みを浮かべるワジに視線を向けられたダドリーは頷いて通信相手に指示をした。
「ダドリー捜査官!我々警備隊は手分けしてVIP達の警護と屋上に向かう爆発物処理班と共に爆弾の解除及び爆発物処理班の護衛並びに飛行艇の守りについている可能性がある人形兵器の駆逐に向かいます!」
「了解した!」
ミレイユ三尉の話にダドリーは頷き
「無理すんじゃねえぞ、ミレイユ!」
ランディの忠告を背に受けたミレイユ三尉は警備隊と共にその場から去って行った。
「……どうやら最悪の事態は避けられそうですね。」
「ほ~、爆発物処理班を待機させていた事や警備隊の判断と言い、随分と良い動きをしているじゃねぇか。」
「――――”六銃士”。どうやら報告で聞いていた以上の人物達みたいね。短期間で警察と警備隊をここまで鍛え上げるとは、正直驚いたわ。」
警察と警備隊の動きを見たエリゼは安堵の表情をし、レクターとキリカ補佐官は感心し
「フフ、まさかヴァイス殿―――いや、”六銃士”達がここまで部下達の育成が上手いとは想像できませんでしたね……」
「ああ……」
ユリア准佐とミュラー少佐は静かな笑みを浮かべていた。
「……あ……どうやら奪われたタワーの制御も何とかなるかもしれません。」
「なに……!?」
その時端末を操作していて何かに気付いて報告したティオの報告を聞いたダドリーは驚いてロイド達と共にティオを見た。
「へえ……これはこれは。」
「ハッ………てめぇがボクのベースを滅茶苦茶にした犯人か!ゼッテー許さねえ!吠え面かかせてやるっ!」
「あはは、威勢がいいなぁ。」
電子世界でヨナのアカウントと謎の声のアカウントは対峙していた。
「……そこまでです。大人しくタワーの制御を解放してもらいましょうか。」
その時ティオのアカウントが現れた。
「うふふ、仕方ない。まあ、ほんの暇つぶしだったし愉しめたから満足かな。それじゃあせいぜい死なないように頑張ってね♪」
「ああっ!?」
「そちらは後です!早くタワーの制御を!」
そしてティオはヨナと共にタワーの制御を戻すために端末を操作し続けた。
「ヨナ……戻ってきてくれたのか!」
「ええ、どうやら今日の便で帰ってきたみたいですね。」
明るい表情のロイドの言葉にティオは頷き
「―――やりました。タワーの制御を解放します。」
そして静かな笑みを浮かべたティオが言うとシャッターが開いた!
「やった……!」
「凄い……!私より一つ年下の女の子がこんな事ができるなんて……!」
「エレベーターは使えるか!?」
シャッターが開く様子を見たユリア准佐とエリゼは明るい表情をし、ダドリーはティオに尋ねた。
「ええ、ロックは解除しました。……どうやらテロリスト達は既に降りたようで、エレベーター全基が使える状況です。」
「ならば私達はVIPの護衛に戻った方がよさそうね。」
「ああ。爆弾の解除の手伝いも必要ないみたいだしな。」
ティオの報告を聞いたキリカ補佐官とレクターはそれぞれ判断し
「―――そちらはどうか、テロリストたちの追撃を!今なら何とか捕まえられるかもしれません!」
ユリア准佐はロイド達を見つめて言い
「承知した……!」
アリオスは力強く頷いた。
「バニングス!我々も追撃に出るぞ!敵は2組……手分けする必要がある!」
「了解しました!」
「アイアイ・サー!」
その後ロイド達はエレベーターに乗り、最深部に向かい始めた。
~エレベーター内~
「ええ……ええ……わかりました。そこまでわかれば十分です。ご苦労でした、ヨナ。それではまた後で―――」
「ヨナはなんて……?」
通信を終えたティオにロイドは尋ねた。
「テロリストたちの逃走ルートを割り出せたそうです。オルキスタワー基部―――そこからジオフロント方面に逃走したみたいですね。」
「ルファ姉の推測通りの行動だな……」
「さすがルファディエル姐さんだな!」
「こ、怖いくらいに的中していますよね?」
「え、ええ。テロリストの襲撃から逃走ルートまで全て的中しているし……」
「フフ、テロリスト達からすれば、まさか自分達の行動が局長やルファディエルさん達の掌の上で踊っているとは夢にも思わないだろうねぇ?」
「アハハ……確かにそうですね。」
ティオの答えを聞いたロイドは苦笑し、ランディは笑顔で答え、ノエルとエリィは冷や汗をかいて表情を引き攣らせ、静かな笑みを浮かべて言ったワジの言葉にツーヤは苦笑していた。
「はい、はい……!了解しました……!こちらもできるだけ早く合流できるように急行しますので、ご武運を……!――――局長に確認を取った所、ジオフロントC区画にはプリネ姫と”剣帝”と共にルファディエル達が待ち構え、D区画には局長達―――”六銃士”全員とノウゲートがそれぞれ地上へ向かう為に必ず通る必要がある広間で待ち構えているそうだ。」
「そうですか……!」
「おし!これで袋の鼠だな!」
「ええ。これでテロリスト達の逃げ場はありませんね……!」
通信を終えたダドリーの話を聞いたロイドは明るい表情をし、ランディは真剣な表情で声を上げ、ツーヤはランディの言葉に頷いた。
「先程から疑問に思っていたがまさか警察と警備隊はテロリスト達の襲撃や行動を予め予測していたのか?今までの動きや別働隊がテロリスト達の逃走ルートに待ち構えている事を考えるとそうとしか考えられんが……」
その時事情がわからないアリオスは不思議そうな表情で尋ねた。
「はい、テロリスト達の襲撃から逃走ルートまで全てルファディエルさんが推理していたんです。」
「それで予め局長や司令達に相談していたみたいで、そのお蔭でテロリスト達をここまで追い詰める事ができたと思います。」
「何っ!?襲撃どころか、暗殺に失敗した際の逃走ルートの確保まで全てルファディエルが推測していただと!?」
エリィとノエルの説明を聞いたアリオスは信じられない表情で声を上げた。
「いや~、今回の件で改めてルファディエル姐さんが味方で本当によかったと思うよな~。」
「世界で最も敵に回してはいけないのはルファディエルさんでしょうね。」
「なんせ自分達の行動が読み取られるしねぇ?僕だって、ルファディエルさんだけは敵に回したくないよ。」
「アハハ、戦闘面で優れている人より頭脳面で優れている人の方が色々と厄介ですよね。」
ランディは笑顔で呟き、疲れた表情で答えたティオの意見にワジは静かな笑みを浮かべて答え、ツーヤは苦笑しながら言い
「しかもルファディエルさんの場合、戦闘面でも優れているものね……」
「ああ……まさに死角なしだよ、ルファ姉は。」
苦笑するエリィの意見にロイドは静かな笑みを浮かべて頷いた。
「…………フッ、前々から普通の者達と比べると比べものにならないくらい程頭が回る女であることはわかっていたが、まさかここまで優れているとはな……”六銃士”が警察、警備隊の上層部に居座った事と良い、ようやくクロスベルの警察と警備隊に明るい未来が来るようだな……」
呆けた表情で黙り込んでいたアリオスは静かな笑みを浮かべてダドリーに視線を向け
「フン……………後は独断行動や問題行動がなければ完璧なのだがな。」
視線を向けられたダドリーはアリオスの言葉を否定せず、鼻を鳴らして静かな笑みを浮かべて答えた。
一方その頃、ガレリア要塞でも”異変”が起ころうとしていた…………
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