Blue Rose
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。
ページ下へ移動
第九話 戸惑う心その一
第九話 戸惑う心
優花は優子に自分のことを言われてだ、その日は。
完全に我を失っていた、その現実の前に。
それでだ、その夜は優子に連れて行ってもらった丼ものをメインとした店に入って親子丼を注文してもらったが。
味がしなかった、食べ終えても。
まさに木偶の様でだ、入浴も済ませベッドに入るだけだった。
しかし碌に眠れずだ、朝起きてだった。
優子にだ、リビングでこう言われた。
「寝れなかったわね」
「うん・・・・・・」
その通りとだ、力なく答えた。
「殆どね」
「そうよね」
「昨日言われたことが」
「そうなることもね」
「当然だっていうんだね」
「誰だってそうなるわ」
「これまで男の子だって思っていたのに」
それがというのだ。
「急にそんなことになるなんて」
「そうよね、けれどね」
「けれどなの」
「言ったわね、現実にそうなって」
「それで」
「私はいつも一緒だから」
昨日そのことを優花に言った通りにというのだ。
「安心して」
「いつもだね」
「そう、何があってもね」
それこそというのだ。
「そのことは言った通りだから」
「じゃあ」
「これからのことは頼りにしてね」
「うん、そうさせてもらうよ」
「それとこのことはね」
「このことは?」
「姉さんの他は病院の僅かな人しか知らないから」
優花が診断を受けた八条大学付属病院のというのだ。
「病院は患者さん、診察を受けた人の情報は出さないわ」
「絶対にだよね」
「そう、出さないから」
「それじゃあ」
「優花のことはまずは誰もわからないから」
「これからのことは」
「姉さんに任せてね」
またこう言ったのだった。
「後ろのことも周りのことも」
「何もかもだね」
「そう、本当にね」
「色々あるよね、これから」
「ええ、けれどね」
「姉さんがなんだね」
「いるから」
それで、というのだ。
「安心してね」
「色々あるんだね」
「これからね」
「性別が変わったら」
「そう、本当に何もかもが変わるから」
それで、というのだ。
「姉さんに任せて」
「それじゃあ」
優花は姉の笑顔での言葉に頷いた、そして。
姉にだ、こう答えた。
「お願いするね」
「ずっとこのお家にいるって決めたから」
「僕のいる場所に」
「それに病院の院長さんもおられるから」
「姉さんの勤めてる」
「院長さんは頼りに出来る人よ」
優子も太鼓判を押して言う。
「その人もいてくれるから」
「何かとだね」
「そう、変な人が気付いて近くに来ても」
「マスコミとか?」
「マスコミは悪質な人が多いから」
週刊誌やテレビの関係者だけではない、新聞記者にしても同じだ。日本のマスコミは全てが悪質なイエロージャーナリズムと言っていい。
ページ上へ戻る