戦国異伝
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第二百五十四話 決着その十
「御主を真っ先に倒しておけば」
「まだそう言うか」
「そのことが悔やまれてならぬ」
「呪う以外にないか」
「呪いこそ魔界衆」
これが闇の返事だった。
「呪いで生きておったが」
「他の者達も倒れた」
信長はここで闇にこのことを告げた。
「御主が死に魔界衆は完全に滅びる」
「その様なことは・・・・・・」
「神武開闢以来の怨みがここに消える」
魔界衆が滅ぶそのことによってとだ、信長は言う。しかし。
闇は尚も立とうとする、しかし。
どうしても立てずその場に崩れ落ちこと切れた。骸はそのまま血の海の中にあった。ここでようやくであった。
信長は身体ごと振り返り闇の骸を見てだ、こう言った。
「終わった」
「はい、これにて」
「最早魔界衆は滅びました」
諸将が勝った信長のところに集まり言って来た、それぞれの舟から。
「この壇ノ浦において」
「完全に滅びましたな」
「その全てがな」
まさにというのだ。
「これで滅んだわ」
「ですな、では」
「これよりですな」
「勝鬨をあげますか」
「丘の者達にも伝えよ」
そこに残っている軍勢にもというのだ。
「勝鬨をあげよとな」
「海でも陸でもですか」
「一斉にですな」
「勝鬨をあげる」
「そうしますか」
「戦国の世が終わり」
それにとだ、信長は言った。
「魔界衆も滅んだ」
「本朝を裏から害してきた闇も」
「その者達もですな」
「消えた」
「そのことも祝い」
「だからこそじゃ」
全軍でというのだ。
「勝鬨をあげよ、戦国の世が終わり闇が消えた」
「それでは」
「これより」
「陸に伝えます」
「あそこにいる者達も」
「そうじゃ、そしてじゃ」
信長はこうも言った。
「もう一つすることがある」
「もう一つ?」
「もう一つとは」
「それは何でしょうか」
「一体」
「この者達を葬ってやれ」
闇の骸を見ての言葉だ。
「全てな」
「兄上、しかしです」
「それは」
信行と平手が信長に言った、彼の言葉を受けて。
「この者達は長きに渡って天下を害しようとしてきました」
「そして上様のお命も狙ってきました」
「その者達を葬るなぞ」
「それは」
「敵は誰であろうがだ」
例え魔界衆であってもというのだ。
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