英雄伝説~運命が改変された少年の行く道~(閃Ⅰ篇)
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外伝~お嬢様の捜索~後篇
~月の僧院~
「これは……報告にあった”鐘”ですね。中央広場にある鐘とほぼ同じ物ですか……」
鐘楼に到着したリースは妖しげな気配を纏わせる鐘を見つめて言い
「その鐘を鳴らす事で発生する事によってここを中心として遺跡全体を冥界か、異界に変えているようなんです。そのせいで幽霊達や影の国で現れた魔物達が出ていたと思うのですが。」
リタがリースに説明した。
「以前はエルファティシアさんとルファ姉の封印魔術によって共鳴を止めたんだよな。そうする事で鐘の音が止めたんだけど……」
「こんな大きな鐘が勝手に鳴るなんてことあるわけないわよね………一体誰が鳴らしたのかしら……」
ロイドとエリィはそれぞれ考え込みながら鐘を見つめ
「ふむ……」
リタ達の話を聞いたリースは考え込んでいた。
「……何はともあれ、ひとまずこの鐘を止めるとしよう。落ち着いて話をするためにも、とりあえず魔物の脅威は取り除いたほうがよさそうだ。エルファティシアさん、お手数ですがもう一度お願いしてもいいですか
「ええ、いいわよ。」
「……じゃあ、私も手伝うわ。」
ロイドに言われたエルファティシアは頷き、アイドスも続こうとしたその時
「いえ……先程の戦闘まで手伝って頂いたのですからここは私がやっておきます。少し下がっていてください。」
「え………」
リースが申し出、リースの申し出を聞いたロイドが呆けたその時、リースは詠唱をして鐘の共鳴を止めた。
「……こんなところですね。」
「リースさん、今のは……」
「―――七耀教会の”法術”か。」
「ええ、教会に伝わる魔の力を封じ込める法術です。」
静かに呟いたレーヴェの言葉に頷いたリースはロイド達に説明し
「なるほど、確かに先程まで感じていた気配が消えたようじゃな。」
「……上位三属性が働く”気配”か。」
「ほう!やるではないか!」
「ええ。神官としての力が高い証拠ですね。」
「まさか七耀教会にそんな凄い術が伝わっているなんて……」
リースの説明を聞いたレシェンテとセリカは頷き、リフィアとプリネは感心し、エリゼは驚いていた。
「ありがとうございます、リースさん。」
「いえ……皆さんの力あってのことです。みなさん、どうもありがとうございました。これで”魔物”に関する一通りの調査を終える事ができました。」
ロイドの感謝を謙遜した様子で受け取ったにリースはロイド達に微笑み
「いえ、俺達も俺達で目的がありましたし、クロスベルの為にもその鐘の音を止める必要はありましたし。」
リースの言葉にロイドは頷いた。
「とりあえず。一旦、リースさん達をクロスベル市まで送ってあげましょう。」
「ああ、そうだな。……どうでしょう、リースさん?」
「では、お言葉に甘える事にします。お腹もすきましたし、一刻も早くシスター・ジュジュのクッキーでも頂きたい気分です。」
エリィの提案に頷いたロイドに尋ねられたリースは頷き
「はは……それじゃあ行きましょうか。」
リースの反応を見たロイドは苦笑した。
「勿論、貴女も一緒に帰ってもらうわよ、リフィア?もう、逃がさないからね。」
一方エリゼはリフィアの片手をしっかりと握ってジト目でリフィアを見つめて言い
「言われなくてもわかっておるわ。さすがに余とて今回の会議の件の重要度はわかっておる!」
エリゼに見つめれたリフィアは答えたが
「それがわかっているなら、勝手に外出しないで。しかも警備隊が創ったバリケードまで破壊して…………そんな非常識な事をする事が皇位継承者がする事?」
「ぬぐっ……!」
ジト目のエリゼに突っ込まれて押し黙り
「クスクス。」
「フッ……」
その様子を見守っていたプリネは微笑み、レーヴェは静かな笑みを浮かべた。その後ロイド達はその場から去って行ったが
「………………」
ロイド達が去って行く中、レーヴェ、プリネ、セリカ、アイドスはそれぞれ鐘楼を見つめていたが
「セリカ、アイドス。どうしたのじゃ?」
「いや……何でもない。」
「……そうね。」
「行きましょうか、レーヴェ。」
「ああ。」
レシェンテがセリカとアイドスに話しかけると、セリカ達は気を取り直してその場から去って行った。
そしてロイド達が去って行くといつの間にか鐘楼の前に片腕の少年がいた!
「”星杯騎士”のお嬢さんにメンフィル帝国のお姫様達とその従者と”剣帝”……それに特務支援課と遊撃士協会か。なかなかやってくれるじゃない。今回の『計画』………やっぱり彼らがキーパーソンになったりするのかな?ウフフ……なんだか改めて、愉しみになってきちゃったよ。……それにしても僕の気配に気付くなんてねぇ……”剣帝”や”姫君の中の姫君”もさすがだけど、”嵐の剣神”と、その隣にいた”嵐の剣神”の姉か、妹らしき人物は下手をしたら”剣帝”や”剣聖”以上かもね、彼……いや、彼女かな?フフ、まあどっちでもいいや。」
少年は妖しげな笑みを浮かべて呟いた後指を鳴らし、炎に包まれてその場から消えた!
その後マインツ方面に遊撃士としての仕事で向かうセリカ達と別れたロイド達はリースを大聖堂の前まで送り届けた。
~マインツ山道~
「皆さん、わざわざ送っていただいてありがとうございました。皆さんの導力車……大変乗り心地がよかったです。」
「フフ、どういたしまして。」
リースのお礼の言葉にエリィは微笑み
「リフィア殿下達も今日は手伝って頂き、ありがとうございました。」
「こちらこそ、リフィアの面倒を見て頂きありがとうございました。」
「何が面倒じゃ!余は民を守る為にセリカ達と共に遺跡に巣食う魔物達を退治していたんじゃぞ!?」
リースの官舎に対してエリゼが答えた内容を聞いたリフィアはエリゼを睨んで反論したが
「嘘を言っても無駄だから。遺跡の魔物退治はリースさん達に会いに行く”ついで”でしょう?」
「ぬぐっ…………!」
ジト目のエリゼの指摘に唸った。
「さ、さすがエリゼさんね。」
「リフィア殿下の思考もしっかりと読み取っているな。」
二人の会話を聞いていたプリネは苦笑し、レーヴェは感心していた。
「ところで……”星杯騎士”の事は、大聖堂の人には?」
一方ロイドは真剣な表情でリースを見つめて尋ね
「ええ、誰にも言っていません。さすがにエラルダ大司教は薄々感づいている様子ですが……まあ、下手を打たなければ問題ないかと思います。」
尋ねられたリースは答えた後静かな笑みを浮かべた。
「リースさん、くれぐれも無茶はしないでください。」
「ええ……ご心配なく。では、また何かあったらよろしくお願いします。」
「ええ、こちらこそ。」
「じゃあね。」
そしてリースはその場から去り
「リフィア。私達もそろそろ。」
「うむ!エリィ、そして特務支援課とやらよ!エリゼが世話になったな!エリゼの主として感謝する!それと短い間になるが、プリネ達をよろしく頼む!」
エリゼに促されたリフィアは頷いた後ロイド達に口元に笑みを浮かべて言った。
「い、いえ。私達としても殿下の身の安全は心から望むものですし。」
「そ、そうだな。それにプリネさん達が手伝ってくれているお蔭で、まだ戻って来ないティオ達が抜けた穴を十分カバーできるしな。」
リフィアの言葉にエリィとロイドは戸惑いながら答えたが
「……私がロイドさん達やプリネ姫達のお世話になったのはだ・れ・の!せいだと思っているの?」
「むう…………」
威圧を纏ったエリゼの笑顔に微笑まれて唸った後黙り込んだ。
「うふっ♪完全に主従が逆転しているわね♪」
その様子を見守っていたエルファティシアはからかいの表情になり
「―――さてと。皆さん、今日は本当にお世話になりました。私達も失礼します。」
「さらばだ、特務支援課よ!」
そしてエリゼとリフィアが去ろうとした。するとその時
「ちょ、ちょっと待ってください!」
「む?」
「え?」
ロイドが慌てた様子で制止し、ロイドの制止の声に2人は不思議そうな表情で振り返ってロイドを見つめた。
「実はリフィア殿下にお願いしたい事がありまして……」
「余にか?一体何なのじゃ??」
ロイド達はリフィア達にヘイワース夫妻の依頼の件を説明した。
「ええっ!?レン姫の本当のご両親がレン姫に面会を!?」
「………………………………」
説明を聞いたエリゼは驚き、リフィアは真剣な表情で黙り込んでいた。
「それで、大変お手数なのですがどうかレンとヘイワース夫妻の面会を見守っていて欲しいのです。」
「レン自身の口から、”ケジメを付ける為”と聞きました、リフィアお姉様。」
「……………わかった。お前達の希望通り、その時になれば立ち会おう。」
「あ、ありがとうございます!」
「ありがとうございます、リフィア殿下。」
リフィアの答えを聞いたロイドは明るい表情でお礼を言い、エリィは会釈をし
「……いつかは越えねばならんことだしな……余達は空港で待っている。」
リフィアは静かな笑みを浮かべてエリゼと共にロイド達から去って行った。
「よし……急いでハロルドさん達を連れて来よう。」
「ええ!」
その後ロイド達はハロルド達に事情を話し、丁度帰っていたコリンも連れて空港に向かい、リフィア達と合流した後”グロリアス”に入船し、広い客室の中に通され、待っているとリフィアとエリゼと共にレンが姿を現した…………………
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