英雄伝説~運命が改変された少年の行く道~(閃Ⅰ篇)
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外伝~お嬢様の捜索~前篇
同日、13:20―――
~クロスベル市・住宅街・ヘイワース宅~
「―――失礼します。」
「おお、皆さん……!」
「よくいらっしゃいました……!」
ロイド達が依頼を出した貿易商人の自宅―――ヘイワース宅に入ると依頼人であるハロルド・ヘイワースとその妻であるソフィア・ヘイワースは明るい表情をしてロイド達を見つめた。
「こんにちは、ハロルドさん、ソフィアさん。支援要請の件で参りました。」
「ありがとうございます……!正直、内容が内容でしたから受けて頂けないと思っていたましたので……」
「そ、そんな。頭を上げて下さい。……それより依頼はレン姫と面会がしたく、その手伝いを俺達にしてほしいとの事ですが……」
頭を下げたハロルドの行動を見たロイドは驚いた後複雑そうな表情でハロルド達を見つめた。
「はい……!レン姫……いえ、レンは以前お話した私達が亡くした娘なんです……!」
「最初に見た時は本当に驚きました…………!まさか亡くなったと思っていたあの娘が生きていたなんて…………!」
「…………………」
(さて……実際に会ってどうするつもりだ?)
ロイドに見つめられたハロルドは真剣な表情で答え、ソフィアは複雑そうな表情をした後明るい表情になり、二人の様子を見たプリネは静かな表情で黙り込み、レーヴェは真剣な表情で二人を見つめていた。
「……ちなみに確認しておきたいのですが……もしかして既に接触を試みようとしたのですか?」
「いいえ…………平民の私達が今では皇族であるあの娘に会える訳はないと最初からわかっていましたから、すぐに諦めました。……ですが、何とかあの娘と一度話したくて、方法を考えていたんです……」
「その時、思い出したんです……!エリィさんがメンフィル皇家と縁がある方だと……!」
ロイドに尋ねられたハロルドは表情を暗くして言った後真剣な表情になり、ソフィアは希望を持った表情でエリィを見つめ
「………お姉様――――イリーナ皇妃と私が姉妹の間柄であり、その縁でレンちゃんと面会できるとやはりお思いになられたのですか………………確かに私はレンちゃんと何度か会った事はありますが…………実はその前にお二人に謝らなければいけない事があるんです。」
見つめられたエリィは複雑そうな表情で答えた後申し訳なさそうな表情でハロルド達を見つめた。
「え……?」
「一体何なんでしょうか?」
「実は――――」
エリィの発言に首を傾げているヘイワース夫妻にロイド達はかつて夫妻の息子―――コリンが迷子になった際、捜索した時に手伝ってくれたある少女がレンであった事を説明した。
「そんな事があったのですか……」
ロイド達の話を聞き終えたプリネは目を丸くし
「そんな……!あの娘が…………レンがコリンと出会った上コリンを助けてくれたなんて……!」
「ああ……!女神よ、貴女が与えてくれた奇跡に感謝いたします……!」
ハロルドは驚き、ソフィアは涙を流して喜んでいた。
「……すみません。本当でしたらもっと早くにお話しすべきでしたけど、本人が絶対に自分の事をお二人に話さないようにと、念を押しましたので……」
2人の様子を見たロイドは申し訳なさそうな表情で謝罪したが
「そんな……!皆さんは何も悪くありません!全て私達が悪いのです!」
「はい………あの娘をこの手から離してしまった私達が悪いのです……そんな私達にあの娘が会いたくないのも当然の事です…………」
ハロルドは真剣な表情で否定し、ソフィアは悲しそうな表情で言った。
「「…………………………」」
2人の様子を見たエリィは辛そうな表情をし、プリネは目を伏せて黙り込んでいた。
「―――話を戻すが、レン皇女に面会したらどうするつもりだ?まさかとは思うが、レン皇女をメンフィル皇家から奪うつもりなのか?」
「レ、レオンハルト少佐……!」
真剣な表情で夫妻を見つめるレーヴェの発言を聞いたロイドは驚き
「……いいえ…………今まであの娘の事を諦めて、コリンばかりを愛していた私達に今更自分達の娘として受け入れるなんて、虫のいい話だと理解していますし、新たな家族を手に入れて幸せに暮らしているあの娘もそんな事は望んでいないでしょう…………」
「はい……私達はただあの娘にただ一言謝りたいのです…………あの時、手を離してしまった事を…………」
「え…………」
「あら……てっきりその娘を自分達の手元に戻すかと思っていたけど。」
夫妻の口から出た予想外の答えにプリネは驚き、エルファティシアは意外そうな表情をした。
「…………わかりました。多少時間はかかると思いますが、何とか面会できるように手配してみます。」
「おお……!ありがとうございます……!」
「どうか……!どうか、よろしくお願いします……!」
そして夫妻の依頼を引き受けたロイド達はヘイワース宅を出た。
「えっと、プリネさん。お手数とは思うのですが―――」
ヘイワース宅を出たロイドは申し訳なさそうな表情でプリネを見つめ
「ええ、わかっています。少し待っていてください。」
見つめられたプリネは”ARCUS”を取り出して通信を開始した。
(あら?あの戦術オーブメントは一体……)
(見た所”ENIGMA(エニグマ)Ⅱ”じゃなく、特注の戦術オーブメントに見えるけど……)
(もしかしてメンフィル帝国が開発した戦術オーブメントかしら?)
見た事のない戦術オーブメントで通信しているプリネの様子をエリィとロイドは不思議に思い、エルファティシアはレーヴェに小声で尋ねた。
(――――”ARCUS(アークス)”。”エプスタイン”が”ラインフォルト”と共同で開発した”ENIGMA(エニグマ)Ⅱ”と同時期に開発された戦術オーブメントだ。)
(ええっ!?”エプスタイン財団”と”ラインフォルトグループ”が共同開発した戦術オーブメントですか!?)
(確かに戦術オーブメントをラインフォルトグループと共同で開発している話は聞いた事がありますけど、もう実装化しているんですか……!で、でもどうしてクロスベルの防衛機構もそうですが、遊撃士協会も起用していないんですか……?)
レーヴェの説明を聞いたロイドは驚き、エリィは目を丸くした後ある事に気付いて不思議そうな表情で尋ねた。
(”ENIGMA(エニグマ)Ⅱ”と違い、適性がなければ全く使えないから、今は試験段階という形で適性がある”Ⅶ組”のメンバーや”Ⅶ組”に関係する教官や生徒達に配られている。当然アーツも”ENIGMA(エニグマ)Ⅱ”とは異なるアーツがあり、”ENIGMA(エニグマ)Ⅱ”には搭載されていない機能もある。)
(そ、そうなんですか。)
(どんな機能なのか、ちょっと気になるわね。)
(ええ。もしかしたらティオちゃんなら、何か知っているかもしれませんね。)
レーヴェの説明をロイド達が聞いていると通信を終えたプリネがロイド達に話しかけた。
「――先程レンに確認した所、ヘイワース夫妻と会ってくれるそうです。」
「本当ですか……!」
「じゃあすぐにでも、ハロルドさん達に知らせないと……!」
プリネの答えを聞いたロイドとエリィは明るい表情をしたが
「―――ただし、その場にリフィアお姉様も同席している事が条件だと言ってました。”ケジメ”をつけて置きたいそうなので……」
「”ケジメ”……」
「……一体レンちゃんは何を考えているのかしら……?」
プリネの続きの説明を聞いたロイドは考え込み、エリィは複雑そうな表情をした。
「―――まあ、何にせよ、リフィア殿下を見つけなければ、先程の夫妻の依頼も達成できないという事だな。」
「ま、元々請けるつもりだったから、順番が逆になっただけだから大した問題じゃないわ。そろそろ行きましょうか。」
静かな表情で答えたレーヴェの言葉に頷いたエルファティシアはロイド達を促し、ロイド達は他の依頼を終える為に依頼人であるエリゼの元へと向かった。
~クロスベル国際空港~
「―――すみません。”特務支援課”の者ですが、貴女が依頼人のエリゼさんですか?」
「はい、お手数をかけて申し訳ないのですが、実は―――――――あ。」
ロイドに話しかけられたエリゼは振り向いた後プリネとレーヴェに気付いて呆けた声を出した。
「え、えっと、久しぶり……という訳でもないですね。今月の初めの”特別実習”でも会ってますし。」
「”聖魔皇女”のお目付け役、いつもご苦労な事だ。」
プリネは苦笑し、レーヴェは静かな笑みを浮かべて言った。
「プリネ姫、レオンハルト少佐……そう言えばお二人とルクセンベール卿は”通商会議”の期間中の”特別実習”はクロスベルの”特務支援課”に滞在する予定でしたね。――――でしたら、既に支援課の皆様も私が依頼を出した探してきて欲しい”お嬢様”が誰なのか、もうお察しはついていると思われるのですが……」
予想外の人物達がロイド達と一緒にいる事にエリゼは目を丸くした後ある事を思い出してすぐに気を取り直して、ロイド達を見つめ
「え、ええ。」
「だって、プリネ達本人から貴女の事を聞かされたんだから、”お嬢様”が誰なのか、わかるわよ。」
「リフィア殿下ですよね?」
エリゼの問いかけにロイド達はそれぞれ苦笑しながら答えた。
「はい。―――ご紹介が遅れました。リフィア殿下の専属侍女長を務めているエリゼ・シュバルツァーと申します。どうぞお見知り置きをお願いします。」
「ど、どうもご丁寧に。クロスベル警察”特務支援課”のリーダーを務めているロイド・バニングスです。」
「クロスベル警察”特務支援課”のサブリーダーを務めるエリィ・マクダエルと申します。よろしくお願いします。」
「エルファティシア・ノウゲートよ。よろしくね。」
「それで早速依頼内容について詳しくお聞きしたいのですが……」
互いに自己紹介を終えたロイドは真剣な表情でエリゼを見つめた。
「はい。実は少し目を離した隙にリフィア殿下に逃げられてしまったのです。フウ…………」
「に、逃げ……っ!?」
「あ、相変わらず型破りな方なのですね。」
「うふっ♪中々お茶目な性格をしているようね、そのリフィア皇女とやらは♪」
「お茶目で済めばまだ可愛いほうですよ……」
「全くだな。」
疲れた表情で溜息を吐いたエリゼの話を聞いたロイドは表情を引き攣らせ、エリィは冷や汗をかいて苦笑し、からかいの表情で言ったエルファティシアの言葉を聞いたプリネは疲れた表情で肩を落とし、レーヴェは呆れた表情で言った。
「と、とりあえず話はわかりました。リフィア殿下の行きそうな場所に心当たりはないでしょうか?」
そして気を取り直したロイドはエリゼに尋ね
「そうですね…………”グロリアス”に乗船中、レン姫に現在クロスベルに滞在しているお知り合いの方達に会いに行くみたいな事をお二方に言って、お二方を誘っていました。」
尋ねられたエリゼは考え込みながら答えた。
「殿下のお知り合いがクロスベルに?」
エリゼの話を聞いたエリィは不思議そうな表情をし
「―――恐らく”影の国”で出会った仲間の方達でしょうね。」
「……だとするとリフィア殿下が会いに行ったと思われる人物は局長、セリカさん、レシェンテさん、シュリさん、リタちゃん、リースさん、カーリアンさんの誰かか…………」
プリネの推測を聞いたロイドは考え込み
「え………」
(”星杯騎士”がクロスベルに堂々といるだと?)
ロイドが呟いたある人物の名前を聞いたプリネは目を丸くし、レーヴェは眉を顰めた。
「プリネさん?何か気になる事があるのかしら?」
「い、いえ、特には。」
エリィに尋ねられたプリネは答えを誤魔化し
「……あの。カーリアン様は候補から外していいと思います。殿下にとってカーリアン様はリウイ陛下と同じくらい頭が上がらない方ですし、それにあの方でしたら殿下を見つけ次第、私達の所に連れて来ると思います。今まで殿下が城を抜け出した時もリウイ陛下と一緒に何度も連れ戻していたそうですし…………」
「加えてヴァイスハイトとはさっきまで一緒に行動していたから、候補から外れるんじゃないかしら?」
エリゼとエルファティシアはそれぞれ助言をした。
「となると遊撃士協会と大聖堂を訪ねたほうがよさそうだな。―――わかりました。それじゃあ早速、捜索を開始しますので、お手数ですが連絡先を教えてもらってもよろしいでしょうか?リフィア殿下を見つけ次第、すぐに連絡しますので。」
「その事ですが……殿下を見つけるまで私も皆さんと一緒に行動してもよろしいでしょうか?」
「へ……」
エリゼの口から出た予想外の申し出にロイドは呆けた。
「……殿下の今までの行動を考えるとこちらの予想の斜め上な事をすると思われるので殿下の事を知っている私も一緒について行けば、何か助言ができると思いますので。ご迷惑をかける事になると思いますがよろしくお願いします。」
「な、なるほど。そういう事でしたら是非お願いします。」
「フッ、さすがリフィア殿下のお目付け役を務めているだけはあるな。」
「フフッ、リフィアお姉様の行動パターンをしっかり把握している証拠ね。」
そしてエリゼの答えを聞いたロイドは冷や汗をかきながら苦笑し、レーヴェは静かな笑みを浮かべ、プリネは微笑みながらエリゼを見つめた。
その後ロイド達はまず遊撃士協会を訪ねた。
~遊撃士協会・クロスベル支部~
「―――失礼します。」
「あら、あなたたち。今日はどうしたのかしら?」
ロイド達が支部に入ると遊撃士協会のクロスベル支部の受付ミシェルは目を丸くして尋ねた。
「実は聞きたい事がありまして。セリカさん達は今どちらにいらっしゃいますか?」
ミシェルの疑問にエリィが答えて尋ねた。
「セリカ達?何でも知り合いに頼まれてマインツ方面へ、その知り合いと共に行く用事があると言って出ていったけれど……」
「そうですか。それでもう一つ尋ねたいのですが俺達の他にセリカさん達の事を訪ねに来た人はいませんでしたか?」
「ええ、セリカ達の事を訪ねに来た人がいたわよ。……それもとんでもない人物が。」
ロイドの疑問にミシェルは疲れた表情で溜息を吐いて言った。
「へ…………」
「え、えっと……」
「やれやれ。」
ミシェルの答えを聞いたロイドは呆け、プリネは苦笑し、レーヴェは呆れ
「――――やはり、リフィア殿下がこちらを訪ねてきたのですね?」
エリゼが静かな表情で尋ねた。
「ええ。セリカ達の事を聞いたらすぐに出て行ったけど…………あら……貴女、その格好とその紋章……しかもプリネ姫や”剣帝”まで……フム………………さしずめそのメイドのお嬢さん達に頼まれてリフィア殿下を捜索しているところね?」
「ハハ…………やはりわかってしまいましたか。」
「まあね。リフィア殿下の事を聞いてきた事やその娘の格好やその服に付いているメンフィル帝国の紋章を見ればわかるわよ♪それで、これからどうするつもり?」
苦笑しながら言ったロイドの言葉にミシェルはウインクをして答えた後ロイド達に尋ね
「まだ、殿下が寄っていそうな場所の候補はあるのでそちらに行ってみます。」
「そう。もしセリカ達が戻ってきたらすぐに連絡するわ。それに人手がいりそうになったらいつでも言って。空いている遊撃士をリフィア殿下の捜索にすぐに手伝わせるわ。」
ロイドの説明を聞いた後ロイド達に助力を申し出た。
「わざわざありがとうございます。」
「……申し訳ございません。お忙しい中、殿下が遊撃士協会のお手を煩わせてしまって……」
「もし、リフィア殿下に何かあったらクロスベルの一大事だからね。こちらとしても他人事じゃないわ。だから、気にしなくていいわよ。」
その後ロイド達は大聖堂を訪ねた。
~クロスベル大聖堂~
「こんにちは、マーブル先生。」
「あら、ロイド。それにエリィや皆さんも。今日はどうしたのかしら?」
ロイドに話しかけられたシスターはロイド達を見て尋ねた。
「リースさんを探しているのですが……今、彼女はどちらにおられるのでしょうか?」
「リースさん?彼女だったら今日はマインツの子供達への日曜学校の出張に行っているわ。」
そしてエリィに尋ねられたシスターは答え
「そうですか…………ちなみに俺達以外にもリースさんの事で尋ねに来た人はいませんでしたか?」
「…………ええ、来たわよ。活発そうなお嬢さんが。」
ロイドに尋ねられて考え込んだ後答えた。
「!やはり既にこちらにも来ていたか……」
(それにしても随分と行動的な皇女ね。)
(フフッ、リフィアお姉様はマーシルン家の中で一番活動的ですから。)
(少しは落ち着いて欲しいのだがな。)
ロイドが考え込んでいる中、エルファティシアに尋ねられたプリネは微笑みながら答え、レーヴェは呆れた様子で溜息を吐いた。
「ちなみにそのお嬢さんの特徴はどういう特徴ですか?」
「え~と…………2房が付いた珍しい帽子を被っていて……後は”闇夜の眷属”の方ね。」
そしてエリィに尋ねられたシスターは考え込んだ後答え
(間違いなくリフィアお姉様です。リフィアお姉様が常に被っているお気に入りでもある特徴的な帽子と一致していますし。)
シスターの答えを聞いたプリネはロイドに小声で助言した。
「(そうか………)……それでそのお嬢さんはどちらに?」
「リースさんの事を聞いたらすぐに走って出て行ったわ。……あ、そう言えば去り際に『余自ら会いに行くことを光栄に思うがいい!我が戦友達よ!フハハハハ―――ッ!』って言いながら走り去っていたわ。」
ロイドの疑問に答えたシスターの話を聞いたロイド達全員は冷や汗をかき
「そ、そうですか。ありがとうございます。」
ロイドは苦笑しながらお礼を言った後仲間達と共に大聖堂を出た。
~マインツ山道~
「さてと…………今からマインツへ行くか。」
「そうね。セリカさん達もマインツ方面へ行ったという話だし……」
「案外あっさりと見つかりそうね。」
ロイドの提案にエリィとエルファティシアはそれぞれ頷いた。
「……あの。その事ですが、殿下の過去の行動を考えると素直にバスに乗って目的地に行くとはとても思えないです。」
するとその時エリゼが申し出た。
「へ…………」
「何か根拠があるのですか?」
「……殿下は自らの足で探検する事を好んでいる上、何か興味がある場所が目に入ったら本来の目的よりそちらを優先されるような方ですので…………そのマインツという町に行くまでの道のりに何か殿下の興味を引きそうな場所はありませんか?」
「とは言ってもマインツへ行くまでの道のりにあると言ったら……」
「人形工房と幽霊たちが出た”僧院”ぐらいよね?」
エリゼの問いかけにロイドは考え込み、エルファティシアはロイドとエリィを見回して尋ねた。
「……化物が出た”僧院”?……あの、その場所について説明して頂けないでしょうか?」
「え、ええ。とは言っても俺達も原因はほとんどわかっていないのですが――――」
そしてロイド達は事情を知らないエリゼ達に”僧院”の事を説明した。
「そのような事があったのですか……」
「”影の国”でも現れた”魔物”が出た、か。少々気になる話だな。」
「……………………恐らく私の予想ですと殿下はその”僧院”に向かったと思います。」
話を聞き終えたプリネとレーヴェがそれぞれ興味ありげな様子を見せている中、考え込んでいたエリゼは真剣な表情で答えた。
「ええっ!?」
「どうしてそう思うのかしら?」
エリゼの予想外の推測にロイドは驚き、エルファティシアは目を丸くして尋ねた。
「話を聞く限り、どう考えても冒険好きな殿下の興味を示しそうな場所ですので。」
尋ねられたエリゼは疲れた表情で答え
「ほう、やはり専属侍女長だけあって、リフィア殿下の事をよくわかっているな。」
「フフ、さすがエリゼさんですね。」
エリゼの答えを聞いたレーヴェは感心し、プリネは微笑んだ。
「それなら支援課のガレージに戻って車で僧院の近くまで行って、そこから徒歩で僧院まで行こうか。」
「そうね。」
その後ロイド達は車で僧院の近くまで向かい始めた。
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