英雄伝説~光と闇の軌跡~(SC篇)
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外伝~それぞれの戦い~後篇
ついに始まったディアーネとの決戦。戦況は最初からウィル達に傾いていた。
~工匠都市ユイドラ・近郊~
「邪魔だっ!鳳凰!剣舞!!」
「消えろ!!」
ユエラとラグスムエナは次々と敵を斬り殺して行き
「行くぞ~!!ヤアッ!!」
クレールは素早い動作で矢を放って次々と敵を射抜いていき
「出でよ、烈輝の陣!!レイ=ルーン!!」
「行きますわよ!大放電!!」
「手加減はしないっ!地響き!!」
エミリッタ、フィニリィ、クレアンヌは魔術で敵を次々と沈め
「ぱーんち!」
「耐えられますか!」
「とーう!」
アトは素早い動きで、メロディアーナとシャルティは空から強襲して敵を倒して行き
「そりゃっ!どりゃっ!死ねよ!」
ミレーヌは転移しながらすざましい速さで敵を葬って行き
「消え失せよ!」
「浄化してあげるわっ!」
狐伯蓮とエリザスレインは炎の嵐や光の槍の雨を降らして、大量の敵を滅し
「フン!」
ガプタールは爪で空の敵を一気に何匹も引き裂いた!
「死ぬがいい!」
ディアーネは自分の周りに浮いている一本の槍をウィルに向けて放ったが
「させません!」
水那がウィルの前に出て片手に氷剣を作り出して、氷剣と化した手を震って槍を打ち払い
「凌いでみせよ!」
アスモデウスが巨大な腕を振り下ろし、ディアーネに攻撃した!
「!!」
アスモデウスの攻撃に気付いたディアーネはすぐにその場から離脱した!そしてアスモデウスの攻撃によって、周りの敵の数匹が巻き込まれ、滅せられた!
「行きますよ!」
「ゆけい!!」
さらにセラウィが放った矢とリフィアが放った魔術――追尾弾がディアーネを襲った!
「チッ!」
回避するのが面倒と思ったディアーネは結界を貼って防御した!そこにウィルが攻撃して来た!
「ヤア――――!!」
「させん!」
しかしディアーネは自分の周りに浮いている槍を器用に操って、ウィルの攻撃を捌いた!
「でやあぁっ!」
そしてさらに一本の槍をウィルに放った!
「!グッ!?」
ディアーネの攻撃に対処しきれなかったウィルは腕がかすり、呻いた。
「ウィル!!今、治癒します!………癒しの息吹!!」
それを見たセラウィはウィルにかけよって、治癒魔術を施し始めた。
「水よ、力を!連続水弾!!」
そして水那がディアーネに魔術を放った!しかし
「水精ごときが我の相手に務まると思っているのか!甘いわ!連続闇弾!!」
「キャアッ!?」
「水那!?」
ディアーネが放った魔術に呑みこまれ、ダメージを受けた。それを見たクレアンヌは戦いの手を止めて、水那に駆け寄って治療魔術をかけ始めた。
「出でよ、烈輝の陣!イオ=ルーン!!」
「ガッ!?バカな………この我に傷をつけるだと………!」
リフィアが放った魔術にディアーネは受けてしまい、信じられない様子でいた。
「力の一部を見せてやろう………破滅の深淵!!」
「舐めるな!ティルワンの闇界!!」
アスモデウスが放ったとてつもない暗黒の奔流に対して、ディアーネも暗黒魔術で対抗したが
「!!グアアアアアア!?」
アスモデウスが放った魔術に自分が放った魔術が呑みこまれ、そしてそれを受けたディアーネは悲鳴を上げた。
「ソロモンの一柱たる我の力……知るがよい!……波動爆砕陣!!」
そしてアスモデウスはすざましい爆発の嵐をディアーネに放った!爆発の嵐はディアーネに向かって、真っ直ぐ襲って行ったが
「ウ……ウオオオオオオオオオッ!!」
ディアーネはとてつもない魔力を全て結界に廻して、アスモデウスが放った爆発の嵐を防いだ。
「クッ………ソロモンの魔神よ!何故、人間の味方をする!!」
ダメージを受け、かなりの魔力を消費し、疲労を隠せない様子で顔を歪めたディアーネはアスモデウスを睨んで叫んだ。
「我はウィルフレドという人間を気にいっている………そしてウィルフレドがユイドラをどのように変えるのか非常に興味深い………それだけだ。」
「あ、あはは………喜んでいいのやら、悪いのやら………」
アスモデウスの言葉を聞いたウィルは苦笑していた。
「おのれ…………どいつもこいつも共存等、馬鹿げた事ばかりほざきおってからに………」
「全く…………かつてのエヴリーヌは余達の理想に共感できなかったが、今のエヴリーヌはちゃんと理解して、余達に力を貸している。お主もエヴリーヌのようにもう少しは成長せぬのか?」
顔を歪めているディアーネにリフィアは呆れた表情で話しかけた。
「黙れ!あんな奴と一緒にするな!虫唾が走る!…………せめて貴様だけでも道連れにしてくれるわ!」
リフィアに怒鳴ったディアーネは異空間から次々と魔槍を召喚し、リフィアに向けた!
「余は貴様ごときに膝はおらぬ!余に秘められし真なる力………思い知るがよい!」
それを見たリフィアは杖にとてつもない魔力を込め始めた!
「塵となれ!キル・ディアーネ!!」
ディアーネは無数の魔槍をリフィアに放った!
「究極なる光、クロースシエル!」
それに対してリフィアは強力な光の奔流を放った!光の奔流はディアーネが放った魔槍を呑みこみ、ディアーネを襲った!
「ば、バカな………この我が………グアアアアアアアアアアア!?」
自分の技が破られた事に信じられない思いでいたディアーネはリフィアの魔術をその身に受け、断末魔をあげた!そして光がなくなるとそこにはボロボロになったディアーネが跪いていた。
「グッ……………この我が負けるだと………」
「勝負はついたぞ、ディアーネよ。大人しく余の下僕になるがよい!」
大ダメージで呻いているディアーネにリフィアは近付いて高々と言った。
「……………わかった。好きにしろ。」
「うむ!」
そしてリフィアはディアーネに近付き、自分の身体と同化させるためにディアーネに触れたその時!
「フハハハハ!かかったな!貴様の魔力を吸いつくして、貴様の命を吸い取ってくれる!」
凶悪な笑みを浮かべたディアーネが両手でリフィアの片手を握り、リフィアの魔力を吸い取り始めた!しかし
「ガアアアア!?な、なんだと………貴様の魔力が我の魔力と合わないだと………?ど、どういう事だ!」
リフィアの魔力を自分の魔力と化した時、いきなりとてつもない苦しみがディアーネを襲った!
「フハハハハーー!余の魔力を吸い取ろうなど甘すぎて笑いが止まらぬわ!余は聖と魔、どちらの魔力も受け継いでいる!貴様ごときがシルフィア様の魔力を御する事ができる訳がない!」
「おのれ…………死してもなお我を阻むか、マーズテリアの聖騎士よ!」
自分を苦しめた原因がシルフィアより受け継いだ魔力が原因と知ると、ディアーネはリフィアを睨んで叫んだ。
「さて…………早速余の力を知るがよい!」
そしてリフィアは今度はディアーネの魔力を無理やり吸い取り出した!
「ば、バカな………我の魔力が………ウアアアアア……………」
ディアーネは悲鳴をあげながら、リフィアの魔力と無理やり同化させられ、その場から消えた。
「え、え~っと…………ディアーネはどうなったんだい、リフィア?」
2人の様子を見守っていたウィルが遠慮気味にリフィアに話しかけて来た。
「フム………これが使い魔を持つ感触か………うむ。心配しなくともディアーネは余の下僕と化した!出て来るがよい、ディアーネよ!」
そしてリフィアはディアーネを召喚した。
「クッ…………この我がまた、使い魔になるという屈辱を受けるとは………!」
「全く………余の使い魔になったのだ。光栄に思うがいい!」
「黙れ!………今しばらくは貴様の使い魔で我慢してやるが、隙あらば貴様の身体を奪い取ってくれる!覚悟するがいい!」
「うむ!そんな事もする暇がないぐらい、こき使ってくれる!そちらこそ、覚悟するがよい!」
こうしてリフィアは新たな下僕――魔神ディアーネを使い魔にした。そしてディアーネがリフィアに敗れた頃にはユエラ達も周りの敵を一掃し、またユイドラ軍やリウイ達も大量の魔物の軍団を殲滅し終わっていた。
~工匠都市ユイドラ・夕方~
「フウ……………どうやら戦いは終わったようですね………さすがに今回は疲れました……」
一方プリネは戦闘が終結し、勝利の雄叫びを上げている周りの工匠や兵士達を見て、疲労を隠せぬ様子で安堵の溜息を吐いてレイピアを鞘に戻した。
「疲れた~…………こんなにも疲れる戦いをしたの、久しぶりだよ~!」
ペルルも疲労感を隠せず、安堵の溜息を吐いていた。
「フフ………ご苦労さまです。私の中で休んでいて下さい。」
「うん。また何かあったら呼んでね!」
そしてプリネはペルルを自分の身体の中に戻した。
「よかった…………ご主人様を護れ………ました………」
ツーヤはどこか顔色の悪さを見せながら、嬉しさを隠せないでいた。
「ハアハア…………私もなんとか生き残れました…………持っていた魔力石やEPチャージも底をつきましたし、魔力やEPも完全に空になりました………」
イリーナは魔術やアーツを使い続けて戦っていたので、イリーナの持っているオーブメントのEPは0になっていて、またイリーナ自身、魔力を使いすぎた反動で顔色を悪くしていた。
「2人とも、ご苦労さまです。………それにしても、ツーヤ。本当に大丈夫?顔色が凄く悪いわよ?」
「心配しなくても………大………丈夫………です………………………」
そしてツーヤはその場から地面に倒れた。
「ツーヤ!?」
「ツーヤちゃん!?」
地面に倒れたツーヤを見て、プリネとイリーナは慌ててかけよった。
「ハア……ハア………ハア……………」
「!凄い熱………!早く休ませないと………!」
プリネはうなされているツーヤの額を触って驚いた。
「おーい、どうしたんだい?」
そこにガプタールに乗って戻って来たウィルがプリネ達に気付き、尋ねた。
「ウィルフレド様…………実はこの娘が凄い熱を出してしまって…………多分、度重なる激しい戦闘による疲労が一気に出たと思うのですが……」
「!そうなのかい。わかった。俺の家に運んで来てくれ。何か役に立つ薬があるかもしれない。」
「………ありがとうございます。ほら、しっかりして。」
「ツーヤちゃん…………」
ウィルの言葉を聞いたプリネはツーヤを背負い、その様子をイリーナは心配そうな表情で見ていた。
「…………………その娘は……………なるほど。今が”その時”なのだな…………………」
「ガプタール!?何か、知っているのかい!?」
ウィルはツーヤに起こっている事を知っているかのように呟くガプタールを見て、尋ねた。
「うむ。まず最初に確認だが………その娘は我と同族の者で間違いないな?」
「!!やはり、わかるのですか?」
「フン。それぐらいの事、造作もない。」
ガプタールが一発でツーヤの正体を当てた事にプリネは驚き、ガプタールは鼻を鳴らして答えた。
「あの………できれば私達にもわかりやすい説明をして頂けないでしょうか?」
「いいだろう。………まず、その娘はこの我と同じ”竜”だ。」
セラウィの問いにガプタールは答えた。
「ええええ~!?この娘が”竜”!?」
エミリッタはツーヤの正体を知り、大声をあげて驚いた。
「それでガプタール様………この娘は………ツーヤはまた元の元気な姿に戻るのでしょうか?」
驚いているエミリッタを気にせず、プリネは藁をもすがる思いでガプタールに尋ねた。
「フム…………元の姿になるというか………その娘は”成長”しようとしているのだ。」
「”成長”…………ですか?」
ガプタールの口から出た意外な答えにプリネは驚いた。
「ウム。我等竜族はお前達のようにゆっくりと成長せず、成竜になる際は今の様に体調を崩し、そして最終的に繭に包まれ、その中で成長するのだ。今、その娘の額に紋章が輝いている。それがその証拠だ。」
「あ…………確かに……………」
ガプタールの答えを聞いたプリネは何かの紋章が浮かび上がっているツーヤの額を見て、驚いた。
「詳しい話は後だ………今はベッドに運んでやるがいい。」
「はい!」
そしてプリネは自分が泊まっている宿屋のベッドにツーヤを運んで行った………………
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