英雄伝説~運命が改変された少年の行く道~(閃Ⅰ篇)
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第125話
ノスフェラトゥと倒しても次から次へと現れる魔物達との戦いによって、激戦状態になり、リィン達のほとんどはノスフェラトゥと戦うセリカとアイドスの援護に回れなかった。
~ローエングリン城・最上階~
「二の型・改―――紅蓮剣!!ラウラ、止めを!」
炎を纏った電光石火の攻撃を多くの魔物達に叩き込んだリィンはラウラに視線を向け
「任せるがよい!ハァァァァァ……!」
リィンと”戦術リンク”を結んでいるラウラはすぐに反応して光の渦で魔物達を引き寄せ
「斬!!」
クラフト―――洸円牙で一刀両断した!
「―――地裂斬!!」
続けてラウラは大剣を地面に叩きつけて衝撃波を発生させて離れた位置にいる魔物達を怯ませ
「―――燐の型――――紅燐剣!!」
続けてリィンが闘気によって発生した風の刃を解き放って追撃した。
魔物達は数で劣るリィン達に次々と襲い掛かったが
「舞の型―――円舞剣!!」
リィンが太刀に溜め込んだ闘気の刃を周囲に放って怯ませ
「ハァァァァァ……セイッ!!」
ラウラがクラフト―――洸円牙で引き寄せて聖剣で一刀両断した!精鋭揃いのⅦ組の中でもトップクラスの腕前の剣士たちは互いの背中を守りながら協力して戦っていた。
「ガーちゃん、ビーム!!」
「――――!!」
ミリアムの指示によってアガートラムは高熱のビームを解き放つクラフト―――ライアットビームを放って魔物達を怯ませ
「ユーシス、今だよ!」
「フン、言われなくてもわかっている!――――セイッ!!」
ミリアムと戦術リンクを結んでいたユーシスはすぐに反応してクラフト―――ルーンブレイドで怯んだ魔物達を滅した。
「オォォォ……!」
その時ユーシスを挟み込む形で魔物達が襲って来たが
「ガーちゃん、バリア!!」
ミリアムがすぐにユーシスの傍にかけつけてアガートラムにクラフト―――アルティウムバリアで自分と傍にいるユーシスに絶対防壁の結界をすぐに展開して魔物達の攻撃を防御し
「邪魔だっ!!」
ユーシスは霊体や不死者の天敵である聖剣を次々と振るって自分達に攻撃した魔物達を滅していた。普段はでこぼこな関係である二人であるが、戦闘になれば互いに協力し、多くの魔物達を葬っていた。
「大地の怒りよ、今ここに!ロックブレイク!!」
エマは魔導杖に搭載されてある特殊魔法によって魔物達の足元から石柱を発生させて怯ませ
「エヴリーヌさん!」
「オッケー!―――アン・セルヴォ!!」
エマと戦術リンクを結んでいたエヴリーヌは敵が怯んだ瞬間を待っていたかのように魔力と闘気を纏った事によって巨大な矢となった矢を放って止めを刺した。
「くふっ♪全然足りないね♪キャハハハハハッ!!」
そしてエヴリーヌは神速の動作で次々と矢を放ち、エヴリーヌの攻撃はノスフェラトゥにも命中し
「アークス、駆動!――――エクスクルセイド!!」
部屋中にいる魔物達を攻撃するエヴリーヌを補佐するかのようにエマは広範囲のアーツを発動して多くの魔物達を滅していた!実力が圧倒的に違う二人であったが、リンクを結んでいる相手の次の攻撃思考までわかるアークスの恩恵によって、エマはエヴリーヌの激しい攻撃に遅れながらも付いていき、多くの魔物達を滅していた。
「セリカ様、御力を!―――覚醒領域の付術!!」
メティサーナ達と共に子供達を守っているシュリは強化魔術で自分を含めた4人の物理攻撃、防御能力を高め
「七色の光の矢よ!―――プリズミックミサイル!!」
セレーネは魔物達の弱点である神聖属性の魔力が込められた光の矢を次々と放って魔物達を怯ませ
「斬!!」
「竜巻よ、薙ぎ払えっ!!」
メティサーナはクラフト―――空ヲ切リ裂ク鎌斬で直線上にいる多くの魔物達を一刀両断し、ガイウスは竜巻を起こして竜巻による風の刃で魔物達の身体を切り裂いた。
魔物達の数は多く、4人の隙を見ては襲い掛かって来る魔物達もいたが
「――させない!殲滅撃ち!!」
シュリの2丁の銃が火を噴いて広範囲の魔物達を怯ませ、その隙に仲間達がそれぞれ追撃し、仲間達の追撃の間にシュリは素早い動作で弾丸の束が入っているケースから弾丸の束を取りだした後それぞれの銃に装着し
「ヤアッ!!」
2丁の銃から電撃が宿る銃弾を解き放つクラフト―――電撃貫通撃ちを放って多くの魔物達の動きを鈍くし
「セイッ!!」
「とぅりゃあああっ!!」
「行きます!―――ディープインパクト!!」
電撃を浴びて体の動きが鈍くなった魔物達に3人はそれぞれ追撃して止めを刺し
「燃えて下さい……!」
周囲の魔物達が一掃され、新手の魔物達が襲い掛かってくるまでの僅かな時間を見つけたシュリはノスフェラトゥに向かって炎の弾丸で集中銃撃するクラフト―――爆炎一点撃ちを放って、セリカとアイドスの援護をしていた。無力な子供達に魔物達の手を触れさせないかの如く4人は協力して子供達を守りつつ、魔物達を撃退していた。
「―――――」
セリカとアイドスと対峙したノスフェラトゥは杖を地面に突かせて、二人の足元にエネルギーを発生させたが
「フッ!」
「ハッ!」
足元からの脅威に逸早く気付いた二人は散開してノスフェラトゥの呪術―――悪夢の園を回避し
「雷光―――」
「星光―――」
ノスフェラトゥの左右からセリカは神剣に雷光を纏わせ、アイドスは神剣に星の光を纏わせてそれぞれ強烈な一撃を叩きつけた!
「「滅鋼斬!!」」
「―――――!!??」
左右からの強烈な魔法剣の一撃を受けたノスフェラトゥは怯み
「浄化の炎よ、焼き尽くせ!贖罪の聖炎!!」
「―――――!!??」
更にアイドスが放った魔術による光の炎に焼かれて悲鳴を上げた!
「枢孔――――」
アイドスが放った高火力の魔術によって苦しんでいる間にセリカは神剣に闘気を溜め込み
「紅燐剣!!」
無数の高速の風の刃を解き放ってノスフェラトゥの全身をズタズタにし
「炸裂せよ!―――タキオンの爆発!!」
そこに追撃するかのようにアイドスが高火力の純粋属性の魔術を発動し、発動した魔術によってノスフェラトゥは全身に純粋属性の爆発を受けて致命傷を受けた!
「――――――!!」
二人にやられっぱなしであったノスフェラトゥは杖を振るって無数の悪霊たちを二人に放ったが
「雷光―――身妖舞!!」
「星光―――身妖舞!!」
二人は近づいてきた悪霊たちを神剣を振るってズタズタに切り裂いて滅し
「「殲鋼!双肢乱!!」」
「―――――!?」
続けて同じ剣技を放って追撃した!
「――――」
二人の攻撃によってボロボロになったノスフェラトゥは相手に乗り移って生命力を奪い取る呪術―――ソウルピニオンでアイドスに乗り移ろうとしたが
「!!??」
アイドスが持つ神剣の霊圧によって吹っ飛ばされた!
「――――セリカ!」
そしてアイドスはセリカに視線を向け
「ああ!」
アイドスの視線に頷いたセリカはアイドスと共にノスフェラトゥを挟み撃ちにし
「ハァァァァァァ――――ッ!!」
「ヤァァァァァァ――――ッ!!」
セリカは膨大な神力や闘気、アイドスは膨大な神力や魔力を込めた神剣で次々剣撃の嵐を叩き込んだ!
「―――――!!!??」
次々と襲い掛かる光を纏った剣撃の嵐にノスフェラトゥは為す術もなく、ひたすら受け続けて悲鳴を上げ続け
「これで……!」
「終わりよっ………!」
剣撃の嵐を放ち終えた二人はそれぞれの神剣に膨大な神力を込めて斜め十字に飛燕剣の奥義――――”飛燕姫神恍舞 ”を同時に叩き込んだ!その剣技は星を司る美しき姉妹神による協力神技!その技の名は………!
「「星女神の剣嶺!!」」
「――――――――!!!??」
セリカとアイドスの協力神技―――星女神の剣嶺はノスフェラトゥを無数の光の刃で全身をズタズタにした後超越した光の大爆発を起こすと共に星をも貫く光の柱が発生し、光が消えるとノスフェラトゥは完全に消滅し、また二人の協力技の余波によって怪しげな気を放っていた宝珠も消滅しており、宝珠が消えるとリィン達が戦っていた魔物達もまるで浄化されるかのように光に包まれて消滅した!
「はあっ、はあっ……!」
「何とか終わりましたね……」
「つ、疲れた~!」
「くふっ♪久しぶりにわりと楽しめたよ♪」
戦闘が終わるとリィンとセレーネ、ミリアムはクラスメイト達と共に疲れた表情で息を切らせながら地面に跪き、まだまだ余力があるエヴリーヌは不敵な笑みを浮かべた。
「”不死の王”をたった二人で容易に撃破するなんて……」
「ふふっ、さすが”女神”と言った所か。」
「フッ、滅多にお目にかかれないものを見せてもらったな。」
「ああ。まさに”神技”と言ってもおかしくない剣技だった……」
驚きの表情のエマの言葉にガイウスは静かな笑みを浮かべて答え、ユーシスとラウラは興味ありげな表情でセリカとアイドスを見つめ
「すっげー!二人とも滅茶苦茶つえー!」
「聖女様より強いかも!」
子供達ははしゃぎながらセリカとアイドスを見つめた。
「フフ、さすが私の”お兄様”ね。」
「誰がお前の兄だ。百歩譲って”セイルーン”を名乗る事を認めても俺はお前の兄になる事を了承した覚えはないぞ。」
(クク、そう言っている割に嬉しそうにしているのは何故だの?)
アイドスに微笑まれたセリカは静かな笑みを浮かべ、セリカの様子に気付いていたハイシェラは口元に笑みを浮かべて指摘した。
「フフ、でも貴方がお姉様と結ばれれば自動的に私は貴方の”妹”になると思うけど?第一お姉様の身体に宿っている時点で、貴方は私の兄になるわよ。」
「グッ……!」
(ハハハハハッ!まさにその通りだの!)
そしてアイドスに図星を突かれたセリカは唸り声を上げ、ハイシェラは腹を抱えて笑っていた。
「先程から俺をからかっている態度といい……まさかお前を2度も殺した意趣返しのつもりか?」
「そんなつもりはないわよ。第一私はお姉様と同じ”星女神”なんだから、そんな根暗な性格じゃないわ。大体、貴方こそお姉様への愛が足りないんじゃないかしら?エステルって娘による想念によって貴方とお姉様を”影の国”で出会えるようにしなければ、お姉様の事をずっと忘れたままだったんでしょう?」
「……………俺がそうなったのもお前のせいだろうが。」
自分の指摘を聞いて反論したアイドスの話にセリカは口元を僅かにピクピクさせながら静かな表情で指摘し
(ハハハハハッ!まさかかつて因縁深かった奴によって、セリカの調子がここまで狂わされるとはな!)
セリカの様子を見たハイシェラは大声で笑い続けた。
「今の光景をサティア様がみれば、お喜びになるでしょうね……」
「ああ。―――いつかご主人様、サティア様、アイドス様の3人が揃う所が見てみたいな……」
かつて因縁深い関係でありながら、軽口を叩きあっているセリカとアイドスを見つめて一筋の嬉し涙を流すシュリの言葉にメティサーナは静かな笑みを浮かべて頷いた。
「ねーねー、あの宝珠も消えちゃったから、もう門の結界は解けているよね?」
「ええ。あちらから外に出て確かめてみましょう……!」
そしてミリアムの提案に頷いたエマは仲間達と共にバルコニーに出て城を覆っていた青白いモヤの消滅を確認し、その後リィン達は結界が解けた事によって開けるようになった門から出て町に戻り始めた。
「………………”アイドス”。まさかあの女性は……………」
リィン達がボートで町に向かっている様子を城のバルコニーから見守っているレグラムの町にある”槍の聖女の石像と瓜二つの姿をしている”黄金の髪をなびかせている女性騎士は静かな表情で呟いて考え込んだが
「フフ、私自身の事と言い、世界は不思議で満ちていますね。”彼女”の事も私やイリーナ様達のように、異なる世界の”碧き零”の少女の”慈悲”かもしれませんね…………」
やがて静かな笑みを浮かべた後光に包まれ、その場から消えた!
「”あの女”かと思ったけど、”鋼の聖女”の方だったか。」
女性騎士が消える様子を遠くから見守っていたセリーヌは静かに呟き
「……でも……―――やっぱり、時間が無くなってきたわね……」
やがて夜闇の中に溶け込むように消えた。
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