英雄伝説~運命が改変された少年の行く道~(閃Ⅰ篇)
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第124話
その後最上階に到着したリィン達は不思議な球体を見つけた。
~ローエングリン城・最上階~
「……なんだ、あれは。」
「巨大な宝珠……?今まで手に入れたものとはまた別のもののようだな。」
「んー、多分あれが力の源だと思うよ。」
球体を見つけたユーシスとガイウスは眉を顰め、エヴリーヌは考え込みながら答え
「なにやら内側に青白い”焔”のようなものが揺らめいているが……」
「気のせいでしょうか……?凄まじい”負”の気が感じられます……」
ラウラとセレーネもそれぞれ球体を見つめて考え込み
「迂闊に触ると何があるかわからんな。」
「防衛機能が働いて、”守護者”が出てくるかもしれないな。」
「ええ……どうやって解除しましょうか……恐らく何らかの仕掛けがあると思うのですが……」
セリカの推測にメティサーナは頷き、シュリは考え込んだ。
「それにしてもでっけえ~……!!」
「けっこうキレイかも……」
「…………………」
子供達ははしゃぎ、エマは真剣な表情で球体を見つめ
「明らかに”何かの力”みたいなものが感じられるな。アイドス様が言っていたのはこれのことですか?」
リィンは考え込んだ後アイドスに視線を向けた。
「ええ、間違いないわ。おそらくあの宝珠が今の状況を引き起こしていると思うわ。あれを何とかできればこの状況も収まるはずよ。」
「わかった、ボクに任せて!」
「―――え。」
自分の答えを聞いて名乗り出たミリアムの行動にアイドスが呆けたその時、ミリアムはアガートラムを召喚した。
「ちょっと、ミリアムちゃん……!?」
ミリアムの行動を見たエマが慌てて引き留めようとし
「ヘーキヘーキ、ガーちゃんにかかればこれくらい一撃だって!さっさと片付けてこんなオバケ屋敷からはおさらばしよ~よ!」
「阿呆、もう少し慎重に……!」
「いっけー、ガーちゃん!」
「―――――」
ユーシスも引き留めようとしたがミリアムは無視してアガートラムに球体を殴らせたが、何とアガートラムは結界に弾かれた!
「にゃあああっ!?」
弾かれたアガートラムの下敷きになったミリアムは悲鳴を上げ
「ミリアム!?」
ミリアムの様子を見たリィン達はミリアムに駆け寄った。
「……言わんことじゃないな。」
「何やってんの。あの人形の攻撃が効かないのは門を殴った時にわかっているでしょ?」
「エ、エヴリーヌさん。何もそうハッキリ言わなくても。」
ユーシスと共に呆れた表情で言ったエヴリーヌの言葉を聞いたセレーネは苦笑した。
「大丈夫か?」
「う~……結界のこと忘れてた……」
「確かに守られていたとしてもおかしくはなかったか……」
「待て、何か様子がおかしい………!」
その時球体の異変に気付いたガイウスが警告し、リィン達が球体を見つめると球体は震えていた。
「わわっ……!?」
「な、なんだあれ……!」
「凄まじいまでの力の奔流……!―――皆さん、離れてください!」
そしてエマが警告したその時、球体は杖を持った巨大な骸骨の魔物が現れた!
「あ、あれは……!?」
「ド、ドクロの魔物……?」
「”不死の王”……!?こんなものまで顕現するなんて!!」
「”不死の王”ですか……!」
「フン、メティ達からすれば大した存在ではない!」
エマの説明を聞いたシュリは表情を厳しくし、メティサーナは勝ち誇った笑みを浮かべた。
「くふっ♪少しは楽しめそうだね♪」
強敵の存在にエヴリーヌは凶悪な笑みを浮かべ
「今までの敵とは格が段違いのようだ……!ユリアン、カルノ、後ろへ!」
「ひゃああっ!?」
「わあ~っ!!」
ラウラの指示を聞いた子供達は後ろへと下がったが
「オォォォオ……!」
「「わあああああっ!?」」
なんと子供達を逃がさないかのように、部屋中に多くの霊体や不死者の魔物達が現れた!
現れた魔物達は子供達を襲いかかってきたが
「危ない!」
「させるかっ!」
シュリが銃撃で怯ませた後メティサーナが大鎌で真っ二つにして滅して子供達を庇うような位置で武器を構え
「――シュリ、メティ。お前達は子供達を守っていろ。すぐに片をつける。」
「はい!」
「了解した!」
セリカの指示に二人は頷き
「セレーネとガイウスもシュリさんとメティサーナさんを手伝って、子供達を守ってくれ!」
「はい!」
「承知!」
更にリィンの指示によってセレーネとガイウスも子供達に駆け寄ってメティサーナとシュリと共に子供達を中心に円陣を組んで周囲の魔物達を警戒していた。
「………………………」
一方アイドスは静かな表情で目を閉じて考え込んだ後愛剣の名を叫んだ!
「――星芒より出でよ、”真実の十字架”!!」
アイドスの呼びかけに応えるかのように”真実の十字架”は神々しい気をさらけ出しながらアイドスの手に収まり
「”スティルヴァーレ”だと!?」
アイドスが手に持つ神剣の名を聞いたセリカは血相を変え
「なんて霊圧……!」
「あれがアイドス様の”神剣”……!」
「何でしょう……?どことなくサティア様の神剣である”天秤の十字架”に似ていますね……」
”スティルヴァーレ”からさらけ出す霊圧にエマやメティサーナは驚き、シュリは不思議そうな表情で”スティルヴァーレ”を見つめていた。
「―――我が名は古の女神アイドス!かつては人々の争いを失くそうと間違いを犯し、今は新たなる道を探る者!この世を彷徨いし哀れなる不死の王よ……これより我が”慈悲”により、永遠の眠りにつかせて差し上げます!」
そしてアイドスは魔物―――ノスフェラトゥに神剣を突き付けて膨大な神気を解放し
「………フッ、まさかアイドスと肩を並べる時が来るとはな。―――俺とサティアの”約束”を阻もうとするなら相手が誰であろうと斬る。―――それだけだ。」
自分の腰に刺しているもう一本の剣――――”誓いの神剣”がまるで喜びを示しているかのように神々しい光を放っている事に気付いたセリカは静かな笑みを浮かべた後”誓いの神剣”を鞘から抜いてアイドスと並んで構えると同時に膨大な神気を解放し、二人がさらけ出す神気によってノスフェラトゥや周囲の魔物達は怯んだ!
「ふえええ~っ!何かスッゴイねー!」
「なんという威圧……!父上ですら、このような凄まじい威圧は出せないぞ……!」
「凄い……エステルさんやフェミリンスがさらけ出していた霊圧をも超えているのかも……」
二人がさらけ出す神気にミリアムとラウラ、エマは驚き
「この神聖なる”風”……これが”女神”の力なのか……」
ガイウスは自然とその場で祈りを奉げ
「―――二人を援護しつつ、部屋中の魔物達を掃討するぞ!」
「おおっ!!」
そしてリィンの号令を合図に仲間達はセリカ達と共に戦闘を開始した!
今ここに!”想念”の力によって形成されていた”影の国”ですら再現できなかった互いに因縁深かった”神殺し”と”慈悲の大女神”の共闘が始まった……!
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