俺から見た八幡先輩といろは先輩の事情
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。
ページ下へ移動
after story
前書き
この話について書くのは久しぶりだと思います。少し今後の展開に必要だと思ったので今回はこの話のアフターストーリーを書いてみました。少し歩垂のキャラとか軽く忘れたり、後輩に接するいろはに慣れていなかったり、小町を出したりとキャラ崩壊注意です。あと、勝手な解釈とか多いかもです。
八幡先輩が卒業して俺やいろは先輩が進級した4月頃、それからは少し寂しさというものを感じている。雰囲気的には変わっていないはずだ、俺の雰囲気も……
小町「どしたの?歩垂君。そんな難しい顔しながらボーッとして」
歩垂「俺がボーッとしてるのはいつも通りだ。少し考え事を…ま、ちょうどいいか八幡先輩は元気か?」
小町「はぁ、まあ多分元気だよ。ていうか歩垂君その質問何回目?いっつも聞いてくるけど、どんだけお兄ちゃんの事好きなのさ」
歩垂「当然だ、俺は八幡先輩の事を尊敬しているからな。むしろ俺は尊敬している人以外興味無いまである」
小町「はぁ…その言い回し、何かお兄ちゃんに似てるよね」
歩垂「ふっ、まあな」
小町「褒めては無いんだけどなあ」
紹介が遅れたな、この人は小町さん。知っているだろうが八幡先輩の妹さんだ。対人スキルに関しては相当なもので、俺も尊敬している。だからさん付けにしている。
歩垂「さてと、そろそろ行くかな」
小町「生徒会?」
歩垂「まあな、今年でいろは先輩も引退だし」
小町「そっかぁ、歩垂君は会長を継ぐの?」
歩垂「…無理だろうな」
小町「どうして?」
歩垂「支持率が低い、それにいろは先輩ほどの技量は持ってないしな」
小町「そんなことは無いとは思うんだけどなぁ…」
歩垂「いやあるな、1年時八幡先輩に手伝ってもらっていたとは言え、ここまで立派にイベントや行事事を第一線で活躍し、学校のトップとしてまとめあげていたいろは先輩には尊敬する。俺はそんないろは先輩の足元にすら及ばないよ」
小町「ほんとどんだけお兄ちゃんやいろは先輩の事好きなんだろ…歩垂君が尊敬している人ってどれだけいるの?出来れば身近な人で」
歩垂「まず、八幡先輩にいろは先輩、雪乃先輩、結衣先輩、姫菜先輩、小町さん、静先生くらいかな」
小町「私がいるのと海老名先輩がいる事に驚きなんだけど…」
歩垂「は?小町さんの対人スキルにはかなり尊敬している、あとは姫菜先輩に至っては……まあ、なんつーか別格というか別次元というか…うん、あれだけ腐った趣味に生きていけるのは逆に尊敬かなーと思って」
小町「何か納得」
歩垂「……そろそろ時間か、それじゃ、そろそろ行くわ」
小町「頑張ってー、また明日ー」バイバイ
そして月日は流れていろは先輩の生徒会長としての最後の大きなイベントの文化祭も滞りなく進んだ。俺も生徒会として去年のように啖呵も切ることなく最終日、実行委員長の挨拶も終わり今年の文化祭も終わった。そして残りの片付けも終わり下校時間になる前、ほとんどの生徒が帰った頃俺は屋上にいた。
歩垂「終わったか…そういやここって一昨年八幡先輩の噂の場所か」
歩垂「確か、その時の実行委員長の人に暴言吐いて悪者になったとか」
歩垂「八幡先輩らしい…俺は結局憧れで終わったか」トン
落下防止の柵に背中を預けスルスルと腰を下ろす。屋上に吹く少しだけ涼しい風に心地良さを感じながら、感傷に浸るように目を閉じる。少ししてガチャっと目の前のドアが開きこっちに少しずつ近づいてくる、俺は目を閉じたまま話しかける。
歩垂「いろは先輩っすか?」
足音がピタッと止まる。
いろは「な、なんでわかったの?目開けた?」
歩垂「いいえ、開けてないっすよ」
いろは「ならなんで?」
歩垂「簡単っす、俺がここにいて…いやむしろ俺と会って何も反応もせずに近づいてこれるのは、今のこの学校ではいろは先輩と小町さん、大志と静先生くらいしかいないっす。そして小町さんはさっきここに来る前に帰っていくのを見て、大志もさっきこの上から帰っていくのを見た、静先生はまずここには来ない、理由としてはここがほとんど閉鎖されている場所だからって所っす」
そう言い終わって目を開けていろは先輩の顔を見るとポカーンと口を開けていた。
いろは「ほ、歩垂君って探偵?ていうか、何か怖い」
歩垂「はいはい、慣れっこっすよ。それで何でここに来たんすか?もう下校時間っすよ」
いろは「それはこっちのセリフ!歩垂君こそ下校時間なのに生徒会室にもの置きっぱなしにして、それで歩垂君ならここかな?と思って来たの」
よく見ると俺の鞄も持っていた。
歩垂「あ〜、それはどうもすみません」
いろは「なにか悩み事?」
歩垂「悩みというか…ただ感傷に浸ってたというかっすよ。文化祭終わったなーって感じで」
いろは「そうだね、とりあえずさあ、帰りながら話そう?流石に下校時間だから」
歩垂「そうっすね」
屋上を出て、校門まで行った。
歩垂「まあ、話もしたいですし送っていくっすよ」
いろは「うんよろしく」
歩垂「…終わったんすよね、文化祭。いろは先輩最後ですし」
いろは「うん」
歩垂「それに、生徒会長もそろそろ引退ですしね」
いろは「そうだね、まあこれは歩垂君に継いでもらうから全然心配はしてないけどね」
歩垂「俺には無理っすよ」
いろは「無理なんかじゃないよ、私がしっかり全校生徒に言うからね。でも、そんな事言わなくても歩垂君はちゃんと皆に信用されてるよ」
歩垂「そうっすね、見てる人は見てるかもしれないっすね。それにうちの学校はそういう選挙とかあんまり関心ありませんから、立候補すればほとんどの確率で当選っすからね」
いろは「うん!だから」
歩垂「それでも無理なんすよ」
いろは「え?」
歩垂「今までは信用がないからって理由だけで済んだんすけど、意外にも少しだけ心配得ちゃったみたいなんで。正直に話しますよ」
1度立ち止まりいろは先輩の方を向いた。
歩垂「俺二学期が終わったら転校するんです」
いろは先輩は呆然としていた。言葉も出ないって感じで。そして前を向き直り歩きだすといろは先輩もそれに続いて俯きながら歩きだした。
歩垂「…うち父子家庭だったんですけど、その父が病気になってしまって。まあまあ重い病気みたいで、それで父の実家がある東京に行くんですよ」
いろは「…」
歩垂「東京と言っても、そこまで大都会ってほどでは無いんすけどね。でも高校も大学も近いところですからそこら辺は楽ですよ」
いろは「………」
歩垂「ただ残念なのは、いろは先輩に『卒業おめでとうございます』って直接言えない事ですね」
いろは「……!?」
歩垂「……話してたらもう着いたみたいっすね。それじゃいろは先輩、さよなら」
いろは「待って!!」
歩垂「!?」
歩垂「は、はい?」
いろは「あ、いや…やっぱりいいや。またね」
歩垂「…はい」
そしてまた月日は流れた。転校の一週間前とかに先生が俺の転校を伝えると小町さんと大志だけが反応を示していたが、他は何だかホッとしたような、良かったという風な反応だった。
そして当日
終業式も終わり俺は生徒会室にいた。小町さんと大志と静先生には激励を受けた、何か痛かった。
歩垂「腹痛い…静先生め……」
黄昏てた。
あと30分ほど時間はある、少しだけ…うん、少しだけ……
寝た。
20分後
歩垂「ん…そろそろか」
顔を上げると目の前にいろは先輩がいた。
歩垂「うぇ!?い、いろは先輩?!いたんすか?」
いろは「あんまり気持ちよさそうに寝てたからね、起こすのも悪くて」
歩垂「…まあはい、寝たのは俺が悪いんすよ。それに予想は当たってたんで」
いろは「それはわたしも、歩垂君ならここに来るかなって思ってね」
歩垂「正解っすよ。…いろは先輩に言いたいことがありまして」
いろは「私も…お先にどうぞ」
歩垂「お言葉に甘えて、いろは先輩。今までありがとうございました。俺はいろは先輩に憧れ、八幡先輩に憧れ、色んな人に憧れて来ました。その中で一番付き合いが長かったのはいろは先輩です。いろは先輩は八幡先輩と接するように素のいろは先輩を見せてくれました。きっと他の人なら悪い方に態度が変わると思います、気持ちも変わると思います。でも、俺は嬉しかったです!憧れの人と対等になれたとか、憧れの人が俺の事を信用してくれたとか、とにかくとても嬉しくて、とてもお世話になりました。本当はいろは先輩が卒業するまでいたかったです。いろは先輩に卒業おめでとうございますって直接言いたかったです。そこはごめんなさい、でも代わりに今までの感謝を伝えたくて今日ここに来ました」
歩垂「いろは先輩、今までお世話になりました。いろは先輩から学んだこと、過ごした時間、交わした言葉全ては俺のこれからの人生の糧になるはずです。ありがとうございました」
深々と礼をした。涙は流れなかった、凄く悲しかった、そこら辺の卒業式よりも何百倍も悲しかった。でもそれよりも、伝える事ができた喜びでいっぱいだった。
いろは「そっか、うん。こちらこそありがとう、歩垂君にはいつもお世話になったし、ほんと、私の自慢の後輩だよ」
歩垂「ありがとうございます」
いろは先輩は少し泣いていた。泣いてくれていた、凄くそれは有難かった。
いろは「それで、私は一つだけ聞きたかったことがあるんだよね」
時間は過ぎていた。でも気にしない、そんなの知らない。
歩垂「何でも聞いてください、必ず答えます」
いろは「じゃあ…歩垂君はどうして人を遠ざけようとするの?」
いろは「というより、何で歩垂君は人の好感度とか考えないで思った事を言うの?」
歩垂「…本音で語り合えないような関係を作りたくないんですよ。そんなの偽物なんで…」
いろは「………」
歩垂「偽物の関係じゃなくて、俺は人のいい部分も悪い部分も共有できる。そんな本物の関係が欲しかったんですよ」
いろは「本物……うん、そうだね。流石先輩に憧れるだけあるね」
歩垂「はい!…それではそろそろ時間なので……また機会があれば、その時は宜しくお願いします」
いろは「うん、またね歩垂君」
手を振り交わして生徒会室を出た。
次の日から蛍塚歩垂という名前は千葉から消えた。
終わり
後書き
少し長めではありましたが、歩垂の話はこれにて完結です。今後歩垂が出てくるかは未定ですが、結構好きなキャラなのでもしかしたらご近所シリーズの方に出すかも知れません。その時は宜しくお願いします。ここまで読んでいただきありがとうございました。今後も他シリーズも宜しくお願いします。
ページ上へ戻る