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英雄伝説~光と闇の軌跡~(SC篇)

作者:sorano
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第13話

マノリア村に入ったエステル達は日曜学校をやっている場所を探し、風車小屋でやっているのを見つけたが、授業中の紙が貼ってあったが既に終わっている頃なので、気になり小屋の中をそっと見た。



~マノリア村・風車小屋内~



(あれっ、あの人……)

風車小屋の中の様子を見たエステルは見覚えのある人物に驚いた。

「『同情することありませんよ。まったく、ティーア様は人がいいんだから』

正直なところ、ガストン公爵がこのまま黙って引き下がるとはとても思えないペトロでした。それに、不気味な仮面の人形師ハーレクインの動向も気になります。互いに面識があるようでしたが師匠のカプリは、言葉を濁してなにも教えてくれませんでした。

いずれにせよ、近いうちにもう一波乱あるに違いありません。ペトロは蒼騎士の改造を決意しました。『もう、ペトロ様ったら』

ちょっと拗ねたような口調にペトロは我に返りました。

『お茶が冷めてしまいますよ?』

青空を映した、涼やかな瞳が“大丈夫”と安心させるようにいたずらっぽく輝いています。照れくさくなったペトロはぬるまった紅茶で喉を潤しました。

……人形の騎士・おわり。」

見覚えのある人物――ケビンがクラム達の前で読んでいた本を閉じた。

「ええ~っ!もう終わりなのかよ~!?ハーレクインとの決着はどうなるんだよ!?」

「バカねぇ、クラムったら。ここで終わるのがいいんじゃない。そしてペトロとティーア姫はいずれ結婚して幸せに暮らすのよ。はあ~、ロマンチックねぇ♪」

「うんうん。やっぱり2人には結婚して幸せになってもらわないと♪」

「ボク、なんだか先生のお茶が飲みたいな~。」

「カプリ師匠がカッコイイの。」

ケビンが本を閉じるとクラム達やマノリアの子供達は口々に感想を言った。

「はあはあ……。さすがに『人形の騎士』全22巻の一気読みはキツイわ。ほれ、これでええやろ。今日の授業はオシマイやで。」

ケビンは疲労を感じながら授業の終了を言った。

「ぶーぶー。」

「ケビン先生、お疲れさまぁ。」

「ふう、敵わんなぁ……。あー、そこの人。授業は終わりやからもう入ってきてもええで。」

クラム達の元気の良さに苦笑したケビンはエステル達に声をかけた。

「あはは……。気付かれちゃったか。えっと、失礼します。」

ケビンに言われたエステル達は風車小屋の中に入った。



「へっ……?」

「あああああっ!?」

「エステルさん!?ミントお姉ちゃん!?」

エステル達を見たケビンは驚き、クラムやマリィは声を上げて驚いた。

「みんな、久しぶりね!元気にしてた?」

「ただいま~、みんな!」

「なんだよ!遊びに来たのかよ~!?ミント姉ちゃんもお帰り!」

「うわあ!本当に久しぶりです~!」

「エステルおねえちゃん、ミントおねえちゃん。遊んで遊んで~。」

「よく来たのー。歓迎するのー。」

クラム達はエステルとミントにかけよってそれぞれ嬉しそうに声をかけた。

「えへへ………相変わらずみんな元気だね!病気や怪我とかしていなくて、ミント、安心したよ!」

「あはは……。みんな相変わらず元気ねぇ。えっと、ケビンさんもお久しぶりね。」

クラム達の元気な様子にミントは嬉しそうに答え、エステルも微笑んだ後ケビンを見た。

「おお、エステルちゃん。オレのこと覚えとってくれたか!」

「そりゃあもちろん。しかし、本当にその格好で神父なんかやってたのねぇ。」

「どーいう意味やねん。しかし、こんなところでまた会えるなんてなぁ。これはひょっとして運命の再会ってやつかもな♪」

そしてエステル達はケビンと共にクラム達を孤児院に送った。



~マーシア孤児院~



「そうでしたか……。神父様とエステルさんはお知り合いだったんですね。ふふっ、世間は狭いですね。」

事情を知ったテレサは微笑みながら答えた。

「いや~、ホンマそうですわ。それにしても、オレまでお昼をご馳走になってしもうてえらいスイマセンでしたわ。」

「いえいえ、ついでですし子供たちに勉強を教えてもらっていただいているお礼ですわ。」

「なー、エステル姉ちゃん。ヨシュア兄ちゃんがいないけど今日は一緒じゃないのかよ?」

「ミントお姉ちゃん。ツーヤお姉ちゃんは………?」

テレサとケビンが和やかに会話している中、クラムとマリィはヨシュアとツーヤがいない事に気付いて尋ねた。

「あ、うん……まあね。ちょっと用事があって一緒に来られなかったのよ。」

「………………………………」

事情を知っているケビンは真剣な表情で黙っていた。

「ツーヤちゃんは今、プリネさん達とロレントのお家に住んでいるの。だから今日は一緒じゃないんだ………」

「そうなんだ……しょぼん。」

「うー、ヨシュア兄ちゃんやツーヤ姉ちゃんにも孤児院が元通りになったトコ、見てもらいたかったんだけどなー。」

「ほんと、残念です。ツーヤお姉ちゃんにも会いたかったな…………」

「お姫さまのカッコウ、また見たかったのー。」

ヨシュアとツーヤが来ていない事を知ったクラム達は残念がった。

「あ、あはは……。それはともかく、ずいぶん長い日曜学校だったわね。最後に何か読んでたみたいだけどあれって小説か何かなの?」

「へへん。『人形の騎士』っていうんだ。人形使いの戦いをテーマにしたバリバリのアクション活劇だぜ!」

「あん、違うわよう。身分違いの恋をテーマにしたラブロマンスじゃないの。」

エステルに本の事を尋ねられたクラムとマリィはそれぞれの視点で感じた事をエステルに説明した。



「リベールに来る時に持ってきた青少年向け(ジュヴナイル)小説なんやけどな……。ちょっとずつ読んで聞かせようと思っとったのにいきなり全巻読んでしもたわ……」

「あはは。ノリがいいのが仇になったわね。」

疲労感を隠せず、溜息を吐いているケビンを見て、エステルは苦笑した。

「うふふ。本当にお疲れさまでした。神父様はこれからルーアンにお戻りになるの?」

「ええ、まあそうですね。他にも回るところがあるからすぐに飛行船に飛び乗ることになるとは思いますけど。そういや、エステルちゃんとミントちゃんはどうしてルーアン地方におるん?やっぱ、遊撃士のお仕事でか?」

テレサに答えたケビンは何故エステル達がルーアンにいるのかを尋ねた。

「うん、まあ色々あってね。そうだ、あたしたちは聞きたいことがあって孤児院にきたんだけど……」

「ポーリィが見たという『白いオジチャン』の話ですね?」

エステルの言葉を聞いたテレサは確認した。

「あー、その話かぁ。」

「んー?ポーリィがどうしたの?」

「えっと、ポーリィちゃんに聞きたいことがあるんだけど……。『白いオジチャン』のこと詳しく聞かせてもらえないかなぁ?」

「ねえねえ、ポーリィ。どんな人を見たの?」

無邪気な女の子――ポーリィにエステルとミントは尋ねた。

「白いオジチャンは白いオジチャンなの。くるくる回っていてとっても楽しそうだったのー。」

「うーん……困ったわねぇ。」

「もうちょっと………何かないかな?」

ポーリィの答えを聞いたエステルは困り、ミントは尋ねた。

「えっと、あたしから説明させてもらいますね。」

エステル達の様子を見たマリィがポーリィの代わりに話し始めた。



「あれは4日前くらいかな……。この子、夕食のあと外に出てぼーっとしてたんです。そしたら空に、白い男の人が浮かんでいるのを見たらしくて。」

「そうなのー。楽しそうに飛び跳ねながらお空でくるくる踊ってたのー。で、ポーリィが話しかけたらペコリとお辞儀をして飛び去って行っちゃったのー。」

マリィの言葉に頷いたポーリィは無邪気に答えた。

「ぜってー、寝ぼけてただけだって。だってユーレイにしちゃ全然怖くないじゃん、そんなの。」

「私も最初そう思ったんですがダニエルも見ていたらしくて。ね、ダニエル?」

クラムの言葉に頷いたテレサは男の子――ダニエルに尋ねた。

「うん。ボクはちょっとだけど。白いヘンな影が、東のほうにびゅーんって飛んでいったんだ。」

「う、うーん。」

「丁寧なお化けさんなんだね。」

ダニエルとポーリィの話を聞いたエステルは考え込み、ミントは幽霊を不思議がった。

「目撃者が2人ってことは信憑性が高そうだな。しかし、声をかけたらお辞儀したと来やがったか……。その白いオッサンってヤツ、どんな顔をしてたか分かるか?」

2人の話を聞いたアガットは頷いた後、尋ねた。

「お顔は知らないのー。だってオジチャン、変なマスクをつけてたんだもん。」

「え!?」

「マ、マスク!?」

「そりゃまた……。ケッタイな幽霊もいたもんだ。」

ポーリィの話を聞いたミントとエステルは驚き、アガットも驚いた。

「あのなぁ、ポーリィ。そういう事はちゃんと言えよ。初めて聞いたぞ、オレ。」

ポーリィの話を聞いたクラムは呆れながら答えた。

「だって誰にも聞かれなかっただもーん。」

「まあ、マスクの事はともかく夢ではないようでしたので……。念のため、遊撃士協会にお知らせした次第なんです。それ以来、注意はしましたけど再び現れる様子はないようです。」

「う、うーん……」

「大体わかった。色々と参考になったぜ。」

「えっと…………一度現れてからは二度と現れた事がない………っと。」

話を聞き終えたエステルは考え、アガットは頷き、ミントは手帳にメモをしていた。



「そういえばミント姉ちゃん………さっきから気になっていたんだけど、ミント姉ちゃんがつけている紋章って………」

「あ、うん。………そういえばみんなには言ってなかったね。……ミント、遊撃士になったんだよ!」

クラムに尋ねられたミントは嬉しそうな表情で準遊撃士の紋章と遊撃士手帳をクラム達に見せた。

「えええええ~!?」

「ミントお姉ちゃん、遊撃士になったの!?」

「カッコイイ………」

「ミントお姉ちゃん、カッコイイの~。」

ミントが遊撃士になった事を知ったクラム達は驚いた。

「えへへ………」

クラム達の様子を見たミントは恥ずかしそうにしていた。

「ったく。まだヒヨッコになったぐらいで、はしゃぎすぎなんだよ。」

「こらこら。子供達の前でそんな事を言わないの。」

呆れている様子のアガットの呟きが聞こえたエステルは軽く注意をした。

「ハハ………こらまた、可愛い遊撃士やな。年齢は大丈夫やったんかいな?確か16からでないとなれへんやろ?」

「あ、それは大丈夫よ。ミント、あんな外見だけどあたしと同い年だそうよ?」

「へっ!?………なるほど。あの嬢ちゃん、”闇夜の眷属”やったんかい………”闇夜の眷属”は俺らと違って長命やって聞くしな。成長も俺らと違って遅いんか………」

エステルの言葉を聞いたケビンは驚いた後、ミントの容姿をよく見て、尖っている耳を見て”闇夜の眷属”と察して納得した。

「ねえねえ、ミント姉ちゃん!遊撃士になったら魔獣をやっぱりこう……ズバっと!倒したり、アーツでカッコよく倒したりしているの!?」

「魔獣を倒すのだけが遊撃士の仕事じゃないでしょう?ミントお姉ちゃん、どんな仕事をしたの?」

「えへへ………ミントが受けた仕事はね………」

興味深そうに聞いて来るクラム達にミントは自分が受けた仕事を楽しそうに話した。その後テレサやクラム達と別れたエステル達は幽霊の目撃者全員から話を聞き終えたのでジャンに報告するために、ルーアンに戻るケビンと共に海道を歩いてルーアンに戻って行った………




 
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